本編
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激しい激闘の末、ヒムとラーハルトも敗れてしまい、残りはダイとポップだけになった。
二人は力を合わせ、なんとかバーンの左腕を切り落とす事に成功。
が、バーンは大魔宮に残してあった最後の兵器を地上の真下に落とした。
それは、ダイとエルダの父バランの命を奪った。
黒の核晶(コア)
バーンはそれぞれの場所にその核晶を積んだ柱を落とし、全てを爆発させる事によって地上が無くなる。
地上にいる者達は六本ある柱に向けてそれぞれ散り、核晶の爆破を防ごうとした。
しかし限られた人数では世界各国の爆破を防ぐ事は出来ない。
その時、“神の涙”と呼ばれる道具であると判明したゴメちゃんが、ダイの願いを叶えるべく、全世界の人々の心を一つにした。
瞬間、世界が輝いた。
爆発は免れ、ゴメちゃんは皆に別れを言うように黄金色の光に変わり、空に消えた。
地上の爆破は免れた。が、バーンは自らの手で、今この場にいる者達を皆殺しにし、再び地上破滅を実行すると言い出した。
ポップ、そして玉から出されたレオナは戦う事を決めたが、ダイは二人を下がらせ、自分一人で戦うと言い出した。
自分が、竜魔人となって戦う事を。
戦う事を決めたダイに、二人は後ろに下がった時、バーンによってポップとレオナ。玉に変えられた者達は大魔宮の心臓部に落とされた。
それにより、ダイの中で何かが切れた。
そしてダイ自信の紋章と、父から譲り受けた紋章が一つになり、再び額で輝き出した。
姿が変化したダイには、恐るべき殺気が満ち溢れていた。
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玉に変えられた者達は元に戻ったが、落とされた場所は大魔宮の心臓部。
浸すら脱出を試みるが、心臓部の壁は魔力は愚か、打撃も効かなかった。
だが、諦めはしなかった。
今ダイは、全てを捨ててまでバーンと戦っている。
だから自分達は諦めてはいけない。
ヒムを復元させ、全員の闘気を壁にぶつけ続けた。
その結果、闘気技でなら傷は付く事が判明した。
つまり、より強力な闘気の力をぶつければ、その一瞬でルーラから脱出出来る。
しかし、そんな破壊力を持つ者は、この場にはいなかった。
この心臓部を貫く事が出来たのは、ダイが放ったドルオーラだけだとレオナは語る。
せめて、ダイが放ったドルオーラ程の破壊力があれば。
「…、…っ…」
僅かな声が聞こえて後ろを向いた。そこには気絶していた筈のエルダが、右腕を抑えながら立ち上がろうとしていた。
「エルダッ!」
ラーハルトは直ぐさま駆け寄り、彼女を支えた。
「レオナ…本当…?」
「え?」
「ドルオーラなら…この壁を…破壊出来るって…」
荒い息を漏らし、ボロボロな体を必死に堪えるエルダの瞳に、レオナは隠す事が出来なかった。
「…本当よ…」
「…なら…私がやる」
「やめろエルダッ!」
前に出ようとしたエルダを、ラーハルトはすかさず止めた。
「そんな体の状態でドルオーラを使えば!お前の腕は堪えられなくなり…!」
スッ
ラーハルトの手をそっと下ろし、エルダは歩き出した。
「腕が無くなる程度なら…安いわよ…」
「エルダッ!」
ラーハルトの止める言葉を聞かず、エルダはドルオーラの構えを取った時。
ガシッ!
紋章の力を出し、技を出そうとした時、エルダの手を誰かが抑えた。
「…ヒュンケル…?」
「…俺がやる」
「え?」
ヒュンケルの意外な言葉にエルダは腕を少し下げた。
「グランドクルスなら、ドルオーラ程の威力がある…それに、確実に成功出来るのは俺…」
パンッ!
