本編
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大魔王との戦闘後、ダイは精神世界で聖母竜と出会いダイの魂を天に連れて行こうとしたが、突然聖母竜の動きが止まった。
…おかしい…貴方には魂が二つある…
すると、ダイの背後が光り輝き、その光の中から一人の人物が現れた。
「…ああっ…とっ…父さん…!!」
…貴方は…
「母なる竜よ、私が真の最後の騎士・バランです。この子、ダイは私と人間との間に生まれた混血児…貴方が感知したのは私の死です」
ま…まさか…そんな事が…
「この子の命はまだ完全に尽きてはいない、どうかもう一度だけこの子にチャンスを与えて欲しい…!」
「と、父さん…!?」
それは無理です、いかなる力をもっても大魔王は倒しようがない。例え生き返らせても再び地獄の苦しみを味あわせるだけになりますよ
「…私にはそうは思わない、この子には普通の竜の騎士にはない力がある。それに、地上にはまだもう一人の竜の騎士が残されている」
そ…そんな…まさか…
「本来一代限りの竜の騎士である私が、二人も子を持つ事が出来た、これこそ即ち竜の騎士の力の限界を悟った神が与えて下さった最後の希望…!その為に神はこの子やあの子を生み出させたのではないでしょうか?」
真っ直ぐに聖母竜を見詰める眼差し、全てが真実と信じざるを得ない眼差しだった。
…いいでしょう、いずれにせよ私にはもうこのエネルギー体のこの体以外に力は残されていません。これをダイに与えましょう…
聖母竜の体が光り輝いた時、同じようにダイの体も光り輝いた。
「ダイよ、これからはお前やエルダが竜の騎士の歴史を作って行くのだ。その為にも必ずバーンを倒せ!そしてエルダを闇から救ってやるのだ…!」
「出来ないよ!俺はそんなに凄くない!姉さんを助ける力だって、俺一人にはないんだっ!!」
だがダイの叫びも虚しく、バランの体が少しずつ消え始めた。
「お前は一人ではない、仲間がいる。そして私も…ソアラも…常に…一緒だ…」
「待って!行かないで!父さん! 父さーーんっ!! 」
聖母竜の光に包まれながら地上に落ちたダイはその場にいたテランの人々によって、レオナ達の元に運ばれた。
ベットで眠るダイをレオナに任せ、ポップ達はカールの女王・フローラに報告に向かった。
しかし、女王の元には最悪の報せが届いていた。
明後日、魔王軍の裏切り者であるクロコダインとヒュンケル、そして勇者の仲間のエルダの処刑を行う。と
.
大魔王の魔宮の牢獄に、鎖で繋がれたヒュンケルとクロコダインの姿があった。
二人は互いに自分の生命力を呪い言いくるめていると、そこにミストバーンの姿が現れた。
〔お前達…そして竜の子の一人、エルダの処刑は明後日の正午と決まった…!〕
「おお!俺達はさっさと殺せ!だがな、処刑するならば何故エルダはここにおらんのだ!?」
目が覚めた時から不自然だった。
クロコダインとヒュンケルは裏切り者、そしてエルダはバーンを脅かす脅威にもなりかねない。
なのに、この場に彼女の姿は何処にもなかった。
〔…貴様らにはもはや関係のない事。ヒュンケル…今からでも遅くはない、再び私の配下に入れ…!〕
ミストバーンは手に持っていた怪しげなグラスをヒュンケルに向けた。
〔どうする…〕
「…時間が欲しい、考えさせてくれ、ミストバーン」
「な、なにぃ!?」
〔…フッ、良かろう。だが時間は明後日までだ、処刑される前に決めなければ命は無いぞ〕
そう言い残し、ミストバーンはその場から消え、クロコダインはヒュンケルが言った答えに激怒した。
「ヒュンケル…貴様っ!今更ミストバーンに魂を売って助かろうとは、気でも狂ったか!?」
「…」
「俺は今までお前を親友だと思ってきたのに、こんなドタン場で裏切られようとは思わなかったぞ!」
叫び、鎖で繋がれた手をジタバタさせていると、ヒュンケルは静かに告げた。
「クロコダイン…もしも俺を友と思うなら、何が起こっても俺を信じてくれ…!俺は今、最後のその一瞬まで生へのチャンスにしがみついてみたくなったんだ…!」
