お茶の話
「ひえぇ、逃げろー!」
「鬼じゃ鬼じゃ!」
やめろ、ワシの国が!
「これだけやれば、クロノス来るかしら」
どれだけ人を苦しめれば気が済むんじゃ!
「うるさいわね。こうしないとクロノスは来ないのよ」
ドクン……
「私はね、あの子さえ戻って来ればいいのよ!」
……そのために、これだけの人を?
「ゼウスがクロノスを倒せって。そうしたらペルセポネーは帰って来るって……!」
間違っとるぞ。
「くっ、うるさいうるさい!」
皆と協力すればいいではないか。こんなことしても、何にもならんことは分かっとるんじゃろ。
「協力する人なんかいないわ!」
ドクン……
「娘はハーデスにさらわれてしまって妻にされたの……でもゼウスはそれを認めた!ゼウスには逆らえない」
お主は利用されとる。ワシの体でこんなことしたって、娘は戻らんぞ!
「戻って来るとゼウスは言った!」
お主はそれを信じとるのか!駄目じゃ駄目じゃ!
ドクン……
「じゃあどうすればいいの……!」
ドクン!
「……うっ!」
な、なんじゃ。この感覚は。
「一体化……完全に私たちは一体化したわ」
戻れんということか。
「そうね。このままいくと、どちらかが消滅するでしょうね」
何か方法はないんか!
「術者を倒す」
そんな!
「これ以外ないのよ。私は元は豊穣の神なの、そこまでの力はないわ……」
うー、何とか、何とか人々の力を借り……
「もう、無理ね」
どうして諦めるんじゃ、娘がおるんじゃろ!
「クロノスは来ないし、ゼウスは娘を返してくれない」
……お主
「何なの」
ワシの体でこれ以上悪さはしないか?
「え?」
娘を取り戻すのだろう? ワシが消えよう。
「……どうして」
シュンーーー
「デメテル、見つけたぞ!」
ヘルメスは杖を構えた。しかし、ゆったりとした沈黙が流れ、攻撃の対象は切り株に座っている。
「村を結局守れなんだし、デメテルは逝ったぞ」
ヘルメスは戦いの構えを解き、温羅の隣に立った。温羅の手のひらにはひとつの結晶が輝いていた。
「温羅……デメテルは何か言っていたか?」
「ペルセポネーという娘のことを非常に強く思っておった……」
「そうか。また私がペルセポネーを迎えに行こう」
ヘルメスと温羅はしばらく一緒に、静かに夕日を見ていた。結晶は夕日に溶け込むようにしてゆっくりと消えていった。
「はっ! ワシは村をまた建て直しにいかんと! またな!」
遠くなっていく温羅の姿を見守り、ヘルメスは時空間を開いた。
「あっ……」
ヘルメスはしまったという顔をした。
クロノスを忘れていた。しかし時空間の中でクロノスは気を失っていた。
「クロノス、起きろ」
「うっ……ヘルメス、お前、乱暴すぎるぞ」
頭を押さえながら時空の狭間から顔を出した。
「デメテルの件は片付いた、部屋に帰るぞ。時空間を開け」
「そうなのか! どうなっているのか分からない。帰り次第話を聞かせてくれ」
「……どうなっているのか私も知らん」
「え」
これ以上の話をすることはなく、ヘルメスたちは再び風早の部屋に戻っていった。
「鬼じゃ鬼じゃ!」
やめろ、ワシの国が!
「これだけやれば、クロノス来るかしら」
どれだけ人を苦しめれば気が済むんじゃ!
「うるさいわね。こうしないとクロノスは来ないのよ」
ドクン……
「私はね、あの子さえ戻って来ればいいのよ!」
……そのために、これだけの人を?
「ゼウスがクロノスを倒せって。そうしたらペルセポネーは帰って来るって……!」
間違っとるぞ。
「くっ、うるさいうるさい!」
皆と協力すればいいではないか。こんなことしても、何にもならんことは分かっとるんじゃろ。
「協力する人なんかいないわ!」
ドクン……
「娘はハーデスにさらわれてしまって妻にされたの……でもゼウスはそれを認めた!ゼウスには逆らえない」
お主は利用されとる。ワシの体でこんなことしたって、娘は戻らんぞ!
「戻って来るとゼウスは言った!」
お主はそれを信じとるのか!駄目じゃ駄目じゃ!
ドクン……
「じゃあどうすればいいの……!」
ドクン!
「……うっ!」
な、なんじゃ。この感覚は。
「一体化……完全に私たちは一体化したわ」
戻れんということか。
「そうね。このままいくと、どちらかが消滅するでしょうね」
何か方法はないんか!
「術者を倒す」
そんな!
「これ以外ないのよ。私は元は豊穣の神なの、そこまでの力はないわ……」
うー、何とか、何とか人々の力を借り……
「もう、無理ね」
どうして諦めるんじゃ、娘がおるんじゃろ!
「クロノスは来ないし、ゼウスは娘を返してくれない」
……お主
「何なの」
ワシの体でこれ以上悪さはしないか?
「え?」
娘を取り戻すのだろう? ワシが消えよう。
「……どうして」
シュンーーー
「デメテル、見つけたぞ!」
ヘルメスは杖を構えた。しかし、ゆったりとした沈黙が流れ、攻撃の対象は切り株に座っている。
「村を結局守れなんだし、デメテルは逝ったぞ」
ヘルメスは戦いの構えを解き、温羅の隣に立った。温羅の手のひらにはひとつの結晶が輝いていた。
「温羅……デメテルは何か言っていたか?」
「ペルセポネーという娘のことを非常に強く思っておった……」
「そうか。また私がペルセポネーを迎えに行こう」
ヘルメスと温羅はしばらく一緒に、静かに夕日を見ていた。結晶は夕日に溶け込むようにしてゆっくりと消えていった。
「はっ! ワシは村をまた建て直しにいかんと! またな!」
遠くなっていく温羅の姿を見守り、ヘルメスは時空間を開いた。
「あっ……」
ヘルメスはしまったという顔をした。
クロノスを忘れていた。しかし時空間の中でクロノスは気を失っていた。
「クロノス、起きろ」
「うっ……ヘルメス、お前、乱暴すぎるぞ」
頭を押さえながら時空の狭間から顔を出した。
「デメテルの件は片付いた、部屋に帰るぞ。時空間を開け」
「そうなのか! どうなっているのか分からない。帰り次第話を聞かせてくれ」
「……どうなっているのか私も知らん」
「え」
これ以上の話をすることはなく、ヘルメスたちは再び風早の部屋に戻っていった。