ぬら孫
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ある夜、居間で父と祖母が話しているのが聞こえた。
「お義母さん、今年の祭りは…」
「今のままじゃと、無理じゃな」
話の内容に立ち止まって聞いていたが、そっと部屋に戻った。
ニャー ニャー
部屋で寛いでいた猫達がサヤの元に寄り、座って撫で始めた。
ニャー
「毎年ね、お祭りがあるの。あたしが産まれる前からずっと」
すり寄って来る猫達を撫でながら話し出した。
「そのお祭りが大好き」
俯き、膝に顔を埋めた。
「お母さんとの、思い出…」
.
壁に貼られたポスターをじっと見るサヤ。それを見たリクオとカナが近寄って来た。
「サヤちゃん?何見てるの」
サヤは返さず、二人はその先を見た。
「【浮世絵祭り】?」
「これって、もしかしてサヤちゃん家の神社で?」
「…うん」
「朝倉さん?」
「今年はないかもって、おばーちゃんが言ってた」
「どうして?」
「最近変な事があるから」
「あ…妖怪のせいって噂になってる」
「このお祭り、楽しみにしてたのに…」
ハアッと溜め息を付いて教室に戻るサヤに、二人は何も言えなかった。
「サヤちゃん、悲しそうだったね」
「…うん」
.
その夜、サヤは祖母から祭りの中止が決まった事を告げられた。
ニャー ニャー
猫達を優しく撫でて布団に潜り、目を閉じた。
.
夢の中で、母に会った。
それは幼い頃一緒に境内を歩く思い出。
サヤ 大丈夫よ
「え?」
彼が終わらせたから
「彼って?」
また お祭りで会いましょう
「お母さん…」
母に手を伸ばすが光に遮られ、目を閉じた。
パチ
ニャー
次に目を開けた時、猫達が布団の上に乗っかっていた。
「…重い」
.
「サヤ、昨日の話は無しじゃ」
「…ふ?」
「今年も祭りを行うぞ」
「…わかった」
十八匹目
(正夢?…んな訳ないか)
.
待ちに待った祭りの開催に、サヤも自分から手伝いをし、その姿に祖母は「普段もああなら良いのじゃが…」と愚痴をこぼしていた。
祭り前日、サヤは境内の中で祭りが上手くいくよう祈っていた。
(お母さん、どうか見守って下さい)
祈りを続けながらサヤは母の事を思い出していた。
いつも優しく、装束を纏って巫女としての仕事をする姿を見て、サヤは跡を継ぐ事を決めた。
しかし、母はサヤの前から消えた。妖怪によって、母は。
「っ!」
嫌な事を思い出しかけ、祈りを止めて立ち上がった。
「…妖怪」
無意識に握った手からは、血が流れていた。
祭り当日
近所の人や地域の人々が集まり賑わい、サヤも父である宮司の手伝いをしていた。
「サヤちゃ~ん!」
呼ばれて振り返ると、清十字団がいた。
「サヤちゃんが巫女さんになってる!カワイー!」
「お手伝いしてるの?」
「うん」
「朝倉君、僕は是非境内の中にある御神刀を見たいのだが!」
「あれはダメ」
「何故に!?」
「サヤちゃん、屋台何処や?」
「あっち」
落ち込む清次を連れて皆は屋台の方に行き、何故か残っているリクオとつららを見た。
「…つーちゃんとリケイ君行かないの?」
「 リクオだよ! 朝倉さん、御神刀って?」
「…刀?」
「そうじゃなくて、妖怪に関係あるの?」
「知らない」
サヤは興味を無くしたのかそそくさと去り、つららは苦笑いしながらもリクオに言った。
「リクオ様、私達も行きましょう」
「…そうだね」
.
一息付こうと部屋に戻るが、そこに残してきた猫達がいない。
身軽な服に着替えて探しに向かった。
「ニャー、…ニャー?」
祭りの会場には行かないと思い、裏の森で猫達を探していた。
ニャー
「ん?」
かすかに聞こえた鳴き声の方に向かうと、そこには猫達と一緒に。
「「……」」
首が浮いている青年と、髪の長い女性がいた。
「…ニャーどこ行ってたの?」
二人を無視し、猫達を持ってきた籠に入れた。
「さ、帰ろ」
「ちょ、ちょいとあんた!」
「ん?」
帰ろうとしたサヤを女性が呼び止めた。
「…何?」
「いや、あたし達を見て何とも思わないの?」
「…別に」
「特にこの首を見ても!?」
女性は青年の首を持ち上げて見せた。
「…めんどくさい」
「「め…っ」」
サヤはそのまま去って行った。
「…首無、あんな事言われたの初めてよね」
「その前に、そろそろ離せ毛倡妓」
.
「散歩する時は一言言わないとダメだよ~」
猫達にのんびりと言いながら戻っていると、猫達が威嚇し出した。
シャー、フシャー
「?どしたの?」
その時、背後からガサガサと音がなったと思った瞬間。
ズシャッ!
「っ!」
何かに左腕を引き裂かれ、反動で倒れた。
「…っ、何?」
痛みを堪えて顔を上げると、狼がいた。
グルルル
狼は此方にゆっくりと近寄り、猫達は怯えながらもサヤを守ろうと威嚇を続けた。
「ダメ!」
猫達を守ろうと抱え、狼が飛び掛かった。
ザンッ
いつまで経っても来ない痛みに顔を上げると、目の前に誰かが立っていた。
「大丈夫か?」
そこには妖怪姿になったリクオが立っていた。
ドクンッ
十九匹目
(何かが壊れた音がした)
.