本編
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布人物の正体は、行方不明になっていたエルダ。
ダイ達は目を見開いて彼女を見て、信じられないような顔をした。
「何で…何で姉さんが、魔王軍に…!?」
「そ…そうだ…偽者だ!!大方、また部下に化けさせて俺達を騙すつもりだろ!二度とそんな作戦にはまるもんか!!」
〔ほう…ならば試してみろこ奴が本物かどうか…〕
ミストバーンの合図にエルダはポップとマァムの方にゆっくりと歩き出し、ポップは彼女に構えた。
「直ぐに正体を暴いてやる、メラゾーマッ!!」
放ったメラゾーマは真っ直ぐにエルダに向けられる。しかし彼女は避けようともせず、剣を構えた。
ザンッ!
メラゾーマを剣で切り裂き、エルダはポップに向けて別の構えを取った。
「大地斬」
エルダの放った剣撃はポップ目掛けて突っ込んだが、寸止めでマァムがそれを交わした。
「これって、大地斬」
「じゃあ、それじゃあ本当に…」
技がぶつかった壁を見てポップとマァムは驚愕し、エルダの方を振り返った。
〔ようやく理解したようだな…〕
「ミストバーン…何を、姉さんに何をしたんだっ!?」
ダイ達は改めてエルダを見た。
胸元が大きく開いた漆黒のロングドレス、その胸元にはバーンの刻印のネックレス。彼女の瞳に光はなく、ダイ達の言葉にも全く反応しなかった。
ダイの叫びに、ミストバーンはエルダを指差して告げた。
〔簡単な事、こいつに暗黒闘気を与えただけだ〕
「な…っ!?」
〔処刑の時ヒュンケルに与えた暗黒闘気、それと同じ物をこいつに飲ませたのだ。それもヒュンケルのとは違い、量を多くしてな…〕
「じゃあ…じゃあエルダは…」
ミストバーンの瞳が光った瞬間、エルダはポップとマァムに呪文を放つ。だがマァムは左腕の盾で防御し、直撃は免れた。
「マァム!大丈夫か!?」
「ええ、それよりも…」
二人は再びエルダを見ると、彼女は剣に呪文を放ち、魔法剣を作り出した。
〔今のこいつは私の操り人形も同然。さあダイよ、これでもお前は先に向かう事が出来るか?〕
「くっ…!」
必死に戻る事を抑えるダイそんな彼の様子を伺いながら、ミストバーンはエルダに合図した。
〔エルダよ、その二人を殺せ!!〕
カッ!
光のない目が見開かれ、エルダはポップとマァムに剣を向けた。
エルダの攻撃にポップとマァムは苦戦しながらも反撃するが、相手がエルダである為本気を出す事が出来なかった。
「ポップ!マァム!!」
見ていられなくなったダイは駆け出した。
「く…来るなあっ!ダイー!!」
叫ぶポップにエルダは剣を振り下ろした。
ドガッ!!
何者かに突き飛ばされエルダは壁に激突して瓦礫に埋もれ、ミストバーンがその方向を見た瞬間、何かの斬激がミストバーンを押し潰した。
皆はその人物を見ると、その人物はヒュンケルの魔槍を纏ったラーハルトだった。
ラーハルトと会った事のあるポップは彼の登場に驚きヒュンケルの無事を確認したが、ラーハルトは彼は無事と告げた。
「どうして…どうして俺達の味方を?」
「…いや、貴方方ではない」
ラーハルトの行動にダイが言葉を掛けると、ラーハルトは突然膝を付いて頭を下げた。
「…このラーハルトは、貴方一人のために不滅の忠誠を誓うために、この場に馳せ参じたのです。ディーノ様!」
ラーハルトの忠誠を誓った言葉にダイは驚き、思わずレオナに相談するが、彼女も困った顔をした。
その時、ラーハルトの技に押し潰されたミストバーンが現れ、怒りを表していた。
〔許さん…!竜騎衆の生き残りふぜいが裏切ってこのミストバーンに牙を向こうなどとは…ハチの巣にしてくれる…!!〕
「断っておくが、竜騎衆は元々魔王軍の一部隊ではない。我等はバラン様の為のみに戦ってきた…!裏切るなどという言い回しは笑止よ!」
ラーハルトはミストバーンに反抗した後、ダイに先に進むよう行ったが、やはり心配なダイは一緒に戦った方がいいと言い出す。
