第一期
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アザディスタン王国、砂漠地帯。
そこに着陸してある王留美がいるヘリに向かい、アザディスタンの内戦が起こるまで待機する事になった刹那、ロックオン、ヒカル。
刹那は情報収集の為にアザディスタンに向かい、そんな彼の後姿をヒカルは黙って見ていた。
ガタッ
刹那が出て行って数分、突然立ち上がったヒカルに、ロックオンは彼女を見た。
「どうした?ヒカル」
「ちょっと外の空気吸ってくる」
ロックオンに短く答え、ヒカルは機内から出た。
外に出て、遥か彼方に見えるアザディスタンの方向を見、それを眺めながらヒカルは六年前の事を思い出していた。
「また始まる。あの忌まわしい惨劇が…」
ヒカルがこの国。…いや、クルジスに来たのは、六年前。
.
施設の者達に連れられて、クルジス近辺を通過中、内戦が勃発していたクルジスからの流れ弾に当たり、乗っていた車は爆発。
運よく助かったヒカルは痛みを堪えながらも立ち上がり、その場から逃げ出した。
そして物影に隠れ、ひたすら怯えていた時。
彼に、―――刹那に出会った。
ヒカルは彼からここで生き抜く術と、銃の使い方を教わった。
そして彼とこの地を生き抜いてきた。
刹那と出会って数ヶ月後、紛争は終わった。
私達の前のガンダムマイスターによって。
その後、ヴェーダから次のガンダムマイスターに選ばれた刹那とヒカルは共に宇宙に上がり、己のガンダムを手に入れ、今まで戦って来た。
「ヒカル」
突然名を呼ばれ、後ろを振り向くと、そこにはロックオンが立っていた。
「ロック…オン?」
『トリィ!』
彼の肩に乗っていたトリィがヒカルの肩に移り、その動作を見て、ロックオンを見た。
「どうしたのロックオン?何かあったの?」
「どうしたじゃねえよ。何時まで経ってもお前が戻って来ないから、てっきり刹那を追い掛けに行ったんじゃないかと思って外に出れば、ぼーっと立ってるし」
話し掛けながらヒカルに近付き、ロックオンは彼女の頭に手を置いた。
「それにお前、何で泣いてんだよ?」
「え?」
ロックオンに即され、恐る恐る自分の顔を触ると、確かにヒカルは泣いていた。
「あ、これは…」
何度も止めようと涙を拭うが後からともなく溢れ出し、ついには止まらなくなってしまった。
「昔を、思い出して…っ」
ロックオンに見られないように両手で顔を覆い、必死に止めようとするヒカル。
そんなヒカルの姿に見ていられなくなったロックオンは彼女の肩に手を置き、ヒカルを抱き寄せた。
「ロック…」
「理由は聞かねぇ、だが…泣きたい時は思いきり泣け」
その言葉にロックオンの胸で泣き続け、その間ロックオンは何も言わずに、泣くヒカルの頭を撫でていた。
数時間後
太陽光発電受信アンテナ施設で同型機が撃ち合いを始め、その全機をデュナメスが撃ち落とした。
「流石ロックオン」
『待機していて正解だったな』
だがそれもつかの間、別の場所からミサイルがアンテナに向かって放たれた。
「ミサイル!?」
『ヒカル!お前も狙え!!』
「分かった!」
ヒカルはレール砲を一つにし、デュナメス同様にミサイルを撃つが、数が多すぎる為に全て落とせず、アンテナにミサイルが落ちて爆破した。
「アンテナが!」
上空から施設を見たヒカルはミサイルが放った方向を見たが、一機のフラッグがデュナメスに接近していた事に気付いた。
「あのフラッグ…!」
デュナメスのライフルを避け、接近するフラッグ向けて、ヒカルはレクサスを向かわせた。
フラッグはデュナメスのライフルを全て避けて、蹴りを入れ、サーベルをデュナメスに向けようとした。
