本編
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傷を回復し、マァムの住むネイル村に向かうと、人込みの中からゴメちゃんが飛んで来た。
「ピピィ~~!!」
「ゴメちゃ~ん!!」
ダイはゴメちゃんに向かって走り、ゴメちゃんはダイの回りを飛びながら喜んだ。
「着いて来ちゃったんだね」
「にしても変だよな、島を出たのに悪いモンスターにならないなんて」
「ゴメちゃんには魔王の邪悪な力を寄せ付けない不思議な力があるのかもね」
体を光らせながら笑うゴメちゃんの姿を見てダイは笑い、マァムに礼をした。
「とにかく会えてよかったあ、ありがとうマァム」
「どういたしまして」
すると、村人の中から誰かを見付けたのか、マァムはそちらに駆け寄った。
「ダイ、ポップ、紹介するわ。母のレイラよ」
マァムの隣には一人の女性がいて、エルダはその女性に見覚えがあった。
レイラは自分と亡くなった主人がアバンと共に戦った仲間と話した。
「ところで、アバン様はお元気ですか?」
「えっ!?えっと…」
レイラの言葉にポップは言葉が詰まり、それをダイが助けた。
「げっ元気ですよ!そりゃあもうピンピンしてますっ!!」
「そうですか、それは本当になによりです」
レイラは安心したように笑い、マァムはダイ達に暫く滞在するよう進め、少し困りながらも了承した。
.
村の原っぱで寝そべりながら、マァムの修行時代を聞いていた。
「父が戦士で母が僧侶だから、私は僧侶戦士ってとこかな…」
エルダは当時一緒にいたので殆どの事は知っていた。だが魔弾銃を渡された時にはいなかったので知らなかった。
「ちょっととぼけてるけど強くて、優しくて、ほんとに素敵な先生だったわ。あ~あ、何だか急に会いたくなっちゃったなあ…」
懐かしそうに話すマァムにエルダは何も言えなかった。
するとマァムは魔弾銃を持ち、弾に魔法を込めてもらう為長老の所に行こうとしたが、ポップがそれを代わりにする申し出た。
「ホント!?助かる!」
「よかったねマァム、ポップが他人の為に何かしてくれるなんて珍しいんだぜ」
「ちったあフォローしろ!このバカタレがっ!!」
「じゃあお願いね!私夕食の支度をしとくわ!」
マァムが走り去ろうとしたが、エルダが彼女に近寄った。
「マァム!私も手伝うよ」
「ホントに!?ありがとうエルダ!」
「じゃあダイ君、ポップ君また後でね」
エルダはマァムと共に走り去り、ダイとポップは暗い顔をした。
「言えないね、先生が死んだなんて…」
「…ああ」
ダイは自分のアバンのしるしを、ポップはマァムの魔弾銃を見た。
「でも先生ってやっぱり凄いや、いろんな人から尊敬されてんだな…」
「…うん」
「よおしっ!」
グッと手を握りダイは立ち上がった。
「俺、ちょっと行ってくる!」
「おい、どこへ行くんだよ!?ダイ!」
ポップの制止も聞かず、ダイは走って行ってしまった。
.
「エルダ、私少し薪を長老様に届けてくるね」
「分かった。先に行ってるね」
マァムはエルダと別れ、長老の家に向かうと、ダイが長老と何かを話していた。
(ダイと長老様…?)
「魔法の修行をしてほしいじゃと?」
「はい、俺がこの村にいる間でいいですから」
ダイから出た魔法の修行の言葉にマァムは首を傾げた。
「しかしじゃな…、確かにわしはこの村一番の魔法使いじゃが、アバンの使徒である君に教える程の力はないぞ」
「俺、先生には三日しか修行を受けてないんです。だから…」
「な、なんじゃと?どういう事なんじゃ?」
疑問を持った長老に、ダイは隠さず告げた。
「長老様、マァムやレイラおばさんには、絶対に言わないでください…先生は…」
拳を握り締め、辛そうに語った。
「アバン先生は、死んだんです!」
「な、何と…!」
「魔王軍から、俺達を守って…!!」
「俺は、少しでも強くなりたい!先生の敵を討つ為に!!」
マァムが聞いている事も知らずにダイは話す。そんな彼を長老は了承するしかなかった。
(アバン先生が…死んだ?)
.
村に滞在する間、ダイは長老に魔法を習い、やっとメラを使えるようになった。
だが遠くからダイの喜ぶ姿を見ていたマァムの表情はどこか暗かった。
ダイ達は明日村を出る事になり、最後の夜、エルダはマァムの部屋で眠る事になった。
寝静まった夜、マァムはぽつりとエルダに質問した。
「エルダ…起きてる?」
「…ええ」
声が聞こえ、マァムは床に寝ているエルダを見た。
「何かあったの?」
「えっ?」
「ここ数日、元気がないから」
エルダはマァムの方向を見ずに話し、彼女は戸惑いながら呟いた。
「先生は…アバン先生は本当に…っ」
マァムの掠れた声にエルダは話の内容に感づき、起き上がった。
そして首下から自分のアバンのしるしを出した。
「…っ!」
「本当よ、このしるしが証拠…」
勢いよく起き上がったマァムは、エルダのしるしを直視した。
「先生…っ」
涙を流すマァム。そんな彼女にエルダは近付き、手を握った。
「どこで聞いたかは聞かない。話さないでごめん」
「エルダ、私はどうすればいいの!私も一緒に行きたい!でも、この村は…」
エルダに縋り付き涙を流すマァム。そんな彼女をエルダは抱き締めるしか出来なかった。
「決めるのはマァム、貴方だよ…」
その夜、マァムの泣く声が部屋に響いた。
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翌日、村を旅立つため、村人達がダイ達を見送り、その中で、まだマァムは暗い顔をしていた。
「ごめんね、本当は着いていってあげたいんだけど…」
「大丈夫さ!ちゃんと森の地図も貰ったしね」
「ダイ…」
一行に笑顔を見せないマァムに、エルダが近寄った。
「エルダ…」
「またね、マァム」
エルダ達はマァムに別れを告げ、村を旅立った。
地図を見ながら歩いていると二つの道が見えた。しかし、地図には一本道しか書いていない。
「困ったな、地図では一本道なのに。どっちなんだそう?」
「この道は…あっちじゃねえか?」
地図を見ながらポップは左を指差すが、ゴメは反対側の右を指差した。
「あっちだ!」
「ピッピピピ!」
「あっち!!」
「ピッピピピ!!」
「困ったね」
言い争うポップとゴメをそのままにエルダも地図を見て悩んでいると、後方から声が聞こえた。
後ろを振り返ると、先程別れたマァムが走って来た。
「「「マァム!?」」」
「ダイ!ポップ!エルダ!私も…私も行くわ!!」
ダイとポップは飛び上がって喜び、エルダも笑顔になった。
こうして新たに、マァムが仲間に加わった。
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