本編
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竜魔人に姿を変えたバランはハドラーを圧倒的に打ちのめし、その力の差にハドラーは驚いていた。
ハドラーはエルダやダイに深手を負わせた。
それに怒ったバランは凄まじい力を発揮して逆襲し出した。
片腕を折られ、もはや勝敗が決まったも同然だったがハドラーは最後の力でバランに向かった。
しかし僅かな差でバランはハドラーの胸を貫き、内部から黒の核晶を取り出した。
初めて気付いた黒の核晶にハドラーは驚愕し、バランは核晶をもぎ取ろうとした。
だが、そこに現れたミストバーン。
彼は自分の真の正体を表して、停止していた黒の核晶を作動し始めた。
「ミ、ミストバーン…!お前の正体は、まさか!?」
〔詮索は無駄だ、直ぐさまお前達はこの世から消えるこの顔を見てしまったからにはなおさら生かしておけなくなった…!〕
ミストバーンは去り、爆発寸前の黒の核晶。
そして辺りは白い閃光に教われ、死の大地が跡形もなく吹き飛んだ。
ズオオオオォン!!
.
目を覚ますと、目の前にはポップ、マァム、ヒュンケル、クロコダイン、ゴメのメンバーが倒れていたダイとエルダを見ていた。
「エルダ、大丈夫か?」
「ヒュンケル…?わ、私…」
ヒュンケルに支えられながら起き上がると、ダイも目を覚まし、まだ朦朧とする頭を整理した。
「そうだ…父さんが私とダイを眠らせて…、それで…」
整理しながらふと空を見上げると、そこにいる人物に目を疑った。
竜魔人の姿をしているにも関わらず、ボロボロな姿。もはや屍と言ってもいい姿に成り果てていた。
「なっ、何で…何で、あんな姿にっ…!?」
「…ダイ、お前達のいる場所をよく見てみろ…」
同じように動揺するダイにヒュンケルが回りを見ろと言い、ダイは回りを見て確信した。
バランはエルダとダイを爆発の衝撃から護った事。
倒れ落ちるバランに二人は駆け寄り、バランの名を叫んだ。
「しっかり!しっかりしてっ!!」
「父さん!父さん!!」
ピクリとも動かないバランにエルダは回復呪文を掛けようと体に手を置いた。
しかし、弱々しく掴まれたバランの手に止められた。
「…よ…せ…エルダ…」
「と…父さん…?」
「…お前、なのか…?ダ…ダイは…」
ゆっくりと上げた手をダイはすかさず握り、バランに向かって話し掛けた。
「俺はここだっ!皆も、ヒュンケルだって無事だよ!」
「…そうか…良かったな…だが、私は…もう助からん。あの瞬間…」
黒の核晶が爆発する寸前、ハドラーから核を外して背後にいる二人を見た。
壁に寄り掛かり、寄り添って眠るエルダとダイ。
その様子を見届け、全竜闘気を放出して爆発の規模を抑えた。
「もはや…私の体には一片の生命力すらも残っていない…いかなる治療も…手遅れだ…」
「嘘だ!父さんは真の竜の騎士なんでしょ!?自分で言ったじゃない!自分は何があっても死なないって!!」
「そうだ!どんな事があったって、死んだりするもんか!!死んだり…死んだりしないよおっ!!」
バランの左手をエルダが、右手をダイが握り締めながら涙を流す姿に、ヒュンケルは自分が父を亡くした時を思い出した。
どんなに泣いても父は生き返らない、今の二人は、幼いヒュンケルが体験した現象と全く同じだった。
「泣くな…私は真の竜の騎士ではない…」
「え…?」
「ダイ…お前には心がある…お前を育てたモンスターは私などよりずっと…正しい…人の心を持っていたのだろうな…」
もはや何も口に出来ず、ただ泣き続けるダイ。
「エルダ…お前もだ…私と同じような目に合いながらも人間を信じ続けた…ソアラのような強い心だ…」
「…も…いいよ…っ、これ以上…喋らないで…っ!」
号泣するエルダ、バランは最後の力を振り絞ってエルダの涙を拭った。
「泣き虫は…相変わらずだ…私がどこか…行く度に…お前はそうやって…泣く…」
「父さん…っ」
顔に添えられた手を力一杯握り締める。
「…エルダ…ダイ…強く…強く…」
最後に、バランは二人の手を握り返した。
「…生……き……ろ……」
握り返された手から力が抜けた。
「……とっ…」
「「父さあああぁぁんっ!!」」
.
死して初めてバランを父と呼んだダイ。
バランの体に顔を埋めて号泣するエルダ。
その時、ダイの体にバランの心が流れ込んできた。
今までの戦いの中で、バランが秘めていた言葉に出来ない想いを、エルダと同様に愛していた事を。
心の中で父の言葉を聞き終え、皆に背を向けて涙を拭った。
エルダは隣に座ったマァムに慰められながらバランの両手を胸の前で添え、静かに泣き続けていた。
しかしここは敵地。いくら辛くても歩みを止める訳にはいかなかった。
しかしポップは一時撤退を考えるがバランの死は皆の道を開く為の死、今ここで引けば彼の死は無駄になる。
ダイは先に進む事を決意し、マァムは未だに泣いているエルダを見た。
「エルダ…」
ギュッ
無理矢理涙を拭い、エルダはマァムに笑い掛けた。
「大丈夫…もう平気、戦えるよ…!」
目を赤くし、明らかに無理して笑っている事が解るが、敢えてその事に触れずにマァムは頷き返した。
「フフフフッ…!随分大きく出たね、魔法使いのボウヤ…」
声がした方に振り向くと、そこにはキルバーンとミストバーンが立っていた。
〔一同ひかえよ!大魔王バーン様がお会いになられる…!!〕
ミストバーンの言葉に凄まじい気圧と共に、一人の老いぼれた人物が現れた。
その人物こそが、大魔王バーン。
その威圧感に皆は口を閉ざすが、バーンはここまで辿り着いたダイ達に褒美として、バーン自身だけで戦う事を発言。
他のミストバーンとキルバーンには手を出さない事も約束した。
そしてダイ達はバーンに構えたが、奴はバランの方に指を向けた。
「竜騎将バランにもはなむけをくれてやらんとな、その男にはせめて“人間らしい最期”を与えてやろう…」
バーンの指から放たれた小さな光はバランに向けられその光にいち早く気付いたのはポップだった。
「み、皆避けろ!メラゾーマだっ!!」
光が触れた瞬間、バランの体は炎の渦に包み込まれ、それに怒ったダイはバーンに向かった。
だが
ドンッ
何かの衝撃を当てられたダイは倒れ、その光景にエルダからブチッ、という音が聞こえた。
「うわああああっ!!」
竜闘気を全開にし、剣を握ってバーン向かって飛び出したが、エルダの剣は難無く受け止められた。
ドンッ!!
ダイと同じような衝撃を強く当てられたエルダは吹き飛ばされ、そのまま気を失ってしまった。
いとも簡単に、竜の姉弟は倒されてしまった。
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