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西暦、2305年。
施設武装組織、CBが、世界に対して、紛争根絶を宣言する二年前。
「新しいマイスターを紹介するわ。コードネームは刹那・F・セイエイとヒカル・エトワール。二人には、GN-001とGN-006のパイロットとして」
「ちょっと待ってくださいスメラギさん。彼等はまだ子供ですよ」
「パイロット適性は基準値をクリアしているわ」
「ヴェーダが彼等を選んだのですか?」
「勿論よ。それに、GN-006を扱えるのは、ヒカル・エトワールだけだもの」
スメラギはヒカルの肩に手を置き、エトワールは少し不安な色を見せながらスメラギを見た。
その時、一番奥にいた茶髪の男性が刹那とヒカルの方を向いた。
「いいじゃねえか、俺らは相当な覚悟を決めて組織に入り、ガンダムマイスターになった。年や性別なんか関係ねえ。そうだろ?」
「あんたは?」
「コードネーム、ロックオン・ストラトス。成層圏の向こう側まで、狙い撃つ男だ。お前等もガンダムで世界を変えたいんだろ?」
刹那は短くああ、と答え、ヒカルも小さく頷いた。
「俺もだよ。刹那、ヒカル」
機動戦士ガンダムOO
アナザーストーリー
【天使降臨】
アナザーストーリー
【天使降臨】
.
「刹那、お前は俺と相部屋だ。案内してやるよ」
ロックオン、刹那、ヒカルの三人で基地の通路を進んでいた時、移動レバーから手を離し、ロックオンが刹那を見て言った。
「相部屋…個室じゃないのか?」
「ミス・スメラギのご采配だ。マイスター同士は、親交を深めるべきだってな」
「あの、私は?」
「ヒカルは個室だって言ってたぜ」
「私だけ一人?」
「お前さんの隣にはオペレーターのクリスティナとフェルトがいるから、寂しくなったり困ったらそっちに行けとさ」
「俺にはそんなもの必要ない。俺は、ガンダムで任務を忠実にこなすだけ。それに、お前と一緒になるくらいなら、ヒカルと相部屋になる」
「つれない事に続いて無茶な事言うなよ!クリスティナなんて、歓迎会するってお前やヒカルが来るのを楽しみにしてたんだぜ?」
「それも必要ない」
クイ。
「?」
「刹那、私…歓迎会出たい」
刹那の服を掴んで呟くヒカルだが、刹那は慣れたように流した。
「それより、シミュレータがある場所を教えてくれ」
「なんだ、いきなり訓練か?」
「俺はガンダムマイスターだ。その為の準備を怠りたくはない」
「歓迎会…」
真面目に言う刹那の横では話を聞き流されたヒカルが残念そうにしていた。
そんな異様な光景を見つつも、ロックオンは刹那に言った。
「んなシミュレータなんてケチくさい事言わないで、エクシアで宇宙(ソラ)に出ればいい」
「エクシアで?」
「ヴェーダの承認を取ってくる。ヒカルのレクサスもついでにな。俺もデュナメスで付き合ってやるよ」
ロックオンは再び移動レバーを掴んでその場を去り、ヒカルはレクサスの名前にピタッ。と止まった。
「ついに…ガンダムに」
「レクサスに…レクサスに乗れる…やっ…やったー!!」
刹那は小さく呟き、ヒカルはキャーキャーと叫んではしゃぎ回った。
数分後、ヴェーダの了承が得られ、刹那、ロックオンヒカルはガンダムに乗り込んだ。
『デュナメス、ロックオン・ストラトス。ちょっくら行ってくるぜ』
『エクシア、刹那・F・セイエイ。宇宙に出る』
『レ、レクサス、ヒカル・エトワール。いいい、行きます!!』
ロックオン、刹那は慣れたように発進し、ヒカルは少し緊張しながらも宇宙に出、その様子をアレルヤとティエリアが待機室で見ていた。
「エクシアとデュナメス、レクサスが訓練に出たか」
「まさかあんな少年少女がマイスターになるなんてね。エクシアのパイロットにはてっきりラッセ・アイオンが選ばれると思っていたけど」
「あの刹那という少年のパイロット特選は、ラッセを上回っていたのだろう」
「でも、レクサスの候補はいなかったんだろ?」
「レクサスを作ったエトワール夫妻がヴェーダに案を出し、娘のヒカル・エトワールに決まったと同時にロックを掛けたからだ」
「ヴェーダが選定した人物を否定する気はないよ」
「ヴェーダ…―――っ、急用が出来た」
「どうかした?」
「失礼する」
ティエリアは短く答え、待機室を出て行った。
「一体何が…」
(俺が知っている限り、マイスター候補にあのような若いパイロットも、ましては女性はいなかった筈だ。だが、先程ヴェーダにアクセスした時には、エクシアのマイスター候補の筆頭に上がっていた。どういう事だ?ヴェーダが見落としたのか?それに)
通路を移動しながら、ティエリアは考えに耽っていた。
(何故エトワール夫妻は何処にいるかも解らない娘の為にガンダムを作り、その候補に上げたのか…)
.
