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アバンに連れられてから十一年の月日が流れ、世界はまた、魔王軍に苦しめられる日々が訪れた。


そして、ロモス地方にあるデルムリン島。そこに住んでいた少年に危険が迫っていた。



魔王の魔力によって凶暴な魔物に変わり、そこの唯一の少年。ダイはその様子に唖然としていた。

彼の育ての親、ブラスは魔王が復活した事を告げ、ダイに島を出るよう言った。


だが、ダイはそれを拒んだ。


「じいちゃんが育ててくれたから、俺はここまで大きくなれたんだ!皆が一緒にいたから、俺は生きてこられたんだ」

「ダイ…」

「そんな、じいちゃんや皆を置いて俺一人だけ逃げるなんて、逃げるなんて出来ない!!そんなの、勇者のする事じゃないよ!」



「そのとーり、いい事を言いますね君は。ダイ君」


突然入ってきた第三者の声にダイとブラスは後ろを向くと、赤い服を着た男性と後ろの小船には二人の少年と少女が乗っていた。


「オッホン、島を出る必要はありませんよ」

「だ、誰!?何で俺の名前を!」

「ま、この場は私に任せて下さい」


そう言うと持っていた剣を手に取り、鞘に入れたまま地面に付けて迫ってくる魔物達に向かって走り出した。


「あ、危ない!」


慌てて止めようと前に出るが、小船にいた少年に肩を掴まれて止められた。


「心配すんなって、先生はスゲーんだから」

「せ、先生!?」


一緒にいた少女も浮いているゴールデンスライムのゴメちゃんの頭を撫でながら頷いた。


そして先生と呼ばれる男性は迫ってくる魔物を簡単に吹っ飛ばし、そのまま島中を走り続けた。



暫くするとダイ達の所に戻り、剣で付けた線を全て繋げた。



「邪悪なる威力よ、退け。マホカトール!!」



呪文を唱えると繋げた線が光りだし、魔物達が少しずつ大人しくなっていった。


「これは邪悪な意志を持つ者は絶対に入れぬという魔法陣、マホカトールっていう呪文だよ」

「マホカトール?」

「だれもが使える呪文じゃない高度な結界呪文だよ」


少年少女が説明すると、先程の男性が近寄って来た。


「貴方は一体…」

「あ、これは申し遅れました。私は…こういう者でございます」


ブラスが尋ねると、男性は懐から巻物を出し、それを広げ見せた。

その巻物の内容をブラスとダイが読み上げていく。


「んん?勇者の育成ならおまかせ。アバン・デ・ジニュアール三世。魔法使いや僧侶も一流に育てあげます」

「私に連絡下さい。どうぞよろしく」

「「へえ!?」」


巻物に書かれたものを読み上げ、ダイとブラスは唖然とした。


「アバン・デ・ジニュアール三世。勇者育成業。まあ平たく言えば、家庭教師ですね」

「「家庭教師!?」」


驚く二人と一匹をよそに、アバンは眼鏡を光らせて自己紹介をし始めた。


「そう!正義を護り悪を砕く、平和の主導。勇者、賢者、魔法使い!」


パンッ


側にいた少年がクラッカーを放った。


「彼等を育て上げ、長一流の戦士へと導くのが私の仕事なのです!」


イエーイと言いながら手をヒラヒラさせる少年。その様子にブラスは少し呆れた。


「これは弟子のポップです。現在魔法の修行中の身であります」


ポップという少年は照れながら挨拶し、アバンは次にダイ達の側にいた少女を見た。


「そちらにいるのも弟子のエルダです」

「よろしくね」


エルダという少女はそう言い、ダイ達に笑い掛けた。


「それで、その家庭教師が何故この島へ?」


抱いていた疑問を話すブラスに、アバンは魔王が復活した事を告げた。


「私は、パプニカ王国の王家から頼まれて、ここに来たのです」


