ぬら孫
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ミャー
「ん?」
家に着き、扉を開けようとした時に聞こえた小さな声、振り返って見下ろすと、小さな子猫がいた。
部屋に走って鞄を投げ、台所に行って適当な器にミルクを入れ、子猫の元に戻った。
ペチャペチャ
本殿の段差に移動してミルクを出すと更に二匹増え、三匹は仲良くミルクを飲んでいる。
それを眺めていると後ろの戸が開き、祖母が顔を出した。
「おやサヤ、帰っておったのか」
「おばーちゃん」
「おやおや、かわいいのう」
サヤの隣に座り、祖母は寄って来た子猫を撫でた。
「おばーちゃん」
「なんじゃ?」
「…また会った、妖怪に」
それを聞いた祖母は顔を上げた。
「一匹は怪我してたからバンソーコ張った、もう一匹は襲い掛かって来たから吹っ飛ばした」
「(吹っ飛ばした?)…そうかい」
口を閉じたサヤに、今度は祖母が口を開いた。
「…全ての妖怪が悪い訳じゃない、あんな事はもう二度と起きぬ」
少し間を置いてから頷くサヤの頭を軽く撫で、別室に足を向けた。
ミャー、ミャー
もっとミルクをせがむ子猫達に器を持って立ち上がった時。
フー、フシャー
何かに向かって威勢を放つ子猫達。その方向を見ると、一匹の鼠がいた。
シャアアッ!
その鼠は突如巨大化し、子猫達に襲い掛かる。サヤは持っていた器を鼠に投げ付け、子猫達を抱えて走り出した。
ガシャアンッ
物音に気付いた祖母が表に出ると、境内には鼠の爪痕があった。
.
裏の森に逃げ込んだサヤは子猫達を隠し、離れた場所で鼠の前に出た。
【肉…人間ノ肉ダ…】
「…」
サヤは本殿目掛けて走り、鼠が後を追う。
森を抜けて本殿に入ろうとしたが、回り込んだ鼠がサヤの腕を斬り裂いた。
「ッ、」
痛みに隙を見せたサヤに飛び掛かる鼠。
「サヤ!」
声と同時に投げられた物、それを受け取り、鼠に振り下ろした。
ザシュッ
サヤの頬に一筋の傷が出来、その背後に立った鼠は真っ二つになり、倒れた。
「サヤ、大丈夫かい!?」
「おばーちゃん」
祖母が投げたのは神社の御神刀、それで妖怪を斬り裂いた。
「ああ、顔に怪我なんぞ作って、直ぐに手当てをなさい」
「待って、あの子達」
祖母に刀を渡し、子猫達の元に走った。
戻って来たサヤの腕の中には三匹の子猫、その子達はサヤを心配するように鳴いていた。
「さあ、怪我の手当てをして、食事にしよう」
「うん」
四匹目
(三匹共飼っていいって言われた)
.
「クソじじいーー!!」
突然聞こえた大声に、リクオは味噌汁を吹き出した。
何だ何だと皆が庭に出ると、ぬらりひょんの側に一人の老婆が立っていた。
「どうしてくれるんじゃ!お主が取り締まらなくなってから妖怪は頻繁に現れ、昨日は儂の孫娘が襲われたんじゃぞ!」
「相変わらずうるさいババアじゃのう、それは儂ではなくリクオに言っとくれ」
「今の総大将はお主じゃ!お主が解決せんでどうする!?」
一方的に怒鳴る老婆に、リクオは近くにいた首無に問い掛けた。
「首無、あの人だれ?」
「ああ若、あの方は浮世絵神社の神主様です」
「そんな人が何で家に?」
「総大将の茶飲み仲間らしいのですが…」
「昨日のは太刀が悪い、猫や人を襲う鼠が何処におる!?」
「それは儂の組のもんじゃねえ、どっかのチンピラだ」
「孫は顔に傷を負ったのじゃぞ!」
一歩も譲らない光景に見入っていたが、リクオは時間を思い出して学校に向かった。
.
「リクオ君!」
「あ、カナちゃんおはよう」
教室に入るとカナが慌てて駆け寄り、その様子に首を傾げた。
「どうしたの?」
「リクオ君、鼠って人を襲うの?」
「鼠?」
「サヤちゃんがね、昨日鼠に引っ掻かれたんだって」
『猫や人を襲う鼠が何処におる!?孫は顔に傷を負ったのじゃぞ!』
今朝の祖父と老婆の会話を思い出し、リクオは読書をしているサヤに駆け寄った。
「朝倉さん!」
「?」
「昨日、鼠に襲われたって、本当?」
右頬に張られているバンソーコ、それを見てリクオは青ざめた。
(どうしよう、もし朝倉さんがあの神主さんのお孫さんだったら…)
内心で動揺するリクオだが、サヤは彼の顔をじーっと見て首を傾げた。
「…誰?」
「リクオ君!この前一緒に写生したでしょ!」
「…ああ」
話す以前に覚えられていなかった事にリクオはガクッとした。
「サヤちゃん。さっき話してた鼠って、もしかして…妖怪?」
「ッ!?」
事実を聞き出すカナにリクオも聞き入るが、サヤは表情を変えなかった。
「何で?」
「え、だって鼠って小さいし、どうやったって顔まで届かないよ!」
「掃除してたら飛び掛かって来た」
「鼠が?」
コクン
「それで引っ掻かれたの?」
コクン
「妖怪の仕業じゃ…」
「ない」
キッパリと、嘘を言っている様には見えないサヤに、カナはホッとした。
「そっか~、ホントにただの鼠なんだ。でもそんなに凶暴なのもいるんだね」
「気を付けよう」
(良かったー、本当に妖怪の仕業じゃないみたいだ)
リクオ、カナが安心した丁度いいタイミングで先生が現れ、HRが始まった。
幕間
(ホントの事言ったら面倒だし、まいっか)
リクオ視線のお話でした。
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