本編
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よろめきながらも立ち上がるダイに、バランは再びダイを説得した。
だがダイはそれを拒否。
自分の名前はダイ。本当の名前も何もない。
「俺は魔王軍と戦う、勇者ダイだ!!」
ダイの言葉にポップとレオナは感激し、彼の言葉にバランは掴んでいたエルダを突き飛ばした。
「エルダ!」
「そうか、わかった…。では人間どもの呼び方に従って“ダイ”と呼ぼう!」
バランはダイ向けて叫び、レオナは突き飛ばされ倒れたエルダに駆け寄った。
「ダイよっ!人間どもに味方する勇者として、お前を倒す!素直に我が軍門に下らぬと…命が無いものと思えッ!!」
叫ぶバランにダイは少なからず怯え、“アバンストラッシュ”を構える。
しかしその技を一度受けたバランは技の全てを見抜いてしまい、自分には効かぬと言った。
ダイは雄叫びを上げて紋章を出してライデインを剣に落とし、ストラッシュと同時にバランに放った。
だがバランは慌てずに剣を抜き、ダイの技を剣で受け止めてしまった。
「そ、そんな…!」
「よくぞここまで竜の力を操った!ではその闘気と勇気に免じて見せてやろう!真の竜の騎士が天を操った時の力がどれほど凄まじいかをなっ!!」
バランは剣を構えて紋章を出し、剣にギガデインを落とした。
「ギガブレイク!!」
バランの技を受け、ダイの鎧は粉々に砕け、湖に叩き落とされてしまった。
「ダイ君っ!!」
「ピピィ!!」
エルダの叫びにゴメはダイが沈んだ場所を回り、ポップがバランに挑もうとした時、助っ人が現れた。
「獣王クロコダイン!!」
現れた獣王の登場にポップは喜んでいた。だが彼の手を握ると、クロコダインは震えていた。
彼はポップとレオナにダイを任せ、一人でバランに向かって行った。
獣王の斧がバランの首を跳ねようとした。だが逆に斧の方が砕けてしまった。
「これぞ、竜の騎士最強の秘密…、竜闘気(ドラゴニックオーラ)!!」
バランは竜闘気という防御幕を張りながら、クロコダインを吹っ飛ばした。
「この竜の紋章が輝くと、私の体は竜闘気と呼ばれる生命エネルギーの気流に覆われる。それは全身を鋼鉄に強化し、あらゆる呪文を跳ね返す!!」
それにクロコダインは、かつてロモス城で戦った時のダイの体の強度と、地底魔城のマグマの中エルダが張っていた気流を思い出した。
「そして、この竜闘気を全開にし、その威力を持って戦えば…、この地上のいかなる生物も太刀打ち出来んっ!!」
バランは獣王に急接近し、何度も殴り付け、攻撃する斧を避けて右腕を折り、右目を潰した。
「クロコダインっ!!」
エルダが倒れた獣王に向かおうと駆け寄る。だが、それは途中にいたバランに拒まれてしまった。
「っ、父さん…!」
「何故駆け寄る?奴は人間の味方をした、我等の敵なのだぞ!」
「仲間だからよ!」
「…何?」
叫ぶバランにエルダは叫び返し、自分の想いをぶつけた。
「父さんにとっては敵でも私にとっては大切な仲間よ!ポップ君やレオナ、それにダイ君だって!今まで一緒に戦ってきた大切な仲間よ!」
「エルダ…」
彼女の言葉に、ポップは少し感激する。だが、バランはエルダの言葉を遮った。
「愚か者がっ!」
バシッ!
