本編
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ヒュンケルとダイの戦いの場に到着したエルダとマァム。そこには戦いで倒れたダイとポップがいた。
二人は直ぐさま駆け寄り、マァムはヒュンケルに彼の父、バルトスが残した魂の貝殻を渡した。
エルダは倒れているポップに向かい、簡単な回復魔法を掛けた。
「エルダ、ダイが…ダイが…!」
治療を終えたエルダは倒れたダイに近付き、彼の体を触る。するとダイの鼓動が聞こえた。
「…ッ、ダイ君、生きてるよ!」
ゆっくり近寄るポップに言い、エルダはダイを仰向けにする。
ダイは反射的に上体を反らし、心臓への直撃を防いでいた。
「ダイ君!ダイ君しっかりして!」
ダイの体を揺すり、彼を起こそうとすると、ダイが何かを言っていた。
「ウウ…か…勝てない…」
「…ダイ君?」
うなされながら呻くダイを見ていると、彼はゆっくりと立ち上がった。
ポップやゴメは嬉しそうに名前を呼んだが、ダイは彼等の声に全く反応しなかった。
「ま…待てよダイ!」
ヒュンケルの元へ行こうとするダイの足を掴んで止めようとしたが、その手は払われてしまった。
「へ…変だ。まるで俺がわからねえみてえだ…」
「まさかダイ君、意識がないんじゃ…」
エルダの言葉にハッとしたポップは直ぐさまダイに向かって叫んだ。
「ダイやめろ!殺されちまうぞ!目を覚ませ!」
だがダイの意識は戻らず、再びヒュンケルが迫って来た。
「行くぞ!ダイッ!!」
ダイは無意識状態のまま戦い続ける。だがいつものスピードを出せず、ヒュンケルが止めを刺そうとした瞬間。
ビシッ!!
「ま、まさか…この最強の鎧に傷を…!?ダ、ダイの剣が…!」
ダイの一撃がヒュンケルの鎧に傷を付け、驚いてダイの剣を見ると、その剣は燃えていた。
「剣が…燃えている!?」
ダイは剣も魔法も通じないヒュンケルに対して同時の“魔法剣”を生み出し、次々と鎧を傷付けていった。
そして止めを刺そうとしたダイはヒュンケルの闘魔傀儡掌に捕まってしまった。
そんなダイにポップは稲妻を呼べと叫び、ヒュンケルの必殺剣が決まる前に脱出した。
ライデインを自分の剣に落とし、そのままヒュンケルに向けて放った。
「ライデイーン! ストラーシュ!! 」
その攻撃によりヒュンケルの鎧はバラバラに砕け、その場に倒れた。
そしてダイがヒュンケルに止めを刺そうとした時、倒れたヒュンケルをマァムが庇い、エルダが必死に呼び掛けてダイの意識を戻した。
マァムは彼が一度は捨てたアバンのしるしを返し、その温かさにヒュンケルは感動した。
「マァム、ありがとう」
「ヒュンケル…」
膝の上から聞こえてきた言葉にマァムは涙ぐみ、ヒュンケルは傍に立っているエルダを見た。
「エルダ、済まなかった」
「…ううん」
彼の謝罪にエルダは首を振りヒュンケルに微笑んだ。
「俺の…俺の負けだ…」
ヒュンケルは負けを認め、今ここに、アバンの使徒が揃った。
「ヒャ~ハハハハッ!!」
突然聞こえた笑い声。その声に辺りを見回す。
「ざまあねぇなヒュンケル!そんな小僧にやられた揚句に女の膝枕とはな!」
すると、遥か上の岩山に一体のモンスターが現れた。
「氷炎将軍、フレイザード様よ!!」
岩山にいたモンスターは炎と氷が半分ずつくっつき、そのモンスターの出現にヒュンケルは痛む体をゆっくりと起こした。
「な、何故貴様がここに…!?」
「決まってんじゃねえか!てめえの息の根を止めてやろうと思ってな!」
「何だと!?」
「大体てめえは昔から気に入らなかったんだ!人間の分際で俺様の手柄を横取りしようなんざ百年早ェんだよっ!!」
「何ぃ!」
「てめぇがもし勝っていたらブッ殺して、上前を跳ねてやろうかと思っていたが、負けていたとはいっそう好都合だぜ!」
高らかに笑うフレイザードを、ダイは睨み付ける。
「生き恥をさらさずに済むように、俺が相打ちって事にしといてやるぜェ!」
炎の右手に力をいれ、ダイ達向けてその炎を投げる。だが、それはダイ達には届かずに地面に叩き付けられた。
炎で開いた穴を見ていると暫くして地面が揺れ始めた。
「な、何だこの地鳴りは!?」
動揺するポップの叫びに、フレイザードは笑いながら答えた。
「クカカカカ!ちょいとここらの死火山に活を入れてやったのさ!もうじきこの辺りはマグマの大洪水だ!」
「ええっ!?」
地面が次々と割れ、溶岩が溢れ出てきた。
「フレイザードォッ!!」
ヒュンケルはよろめきながら起き上がり、岩の上で笑うフレイザード目掛けて剣を投げた。
だが剣はフレイザードには当たらずに足元の岩に突き刺さった。
「おおっと!歓迎されてねえみてえだな。じゃあここらでおさらばするぜ」
フレイザードは高笑いと共に消え、辺りを見ると、既に溶岩で覆われていた。
「だ、駄目だ!もう逃げられない!」
「何とかあの上へ」
焦るダイにマァムは先程フレイザードがいた岩山を見る。
「んな体力残って無えよ!」
「でもこのままじゃ…!」
ダイもポップもヒュンケルも、立っているのがやっととても走れる状況じゃ無かった。
残された彼等は戸惑うばかりで、一向に解決策は見つからない。その時、大きな揺れと共にマグマが噴出した。
「うわぁああ!!」
「きゃあぁぁ!!」
只叫ぶ事しか出来ない彼等に容赦なくマグマが迫る。だが、マグマは届かなかった。
「ヒュンケルッ!!」
ヒュンケルはダイ達を周辺の地面ごと持ち上げてマグマを防いでいた。
「やめて!ヒュンケル!!」
「こっ、こんな所で…お前達を死なせる訳にはいかん…!」
マァムの悲痛な叫びも、彼の決意を曲げる事は出来なかった。
「…エルダ」
わずかに聞こえたヒュンケルの声。その声にエルダはハッとした。
「ヒュンケル…」
「早く、やれ…!」
「でも、ヒュンケルが…」
「いいからやれっ!!」
涙声になりながら彼を説得するが、怒鳴ったヒュンケルにエルダは意を決して拳に魔力を集中させ、一気に放った。
「ヒャダルコ!!」
エルダから出された冷気にヒュンケルの足元は氷に覆われ、一瞬和らいだ熱さに彼は最後の力を篭めて頭上の岩を放り投げた。
それによってダイ達はマグマの届かない崖の上に放り出された。
「ヒュンケル!?」
急いで起き上がったマァムの瞳に飛び込んできたのは、マグマに飲み込まれていくヒュンケルの姿。手を上げながら飲み込まれていくその姿はどこか清々しかった。
その光景を見たエルダは拳を握り、ルーラを発動させた。
「ルーラ!!」
エルダはヒュンケルが飲み込まれた場所に飛び込んで行き、背後では彼女の行動に驚いたダイ達が叫んでいた。
無我夢中でマグマに飛び込み、彼の名を叫んだ。
「ヒュンケルーー!!」
必ず助ける。幼い頃約束した誓いに、エルダはヒュンケル目掛けて手を伸ばした。
その時エルダの額には、ある紋章が浮かび上がっていた。
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