本編
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デルムリン島を旅立ったダイ達はロモス城に向かうべく暗い森の中を歩いていた。
その時どこからか悲鳴が聞こえ、急いで向かうと少女がモンスターに襲われていた。
ダイはモンスターの一体に跳び蹴りし、エルダは木のモンスターの枝を短剣で切り裂き、ポップは止めに炎で倒した。
モンスターを追っ払うと、エルダは少女に近付いた。
「大丈夫?怪我はない?」
「う、うあああ~ん!!」
余程怖かったのか少女は泣きながらエルダに抱き着き、少女の頭を撫でて落ち着かせた。
「あたし、道に迷っちゃったの…ねえお姉ちゃん。あたしを村まで連れてってぇ」
「それが…」
エルダはダイとポップの方を見、代わりにダイが答えた。
「実は…お兄ちゃん達も迷子なんだ」
その言葉に少女は再び泣き出し、エルダは必死に少女を慰めた。すると突然少女が泣き止み、ダイ達の後ろを見た。
その方向を見ると、先程ダイとポップが倒したモンスターが立ち上がって攻撃を仕掛けた。
だが、どこからか放たれた呪文によってモンスターは炎に包まれたまま逃げてしまった。
その方向を見ると誰かが木の上から銃のような物を構えていた。
「詰めが甘いね魔法使い君」
「な、何だと!?」
木から降りた人物はダイ達の方に歩きながらポップに言い、その言葉にポップは苛ついた。
「てめえっ、俺の呪文にイチャモンつけようってのか!?」
相手に指を向けた。が、その人物の胸が柔らかい事に驚き、そしてポップは顔面に張り手を喰らわされた。
「何すんのよ!このスケベ!!」
ゴーグルを取り睨み付ける人物は女性で、その女性に先程の少女が駆け寄った。
「マァムお姉ちゃん!」
「ミーナ!無事で良かったわ、怪我はない?」
「うん、あのお兄ちゃん達に助けてもらったの」
少女、ミーナを抱きながらダイ達の方を向き、一人の人物を見て目を丸くした。
「エルダ!?」
「やっぱりマァム、久しぶり」
エルダはマァムに駆け寄り手を握りながら再会し、彼女にダイとポップを紹介した。
「エルダ達はどこに行くつもりだったの?」
「ロモス王宮だけど道に迷っちゃって…でもマァムに会えてよかった。これから村に…」
全てを言い終わる前にポップに口を塞がれてダイと共にマァムから離された。
「何するのポップ君?」
〔うるせえな、あんな女に構ってないで早く行こうぜ。城に着けば豪勢なもてなしが待ってんだから…〕
「聞こえてるわよ」
いつの間にか近くにいたマァムにポップは驚いた。
「さっさと行ったら?ここらへんは夜になると凶暴なモンスターがウロウロし始めるから、せいぜい早く森を抜ける事ね」
「おお!言われんでもこんな森スパッと抜けたるわい!!」
ポップとマァムは睨み合いポップはダイとエルダを連れて行ってしまい、エルダはマァムにごめんねーと謝っていた。
.