「ヒュンケル…」
「それに、エルダがまだ生きているかも確かめたい。ただ殺すだけなら、あいつもここに入れられる筈だ…!」
拳を握り締め、真剣な顔をするヒュンケルにクロコダインは何も言えず、黙る事しか出来なかった。
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〔…ヒュンケルはあの娘を心配しているようには見えませんでしたが…〕
「見え透いた維持を張っただけだ。あの計画を遂行すれば、奴は必ずこちらの手に戻る」
大魔王の玉座の間で、バーンとミストバーンだけが会話をしていた。
内容はヒュンケルの事。
「ミストバーンよ、あれの状況はどうだ…?」
〔確実に染まりつつあります。もはや時間の問題…〕
ミストバーンの答えに、バーンは口元に手を付けて無気味な笑いを零した。
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バーンに倒される夢を見た事に跳び起きたダイ。
そして見た事のない場所に辺りを歩き回っていると、誰かの叫び声が聞こえた。
「助けに…助けに行かなくては!」
叫び声の主はエイミ、その部屋ではフローラを中心にエルダ達の救出作戦を考えていた。
作戦で出た結論は勿論救出に向かう事、その為にもう一度勇者であるダイに軍の結束を高めて貰おうと言い出した。
その話をひそかに聞いていたダイは後退りし出した。
再び自分を戦わせようとする者達、次第にダイは震え出した。
「あたし、ダイ君の様子を見てくるわ!」
レオナの声に驚き、ダイはその場から逃げ出してしまった。
無我夢中で外に飛び出し、ルーラを使ってどこか遠くに逃げたダイはこれまでの事を考えていた。
…どうして…どうして皆俺に無理な事をさせようとするんだ…!?父さんも…レオナ達も…
もう…俺の力なんかじゃどうしようもないのにっ…!…俺は…皆が思っている程強くも偉くもないんだっ…!!
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皆の所から逃げ出したダイはルーラを使い、無意識の内にテランに来ていた。
静まり返った国を眺めていると、森から出て来た足元の岩に躓いて転び、ダイは駆け寄って少年を起こした。
「大丈夫?」
「いてて…あ、ありがとお兄ちゃん」
すると、少年は竜の紋章が彫られた土器を持っていた。
「それは…?」
「これは竜の神様にお祈りをするための道具さ。この中に火炎草を詰めて、かがり火をたいて祈るんだよ」
「竜の…神に」
地面に落ちた葉を土器にいれながら少年は話した。
「僕、パパやママと毎日お祈りしてるんだよ、勇者様が早く大魔王を倒しますようにって!」
神に毎日祈ればどんな願いでも必ず叶う。そんな少年の言葉にダイは何も答えれず、早く家に帰れ、と言って走り出した。
ごめん…!ごめんよ!!俺には“うん”と言ってあげられない!!その神様の使いが言ったんだ!大魔王は神よりも強いって…!もう誰にも手が出せないって…!!
ダンッ!
「…どうしたら…どうしたらいいんだ…俺はっ…!!」
木に拳を叩き付け、その場に座って泣いていると、背後から声を掛けられた。
「…取り敢えず…ゆっくり泣いていてもいいぜ」
振り返ると、そこにはポップが立っていた。
「…ポップ…」
「…付き合ってやるよ、月夜の散歩もたまにゃいいもんだ」
.
紋章が描かれた像の所に、少し離れて座るダイとポップ。
ダイは自分の中にある全ての想いをポップにぶつけた。
しかしポップはダイを咎めようとはせず、今度は自分の想いをダイに語った。
「俺は戦う…!そして、俺はお前を信じてる、お前が本物の勇者がどうかなんて関係ねえっ!お前がダイだから信じてるんだっ!!」
歩きながらポップは背中を向ける。
「勇者が何だ?竜の騎士がどうした!?俺にとって…ダイはダイだっ!!」
そう言い残してルーラで去るポップ、そんな彼の去る方向を、ダイは見続けた。
…どうする…?どうするって…もう決まってるじゃないか!!