アバンの話を聞きパプニカにいるレオナ姫の事を考えていた。


「どうしますかダイ君、私の修行を受けてみますか?魔王を倒す為に。もちろん修行は無茶苦茶ハードですよ」

「よーし、やる!レオナがピンチだっていうなら救いに行かなくちゃ!それに、魔王を倒さない限り、じいちゃんや島の皆も平和に暮らせない!」


ダイの言葉にブラスは驚いた。


「俺を、鍛えて下さい!そして、本当の勇者になって魔王を倒す!」

「宜しい!では…」


アバンは懐に手を入れた。そして…。


「この契約書にハンコを、何だったらサインでも結構すよ」


思ったよりふざけた内容にダイ達はずっこけ、ポップとエルダは呆れた。


その時、空から三つの影が現れた。それは鳥人間。ガーゴイルだった。

三匹は真っ直ぐこちらに突撃したが、先程のアバンの結界に拒まれてしまった。


「どうやら、魔王の偵察隊のようですね。ポップ、あいつらをやっつけちゃって下さい」

「ええ!俺一人でですか?」


突然話を振られ、ポップはあからさまに嫌な顔をした。


「その通り、私は破邪の呪文、マホカトールを使ってベリーベリー疲れているのです」

「ちぇ、ずりーな先生」

「頑張れポップ君~」

「お前も来いエルダ!お前さっきから何にもしてないんだから、少しは手伝え!」


自分を応援するエルダを引きずって魔法陣の外に向かい、ガーゴイル達を指差した。


「おいカラス野郎!俺達が相手してやるから降りてこーい!」

「な、何ー!?このガキが笑わせるな!」


ガーゴイルの一匹がポップに向かって行くが、彼は慌てる事なく懐から小さな杖を出した。


「メラゾーマ!!」


杖から出た炎にガーゴイルは黒焦げになり、ダイ達はポップの魔法に驚いた。


「っ、キサマ!」

「へーんだ!今度はお前を焼鳥にしてやるぜ!」


次のガーゴイルがポップに向かい、なんと彼に向かってマホトーンを掛けてしまった。

マホトーンによって呪文が使えなくなってしまったポップは慌て、そんな彼にエルダが近付いた。


「何してるの、ガーゴイルはマホトーンが得意だって教わったのに」


慌てるポップを余所に冷静に言うエルダ。そんな二人を待っている程、敵は甘くなかった。


「二人纏めて葬ってやるー!」


ガーゴイルが剣を二人に振り上げた瞬間。エルダは服の下に隠していた短剣で剣を抑えた。


「な、何だと!?」

「不意打ちなんて、格好悪いだろ!」


エルダはガーゴイルを真っ二つにし、またも不意打ちをする最後のガーゴイルの攻撃を受け止めようとした時。


「っ!?何だこのチビは!」


魔法陣内にいたダイがナイフでガーゴイルの剣を防いでいた。


「魔王の手下め…、この島から出て行け!!」


ダイはガーゴイルの腹を殴り、ナイフで押していくが途中からガーゴイルに押され、ナイフを吹き飛ばされてしまった。


ガーゴイルがダイに止めを刺そうとした時、アバンの剣がダイの元に投げられた。


「貸してあげます。由緒正しき、伝説の名剣を」


ダイはアバンからの剣を握り、大きく振りおろした。

するとガーゴイルの背後の海が裂け、程なくしてガーゴイルも真っ二つになった。


ダイは倒れたガーゴイルを見ながら自分が倒せた事を島の魔物達と一緒に喜び合った。


「流石、先生の剣のパワーは凄いですね」

「ん、そう?まあね」


剣の威力に驚くポップとは逆に、アバンとエルダは違った意味で驚いていた。


「先生、あれって古道具屋の安物じゃ…」

「これは、凄い逸材を見つけてしまったようですね」


エルダの疑問にアバンは少し嬉しそうに答えた。



こうして、ダイの勇者の修行が開始された。


.