バランはエルダの頬を容赦なく叩き、彼女はその場に倒れた。
「余程人間共に毒されたのだな、この11年何処にいると思えば、まさかそんな事を口にするとは…」
エルダは叩かれた頬を抑えながら、バランを見上げた。
「だがそれは全て見せ掛けだ!人間がどれだけ醜い存在か、お前がよく知っている筈だ!!」
「そんな事ないっ!人間だっていい人はいるし、いい所もある!母さんのように!!」
エルダの発した“母”という言葉にバランは目を見開き、暫く考え込み、また鋭い目でエルダを見た。
「ならば、仕方ない」
バランは再びエルダに手を伸ばそうとした。だが、それは彼女の前に出たポップに阻まれた。
「ポップ君…!」
「小僧、何のつもりだ?貴様が私に勝てない事は解っている筈だぞ」
「うるせぇ!勝てない相手だって事は解ってるさ!でもな、エルダは俺の大事な姉弟子だ!黙って見ている訳にはいかねぇんだよ!!」
ポップは自分の杖でバランを攻撃しようとしたが、立ち上がったクロコダインに止められた。
クロコダインは残った左腕で最後の技を、ポップは杖を構えた。
そんな二人に対してバランはギガブレイクの構えを取り、放とうとした瞬間、背後の湖の平面が輝き出した。
湖の中から現れたのは、復活したダイだった。
遅れて湖から出て来たレオナはポップ向けて叫んだ。
「ベホマを懸けたわ!体力だけは全快よ!!」
「さっすが賢者の卵!!」
ポップとクロコダインの前に着地し、バランを睨み付けるダイ。その様子にも変わらず、バランはギガデインを放った。
だがギガデインがバランの剣に落ちる前にダイは自分の剣でそれを防いだ。
「今だクロコダイン!俺の打つ方向に合わせて、あの技を!!」
「よしっ!」
ダイはナイフでアバンストラッシュを放ち、その方向向けて、クロコダインが獣王会心撃を出し、二つを受けたバランは大爆発した。
「き、決まった…」
爆発、それによって出来た煙を見て呆然とした。
その間にクロコダインの目を診るよう頼むと、隠れていた占い師のメルルが獣王の様子を見た。
しかしクロコダインはメルルに早く逃げるように忠告した。
「で、でもよ、いくら何でもあんなすげえのを喰らっちゃあ…」
「…まだよ」
舐めた様子のポップの言葉を、エルダが遮ると、険悪な顔をした。
「あの人は、まだ生きてる…っ!」
エルダの言葉に爆発した部分を見ると、彼女の言葉通り、剣で己を支えたバランの姿があった。
「や、やっぱり…!」
「竜闘気を全開にして、全身を防御したんだわ」
バランの様子にダイとレオナは叫び、ポップは再び動揺し出した。
「ど、どうすんだよ!?アバンストラッシュと獣王会心撃を同時にぶち込んでも無傷じゃ…!」
「…いや、効いてる!」
再びバランを見ると、彼のこめかみからは赤い血が流れていた。
バランは自分が傷付いた事に驚き、ダイ達を睨んだ。
「クロコダイン!俺達の技は、効果がなかった訳じゃないんだ!」
「ウム!こうなれば、力尽きるまで技を振るうのみ!」
「…残念だが、同じ手は喰わん!」
その言葉に、エルダは何か不安が過ぎった。
「だが、万に一つという事もある、だから私は、この場で残る全精力を向けてダイとエルダの“根源”を奪う!!」
バランは己の闘気を消し、紋章を発動させた。そしてその反動に、ダイとエルダの紋章も輝き出した。
「うわあああっ!!」
「何!紋章がっ…、あああ!!」
痛みを堪えながら目を開くと、そこには、殺された母の姿。
その光景だけが何度も何度も繰り返された。
「や…めて…っ…、 やめてーー!! 」
ダイとエルダが同時に叫んだ瞬間、二人は力が抜けたように倒れ、バランも力を使い果たし、剣を収めた。
だが引こうとした瞬間、最後の力を振り絞り、エルダだけを抱えた。
「エルダは連れて行く」
「っ、何だと!?」
「今のお前達の側に置いていても何も出来ぬ。ただ傷付ける事しか出来ない!」
バランはそう言い、エルダを連れて飛び去ってしまった。
「エルダーー!!」
二人の姉弟は引き裂かれた、実の父親の手によって。
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