傍に置いてある竜の像を見ながら、ダイは拳を握り締めた。
…最初から答えは一つだったんだ。それなのに俺は…自分の自信のなさを…皆のせいみたいに思い混んでしまって…!!
.
女王・フローラから決戦作戦を伝える為集まった兵士やその他の人々、だが勇者が逃げ出した事に皆動揺していた。
その時、フローラの声に静まり返って彼女の話に耳を傾けていると、フローラは話の前に一人の少年を前に出した。
その少年は、ダイだった。
「ちょっと頭冷やして来たんだ、心配させちゃったみたいでごめん!」
登場したダイの姿に、皆の表情に活気が出て来た。
「皆…大魔王バーンは強い、聖母竜は神よりも強いって言っていた。…俺はバーンよりも弱い、武器もない…でも、このまま力任せに世界を踏みにじろうとする、あいつを放っておく事は出来ないっ!!」
ダイの言葉を誰一人口出しせずに、ただ聞いていた。
「俺が誰にも負けないってハッキリ言えるのは、その気持ちだけだ!…そんな俺でも良かったら…皆も力を貸してくれっ!!」
それに兵士達は雄叫びを上げ、レオナはダイに飛び付いて抱き着き、ポップやマァムもダイの元に駆け寄った。
その後、フローラは大魔王と戦う為の作戦を説明した。
大魔王の移動する要塞都市の動きを止める大呪文を会得する事、そしてアバンの使徒が五人揃う事。
しかしアバンの使徒の中でその大呪文を会得出来る者はいない。そしてフローラはある人物に六人目のアバンの使徒を選んだ。
それは、レオナだった。
大呪文の会得を受け入れたレオナ、フローラ、そしてサポートにメルル、ボディーガードにマァムが同行。
四人は大呪文が眠る破邪の洞窟に向かい、その間、他の者達は戦いの準備を開始した。
レオナ達が洞窟に入っている間、ダイは一人で特訓を開始しようとした。
その時ふと、自分とは別の、もう一つ持っているアバンのしるしを手に持った。
「…姉さん」
「ダイ!」
エルダのアバンのしるしを眺めていると声を掛けられ後ろを向くと、そこにはノヴァがこちらに向けて走って来た。
「ノヴァ」
「レオナ姫から頼まれてね、君の特訓に付き合うよ」
「本当!?ありがとう!」
ダイは自分アバンのしるしを首に掛けて服の中に入れる。ノヴァはしるしを見て疑問を感じた。
「ダイ、君だけ何故二つしるしを持っているんだ?」
「あ、これは姉さん…エルダのだよ」
「エルダ…さんの?」
ダイはエルダのしるしを持ち上げ、自分が持っている理由を簡単に教えた。
「そうか、そんな事が…」
「あれから結構経つんだけど、中々返す機会がなくて…」
アハハハ、と苦笑いしながら頭を掻き回すダイにノヴァも小さく笑い、エルダの顔を思い浮かべた。
だが、浮かんだ顔に笑顔が映った瞬間、ノヴァの顔は真っ赤になってしまった。
「…ノヴァ?どうしたの?」
ダイの言葉にハッ、と我に返り、慌てて頭を振った。
「と…取り敢えず特訓を始めよう!もう時間も余りないからな!」
「そうだね!今より少しでも力を付けて、ヒュンケル達や姉さんを助けなきゃ!」
“姉さん”その言葉に再びエルダの顔を思い浮かべ、また慌てて頭を振った。
「ノヴァってもしかして…姉さんの事好きなの?」
ギクッ、
半信半疑で言ってみたダイだったが、ノヴァの表情に少しずつ冷や汗を流した。
「が…頑張って!!」
「余計なお世話だ!それより、特訓を始めるぞっ!!」
取り敢えず励ましの言葉を掛けたダイに怒鳴り、ノヴァは剣を構えてダイに向かって行った。
処刑まで、あとわずか。
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