初めて自分のガンダムに乗り、宇宙に出たエクシアとレクサス。
二人は十分に性能を体感した後、再び基地に戻った。
「お帰り。ロックオン、刹那。どうだった?エクシアで宇宙に出た感想は」
「問題ない。此処に来る前にも、散々訓練してきた」
「味気無い感想ね。ヒカル貴方はどうだった?」
刹那やロックオンとは違い話に参加せずにぼーっとするヒカルに声を掛けると、ヒカルは呆然としながら答えた。
「さ…」
「「さ?」」
「最高でしたッ!!」
急に表情を変え、瞳をキラキラさせるヒカル。彼女の急変にロックオンとスメラギは唖然とし、刹那は相変わらずだ。という顔をした。
「何度も何度も訓練を続けたけど、やっぱり実際に動かすのとは違うわ!あぁ~…これで武装も使えたらどんなに幸せな事か…スメラギさん!私まだ訓練したいのでシミュレータ室使わせてもらいますね!」
「え、えぇ。どうぞ…」
うっとり状態のヒカルに苦笑いしながらも許可を出しヒカルは張り切ってコンテナを出て行った。
「ヒカルって、あんな性格なんだな…」
「私は一瞬、ヒカルが父親のエトワールさんに見えたわ。流石あの人の子供…」
ヒカルが出て行った扉を見た後、再び刹那を見た。
「刹那も、ヒカルまでとはいかないけど、もう少し語ってもいいじゃない」
「そうでもないぜ。刹那はかなりはしゃいでたよ。機体の動きでそれが解る」
「エクシアの性能を、色々と試していただけだ」
「解ってねぇだろ?お前さんはポーカーフェイスを気取ってでも、感情が体から表に出やすい。つまりはガキって事だ」
気に食わない事を言われた刹那は、ロックオンを睨んだ。
「何だと」
「素直になれって」
「お前に俺の何が解る」
「フ、似てるんだよ。ガキの頃の俺に。…刹那、俺はな」
「ストップよ、ロックオン」
言ってはいけない事を言いかけたロックオンを、スメラギが止めた。
「それ以上言うと、守秘義務に違反するわ」
「おっと、済まねぇ」
「刹那・F・セイエイ」
新たな声にコンテナの入口を見ると、ティエリアが歩み寄って来た。
「ティエリア」
「どうしたの?ティエリア」
「スメラギ・李・ノリエガもいるとは好都合だ。そこにいる刹那・F・セイエイと、ヒカル・エトワールにMSシミュレータによる、模擬戦をやらせて欲しい」
「おいおい、いきなりだな」
「刹那・F・セイエイ、ヒカル・エトワール。彼等の戦闘能力におけるデータを閲覧させてもらった。しかし、俺はその能力を体感してはいない」
「成る程。刹那とヒカルにガンダムマイスターの能力を実証しろって事か。どうする?ミス・スメラギ」
「いいんじゃないかしら?刹那はどう?やってみる?」
「ああ」
「ティエリア、模擬戦の仕切りは私がやるわよ。刹那もヒカルも、まだこの基地に来たばかりで慣れてない。ハンディキャップをもらっても、嬉しくないでしょ?ヒカルには私から伝えておくわ」
「了解。期日を決め次第、ヴェーダに報告を」
「俺も、部屋に戻る」
用件を伝えたティエリアは早々に去り、刹那も自室に戻って行った。
「いいのか?ミス・スメラギ」
「ほらよくあるじゃない。仲の悪い二人が喧嘩して、互いにボロボロになって河原に寝そべりつつ、【お前中々やるな】【お前もな】っとか言って和解しあい、やがては固い友情で結ばれるようになる!私、ああいうシチュエーションに弱いのよ」
「おいおい、いつの時代の話だよそれ?ていうか、どんな趣味だよ」
「さ~てと、私はヒカルに今の内容を報せに行かないとね~」
「呼びましたか?」
「「うわっ!?」」
急にヒカルの声がして振り向くと、先程去った少女が背後にいた事に、ロックオンとスメラギは驚いた。
