ぬら孫
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図書館で面白い本があるか探している時、ふと見付けた【妖怪大辞典】
それを手に取ってパラパラとめくっていた時。
「そこの君!」
図書館に見合わぬ声に振り向くと、ワカメ頭の男子が立っていた。
「その手に持つのは妖怪大辞典ではないか!」
「…」
「今は正に妖怪ブーム、君も噂を聞いて研究しようとしていたんだね!どうだい?僕達清十字団と共に妖怪について語り合わないかい!?」
「やだ」
熱狂的に誘うワカメ男子をすっぱり切り、サヤは本を戻して教室に戻った。
.
「旧校舎?」
帰り支度をしているとカナに呼び止められ、彼女の顔を見た。
「今夜皆で行く事になったんだけど、サヤちゃん着いて来てくれない?」
「何で?」
「え…怖いからだよ!」
「なら行かなければ?」
「でも行きたいんだもん!」
「どうして?」
「それは…サヤちゃん妖怪に興味ないの!?」
「全然」
「う…」
全く動じないサヤにカナはどう誘おうか迷っていると。
「こ…今度、ジュース奢るから!」
「乗った」
(((乗るの!?)))
ジュースという安い報酬に乗ったサヤに、聞いていたクラスメイトはどん引きした。
.
夜、校舎には七人の姿があり、リクオは意外な人物がいる事に声を上げた。
「カ、カナちゃん何でいるの!?朝倉さんまで!」
「いいじゃない、私達の勝手でしょ!」
「ふぁ~…ん?」
欠伸をした後サヤはリクオをじっと見て、口を開けた。
「…リンゴ君?」
「リクオだよ!」
またもや間違えられてしまった名前に、リクオは大声を上げた。
そうこうしている内に旧校舎に入り、中を一室ずつ調べていった。
「ふぁ~あ」
「サヤちゃん、さっきから欠伸ばっかりだけど、こ、怖くないの…?」
「別に」
ビクビクと震えるカナに対し、全く怖がる事なく寝むそうにするサヤ。その傍らではリクオが密かに妖怪を撃退していた。
何も起こらぬまま最後の教室に辿り着き、先に入った男子二人が大声を上げた。
「「うわああああ!!」」
「な、何何!?」
その叫びにカナは一層怯え、サヤは彼女の耳を塞いで物陰に隠れた。
.
リクオの護衛である雪女と青田坊が屯っていた妖怪を追い払い、護衛やら家の件やらで叫ぶリクオの耳に、何やら声が聞こえた。
「―――…4、65~66~67~」
「この声…朝倉さん!?」
「68~69~…今どこまで数えたっけ?」
「え、69だけど」
「じゃ70。…何してたの?」
「あ!いや、えっと…」
「サヤちゃ~ん、もう怖くない~?」
「…怖くない?」
背中に顔を押し付けたまま話すカナに便乗するサヤに、リクオは今の会話を聞かれていない様子にホッとした。
「あ、もう大丈夫!不良が屯ってたんだけど、倉田君が追い払ってくれたよ!」
「じゃあ、妖怪じゃなかったんだ。よかった~」
カナはホッとして立ち上がり、サヤは気絶している男子二人を突いていた。
.
気絶している二人を公園に置き、他の者達は帰る事になった。
「サヤちゃん、今日はごめんね。付き合わせちゃって」
「明日ジュース奢ってね」
前を歩くカナとサヤを見ながら、リクオは妖怪の事がバレずに済んで安心していた。
「じゃこっちだから」
分かれ道、一人帰ろうとするサヤにリクオは咄嗟に声を掛けた。
「あ、朝倉さん!一人で大丈夫!?」
心配するリクオに振り返ったサヤは。
「…リッキ君?」
「リクオだよ!」
「バイバーイ」
話を聞かずに帰るサヤに、リクオは掛ける言葉が出なかった。
「リクオ君、まだ名前覚えられていないんだね」
「カナちゃんは覚えてるのに、何で?」
五匹目
(あの旧校舎、結構いたな~…)
例の旧校舎話でした
.
何でこうなったんだろう
いつもと同じ朝、いつもと同じ一日を過ごしていたサヤだが、移動教室から戻る途中。
「やや君は!この前共に旧校舎に来てくれた朝倉さんじゃないか!?」
呼ばれて振り向くと、ワカメ頭の男子がいた。
「是非君にも参加して欲しい!清十字団の仲間に!」
意気揚々と話すワカメ頭に首を傾げていると、リクオが間に入った。
「ちょ、清継君!いきなりそんな事言われても迷惑じゃないかな?ねぇ、サヤさん!」
「…リキチ君?」
「リクオだよ!」
話の内容が解らず?をちらつかせるが、清継は構わず続けた。
「構わんよ。放課後、君も僕の家に集合だ!」
「………は?」
放課後、さっさと帰ろうとしたが運悪く清継に捕まり、そのまま彼の家に向かった。
同じく一緒にいたカナに聞くと、彼は妖怪の主とやらを探しているらしく、その人を見付ける為にこんな変な集団を作ったらしい。
「やるなら一人でやればいいのに」
「サヤちゃん、聞こえちゃうよ!」
「何か言ったかねそこの二人?」
「な、何でもないよ!」
(…ワカメ)
そうこうしている内に清継の家に着き、皆を大きな部屋に通し、見せたかった品を皆に見せた。
.