「ふざけるなッ!!」
ヒュンケルの問いに、エルダは彼の頬を叩き、怒鳴り出した。
「確かに私はダイ程の力はない…。だが、私だって竜の騎士だ!こんな所で、負ける訳にはいかないッ!!」
「エルダ…」
「どうせ、自分が犠牲になって皆を助けようなんて考えていたんだろう?」
エルダの言葉に、皆はハッ、としてヒュンケルを見ると、彼は少し俯いた。
「誰かが命の危険を承知でやらなければ、此処は脱出出来ない。ならば尚更俺が…」
「死ぬのか?」
「…そうしなければ、お前はまた自分の命を犠牲にするだろう」
「…私は二度と、自分の命を投げ出したりしない…」
エルダの意外な言葉に、ヒュンケルは俯いていた顔を上げると、代わりにエルダが俯いた。
「…初めて父さんが竜魔人になった姿を見て、殺されそうになる皆を見て、私はメガンテを使った…」
その時の状況を見ていた者達は辛い顔をし、知らない者達は驚いた顔をした。
「でも…死の世界で母さんに会って、戦っているダイと父さんを見せられて…とても辛かった…後悔した…っ」
エルダは拳を力強く握り締めた。
「…そして私は父さんに助けられた。殺そうとも考えた父さんに…ッ!」
瞳からは涙が零れ始めるが、エルダは構わず語り続けた。
「だから私は…死ぬ訳にはいかない…!私は…私は生きると決めたんだ!命をくれた父さんや、死の世界で励ましてくれた母さんの為に!」
涙を無理矢理拭い、エルダはヒュンケルを押し退け、構えを取った。
「ポップ君、アバン先生。ルーラの用意を!」
「エルダ…」
「チャンスは…一度だけ!」
紋章の力を出し、全エネルギーを両手の拳に込めた。
…父さん…母さん…私に力を…
バシュッ!
「ッ…!!」
構えを取った両腕から次々に血が飛び散り、足元もふらつき始めた。
「エルダ!」
「もう止めろエルダ!後は俺が!」
「ダイは命を懸けてバーンと戦っている。だから…私は私が持つ竜の騎士の全ての力を持って、この場を脱出する!」
「エルダ…」
仲間達が必死に見守る中、最大限まで闘気を溜め込んだ。
バシュッ!!
「…ッ!」
右腕から大量の血が吹き出し、体がぐらついた時。
ガシッ!
「え…?」
誰かの腕がエルダの体を支えた。
後ろを見ると、ヒムがエルダを支えながら、同じ構えを取っていた。
「あ、貴方…!?」
「俺も手伝うぜ、お嬢さん…。俺も、こんな所で死ぬのはごめんだからな!」
ヒムが放った闘気が壁に僅かな光を見せた時を、エルダは見逃さなかった。
「ドルオーラッ!!」
凄まじい破壊力が壁を破壊。その隙にポップとアバンはルーラを発動させ、その場から脱出した。
脱出し、地上に降り立った直後に大魔宮は地面に叩き付けられ、爆発した。
燃え尽きた大魔宮を見納めた後、姿が見えないポップとヒム、エルダを捜した。
ポップとヒムは直ぐ側の崖下で発見された。
ヒムは両腕が壊され、胴体も傷が付いていたが、何とか無事だった。
そして、未だに姿が見えないエルダを捜した。
「エルダー!」
「エルダ!返事して!」
必死にエルダを捜索するが彼女からの返事はない。その時、チウが何かに気付いた。
「…血の匂いがする」
「え?」
「こっちだ!」
チウは血の匂いがする方に駆け出し、マァムも後を追った。
すると
「キャアアアッ!!」
マァムの悲鳴が聞こえ、皆がその方向に寄ってマァムが見る方向を見ると
そこには、血だらけのエルダが横たわっていた。
「エルダッ!!」
放心気味のマァムを押し退け、ラーハルトは直ぐにエルダを抱え、彼女の体の状態を見て絶句した。
エルダの右腕は、無くなっていた。
「エルダ…ッ」
「これをエルダに!」
アバンから渡されたマントで止血し、レオナは回復呪文を掛けた。
暫くすると、エルダの目がゆっくりと開かれた。
「エルダ!」
「…ラーハ…ル…ト…み…んな…」
途切れ途切れの声を聞きながら皆は安堵したが、直ぐに暗い顔をした。
「…ど…したの…?皆…」
「だって…だって、エルダの腕が…っ」
側に座ったマァムは涙を流し始め、それを聞いたエルダは自分の右腕を見た。
無くなった右腕、それを見て小さく息を吐いた。
「…覚悟は…していた…から…」
「え…?」
ラーハルトに支えられたまま、エルダは残った左腕を伸ばし、マァムの涙を拭った。
「…私の右腕…もう殆ど、動かなかった…んだ…だから…犠牲がこれだけで…よかった…」
「何言ってるのよ!エルダの腕は、ヒムのように再生しないのよ!!」
「分かってるよ…でも…私にはまだ左腕がある…それに…」
エルダはこちらを心配そうに見る全員を見た。
「皆が…助かったから…」
そっと起き上がり、マァムを安心させるように頭を撫でると、マァムはエルダに抱き着いた。
「馬鹿…エルダの…馬鹿…っ」
「…酷いな…全く」
左腕でマァムを抱きしめるエルダに、皆も少なからず安心し、暫くした後、無事地上にいた仲間達と合流を果たした。
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