「ヒカル、貴方いつの間に…」
「スメラギさんが河原が寝そべって喧嘩する仲の悪い二人の話をした辺りからです」
「ヒカル、ちょっと違うわよ」
「河原が寝そべる訳ねぇだろ…」
「?」
スメラギのシチュエーションを間違って言った事に首を傾げるヒカル。するとロックオンはある事に気付いた。
「つかお前、シミュレータ室に行ったんじゃなかったのか?」
「行こうとしたんですけど、何処にあるか解らなくて聞きに戻って来ました」
アハハ、と照れ臭そうに笑うヒカル。
普通の女の子となんら変わらないその表情に、スメラギは思わずヒカルを抱き締めた。
「スメラギさん?」
「全く、貴方って子は…」
抱き着かれた本人であるヒカルと、側にいたロックオンは目を丸くしていると、スメラギはロックオンに振り返った。
「ロックオン、私はヒカルを送るついでにヴェーダに報告してくるから、刹那にアドバイス、任せたわよ」
「あ、ああ…解った」
そのままの状態でスメラギとヒカルは去り、ロックオンも自室に戻ろうとした時二人の話し声が聞こえた。
「スメラギさ~ん、何で抱き締めたんですか?」
「それはね、ヒカルがちっちゃくて柔らかくて可愛いからよ~♪」
ズザーッ!!
スメラギの突っ込み所満載の言葉に、ロックオンはずっこけた。
「そうなんですか~、スメラギさんも暖かいですよ。私お母さん以外の女の人に初めて抱き着きました!」
「あら、それは嬉しいわ~」
和気藹々と話す二人。ロックオンはそんな余計な会話に、ヒカルの性格を認識した。
「間違いねぇ。ヒカルは天然だ」
.
部屋に戻った刹那はベッドに座り、エクシアの戦術マニュアルを見ていた。
すると、先程別れたロックオンが部屋に戻って来た。
「訓練が終わっても、戦術マニュアルでおさらいか。優等生だね。刹那君は」
「任務の為だ」
「ハ、…俺達が活動するのはまだまだ先の話だぜ?しっかし遠大な計画だ。GNドライブとガンダムを独自開発し、実用化するだけでも何十年も掛かってる筈。現に俺らのガンダムは第三世代型だ。CBが創設されたのは、一体いつの頃やら」
「だからこそ、万全を期す必要がある」
「…ティエリアとの模擬戦お前は三日後、ヒカルはその次の日だな」
「ああ」
「奴の乗るガンダムヴァーチェは重武装タイプだ。機体にある大型圧縮粒子貯蔵タンクにより、粒子ビームの火力を強化。また、粒子バリアであるGNフィールドの長時間展開も可能。そいつと戦うとしたら、どうする?」
「長期戦に持ち込み、粒子が尽きるのを待つ。そうすれば、起動力のあるエクシアに「悠長だな。俺なら、速攻でカタを付けるねぇ」
「何?」
「刹那、何故エクシアに実体剣が装備されているか、解るか?GNフィールドに対抗する為だ。計画の中には対ガンダム戦も入っているのさ」
「っ、そんな事が…」
「ガンダムが敵に鹵獲される可能性だってあるし、太陽炉の技術が敵に渡ってしまう可能性もある。ヴァーチェとの模擬戦はそのつもりで戦えよ」
「ロックオン…」
「確かにヒカルのレクサスにもGNソードは搭載されているが、エクシアのように確実な対策じゃねぇからな。もしもの時は、お前が切り札になる」
「…」
「じゃあな。任せたぜ、刹那」
ロックオンは手を振りながら部屋を出て行き、刹那は再びマニュアルを見た。
「エクシアに装備されている実体剣、GNソード。対GNフィールド、対ガンダムの為の武装。それが俺のエクシア。ガンダムを駆逐するガンダム」
ヴァーチェとの模擬戦まで後三日。
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