すると持っていた槍をポップに預け、ラーハルトはミストバーンの前に立った。
〔…何の真似だ?〕
「…ハチの巣とやらに興味がある、どうやってやるんだ?」
〔…たわけがっ!こうだっ!!〕
質問にミストバーンは指を延ばしてラーハルトに突き刺した。が、それは全て交わされた。
余りにも素早い動きにダイ達も、攻撃したミストバーンも驚き、ラーハルトは再びダイに先に向かう事を言った。
ダイを手助けする事、それがバランの遺言でもあるとラーハルトは語り出した。
ディーノをバランだと思って助ける事、そして己が一番護りたい者を護り通せと。
「あの人は、私にとっても父でした。そして…」
瓦礫から抜け出したエルダはミストバーンの前に立ち、こちらに向けて剣を構えていた。
「エルダ様は必ず、私がお救いしてみせます…!」
ラーハルトの言葉にダイはとうとう折れ、ポップとマァムと共にミストバーンを倒し、エルダを救う事を命令した。
「それと、もう二度とディーノとは呼ばないでくれ。その名前を聞くと…父さんの事思い出してちょっと辛いんだ…」
「…畏まりました、勇者ダイ様!」
「それと、これ…」
ダイは首元からアバンのしるしを出し、それをラーハルトに渡した。
「これは…」
「姉さんのアバンのしるし。姉さんを助けたら、それを返してあげて…」
剣を構えるエルダを一瞬見た後にラーハルトに告げ、ダイはレオナやゴメと先に進んだ。
進み始めたダイ達をエルダは飛び出して止めようとしたが、その攻撃はラーハルトに防がれた。
「…エルダ」
「…」
一度間合いを開けて剣を構え直したエルダに、ラーハルトは一瞬顔を俯かせてエルダを睨んだ。
「陸戦騎、ラーハルト…参るっ!!」
.
ミストバーンによって操られているエルダは、助っ人に来たラーハルトと戦いを開始した。
しかしラーハルトは相手がエルダだという事で本気を出せず、押され気味だった。
そんな彼にポップとマァムは助太刀しようとしたが、ラーハルトは一人で戦うと宣言。だが彼はエルダの攻撃に壁に激突されてしまった。
〔脆いな…いかに強さを用いても、己の主君同様の者に攻撃は出来まい…〕
「く…っ」
倒れたラーハルトにマァムは回復呪文を掛け、その間をポップが魔法でカバーしながら叫んだ。
「エルダ!いつまでそうしてんだ!いい加減目を覚ませッ!!」
「…」
ポップの声にも反応せず、エルダは竜闘気で呪文をガードしていた。
「皆お前を心配してんだぞ!俺もマァムもダイもヒュンケルも!生きていたアバン先生も!」
「…」
「お前はそんな弱い奴だったのか…簡単に心を乗っ取られるような、弱い奴だったのかよ!?」
ポップが放ち続けていたメラゾーマを弾き、エルダはより強力なメラゾーマを放った。
「うわああっ!!」
「ポップッ!!」
ドガンッ!!
放たれたメラゾーマはポップに命中し、マァムはその光景に動揺を隠せなかった。
「…エルダ、どうして…」
ラーハルトから離れ、ゆっくりとエルダに近付いた。
「貴方はいつも、あたしを助けてくれた…迷っていたあたしに道筋を与えてくれた。それなのに…それなのに…!」
久しぶりに再会し、アバンが死んで悩む自分を導いてくれたエルダ。
戦う術を無くし、悩んでいた自分を励ましてくれたエルダ。
「あたしに言ってくれたじゃない…『強くなって、皆を護れるように』って…」
まだ自分が僧侶戦士だった頃、新たな呪文を契約して自分に告げてくれた言葉。その時自分も思った。自分も今より強くならないと、と。
「目を覚ましてよ…エルダッ!!」
ついに涙を流すマァム。だがエルダの表情は変わらずマァムに向けて呪文を唱え、イオナズンを放った。
「マァム!逃げろッ!!」
間一髪で呪文を交わしたポップが立ち尽くしたマァムに叫ぶが、彼女は動かなかった。
ドガアアアンッ
〔…ム〕
呪文がマァムに当たる寸前誰かがマァムを庇ってその身にイオナズンを受けた。
しかし庇った相手は倒れずにこちらを見ていた。
「随分酷い事するよな…お嬢さんよ」
〔き…貴様は!?〕
マァムを庇ったのは、ハドラーの部下であったヒムだった。
