中編
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俺はロックオン・ストラトス。
CBでは狙撃者であり、成層圏の向こう側まで狙い撃てる腕前を持つ男。
俺に狙い撃てなかった物はこれまでに一つもない。
だが、そんな俺の前に、どうしても狙い撃てないターゲットが現れた。
それは
「リエッ!」
演習訓練を終え、トレミーに帰還すると、デュナメスの前に一人の女性がいた。
俺はデュナメスを下りて直ぐさま彼女に駆け寄り、抱き着こうと手を広げた瞬間。
バコンッ!
「機体を傷付けるな。と、あれほど言った筈だけど」
彼女が持っていた資料を顔面に向けておもいっきり投げつけられた。
「っ…、傷っつったって、あんな小さな傷だぜ!?」
俺が指差したのはデュナメスの右足。そこには、数センチ程の小さな傷があった
「傷は傷」
「しょうがねぇだろ?付いちまったモンは付いちまったんだ」
「…しょうがない?」
思わず発した言葉に彼女はデュナメスから俺に視線を移したが、
ハッキリ行って、怖かった。
「あっ、や、その…」
「…」
「…サ…サイナラーッ!!」
彼女の鋭い視線と、暫く続いた沈黙に堪えられなくなり、俺は逃げるようにその場を去った。
リエ・ルーシス。
CBの整備士であり、俺が初めて本気で惚れた女。
惚れた日からあれやこれやとアプローチを掛けるが、全て失敗。
そして何より彼女は、ガンダムの事になるとかなり怖い。
自分でも何故あんな女性に惚れたなんて分からない。
しかし、本気で惚れたからには。
「絶対落としてやるからな、リエ」
一人ニヤけて呟くロックオン。
その頃コンテナでは、デュナメスの整備をしていたリエが身震いをしていた。
(…嫌な悪寒)
.
私はリエ・ルーシス。
近々、世界に対して武力介入を開始するCBの一員。
私の役割はCBが所持するガンダムを整備する事。
ガンダムに関しては今の所問題はないのだが、一つだけ別問題がある。
それは
「リエ!」
扉から入り、こちらに駆け寄ってくる男を見て、私は眉を寄せた。
私の今悩みの種であるこいつ。ガンダムの一つ、デュナメスのパイロットであるロックオン・ストラトス。
何故かこいつはいつも私を見付けては構ってくる。
整備中だろうと食事中だろうと移動中だろうと構わず。
正直言って邪魔なのだが、そんな事を言ったら更に煩くなると思い、あえて冷たい態度を取っていた。
なのに なのに。
どうして付き纏う!?
.
デュナメスを整備するハロ達を見ながら手元の端末を操作していると。
「お、リエじゃねえか?」
「……」
後方から、一番聞きたくない声が聞こえてきた。
「デュナメスの調子はどうだ~?」
ちゃっかり肩に腕を回し、軽々しく話すロックオン。
リエは端末を操作する事で必死に気持ちを煩わせていた。
「…………………最悪」
「何!?だったら今すぐ俺がアシストするぜ。俺とお前となら直ぐに終わるからな!」
厭味を込めてたっぷりと間合いを置いて話したというのに。
代わらない態度に無償に腹が立った。
(お前の事を言ったんだ…っ!)
口には出さずに心の中で叫び、リエは持っていた端末をロックオンに渡した。
「へ?」
「ならそれでも見といて」
小さく呟き、リエはロックオンから放れ、ロックオンは渡された端末を見ると。
『何もするな。ただそこに立っていろ!』
と、書かれていた。
その後ロックオンは、書かれた通り、暫くその場にただぼーっと立っていた。
(頼むから寄り付くな…ッ!)
リエの苦労は続く。
.