本編
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「エルダーーッ!!」
メガンテを放ったエルダ。
同時にその場は大爆発が起こり、爆風が巻き上がる中ダイはエルダの名を叫んだ。
「エルダ!ごめん!ごめんよぉぉーー!!」
「…戻った!?ダイ君の記憶が…!!」
「バカヤロウ!エルダーー…っ!」
エルダの名を叫んで涙を流すダイとポップ。他の三人はダイの記憶が戻った事に驚いた。
暫くして爆風が止み、ダイは回りを見回していたが、空を見上げて叫んだ。
「あああっ!?」
ダイの叫びに空を見上げると、そこにはエルダを掴んだバランの姿があった。
「そんな…!エルダが命を駆けたのに!」
「奴にはメガンテすら全く効かないというのか…!?」
「いや、流石の私もメガンテだけはダメージを受ける。だが、爆発が起こった瞬間わずかな隙が生じ、私は上空に飛び、その勢いでエルダを振りほどいたのだ…」
バランはエルダを投げ捨て、落ちていくエルダをポップが受け止めた。
「エルダ…、エルダ!嘘だろ…?目を開けろよ!」
「愚か者め」
バランは二人向けて額の紋章から閃光を放ち、ポップはエルダを抱きしめて庇うが、その二人を庇ったのはダイだった。
「ダ…ダイ…」
「やめろ…これ以上俺の仲間に手を出すなッ!」
バランは立ち塞がったダイを見て完全に記憶が戻った事を悟った。
「あんたが本当に俺の父親ならなんでこんな事するんだ!?俺の思い出を奪ったり…仲間を傷つけたり…揚句の果てにはエルダまで!!」
「黙れ!人間と奴らに味方するものは全て根絶する!お前もエルダのようになりたくなければ私に従え!!」
「嫌だぁぁッ!!」
言う事を聞かないダイに苛立ちを見せたバランは紋章の力を発動させ、再びダイの記憶を消そうとした。
「さあ!全て忘れてしまえディーノッ!そして真の我が子となるのだッ!!」
嫌だ…っ!俺はもう二度と皆を、エルダを忘れるもんか!!
痛みを堪えながらダイは立ち上がる。
「まだ父に逆らうつもりなのかッ!!この愚か者がっ!!」
「お前なんか…お前なんか…っ!お前なんか父さんじゃないっ!!」
ダイは飛び出し、素手でバランを殴り、バランは驚いてダイの手を見ると、竜の紋章が拳に現れていた。
(こんな事が…、長い歴史の中、額以外で紋章が発動する事など一度たりともなかった!!
まさか人間の、ソアラの血が…!?ソアラよ!お前までが私が間違っているというのか…!?エルダと同じように…っ!)
物凄い勢いで戦うダイとバラン。
レオナはダイを見ながらポップとエルダの元に向かった。
「ポップ君、エルダは…!」
「姫さん…駄目だっ、全然反応しねぇよ…」
号泣するポップにレオナはエルダを寝かせるよう言い、レオナは彼女に向けてある呪文を唱えた。
「ザオラル!!」
その呪文を見ていたメルルは声を上げた。
「ザ…ザオラルだわ!死者の命を復活させるという蘇生呪文…!」
「じゃあエルダは助かるのか!?」
メルルにホイミを掛けてもらっているヒュンケルは彼女に聞くが、メルルは解らないと言った。
「熟練した僧侶でも成功率は50%以下だという事ですし…」
「姫の魔法のレベルが頼りか…」
ヒュンケルはクロコダインの手を借りてダイに剣を渡し、バランとダイは互いに隙を見つけながら最後の一撃を決めるチャンスを待っていた。
必死にザオラルを掛け続けるレオナ。しかしエルダには全く反応がなかった。
(…駄目だわ、全く反応がない…このままじゃ…。お願いエルダ、生き返って…ダイ君の為にも…っ)
.
