中編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある日、リエはスメラギに呼ばれて彼女の部屋に向かうと、無理矢理彼女に酒を飲まされた。
その数時間後。
「スメラギさ~ん。このお酒美味しいですね~」
「でしょ?リエなら解ってくれると思ったわ~」
無理矢理飲まされた酒の量が多い事や、普段あまり酒を飲まないリエは直ぐに酔いが回ってしまった。
だがそれを解っていながらスメラギは彼女のグラスに酒を注ぐのをやめなかった。
「たまにはこうして羽目を外すのもいいものよ。特に貴方はね」
「どうして私なんですか?」
「だってリエったら付き合い悪いわよ。この前だって皆で地上に下りた時にも一人だけ自由行動取って」
その言葉に、リエはグラスをそっと下ろした。
「マイスターとも最低限しか接しないし、もっと関わろうと思わないの?」
スメラギはグラスからリエに視線を移すと、彼女はグラスを見ながら俯いていた
「リエ?」
「…決めてるんです。人とはなるべく、関わらないと」
何時もの様子に戻ったようなリエの発言が、スメラギは何故かとても気になった。
「関わらないって、どうして?」
「…いなくなるから」
「え?」
「どれだけ言おうとも、必ず別れがくるから…」
深く俯いたリエにスメラギは何も言えず、暫く考えていたが、何かを言おうと再びリエを見た。
「ねぇ、リエ…」
「…」
「確かに誰にも別れはあるわ…でも、また逢う事だって出来るわよ。自分がそう強く望むのなら…」
そう。自分が望めば、それを実行すれば、逢いたい人には逢える。
それがもし…。
「無理ですよ…」
「え?」
リエの否定の言葉に、スメラギはまた疑問を浮かび上げた。
「だっ…て……は…もう…」
急にリエの声が聞こえなくなり、スメラギはそっと彼女に近付くと、リエは眠っていた。
その寝顔にクス、と笑い、彼女のグラスを机に置き、スメラギはまた一人で飲み始めた。
「貴方には逢いたい人がいるの?…リエ」
スメラギの質問は、答えられる事はなかった。
.
トレミーの格納庫。
そこで、いつものようにガンダムの整備をするリエ。
今日はまだロックオンのちょっかいを受けていない為か、気分は良かった。
「おーい、リエー」
不意に名前を呼ばれて後ろを向くと、リエの上司的存在のイアンが、他のハロを連れてこちらに寄って来た。
「イアンさん」
「もう昼時だ。ここは俺に任せて、お前は飯食ってこい」
「イアンさん先でいいですよ。私は区切りがいい所で行きますから…」
ヒョイ
「あ…」
作業を続けようと手元の端末を見るが、それは横に移動したイアンに取られてしまった。
「いいから行ってこい。俺はもう食ったし、お前はいい加減休め。一体何時間作業してると思ってんだ?」
「えっと…一時間?」
リエは首を傾げながら答えると、イアンは溜め息を付いて答えた。
「三時間だ。三・時・間」
「さ…」
「ほら、解ったなら行ってこい」
イアンは背を向け、リエの作業の続きを開始しながら手を振った。
そんな彼にリエは呆気に取られたいたが、軽く息を吐いた後、イアンの背中向けて言った。
「後をお願いしますね」
「ゆっくりしてこいよ」
背を向けながらヒラヒラと手を振るイアンに軽く笑いリエは格納庫から出た。
「ぶっ続け三時間か…」
格納庫から食堂に向かう道、リエは自分の腕時計を見ながらイアンに言われた事を確認すると、確かに自分は三時間程作業をしていたらしい。
それに自分で少し呆れながらもいつの間にか食堂に到着し、中に入った。
「あ、リエ!お疲れ~」
入った途端に呼ばれた名前すると中には、普段は管制にいるクリスティナとフェルトがいた。
「あ、お疲れ…」
室内にいたクリスティナはリエに声を掛けると、直ぐに目の前の机に置いた雑誌を見直した。
それを特に聞く事もなく、リエはカウンターに向かい、食事を受け取り、空いてる席で静かに食べ始めた。
「ねえリエ~」
「ん?」
食事をしている途中、クリスティナが寄り、見ていた雑誌をリエに見せた。
「リエはどれがいいと思う?」
「……」
クリスティナが見ていたのは、色々なウエディングドレスやら教会やらが載った雑誌だった。
「これ、どうしたの?」
「この前下りた時に買ったの!やっぱり素敵よね~」
雑誌を見ながらうっとりするクリスティナ。フェルトも見ながら何かを考えていた。
「…相手はいないの?」
「いないいない。ここいい男がいないからね~」
「フェルトは?」
「あたしは…ハロ」
「「ハロ??」」
フェルトの発言に、リエとクリスティナはフェルトとハロの結婚式姿を想像した。
「……意外とお似合いね」
「嘘!?」
リエの思わぬ言葉にクリスティナは驚き、フェルトは嬉しそうに頬を染めた。
「そーいうリエはどうなの?」
「え?」
「誰か相手いるの?」
興味津々で聞いてくるクリスティナに、リエは暫く考え込み、水を一口飲んだ後に答えた。
「いないよ」
「え?」
「残念ながら、そんな人はいないよ」
「そうなの?ガッカリ~。リエならそういう人がいると思ったんだけどな~」
残念そうに机に肘を乗せてクリスティナはガッカリ。
フェルトは食べ終えた食事のトレイを片付けるリエを見ていた。
「もしいたとしても、今はそんな事を考える暇はないからね」
「まあ、そうだけどね~」
クリスティナは再び雑誌を眺めたのち、盛大な溜め息を付いた。
「やっぱりいいな~」
ウエディングドレスを着た自分を想像するクリスティナ。そんな彼女に軽く苦笑いし、リエは食堂を出た。
作業を再開する為、再び格納庫に向かった。その途中、不意にクリスティナの言葉が蘇った。
『誰か相手いるの?』
「相手、か…」
僅かに顔を振り、考えを整備の内容に切り替えた。
そう。
私にはもう。
そんな相手はいない。
.