本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ベンガーナから離れた小さな王国、テラン。
あの後、占い師であるナバラとその孫娘のメルルと共にこの国にやって来た。
理由は、ここにダイが何者かという事が分かるかも知れないからだ。
ダイは湖の底にある神殿に一人で向かい、その行動にポップは涙を流した。
「バカ野郎!くだらねえ事気にしやがって…!俺とお前は友達じゃねえか!仲間じゃねえか!例えお前の正体が化物だって…、そんなの関係ねぇじゃねえか!!」
「ポップ君…」
崩れ落ちる彼にエルダはそっと手を添え、ダイの向かった湖を見つめた。
.
その数分後湖が渦巻き、占い師である二人が、この下に凄まじい力を持った何かがいると告げた。
そして湖から光りの柱が現れ、その中にはダイの姿があった。
地面に叩き付けられたダイに駆け寄り、何があったか聞こうとした時、光りの柱の中に一人の男性が浮いていた。
その額には、ダイと同じ竜の紋章が浮かび上がっていた。
ダイはよろめきながら立ち上がり、彼が超竜軍団長、バランだと告げた。
ドサッ
倒れる音に皆が後ろを向くと、エルダがその場に座り込んでバランを見つめていた。
「エルダ?一体どうし」
「…さん?」
「父さん…?」
エルダの言葉に、皆は目を見開き、ポップは少し戸惑いを持ちながら彼女に話し掛けた。
「エルダ、お前、こんな時に何冗談なんか言って…」
「…やはり共にいたか、エルダ」
ポップの言葉を遮り、バランはエルダに向かって声を掛ける。だが彼女は動揺していて何も言葉が出せなかった。
「事情は後で聞く。今の最優先は、お前だ」
エルダからダイに目線を向け、歩み寄る。
ポップは重力呪文を使ってバランを足止めし、レオナはその間にダイに回復呪文を掛けた。
だが、背後から聞こえる足音にポップは振り返ると、バランは彼の重力呪文の中平然と歩いていた。
「ド、ドラゴン数匹をしとめた俺の最強呪文が…、足止め程度にしかならねえなんて…!」
「竜の群を束ねる軍団長がドラゴンより弱いとでも思ったか…?」
「無駄なあがきはよせ!!」
バランの紋章が光り、ポップの呪文を跳ね返し、皆にダメージを与えた。
ダメージによって倒れる中バランは倒れているダイに近付き、そんな彼をエルダが止めた。
「止めて父さん!」
倒れて動かないダイを庇うようにエルダが傍に寄る。
「どけ、エルダ」
「どうして!何でこんな事するの!?父さんが探しているのはあの子でしょ!なのにどうしてダイ君を!?」
「…気付いていなかったのか?」
「…え?」
バランの言葉にエルダは少し動揺するが、そんな二人の間にレオナが立った。
「だめよ!ダイ君やエルダは連れて行かせない!!」
「そ、そうだ!いくら同族だからって、ダイを自由に出来る権利なんかねえ筈だ!!」
レオナに続いてポップもバランに向かって叫ぶと、彼はダイを見ながら静かに答えた。
「権利なら…、ある。親が子供をどう扱おうと、勝手のはず」
その答えにレオナとポップは顔を見合わせ、エルダは目を見開いた。
「なんて…、今、なんて言ったの…!?」
「この子は私の、息子だと言ったのだ。本当の名は…」
「ディーノ!!」
その言葉に、一同は驚愕しダイは虚ろな意識の中で否定した。
…う、そ…だ…!
驚く中、エルダは倒れているダイに目を向け、父の言葉を思い出した。
本当の名は、ディーノ!!
「ダイ君が…、ディーノ…?」
静まり返る中、ポップは叫び出した。
「デタラメ言ってんじゃねえよ!!ダイはデルムリン島に流れ着いた孤児だって聞いたぜ!同じ種族だからって…何か証拠でもあんのかよ!!」
「その子の額の紋章がなによりの証拠。この地上に私以外で紋章を持つ可能性があるのは唯二人、11年前に生き別れたディーノと我が娘、エルダだけだ!」
エルダにはもう、何も聞こえなかった。唯ひたすら父の言葉だけを考え、何故ダイが弟だと気付かなかったのか、と考えていた。
「ならどうして、エルダはダイ君が弟だって気付かなかったの!?」
今自分が考えていた事をレオナがバランに質問し、エルダは我に反ってバランを見た。
「そうだ!エルダは何度もダイの紋章の力を見てきた!だけど、そんな素振りは一つも見せた事がなかったぜ!!」
レオナや、それに続くポップに、バランはエルダを見た。
「当たり前だ、エルダの竜の騎士としての記憶は、全て私が封印したのだからな」
「…え?」
バランの言っている意味が解らないらしく、エルダは思わず聞き返した。
「幼い頃からエルダの力は暴走する時があった。それゆえに私はエルダの力を封印した。些細な事では決して発動しないよう施したのだ」
「っ!」
全てを言い終えると、バランはエルダに手を伸ばして自分の方に引き寄せ、次にダイに手を伸ばした。
だがその時、ダイはよろめきながらも立ち上がろうとし、その彼の様子にレオナやポップ、エルダは驚いた。
「バカめ、今更立ち上がった所で未熟なお前に成す術などない事がまだ解らぬのか!?」
「うっ、ぐうう…っ」
「お前と私とでは、その力において雲泥の差があるのだぞ!!」
バランの諦めろと言わん言葉にも屈折ず、ダイは起き上がる行為を止めなかった
「そんな事解っているさ、でも、俺には…、最後の武器がある…!」
「最後の武器だと…?」
マトリフに言われた、ダイの残された武器でバランに通じそうなもの、それは。
どんな強敵にも立ち向かっていく、この“勇気”しかない。
.