『貰った!』
「やらせないっ!!」
レクサスは横からフラッグに蹴りを入れ、デュナメスから遠ざけると、彼の前に出た。
「ロックオン大丈夫!?」
『何とかな。ヒカル、そいつ結構強…』
「解ってる」
ロックオンの言葉を遮り、レクサスは背中のビームソードを構え、フラッグを見た。
「顔なじみよ!」
フラッグ向けてソードを向け、避けたフラッグにビームブーメランを投げた。
「貰った!」
避けた方向を予測し、その方向にソードを振り下ろすが、それは相手のサーベルに受け止められた。
「受け止めた!?なら…っ!」
レール砲をフラッグ向けて放つが、フラッグは後方に移動した。
その時、王留美から通信が入った。
「アザディスタン軍が…動いた?クーデター?」
舌打ちをし、目の前でレクサス同様構えているフラッグを睨み付けた。
「貴方にも通信が入った筈よ、早く行ってよ…っ!」
苛立ちながら呟いているとフラッグはアザディスタン向かって飛び去った。
「…ハア」
『大丈夫か、ヒカル?』
レクサスの側に降り立ったデュナメスから通信が入りロックオンの顔を見ながらため息を付いた。
「あのフラッグが、あそこまで出来るとはね…」
『別部隊が進攻中だ、向かうぞ』
「了解」
少し気を落ち着かせ、レクサスとデュナメスは移動を開始した。
デュナメスより先に向かったレクサスは目標地点に到達し、その場の状況に目を疑った。
似過ぎていた
六年前のクルジスと
容赦ないMSの攻撃、勝てないと解っていても銃を撃つ少年達。
追い込まれた少年達に向けられる銃口。
それをエクシアが止めに入り、少年達を救ったかのように見えた。
だが
少年達は、既に撃たれていた。
エクシアに向かって銃を放つ敵MS。その光景にヒカルの手が震えた。
「…、うっ…、 うわああああーー!! 」
気付いた時、全てが終わっていた。
どうやってMSを撃墜したのか、どうしてここに立っているのか、ヒカルには解らなかった。
ただ一つ解るのは
自分が泣いているという事だけだった。
.
アザディスタン王国で宗教的指導者、マスード・ラフマディが何者かに拉致されアザディスタンでは内紛が勃発していた。
その内紛が軍事的クーデタに発展した段階で、ソレスタルビーイングは武力介入を開始。
刹那、ロックオン、そしてヒカルは、アザディスタンの内紛を止める事が出来るのだろうか。
ロックオンの情報により、第三勢力が指示していた場所に刹那、そしてヒカルが向かい、調査をしていた。
「ロックオンの情報だと、この辺りからミサイルが発射されたそうだが…」
MSがいたであろう場所で調査を進める二人、ヒカルは地面に手を付き、辺りを探っていると、何か違和感に気付いた。
「っ、刹那、個々を調べて」
ヒカルの声に刹那は持っていた端末で調べると、確かにMSがこの場所にいたという熱源が感知された。
「残留反応、やはりここにMSが」
「ロックオンが言ってたミサイルも、きっとそのMSの仕業ね」
刹那はその先の方も調べる為足を進めるが、ヒカルはまだその場所を調べていた。
(でも…何で私は熱源に気付いたんだろう…)
ヒカルは考える事を止めて、刹那を追おうとした時急に激しい頭痛がした。
「…っ、ッ!」
その場に崩れ落ちるヒカルに気付き、駆け寄ろうとしたが、動けば近くにいるユニオン軍に見つかってしまう。
彼等の位置からはヒカルは見えない。刹那は早く立ち去るように彼等を睨んだ時、近付いてきた一人の軍人に見つかってしまった。
「立ち聞きはよくないな、出て来たまえ!」
その声に一瞬彼女を見、ヒカルを更に隠すように姿を見せた。
わざとこの辺りの住人のように振る舞い、早々にこの場を立ち去ろうとしたが、金髪の軍人に呼び止められてしまった。