ガーゴイル達を倒した後、アバンは修行の内容を説明した。


「明日から勇者の特訓を始めます。ポップ、エルダ。貴方達は姉兄弟子なんですからダイ君に色々教えてあげて下さいね。」

「「はい」」


アバンの言葉に返事をしたポップとエルダは、それぞれ握手をした。


「よろしく、ポップさんにエルダさん」

「ポップでいいよ」

「私もエルダでいいよ、よろしくね、ダイ君」


三人は挨拶を交わし、アバンはダイの修行内容を説明した。


「さて、世界中の人々が魔王軍に苦しめられていますからね。ダイ君には早く勇者になってもらわないと」


アバンの言葉にダイは苦しめられている人々の事を想像した。


「そこで、ダイ君には一週間で勇者になれるスペシャルハードコースを受けて貰います」

「ええ~!?スペシャルハードコース!?」

「え!一週間で勇者になれるの!?」


アバンが出したスペシャルハードコースの言葉にポップは動揺し、ダイは笑顔にエルダはあら、という顔をした。

ダイの笑顔を見たポップはアバンから少し離れて小声で話した。



〔おい、止めとけよ、スペシャルハードコースっていったら今まで誰も達成した事のない無茶苦茶ハードな修行なんだぞ〕

「ポップ、貴方もいつでもスペシャルハードコースに参加していいんですよ」


ポップの小声が聞こえていたアバンは彼にも修行を進めたが、ポップは丁重に断った。


「俺やります!スペシャルハードコースを受けさせて下さい!」

「宜しい、エルダ。明日から手伝いをお願いしますね」

「分かりました」


ダイの活気な声にアバンは笑顔で頷き、側にいたエルダに手伝いを頼んだ。



翌朝、早速修行を開始する事になった。


「さて、始めますか」

「最初は何をすればいいの?」

「じゃあまず…島を一周してきてくれない?勿論走って」

「な~んだ、そんな事でいいんだ。なら早速…」


走り出そうとするダイの腰にロープを付け、ダイはそのロープの先を見てみると少し大きめの岩が三つ、繋がれていた。


エルダ、何して…」

「だってスペシャルハードコースだよ。これくらい出来なきゃ、一週間で勇者にはなれないよ」


ダイは岩を見てあんぐりと口を開けたが、エルダの言葉に意を決して走り出した。



「うおおおおおっ!」



必死になって走るダイをゴメちゃんは不安そうに見つめ、エルダはゴメを優しく撫でた。


「これはダイ君が決めた事なの。辛いのは解るけど、ダイ君の気持ちも考えてあげて」

「ピィ~…」


心配そうな声を出し、ダイの元に飛んで行った。


暫くして島を一周したダイは浜辺で一休みしているとアバンがよいしょ、と言いながら巨大な岩を持ってきた。

その光景を呆然としながら見るダイに、アバンは声を掛けた。


「ダイ君、これ剣で割って下さい」

「えぇ?こんなでっかい岩を?」

「今日中にクリアしてくれないと困ります。なんせ一週間で勇者になれるスペシャルハードコースですから」


自分の剣を渡しながら言うアバンを見ながら剣を受け取り、ダイは巨大な岩を見た。


「でええええぃ!!」


気合いをいれながら剣を振るが、逆に剣の方が折れてしまった。


「げっ!で、伝説の名剣を折っちゃったよ!」


ごめんなさいと数回アバンに謝りながら剣を返すが、彼は怒らなかった。


(やっぱり古道具屋で買った剣だったか)


エルダはアバンの顔を見ながら大体想像して溜息を付き、彼はダイを通常特訓コースに進めた。





特訓コースは基礎訓練から始まり、格闘技の指導。昼食後は剣法や魔法や、モンスターの猛勉強。そして魔法の力高める為の瞑想。

そして、魔法の特訓に突入した。


浜辺に向かい、今日は津波を凍らせる事にした。



「ヒャダルコ!!」



ポップが津波に向かって呪文を唱えると、津波は凍ってしまった。


「スゲー!やっぱポップの魔法ってスゲーな!」

「へへ、まあな」


ポップはダイに向かって威張るが、エルダは凍った津波に近付きコンコン、と叩くとその部分が割れて水が流れ出した。


「いつもながら爪が甘いですね」


後ろにいたアバンはポップに呆れ、少し残念がるポップにダイとエルダが小さく笑った。


「魔法は集中力が大事なのです。さ、ダイ君。次は貴方の番です」

「は、はい!」


ダイは次に来る津波に構え呪文を言った。

だが。


「ヒャドー!!」



バチャーン!!



魔法は出る事なくダイは波に飲まれ、それを見たアバンはガッカリした。


「魔法は望み薄ですね」


その分ダイには剣術を教え夕方まで続けると、アバンは最初に持ってきた岩をまたダイの前に置いた。


「さ、ダイ君。もう一番チャレンジです」


ダイはよろめきながらナイフを構え、岩に振り下ろした。

すると、朝は割れなかった岩が真っ二つに割れてしまった。


「わ、割れたよ先生!」

「不思議ですか?簡単な理屈ですよ。一番自然な動きです。君の剣には無駄が動きが多かった、元々君にはこれぐらいの岩を割る力はあったのです」

「先生、先生って本当に凄いんだね…」


そう言うと、ダイは力尽きたのか眠ってしまい、そんな彼を見ながらアバンは微笑んだ。


エルダ、ダイ君を介抱してあげて下さい」

「はい、先生」


エルダはアバンからダイを受け取り、彼を抱えてブラスの家まで運んだ。



眠ったままのダイに回復呪文のホイミを掛けると、彼の切り傷が少しずつ消えていき、それを見たゴメは安心した。


「お疲れ様」


エルダはダイの頭を一撫でし、アバン達がいる寝床に向かった。


「先生、ダイ君の介抱終わりました」

「ありがとう」


既に横になっているアバンに報告し、隣で布団を被っているポップを見た。


「ポップ君、どうかしたんですか?」

「ダイ君に影響されているみたいですね。困った子ですよ」


笑いながら言うアバンにエルダはふう、と息を吐き、自分も寝床に入った。


エルダ

「…何ですか?」


アバンの方を見ずに返事をするエルダに、彼は真剣に言った。


「ダイ君は本当に勇者になれると思いますか?」


その言葉に、エルダは閉じていた目を開けた。


「どうしてですか?」

「単に聞いてみただけです」


数秒間黙った彼女に、アバンが諦め掛けた時、再び声が聞こえた。



「それはダイ君次第です。強くなろうとならまいと、全てはダイ君次第です。」


そう言ってエルダはおやすみなさい、と言い眠りに付き、アバンは空に浮かぶ月を見た。



「その通りですよ、エルダ

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