中編
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トリニティとの会談後、リエは相変わらずガンダムの整備を行っていた。
黙々と整備をしながら、不意に頭に浮かんだのはロックオン。
先日、トリニティの一人の行動に取り乱した自分を止め、慰めてくれた彼。(少々おふざけもあったが)
あの人以外の人に抱き締められた事には驚いたが、それ程嫌とは感じなかった自分にも少し驚いた。
〔リエ、リエ〕
ハッ。
足元にいたハロからの声に我に返り、目線を合わせるようしゃがみ込んだ。
「何ハロ?」
〔ボンヤリシテタ。ツカレテル?ツカレテル?〕
「…いや、何でもないよ」
〔エクシアカンリョウ。エクシアカンリョウ〕
「解った。じゃあ次はキュリオスをお願い」
〔リョウカイ。リョウカイ〕
ハロは別のハロ達に声を掛けてキュリオスの方に向かい、ヴァーチェの整備が終わったリエもデュナメスの方に向かおうとした時。
「あ、おーい。リエー」
「?」
名を呼ばれて振り向くと、ロックオンと刹那がいた。
「どうしたの?」
「ミス・スメラギからの指示でな。俺達は地上で待機しろだとさ」
「じゃあ…離島に?」
「ああ。機体の調子はどうだ?」
「エクシアはいいけど、デュナメスがまだ…」
「じゃあ出来る間にお前も準備しちまえ」
「ええ。ハロ!」
キュリオスの元にいたハロ達を呼び、デュナメスの整備を頼むと、リエは準備の為自室に戻った。
.
離島に下りたリエ達だったが、無差別なトリニティの武力介入にこちらは動けず、ただ待機を言い渡されていた。
「ハア…」
部屋でベッドに寝転がりながら、トリニティの情報を見て溜め息を付いた。
「奴らは一体、何がしたいんだ…」
無残とも言える光景を思い出して目を閉じ、リエは昔の光景を思い出した。
「…ッ」
だがそれ以上思い出さないように起き上がって頭を振った時、私用で使っている端末が鳴り、それを開いた。
「刹那、ロックオン。話が…」
二人がいるだろう待機室に向かったが、そこには刹那しかいなかった。
「リエ、どうした?」
「いや、ロックオンは?」
「俺は見てない」
「そっか…私、今から少しでも情報を集める為に街に行ってくるから」
「一人で大丈夫か?」
「スメラギさんに許可は貰ったし、別の用事もあるからついでにね」
「そうか、気を付けろよ」
「ありがとう」
刹那に軽く挨拶をした後、ロックオンにも告げようとしたが、刹那が説明すると思って外に出ようと歩き出した時。
「リエ!」
前方から、パイロットスーツを着たロックオンが走り寄って来た。
「ロックオン?」
「ミス・スメラギから聞いたぜ。何で黙って行こうとしたんだ?」
「刹那には報せたよ。ロックオンは…探すの面倒だったし」
「あのな~…。ま、とにかく、俺がデュナメスで送ってやるよ」
「いいの?もし敵に見付かったら…」
「ミス・スメラギが送れって言ったんだ。平気だろ」
リエの肩に手を置いてあれこれ言うロックオンに、リエもその行為に甘える事にした。
「じゃ、お願いしますかな」
「了解。んで、どこに行くんだ?」
「スペイン」
.
大きな屋敷の庭で行われる華やかな披露宴パーティー。
その中には話に花を咲かす者や、主役である新郎新婦と話をする者達がいた。
そんな者達を見ながら、リエは隅の方で飲み物を飲んでは溜め息を付いていた。
「ハァ~…」
何故彼女が此処に結婚式場にいるのかというと、先日私用で使っていた端末に大学時代の友人から連絡が入り、自分の代わりに式に出て欲しいと頼まれた。
リエは断られる前提でスメラギに申し出た所、彼女はついでに情報収集もしろという条件付きで許してくれた。
今世間を騒がせているテロリストが此処にいてもいいのか?と自分で思いながら再び溜め息を付き、飲み物を口にした。
「……」
幸せ一杯の新郎新婦の姿を見て、リエは僅かに俯いた。
―――エイデン、俺はお前が好きだ!
―――…
だから、絶対に生きて帰ろう。その時は、俺と一緒に…
ええ…、約束よ
ああ
「…馬鹿らしい」
最近自分は溜め息が多くなったな。と思いながらまた溜め息を付いた時、不意に辺りが騒がしくなり、上を見上げていた。
「?」
それに釣られてリエも上を見上げると、そこには赤いガンダムがこちらに接近していた。
(あれは、トリニティの…何故此処に…)
そう疑問に思っていた瞬間、スローネは会場に銃口を向け、迷う事なく砲を放った。
ドオオンッ!!
砲は会場の中心に当たり、隅の方にいたリエは爆風だけで済んだが、目の前の変わり果てた光景に驚愕した。
華やかな式場は一瞬にして無惨な場に代わり、リエは息を飲んだ。
「何て事を…っ」
直ぐにトレミーと連絡を取ろうと端末を出した時、一人の少女が砲を放った中心へと走り出した。
「ッ、危ないっ!」
二発目の砲から少女を庇うように抱き込んだ時、建物が破壊され、リエの意識が途切れた。
リエが護った少女は巻き込まれずに軽傷で済んだが、助けてくれたリエが瓦礫の下敷きになっていた事に驚愕した。
「…、お姉さん、しっかりして!お姉さん!!」
少女は必死に呼び掛けるが、リエは全く反応しなかった。
ロックオン
「…!」
急にリエの声が聞こえ、辺りを見回したロックオンに刹那は問い掛けた。
「どうした?ロックオン」
「あ、いや…何でもねぇよ」
そう言ったロックオンに刹那は深く追求せず再びガンダムを見つめ、ロックオンは別の方向を見た。
(今の、リエ?…まさかな)
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