ぬら孫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「サヤー、ちょっといいかい?」
「ん?」
学校から帰って直ぐ父に呼び止められ、サヤは父のいる台所に向かった。
「これ、前に来た奴良君って子に渡してきてくれないかな?」
差し出された紙袋を受け取りながらサヤは返した。
「何これ」
「この前頂いたお茶葉と、お婆ちゃんがお邪魔しているお礼」
クンクン
いい匂いがし、袋の中身を嗅いだ。
「…いー匂い」
「シュークリームだよ。サヤの分も作ったから、戻ったら食べなさい」
「はーい」
.
大好きなシュークリームの名前を口ずさみながら奴良家に急ぐ。
大きな門を叩いて誰か来るのを待つが誰も来ない。
仕方なく少し門を開けて声を上げた。
「こんにちはー」
シーン
大きな屋敷の為聞こえないのか、サヤは心中で謝り中に入った。
「誰かいませんかー?(早くしないとシュークリームが…)」
紙袋に視線を向けた途端、何かにぶつかり顔を上げた。
「ん?」
「お?」
目の前には長身の人物がおり、あまりのデカさにサヤは「おー…」と呟いた。
「あんた、誰だ?」
「…奴良君いる?」
「奴良君…若の事か?」
「…若いる?」
「今はいないが…」
「猩影ー、ここで何して…ああああ!!?」
「ん?」
新たに現れた人物はつららだった。
「ちょっ、朝倉さん!?どどどどどうしてここに…」
「…つーちゃん?その着物…」
『し、しまった!今は妖怪の姿だった!どうしよう…!?』
内心で焦るつららだが、サヤは。
「…着物可愛いーね」
「へ?あ、ありがとう…」
「リタス君いないんだ…つーちゃん、これリリス君に渡して」
「朝倉さん、リクオ君ですよ。それよりこれは?」
「貰った茶葉のお返しシュークリーム、旨い」
紙袋をつららに渡し、サヤは踵を返した。
「じゃ帰る」
「え!?リクオ君を待たないんですか?」
「待たない。早く帰ってシュークリーム食べる」
つららに手を振り、猩影に軽く礼をしてサヤは帰って行った。
「姐さん、あの子人間ですよね?」
「え?あ、そうよ。若のご学友なの」
「珍しい人ですね、俺を見て驚かなかったんすよ」
「彼女結構ノー天気なのよ、さあシュークリーム溶けない内に冷やさないと~」
屋敷の中に戻るつららを見送り、猩影はサヤが去った方を向いた。
「…あんな人間もいるんだな」
十六匹目
(どうだいサヤ?)
(お父さんのシュークリーム大好き)
.
「最近、夜におかしな現象や事故が起こっている。夜遅くまで出歩かないように!」
帰りのHRが終わり、いざ帰ろうとした時。
「サヤちゃん」
「?」
振り返ると、ゆらが立っていた。
「話があるんやけど、ええか?」
「…えーよー」
.
ゆらとの帰る途中、ゆらは決めた様に顔を上げた。
「サヤちゃん!あんな!」
顔を上げたがサヤの姿はなく、辺りを見回すと。
「あんこ二つ」
「まいど」
「サヤちゃん!あんた何しとん!?」
「ふっ」
サヤは買ったたい焼きを食べながら一つをゆらに渡した。
「あ、おおきに…てちゃう!」
「もふ?」
取り敢えず近場の公園に行き、ブランコに座った。
「ここ最近ある現象、あれは妖怪の仕業や」
キイキイ
「うちは妖怪を滅する為にここに来たんや、だから」
ギュッ
「今回の事はうちが何とかする。だからサヤちゃん、安心して」
「ぐー…」
「起きんかっ!」
怒鳴られ起こされ、サヤはゆらを見た。
「大丈ー夫だよ」
「え?」
「あたしは、大丈夫だから」
ゆらと別れ一人帰り道を歩いていた。
(妖怪の仕業…一番街のペットショップ壊さないよーに)
お気に入りの店を心配しているサヤの背後に、一つの足音が響いた。
ペタペタ ペタペタ
音に気付かず歩き続け、それはサヤに飛び掛かった。
ビュッ
バコーン!!
振り向き様にサヤは鞄で妖怪を吹っ飛ばした。
.
ビュンッ
「いっ!?」
「今の、四国妖怪!?」
「まさか、また誰か襲われたのか!?」
近くを通り掛かったリクオとつららは妖怪が飛んで来た方に行くと、サヤが立っていた。
「え、朝倉さん!?」
「…リココ君?」
「リクオだよ!て、もしかして今!」
「ん?」
「朝倉さん、今妖怪に会いませんでしたか!?」
「ううん」
「「へ?」」
予想外の返答に二人は唖然とした。
「虫かと思って鞄振ったら何か当たったけど…妖怪だったの?」
「え…いや、虫だよ!僕達の前に飛んで来たから何かなと思って来ただけなんだ!」
「ふーん…」
鞄の汚れを払うサヤに、つららは小声で話し出した。
(若、朝倉さんて妖怪に気付いてないんですかね?)
(だったらいいんだけど…)
サヤは二人に構わず帰ろうと歩み出し、リクオとつららはその後ろ姿を見た。
ガアッ ゲシッ
シャアッ バシッ
近寄る妖怪を特に気にする事なく蹴散らす姿を見てしまった。
「…気にしてないだけみたいですね」
「…みたいだね」
十七匹目
ゲシッ
(こらサヤ!儂の方に妖怪を蹴り飛ばすな!)
(あ…)
.