庇った彼に驚き、マァムがふと後ろを向くと、そこにはチウやマァムの師匠、ビースト。クロコダインに彼に支えられていたヒュンケルがいた。
「ヒュ…ヒュンケル!よかった、無事だったのね!」
「ああ、俺は大丈夫だ。それより…」
マァムに支えられながら、ヒュンケルは目線の先にいるエルダを見て眉を潜めた。
「エルダに一体、何があったんだ…?」
「ミストバーンが…エルダに暗黒闘気を飲ませたみたいなんだ…」
「何だと!?」
側に寄ったポップが事情を話すと、ヒュンケル達は揃って驚いた。
「全く反応しねぇ…俺達が何を言っても…っ!」
ポップは拳を握り締めて呻いていると、回復したラーハルトが再び前に立った。
「ラーハルト…!」
「手を出すなと言った筈だ…エルダ様は俺が止める」
「へ、何を言い出すかと思ったらそんな事かよ」
攻撃を再開しようとしたラーハルトは、ヒムの言葉に止められた。
「あいつに傷一つ付ける事の出来ねえ奴が、止められるとでも思ってんのか?」
「…」
「俺にやらせろよ、俺はあのお嬢さんとも戦ってみたかったんでな」
ヒムは拳を合わせてエルダに向かって歩き出そうとした。
ドガッ
だがそんな彼を、ラーハルトは転ばして阻止した。
「て、てめぇ!何しやがる!?」
「手を出すなと言った筈だ…」
「女一人片付けられないてめぇに言われたかねえよ!!」
「邪魔をするなッ!!」
一歩も引かず、ついにラーハルトはヒムに怒鳴った。
「これは俺の戦いだ…俺がケリを付ける!」
槍を握り締め、ラーハルトはエルダに攻撃を開始した。
ガキンッ
しかし攻撃はすぐに防がれ、エルダは剣で押し返した。
「何であんなに必死なんだあいつ…確かにエルダはあいつにとって主君みたいな奴だけど、あんなムキに…」
「…ただの主君ではないという事だ」
必死に戦うラーハルトを見ながらポップが疑問がりながら言うと、ヒュンケルが彼に答えた。
「確かにラーハルトはバランからダイとエルダを助けるよう頼まれた。だが奴にとって、エルダにはそれ以上の想いがあるようだ…」
「それって…」
ヒュンケルの言葉を聞きながら戦い続けるラーハルト、その姿を見て何かに感づいた。
〔中々やるようだな。だが私は早くバーン様の元に向かわねばならない…エルダよ、決着を付けろ!〕
ミストバーンの言葉にエルダは一度ラーハルトから離れ、剣を空に翳した。
「ギガデイン」
ガアアアンッ
エルダが放ったギガデインは剣に落ち、次の構えを見てポップ達は目を見開いた。
「ギガブレイクだっ!」
「いつの間に…っ」
父・バランの必殺技を構えたエルダにラーハルトも自分の必殺技の構えを取った。
〔もう容赦はせん…全力でそいつらを殺せ!〕
「…」
エルダとラーハルトは同時に飛び出し、互いに技を放った。
「ギガブレイクッ!!」
「ハーケンディストール!!」
ドガアアアンッ!!
二人の技がぶつかり合い、その場は大爆発を起こす。
他の者達は爆風に堪えながら爆発した部分を見ると、爆風の中から二つの影が現れた。
顔を俯かせて立っているラーハルトとエルダ。
二人はボロボロだったが、先に膝を付いたのはラーハルトだった。
「…っ!」
膝を付いたラーハルトにエルダはゆっくりと歩み寄り、彼の顔に剣先を向けた。
「エルダやめて!もうこれ以上、戦うのはやめてっ!!」
マァムが必死になって叫ぶが、エルダはラーハルトから目線を離さなかった。
「…っ、エルダ…様…」
顔を上げ、変わらぬ表情で自分を見るエルダに、ラーハルトは唇を噛み締めた。
スッ、と剣が引かれ、ラーハルト向けて突き刺した。
グサッ
ポタッ
突き刺した剣から血が流れ、重力にしたがって下に落ちる。
他のメンバーはその光景に愕然とした。
エルダが突き刺した剣はラーハルトの肩に刺さり、彼はそのまま思わぬ行動に出た。
「…エルダ」
ラーハルトはエルダを、抱き締めていた。
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