ぬら孫
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浮世絵町
この町には妖怪の主が住み着いているという言い伝えがあり、町の至る所で妖怪を見たという情報も相次いでいる。
その噂が広まり、世間は今や、妖怪ブーム。
チュンチュン
早朝、神社の境内を掃除する一人の少女。彼女は黙々と掃除を済まし、終わると同時に腕を伸ばした。
「今日も良い天気」
ガラッ
「サヤーー!!」
大声と共に本殿の襖が音を立てて開き、その音に鳥達は驚いて逃げた。
「お主また朝稽古をサボりおって、毎朝毎朝儂をいつまで待たせる気かー!!」
「はいはいはいはい」
サヤの祖母、サオリは怒鳴りながら竹刀を振るが、サヤは箒で防いだ。
「よいかサヤ!お主はこの神社を護る巫女じゃ!そのお主がこのようにだらけていてどうする!?」
「二人ともー、朝ご飯出来たよー」
「今行く」
「聞かんかー!!」
祖母の話を無視し、サヤは父の待つ居間に向かった。
.
「全くお主は、才能があるのに真面目に打ち込もうとせん」
「まあまあお養母さん、サヤは毎朝掃除をしてくれるのですからいいじゃないですか」
「茂人さんは甘い!儂は境内だけでなく本堂もやらされておったのじゃぞ!」
祖母と父の会話を聞き流しながら朝ご飯を食べ終え、食器を片付けて鞄を持った。
「行ってきます」
「待てサヤ!まだ話は終わってないぞ!」
「いってらっしゃーい」
祖母を無視しサヤは学校に向かった。
「全くあの子は、どこで育て方を間違えたのか…」
「でも、昔に比べたら随分明るくなりましたよね」
「…まあのう」
.
ボーっとしながら誰もいない学校えの道を一人歩くサヤ。だがゴツッと音が聞こえて視線を向けると、明らかに動物でない生き物がいた。
じー
何も言わずじっと見ていると、それは足に小さな怪我をしていたのに気付いた。
ゴソゴソ
鞄から何かを出してそれに近付くが怯えて後退りされ、困った末に問い掛けた。
「バンソーコ、知ってる?」
指差して言うとそれはコクコクと頷き、逃げられる前にそれを捕まえ、足にペタリと張った。
なでなで
「気を付けてね」
軽く頭を撫でで地面に置き、サヤは再び歩き出した。
.
「おい3の口、その足どうした?」
「人間の娘が手当てしてくれただと!?」
「そいつどんな奴だ?」
一匹目
(あれ何の妖怪だろ…口が3)
.
サァァァ
昼休み
早めに昼食を済ませたサヤは校舎裏の人目の付かない花壇の花に水を撒いていた。
一見ボーっとしているように見えるが、頭では。
(今朝の妖怪何て名前だろ…)
(今日の数学当たるかな…)
(帰ったらおばーちゃんうるさいだろうな…)
などと、色々考えていた。
水が無くなり、汲みに行こうと水場に移動途中、今まさに告白する場を目撃してしまった。
会話は聞こえないが雰囲気からして振られた男子、興味がないように再び歩き出したサヤを、告白されていた女子が気付いた。
「あ、朝倉さん。もしかして…今の見てた?」
コクリ
「は、恥ずかしいから、誰にも言わないでね!」
慌てる女子にサヤは何か考え出し、その様子に女子も動揺した。
「―――――…家長、カヨ?」
「カナだよ」
どうやら名前を思い出していた事に女子、カナはホッとした。
「朝倉さんは何してたの?」
「水やり、花壇の」
「花壇?」
.
「こんな所に花壇があったんだ~」
水を汲み、再び花に水をやるサヤの隣にはカナがいた。
「よく見付けたね、こんな場所」
「散歩してたら見付けた」
黙って水をやるサヤの顔を見て、カナは笑った。
「朝倉さんて優しいね」
その言葉にサヤもカナを見た。
「優しい?」
「うん。だって毎日お水あげてるんでしょ?たまにだったらこんな綺麗な花なんか咲かないよ」
図星を付かれ、返答に困っているサヤに、カナが名前で呼んでいいか聞かれ、コクンと頷いた。
「それじゃ、私先に戻ってるね」
先に教室に戻るカナを見送り、サヤはじょうろを戻して自分も教室に行こうとした時。
グルルル
目の前に頭が二つ付いている犬が立ち塞がり、サヤは驚く事なく落ちている木の棒を見付けた。
グアアッ
襲ってくる獣、サヤは木の棒を持って軽く握り。
ギロッ
ガッキーーンッ
木の棒で獣を吹っ飛ばした。
「ホームラン」
二匹目
(あ、サヤちゃん遅いよ!)
(…同じクラスだったんだ)
.
「では、各自二、三人に分かれて始めなさい。単位に含まれるからしっかり書くんだぞ」
美術の写生の授業、それぞれが仲の良い者と組むが、人付き合いの悪いサヤにはいない。
仕方なく一人でやろうと立ち上がった時、肩をポンと叩かれて振り返った。
「サヤちゃん、よかったら一緒に書かない?」
そこにはカナと、眼鏡を掛けた男子がいた。
「―――――…ぬらり、くお?」
「奴良、リクオだよ!」
名前の間違いを修正し、三人は屋上で写生する事にした。
話しながらのリクオとカナの横ではサヤが黙々と絵を描き、その様子に二人は後ろからその絵を覗いた。
その絵には満開に咲いた桜の絵。しかし今、桜は一本も咲いていなかった。
「サヤちゃん、何で桜書いてるの?」
「うん。今桜なんて咲いてないのに」
二人の問いに、サヤは校門の木を指差した。
「あの木、桜の木」
「え、そうなの?」
「春に見たの、思い出した」
そう言われ、リクオとカナは考え出した。
「そう言えばそうだったね」
「サヤちゃん花とか好きなの?この前も花壇にお水あげてたし」
「花壇?」
「そう!」
再び話し出す二人に対し、サヤは絵を完成させようとその時の事を思い出した。
綺麗に咲いた桜の木、でもある一本に誰かがいたような気がした。
キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴だ」
「戻ろう。カナちゃん、朝倉さん」
道具を片付け、最後に屋上を出ようとした時。
ハタッ
影に隠れてこちらを見ている女子と目が合った。
「朝倉さーん、早くしないと遅れるよー」
「…うん」
だがサヤは何もなかったようにその場から去った。
三匹目
(何か寒かった)
(気付かれた?私、気付かれてしまったー!?)
最後のは護衛の雪女でした。
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