本編
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レオナ姫を無事救出し、パプニカ王家の者達は神殿の跡地で盛大な宴を開いていた。
「いいわねエルダ!」
数時間前まで瀕死状態だった姫が片手にワインを持ってエルダを指差す。
彼女の傍には既にワインを数本空けたであろうビンが転がっていた。しかし、今姫を止める者はいない。
「…何?」
指差され、大声で呼ばれたエルダは姫が何に対して言っているのか分からず、首を傾げる。
「アナタもアタシの事、レオナって呼ぶのよ!」
酔っ払っている彼女の隣では、マァムが呆れ顔で座っており、エルダも呆然としながら話の内容を理解した。
敬語は使うな。つまりはそういう事。
「いいけど、大丈夫?顔真っ赤だけど…」
顔を真っ赤にし、フラフラになりながら問うレオナの頭に手を置き、尋ねる。
「んもう!らいじょ~ぶよ!エルダ大好き~!!」
「あははは…」
マァムから離れてエルダに抱き着くレオナ。エルダは苦笑いしながら彼女を支えた。
その時、エルダはある人物がいない事に気付いた。
エルダはレオナを引き剥がし、マァムに預けると神殿の外に向かって歩き出した。
「エルダ、どこ行くの?」
「ヒュンケルがいないから探してくる」
「え?本当…何処に行っちゃったのかしら?」
「勝手に命粗末にしないように見張りがてら探してくるわ~」
「縁起でもない事言わないでよ!」
「アハハ、レオナお願いね~」
そう言って出て行くエルダを見送り、マァムは自分の膝枕で寝息を立てている姫に苦笑いした。
神殿の外に向かうと、岩場の陰に大きな人影が見えた。
おそらくクロコダインだ。とエルダは思い、そちらに近付いた。
クロコダインとヒュンケルは近付いてくるエルダの気配に気付き、彼女を振り返る。
「エルダ」
「どうしたんだ、まだ宴の最中だろう?」
彼等はエルダに話し掛ける。そしてエルダが二人の姿を見ると、旅に出る状態だった。
「どこへ行くの?」
感づいたエルダは二人に話し掛ける。
「黙って行こうと思っていたが…鬼岩城へ行く」
「きがんじょう?」
「魔王軍の本拠地だ。俺達は奴等の動向をさぐるつもりだ」
ヒュンケルから出た聞き慣れない言葉。それにエルダが首を傾げると、クロコダインが付け足した。
「俺達だけの方が身軽でいい。任せてくれ」
ヒュンケルの言葉に、エルダはコクンと頷いた。
「今日は最高に気分が良かったよ。ダイやパプニカの皆によろしく伝えてくれ」
「分かった」
クロコダインの嬉しそうな言葉にも、エルダは頷いて返事をした。
「また会おう、エルダ」
「気を付けて…」
そう言って去る二人を、エルダは見えなくなるまで見送った。
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ドラゴン達に街を焼かれるカール王国。
高台からグラスを片手にそれを眺めているのは、魔王軍超竜軍団長、竜騎将バラン。
彼は今しがた来たザボエラから魔王軍の総掛かりの作戦失敗報告を聞いていた。
「そうか。凄いな。そのダイとかいう少年…。魔王軍の総掛かりをも跳ね返すとは…」
「な、何しろ不思議な力を秘めた小僧でしてな。紋章が輝くと凄まじい底力を発揮しますし…。しかし炎魔塔にクロコダインやあのエルダとかいう小娘が邪魔に入らなければ、ダイは…」
バリンッ!
ザボエラの言葉を遮るように、バランはグラスを粉々に砕いた。
「紋章…それに、エルダだと…!?」
バランの気迫に、ザボエラは慌て出した。
「ザボエラ。その紋章とは竜の顔の形をしていなかったか…!?」
「りゅ、竜ですか?言われてみればそのように見えなくも…」
「出せ…」
「は?」
小さく呟かれたバランの声に、ザボエラは思わず聞き返した。
「そのエルダという娘を映し出せ!!」
「はっ、はははははい…!」
ザボエラは急いで悪魔の目玉を呼び、その目にエルダの姿を映し出した。
それを見たバランは顔を強張らせ、勢いよく立ち上がった。
「ハドラーめ…!企みが読めたわッ!!」
.
マァムは悩んでいた。
魔弾銃は壊れ修理も出来ない。僧侶戦士の自分には攻撃呪文は使えない。
それでも回復呪文は使えるが、先程のレオナのベホマを見て元気を無くした。
マトリフの元に向かう途中森でエルダを見掛けた。
マァムは彼女に声を掛けようと近付くと、エルダの足元にある魔法陣を見た。
呪文の契約が済んだのか、エルダは魔法陣から出て上着を羽織る。その時、マァムがいる事に気が付いた。
「あれ?マァムいつの間に」
「今さっきね、何の呪文を契約していたの?」
エルダに近付き、魔法陣を見ながら問うと、彼女は魔法書を片手に持った。
「色々ね、今まで使えなかった攻撃呪文を片っ端から契約したの」
「それって…どれくらい?」
マァムの質問にエルダは魔法書を開き、パラパラとめくりながら話した。
「と言っても、殆どは覚えているし、ライデインは勇者しか使えないから多分無理。覚えたのはイオやギラ系だけね」
ポンッと音を立てて本を閉じ、後片付けをするエルダ。そんな彼女にマァムはどこか寂しそうだった。
「凄いのね、エルダって…」
「覚えようって思ったのはレオナを助けた時だったな…」
「え?」
エルダの突然の告白に、マァムは不思議そうな顔をした。
「あの時ベギラマを使えるのはポップ君、それに紋章の力を出したダイ君だけだった」
地面に座り、木々の間から見える空を見上げた。
「だから、このままじゃいけない。もっと強くなろうって思ったの」
「エルダ…」
「強くなって、皆を護れるように…」
少し寂しそうな顔をするエルダにマァムも同じ顔になる。するとエルダはニコッと笑ってマァムに魔法書を渡した。
「悪いけどこれ、マトリフさんに返してきてくれない?なんか少し疲れちゃって…」
「もう、だらし無いんだから」
マァムは笑いながら魔法書を受け取り、マトリフの所に向かおうとした時、エルダに呼び止められた。
「見つかるといいね、マァムだけの特技」
笑顔で言うエルダ。その言葉にマァムは驚きつつも、何も言わずに頷いた。
「ありがとう、エルダ」
走り去るマァムを見届け、エルダはその場に寝転んだ。
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