「もう、何で断ったのよポップ君」
「うるせえ!俺はああいう生意気な奴が一番嫌いなんだよ!」
愚痴を零すポップを見ながらエルダは呆れ、ダイは空腹な腹を抑えながら物々と呟く。
その時、背後からいびきが聞こえ、そちらを向くと、気持ち良さそうに眠っているライオンヘッドがいた。
ダイ達はライオンヘッドを起こさないように通るがダイが小枝を踏んでしまい、その音にポップが大声を出してしまった。
「馬鹿野郎!音をたてるなってあれほど…!」
バッとポップの口をエルダが塞ぐが、既に遅かった。
ライオンヘッドは目覚めてしまい、ダイ達に向かってベギラマを放った。
咄嗟に避けたが背後の木は黒焦げになり、必死で逃げるがライオンヘッドは素早い動きで追い詰めていった。
「もうだめだ!逃げたほうが…」
「かなり動きが速い、逃げられないよ…」
「戦うしかないわ!」
ライオンヘッドと戦おうと身構えた時、突然大きな叫び声が聞こえた。
その叫び声にライオンヘッドは震え出し、エルダは叫び声に威圧感を感じた。
「見ろ、ライオンヘッドが怯えて縮こまってやがる。て事はだよ…あんまり考えたかねえけども…」
「そうだよポップ、この声の主はこいつより全然強いって事さ」
「しかも、確実にこっちに近付いてきてるよ」
その主が木を切り裂き、威圧感でライオンヘッドは逃げ出し、切られた木を見ると、新たなモンスターがいた。
「見つけたぞ、小僧!!」
そこには巨体なワニの姿をしたモンスターがいた。
「ワ、ワニ男!!?」
「話が名は獣王クロコダイン!魔軍司令ハドラー殿が指揮する6つの軍団の一つ百獣魔団の軍団長だ!ダイ!!」
ダイに指を指しながらクロコダインは告げる。
「ど…どうして俺の名前を!」
「ハドラー殿の命により、お前を討つ!死にたくなければ必死で発揮するのだな、魔軍司令殿をも傷付けたというお前の真の力を!!」
長々と話すクロコダインにポップは苛立ち、前に出た。
「うるせえ!このワニ野郎ッ!ハドラーでさえ俺達がコテンパンにのしてやったのに、お前なんかで相手になるかってんだ!!な、ダイ」
「ポップ君、君は何にもしてないじゃない」
ボソリとエルダは呟き、笑っているクロコダインにポップはメラを放った。
だがクロコダインは息だけでポップのメラを吹き飛ばした。
「な、息だけで吹き飛ばした!?」
「こんな呪文じゃスライムだって殺せんぞ。今度はこちらの番だ!!」
クロコダインは持っていた斧を振り下ろし、ダイ達の後ろの岩が完全に砕けてしまった。
「我ら六団長をみくびるなよ。各々の得意とする技においてはハドラー殿を上回る力があるからこそ、軍団長を任されておるのだからな!」
クロコダインの圧倒的なパワーにダイとエルダは構え、ポップは完全に怯えてしまった。
〔ポップ君、ダイ君を援護するよ。私の合図で呪文を出して。…ポップ君?〕
小声でポップに話し掛けるが彼からの返事がなく、横を向くと、ポップの姿はどこにもなかった。
「あ、あの馬鹿…!」
「フハハハッ!賢明な判断だな!」
ポップが逃げた事にエルダは彼を恨み、クロコダインに向き直った。
「娘よ!お前も逃げていいのだぞ!俺が殺せと命じられたのはダイ一人だからな!!」
「大きなお世話よ!私はあんなのと違って仲間を置いて逃げるなんて事は絶対にしない!!」
「エルダ…」
ダイの前に立ち、クロコダインを睨み付けながらエルダは言う。
「ならば仕方ない!二人纏めて相手をしてやる!いくぞッ!!」
獣王クロコダインとの死闘が始まった。
.