凄く綺麗な雲の上。
エルダは辺りを見回しながら何故自分がここにいるか理解した。
「ここは…そうか、私死んだんだ。ここはあの世かな?父さんはまだかな…?」
一人ぽつぽつと呟きながら父の姿を探していると、何処からか声が聞こえた。
(…エルダ…)
「え?」
(…エルダ)
「その声…は…」
前方から光が現れ、中からは母、ソアラの姿があった。
「か…母さん…」
(エルダ、大きくなったわね)
「…母さんがいるって事は…やっぱり私は死んだんだ。父さんは何処?」
エルダの声にソアラは無言である一点を指差すと、そこにはダイと戦っているバランの姿が映し出されていた。
「そんな…、私は…失敗したの?」
(エルダ…)
「何の為に…皆を護る為にした事なのに…っ、無駄だったの…!?」
崩れ落ちるエルダを、ソアラは何も言わずに見つめていた。
「私は…二人が戦う所を見たくなかった。ただそれだけなのに…っ!」
(…エルダ、貴方は皆を助けたい?)
「…え?」
(バランやディーノの戦いを止めたい?)
母の問い。それにエルダは迷わず答えた。
「…止めたい」
エルダは涙を流しながらソアラに向かって言った。
「このまま逝くなんて出来ない…皆を、ダイを助けたい…ッ!」
そんな彼女を、ソアラは優しく抱きしめた。
(なら祈りましょう。戦いが終わるように…竜の神に)
母を強く抱きしめながら、エルダは必死に祈った。
お願い…お願い…っ!
ダイを助けてッ!!
ドォォンッ!!
最後の一撃をダイに放とうとした瞬間、何かの呪文がバランの背後を攻撃し、バランスを崩した。
バランはその方向を見ると、それは死んだ筈のエルダだった。
「バ、馬鹿なッ、エルダ!?」
「今だ!!」
バランの隙を付いたダイはアバンストラッシュで一撃を与え、爆発と共にダイは地面に叩き落とされた。
「ダイッ!!」
ふらつきながらポップはダイに近寄り、よろめく彼を支えた。
「やったなダイ!」
「うん。ヒュンケルごめん、剣を…」
ダイの全パワーに耐え切れずに、ヒュンケルの魔剣は消滅し、彼に謝るがヒュンケルは気にするなと返した。
「…そうだ、エルダにもお礼言わなきゃ…」
「そうだな、エルダのお陰でもあったんだしよ!」
ダイ達はレオナとエルダの方を見るが、未だにエルダは倒れていて、レオナは涙を流していた。
「…レオナ?」
「…だめ、エルダは生き返らない…!」
「な、何でだよ姫さん!だってさっきエルダは呪文を…!」
「あたしにも解らない…でも、あたしのザオラルは成功しなかった…!」
浸すら謝るレオナ、ダイとポップはよろめきながらエルダに寄って呼び掛けるが、エルダは反応しなかった。
ザンッ
背後から聞こえた音にそちらを向くと、そこには血だらけのバランがいた。
「バッ…バラン!」
ダイはバランの方を向いて構えるが、バランはゆっくりと近づいてダイの横を通った。
「虚勢を張るな…もはや戦う力なと一握りも残っていない事は判っている…お互いにな」
バランはそう言い、倒れたままのエルダの元に立った。
(間違いなく心臓は停止している…ディーノの危機を察知したという事か?エルダ、お前はもう…私の知っているエルダではないのだな…)
バランは幼い頃のエルダを思い出し、意を決したような顔をして、エルダに手から溢れた血を飲ませた。
そして再びダイの横を通った。
「ディーノ…、私はもはや何も言うまい。お前はお前の信ずる道を行け…」
「ッ!?」
発せられた言葉にダイはバランの方を向くが、彼の表情は強張っていた。
「だが!この世に竜の騎士は二人もいらん!我が剣が甦り、傷の癒えた時こそ雌雄を決してやる!!」
「ま…魔王軍へ戻るのか!?」
クロコダインの言葉にバランは、もはや魔王軍など眼中にないと告げ、ダイに自分が勝ったら人間を滅ぼすと言った。
ダイは分からず屋と叫ぶがバランは何とでも言えと言い去り、そんなバランを見ていると、レオナはある音を聞いた。
トクン トクン ドクン
レオナがエルダを見ると、彼女から鼓動が聞こえ、微かに指が動いた。
「エルダが…!い、生き返ったわ!脈がある…!!」
「ま…まさかッ!?」
レオナの叫びに、一同は再びバランを見た。
「…今度会った時には容赦せん!ディーノ…いや、ダイよッ!覚悟しておけッ!!」
バランはそう言い残して今度こそその場を去った。
そしてダイは、バランの後姿に始めて暖かみのようなものを感じ取っていた。
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