本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
困難を乗り越え、何とか大魔宮を脱出した一同は、地上にいる仲間達と合流した。
ポップはメルルと、レオナはバダックと再会を喜び、クロコダインとマァムは意気投合した兵士と握手を交わす。
エイミはヒュンケルの無事に涙を流し、チウは自分の部下達と笑い合った。
ヒムは岩に座り、ラーハルトは岩壁に寄り掛からせたエルダの側に立ち、その光景を眺めていた。
だが一人、ダイがいない事に気付いたロン・ベルクはポップ達に質問した。
「まだ、あそこだ…」
未だ空に残っている大魔宮の残骸を見上げながら、ポップは告げた。
「そうか…」
「また…最後はあいつに頼っちまった。俺達なんかにゃ手も足も出せない世界へあいつ一人で、行っちまいやがってさ…!ちっく…しょう…!!」
一人悔やむポップに、ヒュンケルは胸を張れ。と励まし、皆は同じ想いを込めて空を見上げた。
ダイが勝つ事を
そして
帰ってくる事を
.
やがて辺りは朝に変わり、黒の核晶が積んだ柱の側でダイを待っていると、不意にエルダの左手がそっと上がった。
「エルダ…?」
側にいたラーハルトはその行動にエルダを見たが、彼女は自分が指差した方向をただ見ていた。
「…ダ…イ…」
「え?」
その言葉に釣られて、エルダが指差した方向を見ると上空から気を失ったダイが落下していた。
ダイを受け止めようとマァムとラーハルトが飛び出すが、それよりも早くポップは飛び出し、ダイを受け止め、彼に声を掛けた。
「ダ…イ…」
ポップが恐る恐る声を掛けるとダイは目を覚まし、ポップに微笑んだ。
「勝ったんだな…?」
「…バーンは…大魔王バーンは…倒れた…!」
「…そうかっ!」
ダイの言葉にポップは涙を流したが、ダイが言った。自分はどこか変じゃないかと聞かれた事に、更に涙を流した。
「このくせっ毛!この傷!そしてこのちっちぇー体!どこがいつものお前と違う?俺達のダイそのものだよ!そうさ…っ、俺達のダイが勝ったんだぁーーっ!!」
ポップはダイを投げ上げたり、ぐるぐると回した後、他の皆の方に押し出され、ダイはもみくちゃの刑にされた。
.
一仕切りもみくちゃにされた後、ダイはふとエルダの方に目線が行き、そちらの方に駆け寄った。
「姉さんっ!」
その声に、エルダは閉じていた目を開け、目の前にいるダイを見た。
「ダイ…」
そっと頬を触った後、手を頭に乗せ、ゆっくりと撫で始めた。
「勝っ…た…のね…」
「うん…!父さんが剣を貸してくれて…!母さんが…笑ってくれて…っ!」
「お疲れ様…」
「…ッ!!」
頭を撫でる心地よい手と優しい視線に、ダイは胸が一杯になり、直ぐさまエルダに抱き着いた。
「姉さん…姉さん…ッ!」
「ダイ…」
ようやく再会出来た、たった一人の肉親の再会。
互いを強く抱き締め合う二人の姉弟。
その再会に皆も感動し、涙を流す者さえもいた。
「さあ、傷付いた勇者達をいつまでも放ってはいけないわ。祝宴は帰ってからにしましょう!」
少しの間を置いてからの女王の言葉に皆は賛成し、エルダはダイの手を借りながら立ち上がるが、思うように力が入らなく、直ぐにダイにもたれ掛かった。
「ごめんねダイ…なんか、上手くバランス保てなくて…」
「姉さん…」
抱き着いた時に気付いた、無くなったエルダの右腕。その事にダイが眉を寄せているが、エルダは安心させるように微笑んだ。
「…大丈夫よ…直ぐに、慣れるから…」
よろめきながらも歩き出すエルダに、すかさずラーハルトが手を貸し、ダイも後を追おうとした時、新たな声が聞こえた。
〔少々お待ちを…女王様。ボクにも一声、祝福の言葉を言わせて下さいよ…!〕
その声に後ろを向くと、そこには首が取れたままの、アバンが倒した死神キルバーンの姿があった。
その姿にダイ達は素早く身構えた。
キルバーンは何もなかったように首を戻し、肩には使い魔が乗っかった。
