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キーンコーンカーンコーン
登校途中、ルイスは学校前で何やら困っている少女を発見した。
「ねぇ貴方、どうしたの?」
「っ、あ…」
少女はルイスの声に少し驚いたが、すぐに俯いてしまった。
「あの…」
「貴方見掛けない子ね。もしかして転入生?」
少女はコクリ。と頷き、持っていた紙をルイスに見せた。
「ん?えっと…あ、あたしと同じクラスじゃない!」
「え…?」
「一緒に来て。教室まで案内してあげる。あ、あたしルイス・ハレヴィ。よろしくね」
ルイスは少女の手を取って歩き出し、少女も釣られるように小さく笑った。
「私…ヒカル・エトワール」
教室に着いた二人。ルイスはヒカルの手を引きながら真っ先に沙慈の元に向かった。
「沙慈、おっはよー!」
「あ、おはようルイス。あれ、その子は?」
沙慈はルイスの後ろにいるヒカルを見ると、ヒカルはすぐにルイスの背に隠れた。
「この子はヒカル・エトワール。今日からの転入生だって。さっき学校前で逢ったの」
「へえ~、僕は沙慈・クロスロード。よろしくね」
沙慈は手を差し延べるが、ヒカルはまた怯えるように隠れた。
「…ルイス、僕嫌われてるの?」
「知らない。どうしたのヒカル?沙慈は怖い人じゃないよ」
ルイスはヒカルを前に出したが、ヒカルは怯えたままルイスに抱き着いた。
「ヒカル?」
「男の人…怖い…っ」
その言葉に、ルイスと沙慈は顔を見合わせた。
「沙慈、もしかして…」
「多分、男性恐怖症だね…」
抱き着いたまま震えるヒカル。それを見たルイスは。
「か… カワイイーッ!! 」
「ッ!?」
ルイスは思わず抱き締め、その行動にヒカルは驚いた。
「すっごくカワイイ~!ウサギみたいな小動物みたいな~!これ欲しい~!!」
「ルイス、ヒカルさんは人間だから…」
「ちょりーっす!」
騒ぐルイスを落ち着かせようとしていた時、刹那が登校して来た。
「あ、刹那君おはよう」
「ちょりーっす。て、何してんのそこの二人、ハグ?ああハグか。つーか女同士で~、ヤバくない?ひょっとしてレズ?」
「うっさい。ウザ野郎」
(バックアップはヒカルか…しかも、もう対象者と仲良くなっているとは…流石だな)
(うわ~、刹那があんな喋り方してるよ…なんか変な感じ…)
僅かに目を合わせた二人はそれぞれ頭内で呟いていると、もう一人のバックアップ要員であるティエリアが入室して来た。
しかも、何故か女装していた。
「今日から、皆様と一緒に勉学をさせていただく事になりました、転入生の、ティエリア・アーデです。ごきげんよう」
ティエリアは長いスカートの裾を掴んで広げ、上品にお辞儀をした。
「凄い美少女だね、ルイス」
「そうね」
「え?何怒ってるの?」
「何でもないですぅ!」
沙慈の態度に、ルイスは苛つきながら、抱き枕代わりのヒカルに抱き着いた。
すると、ティエリアが三人の方に寄って来た。
「私に何か?」
「あ、いえ、別に。ああ、僕は沙慈・クロスロードって言います。隣にいるのはルイス・ハレヴィとヒカル・エトワールさん。それから」
「ちょりーっす。俺刹那。不可能を可能にしちゃう男な感じ~」
「それは、素晴らしい事ですわ。ティエリア・アーデです。これからは、ご学友として、この学びやで、ご一緒にご勉学にご勤しみましょう」
「うんちょりーっす」
「はい、ごきげんよう」
(もう一人のバックアップ要員はティエリア・アーデか)
(ああ。そうだ)
(何故女生徒に?)