サヤは特に興味がない為他にある展示物を見回っていた。
「ん?」
視線の端に見えた一本の短剣、それに触れようとした時。
ガアアアッ
「サヤちゃん!」
清継達が見ていた人形が一人でいたサヤに襲い掛かった。
だがサヤは慌てる事なく人形に振り返り、短剣を手に取った。
ザシュッ
短剣で人形を真っ二つにした後、「あ」と声を出した。
「朝倉さん、大丈夫!?」
「…何でこれ動いたの?」
「え?えっと…何か妖怪だったらしいんだけど」
「サヤちゃん、怪我してない?」
コクン
短剣を元の位置に戻し、再び人形を見るとそれは微かに動いていた。
グアッ!
「ッ!」
「キャア!」
咄嗟に近くにいたカナの手を引き、彼女の盾になった時だった。
「滅!」
声と共に人形が爆発し、サヤはショートヘアの少女を見た。
「危なかったな、ウチが滅してなかったから怪我してたで」
「………誰?」
「今さら!?」
「あ、転校生の花開院ゆらちゃんだよ」
「ふーん…」
「て、ちょっ、あんた何してん!?」
ゆらの止める声も聞かず、サヤは壊れた人形の破片を拾っていた。
「…ゴミ回収?」
「疑問系!?つかそれは妖怪だった物や!危ないから離し!」
「供養しないからだよ」
「え?」
「ワカメ~、これ貰っていい~?」
「(ワカメ?)あ、ああ…構わないが」
「ちょっ、あんた!」
「バイバーイ」
ゆらの言葉を無視し、サヤはそそくさと帰った。
「おばーちゃん、ただいま」
「おやサヤ、遅かったの」
「これ」
家に帰り、丁度本堂にいた祖母にサヤは回収した人形が入った袋を渡した。
「お前…どうしたんじゃ?これは」
「ワカメの家にあった、妖怪になって襲ってきたけど壊れた」
「(ワカメ?)そうか。それで、どうするんじゃ?」
「供養して」
「なら、明日にでも行うか」
袋を大切にしまい、サヤは近寄って来た子猫達を抱き上げた。
六匹目
(サヤ、ワカメとは何じゃ?)
(ワカメ頭だった)
(相変わらず言葉が足りんの…)
.
朝早く起きたサヤは昨日持ち帰った人形を供養するに必要な大麻を取りに、裏の森に来ていた。
(麻…麻…そんなのあったっけ?)
呆然としながらも歩き探していると、一羽のカラスを見付けた。
「…………」
「カア」
飛び立つ様子も見せないカラスに疑問を持っていると、僅かに血の臭いがした。
ガサガサッ
その方向に向かうと、草むらの中には傷付いたカラスと、それに包帯を巻いている羽の生えた男性がいた。
「「………」」
手当てをしていた男性は驚いているが、サヤは表情を変えずに話し出した。
「…何してんの?」
「あ…このカラスが怪我をしていたので手当てを…」
「まんまだね。…お兄さん妖怪?」
「そ、そうだが」
「ふ~ん」
気になった事を質問し終えた後、サヤは踵を返した。
「あ、君!」
「ん?」
「何も聞かないのかい?」
「何を?」
「え…俺の事とか、何で此処にいるとか…」
「妖怪の兄さんが怪我してるカラスの手当てしてるだけでしょ?」
「そ、そうだが…」
「一々妖怪が出たぐらいで騒いでたら疲れる。じゃさいなら~」
背を向けながらヒラヒラと手を振り、サヤは更に奥に進んだ。
.
「困った」
目当ての麻を見付けたが、それは高い場所に生えており、サヤはどうやって取ろうか迷っていた。
「倉庫に伸びーるハサミあったっけ…あっても届くかな?」
ブツブツと考えていると直ぐ真上でガサッと音がして見上げると、お目当ての麻が目線の先の木に落ちていた。
「いつの間に」
それを手に取ると同時に何かが落ちた。
拾い上げたそれは、カラスの羽だった。
七匹目
(カラスの恩返し?何かしたっけ?)
手当てしてたのは黒羽丸、黙ってくれたからお礼
.