奴を倒した張本人のアバンは驚いていたが、使い魔が言った言葉に目を見開いた。
〔そう…ボクが…本当のキルバーンだ…!!〕
声を出したのは、使い魔の方だった。
本物のキルバーンが人形を操っていた為、攻撃しても死傷はない。だからこそ不死身と呼ばれていた。
そしてキルバーンは人形の顔の外装を取った。
人形の顔には、黒の核晶(コア)が埋められていた。
「黒の核晶!?」
〔アーハハハハッ!もう知っているかもしれないが、僕の本当の主は魔界にいるヴェルザー様だ。ヴェルザー様は機を見て大魔王が倒せるようならこの人形の核晶を使って彼を倒せと仰せ使っていた。ヴェルザー様は大魔王と違って地上も欲しいんだ〕
「そんな、魔界で岩になった奴が…何故地上を欲しがる!?」
〔知るもんか、あの方は欲深いんだよ。竜らしくないんだ。人間みたいだよね〕
エルダの言葉に軽く返し、レオナがヒャダルコを使って核晶を凍らせようとしたが、無駄だった。
核晶が動き出し、キルバーンが立ち去ろうとした瞬間、飛び出した者達がいた。
アバンがキルバーンの動きを止め、マァムが止めを刺し、ダイとポップが人形を掴んで上空に飛んだ。
〔ち…ちきしょう…だが…もうアウト…だ…〕
息絶えたキルバーンを見た後に、皆は上空に上がったダイとポップを見詰めた。
だがその途中、ダイはポップを蹴り落とし、一人上空に登って行った。
「なっ…何故なんだよおぉッ!ダイッ!!」
…許してくれ、ポップ
こうする事が…!
こうして自分の大好きなものを庇って命をかける事が…!
亡くなった父と母、そしてたった一人の姉の姿を太陽の中に見た。
ずっと受け継がれてきた…
俺の使命なんだよ!!
空に爆発が起こった。
「バッカヤロオォォオォーーーッ!!!」
.
それから数週間、ポップ達は世界中を探し国民にも御触れを出したが、ダイの行方は掴めなかった。
集まった者達はパプニカの丘にある、飾られていたダイの剣を見詰めていた。
「ダイ…地上は救われたわ。人間もモンスターも…自然も、皆平和が戻った。貴方のお陰よ。それなのに…それなのに…肝心の貴方は…」
「…“真の勇者、ダイの剣”か。まるで墓だぜ…縁起でもねえ…!」
「…全くよ!!」
突然聞こえた第三者の声に振り向くと、レオナが剣を指差し、その横にはエルダの姿もあった。
「冗談じゃないわポップ君!それはね、ダイ君が帰ってくる時の目印なんだから!」
「ええっ!?」
「ダイが…!」
「帰ってくる…!?」
レオナの発言に皆が驚いていると、側にいたロン・ベルクが説明をしてくれた。
ダイの剣に付いている宝玉、それはダイが死ねば宝玉も光を失う。
だが、光は消えていなかった。
「でも…どこに!?」
「分からん…天界や魔界の可能性もあるし…な…」
「どこでもいいじゃねえか…!生きて…生きてさえすりゃあよ…!また会えるって!だってあいつの帰ってくる所はよ…!」
「地上しかねぇんだからさ!!!」
ポップの叫びを聞いた後、エルダはダイの剣を優しい眼差しで見ていた。
.
そうだ あいつが戻る その日まで
マァムやメルルと共に、ダイを捜す旅を続けながら、地図を見て悩むポップ。
俺達が世界を護っていこう
女王フローラと結婚し、王になったマヌケなアバンの姿。
いつの日かあいつを見付けても
ヒュンケル、ラーハルトはダイを探す宛もない旅へ。
あいつが自分で帰ってきても
その後ろを、こっそりと付いてくるエイミ。
美しい大地や街並みや
クロコダイン、チウ、ヒムはブラスのいるデルムリン島で楽しく暮らし。
平和な人々の暮らしを見て
エルダは思い出の湖に、両親の墓を作った。
これが俺達が護った地上なんだと
ロン・ベルクの元で、必死に剣を作るノヴァ。
鉾らしく胸を張れるようにしよう…!
レオナはパプニカでダイを待ち続ける。
再び勇者が帰ってくる
その日の為に…!!
その日の為に…!!
【完】