「少年、君はこの国の内紛をどう思う?」
「ぼ、僕は…」
「客観的には考えられんか?なら、君はどちらを指示する?」
軍人の言葉に少しの苛立ちを感じながらも、一般人のように振る舞い続けた。
「君だって、戦っている」
「え…?」
「後ろに隠してある物は何かな?」
気付かれた。背中に隠してある銃、そして、未だ苦しそうにしているヒカルを。
「怖い顔だ」
軍人に気付かれた事に刹那は彼を睨む。
だが、彼は突然隣にいる男性に話を持ち掛けた。
個々にあったMSは、AEUがモラリアのPMCから奪われた最新のイナクトという事。
それだけを告げ撤収する二人を見ながら、刹那はPMCのイナクトという言葉に一機のMSを思い出した。
「奴が、あの男が…この内紛に関わっている…?」
モラリアで出会った男、かつてクルジスで戦い方を教えてくれた男。
「何故、何故今になって…」
銃を落とした事も気付かずに呟く刹那。
そんな彼を現実に引き戻したのは、一人の少女だった。
「…つ…な…」
小さく呼ばれた自分の名に我に帰って後ろを向くと、ヒカルが倒れながら刹那を呼んでいた。
「ヒカル!」
刹那は慌ててヒカルを抱き起こし、彼女の顔を見ると、彼女の顔は酷く青ざめていた。
「直ぐに戻ろう、掴ま…」
ヒカルをヘリに運ぼうと彼女の体を抱えた時、ヒカルの弱々しい手が刹那の手を握った。
「せつ…な…」
「何だ?」
「…行っ…て…」
ロックオンにあるポイントを教え、エクシア向けて走る刹那。
彼は数分前に言われた言葉を何度も何度も繰り返していた。
ヒカルを岩に寄り掛からせながら、刹那は彼女の話を聞いていた。
「早く、行って…」
「だが、ヒカルが…」
「私は大丈夫…ちゃんと、王留美の所に戻るから…」
苦しそうに話すヒカル。早く行けと言われるが、刹那は彼女を置いて行けなかった。
「お前を連れ帰ってからでも遅くはない、だから」
「ガン、ダムに…」
ガンダム、その言葉に刹那の言葉は止まった。
「ガンダムに…なるんでしょ…?」
昨日の自分の想い、今刹那がなりたいと思っているガンダム。その言葉に、刹那は目を見開いた。
「今度こそなってね…ガンダム…」
弱々しく刹那の手を握るヒカル。
刹那はその手を引き、彼女を力強く抱きしめた。
「ありがとう…、行ってくる」
「行ってらっしゃい…」
暫く抱き合い、刹那は名残押しそうにヒカルを岩に寄り掛からせて、エクシア向けて走り出した。
「…刹那」
走り出す彼を、ヒカルはただ見届けた。
.
無事マスード・ラフマディを保護し、エクシアは一機でアザディスタン王宮まで彼を送った。
全ての武装を解き、アザディスタン側のMSの攻撃を受けながらも、エクシアは下がろうとはしなかった。
(今度こそ…)
苦しみながらも刹那の心配をするヒカルの顔を思い出す。
(ガンダムに…!)
そしてラフマディ氏を王宮に移動させ、マリナ王女の話を聞いた後、エクシアはその場を去った。
その光景を、ヒカルはレクサス内でただ見守っていた。
「よかった、刹那…」
小さく呟いてレクサスの電源を全て切り、ヒカルはシートにもたれ掛かった。
―――大切なんだね、彼が
「うん…大切だよ」
―――もし彼が失敗したらどうなってたの?
「…失敗なんかしないよ」
―――どうして?
誰の声かも解らないのに、質問に答えるヒカル。でもその声は何故か懐かしかった。
「だって刹那は…」
目を開けると、そこには丁度そこにはエクシアが降り立った。
「ガンダムになれたんだから」
中から出て来た刹那を見てヒカルは彼に駆け寄った。
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