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お茶の話

「うわぁあああ、馬!」
ポセイドンは馬を作ろうと叫んだ。しかし、出てきたのはリス。
「ねえ、ポセ様ー」
「うるさい。すまないとさっきから言っている! 私は馬を作るんだ」

ここは備前岡山。羽柴秀吉は亀山城で宇喜多直家の動向を探ることを終え、備前岡山城に入り、直家の子・秀家と合流していた。
遡ること1時間前、ポセイドンとカイロスは移動手段を探していた。
カイロスは宙に浮いて、時間を行き来しているので問題はないが、ポセイドンの移動手段がない。
「……カイロス、私がお前に水のベールをするように、お前は私にその宙に浮かせる技はできないのか?」
「ごめんなさい、出来ないです。これをすると人間から見えなくなってしまいますし、エネルギーも沢山使うから、ぼくが疲れてしまいます」
「うーむ、何とかならないのか……」
ポセイドンは辺りを見渡した。
「馬小屋だ!」
ポセイドンは馬小屋に向かって走った。
「あ、ポセ様!」
ポセイドンは馬に触れた。その瞬間、馬が物凄い力で一斉に暴れだした。
「なっ……! うわぁあ!」
「ポセ様……! 大丈夫ですか!?」
「くっ! あっ、お前はっ……!」

あっという間に馬小屋は壊れ、瓦礫と化した。
「ポセ様、まずいです。ここの馬は織田軍が使うんですよ」
「……すまない」
二人は呆然と突っ立っていた。
「まぁ、織田軍はまだ来ないでしょう」
言葉を言い終わらない内にカイロスは自分の身体を急上昇させ、遠くを見渡した。
「馬はぼくが探してきます。ポセ様はここで休んで……」
カイロスは気配を感じて振り返った。
「もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ」
「……きりん?」
きりんがいた。
「馬っ!」
「いや、これきりんでしょ」
カイロスは下を見下ろした。色々な動物がポセイドンの周りを取り囲んでいた。
「うわぁあああ、馬!」
「あ……リスだ」
「う、うまぁ……」
今度は何も出て来なかった。

「ねえ、ポセ様ー」
「うるさい。すまないとさっきから言っている!馬を……馬を作らせてくれ!」
ポセイドンはイライラした。地上の動物は細い足が4本はえているから難しいのだと言い訳をあれこれ考えている。30分は馬、馬、と叫んでいる。
「ちょっと休憩しましょ。あと、今回の敵、わかったんですか? 馬小屋が壊れた時、何か言ってましたよね」
カイロスは地面に足をつけ、座った。ポセイドンも隣の切り株に腰を下ろす。
「まぁ……その、牝の馬だ」
「デメテルさんですね」
「あぁ」
ポセイドンはため息を漏らした。
「そうだ! ポセ様が馬になったらどうです? そうしたら移動も速いです」
もう一度ポセイドンはため息をついた。
「あれ? どうしたんですか♪」
「お前はものを知っているのか知らないのか、わからん」
カイロスははっとした。
「そういえば、前に失敗してましたねー」
「あぁ。あのデメテルの怒りは凄まじかった。アンピトリテより恐かったかもしれない」
ポセイドンは思い出して身震いした。当時、デメテルを怒らせてからというもの、もう関係を持たないと決めていた。
「じゃあ……馬、作らないと、ですね。それかぼくが探してきましょうか?」
「いや、簡単には見付からないだろうし、暴れたら手に終える相手ではないぞ……」
ポセイドンは馬が去っていった方角をぼーっと見つめた。
「ポセ様……」
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