(その方が、ルイス・ハレヴィに近付けるという、スメラギ・李・ノリエガのミッションプランに従ったまでだ。誰が好き好んでこんな事を。まあ、ヒカルが協力してくれるのがせめてもの救いだな)
(それにしては妙に板に付いている)
(与えられた任務を完璧に遂行する。それが、ガンダムマイスターである、ティエリア・アーデだ)
目線だけで会話をする刹那とティエリアに、ルイスと沙慈は疑問を持った。
「転入生同士が見つめ合ってる」
「なんか怪しい感じ~」
「そんな事はないちょりーっす」
「ごきげんよう」
沙慈とルイスの疑いを軽く流していると、グラハム先生もとい、ハム先生が入室して来た。
「諸君、朝の挨拶。すなわち、おはようという言葉…ほう、再び転入生が現れようとは…私は聞いていないぞ。しかも二人も」
「それは職務怠慢だよハム先生」
「熟知している」
「それもまずいよ」
ハム先生に突っ込むカタギリ先生だったが、ハム先生は軽く流した。
「先生方?転入生の、ティエリア・アーデです。よろしくお願いいたします」
ティエリアは二人の前に行き、お辞儀した。
「そうか。私はグラハム・エーカー中尉」
「先生だよ」
「隣の彼はビリー・カタギリ技術顧問だ」
「僕も先生だから」
「ティエリア・アーデ。私は、君の着任をどうでもいい事と考えている。勝手に学び、勝手に生き、そして勝手に死ぬがいい」
「ごきげんよう」
「言い過ぎだよ。ハム先生」
ハム先生の言い過ぎな言葉に、沙慈はルイスに話し掛けた。
「おかしいよねルイス。ハム先生なら、彼女に絶対凄い反応すると思ったのに」
「う~ん。先生が反応しない何かがある…とか?」
「何かって?」
「解んないけど」
「グラハム・エーカーが宣言しよう。私はこの転入生を否定する。何が何でも否定する!」
「ハム先生、何もそこまで」
「私の否定を拒むなッ!!」
(ば、馬鹿な…。この軍人被らな金髪教師は、俺の擬態を感覚で見破ったとでも言うのか…?ええい、完璧な作戦の筈が!)
「ん~仕方がないな~。ハム先生は美少女よりも美少年の方に興味があるんだから」
「ようやく理解したか、カタギリ」
(成る程…そういう事か!)
一人納得するティエリア。すると、カタギリは目線をヒカルの方に向けた。
「ところでルイスさん。君にくっついている転入生君は?」
「あ、この子はヒカル・エトワールって言うんですけど、男性恐怖症らしいのかさっきからあたしから離れないんですよ!」
「ルイスも離そうとしてないけどね」
「何か言った沙慈?」
「え?な、何も」
「そうか~。でも挨拶くらいはキチンとしないとね。僕はビリー・カタギリだ。よろしく、ヒカル・エトワールさん」
カタギリは近付いて挨拶すると、ヒカルは怯えながらも返事をした。
「ヒカル…エトワールです…よろしく…」
「声が小さいぞ少女!軍人であるならばもっと大きな声を出したまえ!!」
「ハム先生、彼女は軍人じゃないよ。それにそんなに怒鳴ると彼女…」
ヒカルの方を見ると、彼女は泣く寸前だった。
「…っ、ひ…い…」
「あぁー!!ハム先生女の子を泣かしたー!よしよし大丈夫よヒカル~」
「うぇ~ん…っ!」
「フム、初めて会うタイプだな」
「ハム先生、感心してないで謝りなよ」
「私は謝らんぞ!悪いのはむしろ、彼女の性格だ!」
「言い切っちゃったよこの人…」
刹「ルイス・ハレヴィの監視を開始してから、これで一週間」
テ「今だ、テロの気配は感じられない」
刹「ティエリア、ルイス・ハレヴィとの仲はどうだ?」
テ「上手くいっていない。俺が近付こうとしても、彼女に邪険に扱われてしまう。恐らくは彼女のボーイフレンド、沙慈・クロスロードに、俺が近付く事を心よく思っていないのだろう。少し、美少女設定を強め過ぎたようだ」
刹「ん?自慢に聞こえる」
テ「何か言ったか?」
刹「いや、それよりこれからどうする?」
テ「ルイス・ハレヴィの監視に付いては、一先ずヒカルに任せるとしよう」
刹「あいつはルイス・ハレヴィに慕われているようだからな」
テ「彼女の事を、沙慈・クロスロードも妹のように接しているから、ルイス・ハレヴィも何も言い返しをしないからな」
刹「とはいえ、俺達だけでもルイス・ハレヴィを完全に監視する事は出来ない。テロに隙を付かれる恐れがある」
テ「ならばその隙を、こちらが作ればいい」
刹「隙を作る?」
テ「スメラギ・李・ノリエガから届いた、新たなミッションプランだ。監視対象者であるルイス・ハレヴィをわざと危険な目に合わせテロ側の出方を伺う。敵の目的は誘拐だ。彼女に何かあっては困るだろうからな」
刹「解った。しかし、その役をだれがやる?ヒカルは勿論、俺やお前では、設定的に無理があると思うが」
テ「バックアップ要員から適任者を派遣するそうだ」
刹「誰だ?」
テ「アレルヤ・ハプティズムだ」
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