クロコダインと対峙する事になったダイとエルダ。だが予想以上に速いクロコダインに苦戦する二人。
だがクロコダインの体は鋼鉄のように固く、ダイが放った大地斬も効かなかった。
ダイは素早い動きでクロコダインを錯乱するが、クロコダインは自分の斧からバギを放った。
ダイは海波斬でその風を切りクロコダインの体に傷を付けた。
「今だーー!!」
ダイが攻撃しようとしたその時、クロコダインは焼けつく息を吐き、ダイを麻痺させてしまった。
「ダイ君!!」
「邪魔はさせんぞ!」
エルダはダイを助けようと飛び出すが、クロコダインの真空の斧で阻まれてしまい、動きが取れなかった。
「っ、そっちがバギなら…!」
エルダは短剣をしまい、右手に意識を集中させた。
「バギクロースッ!!」
「な、何!?」
バギ系最強の呪文に真空の斧は押し負け、クロコダインは吹き飛ばされてしまった。
「ハァ…ハァ…ッ」
エルダは息を乱しながらダイの元に向かい、彼が麻痺している事に気付き、キアリクを掛けようとしたその時。
ズシンッ
何か重たい音が聞こえ、エルダは瞬時に振り返った途端、頭を強く掴まれてしまった。
「ああっ!」
痛みを堪えながら目を開けると、目の前には体に擦り傷しか出来ていないクロコダインがいた。
「ク、クロコダイン…!」
「驚いたぞ。まさかバギクロスを使えるとはな。だが…」
エルダの頭を掴んだまま体を浮かせ、クロコダインは彼女の右手を見ると、彼女の右手は、血だらけになっていた。
「まだ使いこなせるレベルまでは達していないようだな。お陰でお前の右手はボロボロだ!」
クロコダインはエルダを木に叩き付け、倒れたのを確認するとダイに向き直った。
「そこで大人しく見ていろ、ダイを片付けた後は貴様の番だ!」
ゆっくりとダイに近付き、止めを刺そうとした時、遠方からポップの叫び声が聞こえた。
「ダイー!エルダー!」
「ポ…ポップ君…」
現れたポップとマァムは加勢に入ろうとしたが、それはまた真空の斧によって塞がれてしまった。
エルダは何とかダイの元まで行こうとするが受けたダメージで動けずにいると、マァムが武器をダイに向けていた。
ポップはマァムに叫んで止めさせるが、彼女はそのまま武器を放った。
攻撃はダイに命中した。だがダイは倒れるどころか、立ち上がった。
「そうか…魔弾銃、あれでキアリクを…」
マァムの武器が魔弾銃という魔法を撃つ鉄砲だという事を思い出したエルダは安堵し、再びクロコダインと戦うダイを見た。
だが、以前として戦況は変わらなく、またもダイは苦戦していた。
(くそ、どうすれば…っ)
エルダはクロコダインの武器に気付いた。あれを封じればダイにも勝ち目があると。
すると、マァムは今度はクロコダインに魔弾銃を向けていた。
「マァム!」
マァムに向かって叫び、目で合図をすると彼女も頷きエルダは左手に魔力を集中させた。
「今だっ!」
クロコダインが斧を振り上げた瞬間、エルダとマァムはヒャダルコを放ち、斧を凍らせた。
「これでもくらえっ!!」
隙が出来、攻撃するダイを防ごうとしたが、朝日が目に入りクロコダインはよろめいた。
「でやあああーー!!」
ダイはクロコダインの左目をナイフで切り、獣王は倒れた。
「ダイ!大丈夫か!?」
よろめいたダイをポップが支え、マァムは倒れているエルダの元に向かった。
「エルダ!大丈夫?」
「な、何とかね…っ、ダ、ダイ君!!」
ダイ達の方向を見ると、クロコダインが左目から血を流しながら立ち上がっていた。
「よ、よくも俺の顔に傷をっ、いや誇りに傷をつけたな!ダイ!お前は俺が殺す!必ずだ!!」
そして後ろにいるエルダを睨み付けた。
「貴様もだ小娘!二度も俺に傷を負わせた屈辱っ、必ず晴らしてやる!!」
クロコダインは地面を破壊し、地面を潜って姿を消した。
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クロコダインとの戦闘後、ダイとエルダはマァムにベホイミを掛けてもらって回復した。
「ありがとう、マァム。もう大丈夫だよ」
「よかった。でも久しぶりに会ったと思ったら、無茶するわねエルダったら」
「あはは…」
呆れるマァムに苦笑いするエルダ。そんな二人を見てダイは声を掛けた。
「君もアバン先生の弟子だったんだね、通りでエルダと知り合いな訳だ」
「ウフフッ、君はどう?怪我の具合は?」
「すっごく効いたよ。じいちゃんのベホイミより全然いい」
笑い合う三人を見たポップは照れながらマァムに尋ねた。
「あの~、俺にもベホイミを…」
だがマァムはポップの顔に小さな袋を投げ付けた。
「薬草よ、使えば」
「な、何だよその扱いの差は!?」
「そんなの決まってるわ、勇者と臆病者の差よ」
ポップの逃げた事にマァムは今だに怒っており、そんな二人を見てダイとエルダは笑い合った。
こうして、長い夜が明けた。
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