第一期
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目が覚めると、ガンダムのコンテナにある一室。ゆっくりと起き上がり、今までの事を思い出した。
テロから放たれたガンダムマイスターの武装解除の声明。百人以上の犠牲者。
「…っ」
迫る悪夢に頭を抱えると、別の声が聞こえた。
『トリィ?』
「っ!」
ハッと目を開けると、目の前には自分の作ったトリィがヒカルに向けて首を傾げていた。
「トリィ…」
ロボット鳥を手に乗せ、暫く眺めていると、部屋の扉が開いた。
「気分はどう?」
「…スメラギさん」
部屋に入室してきたのは自分達のリーダー的存在のスメラギ。彼女はヒカルに近付き、彼女のベットに腰掛けた。
「すいません…心配かけて」
「いいのよ、貴方には…辛い経験だからね」
スメラギはヒカルの両親、エトワール夫妻から聞いていたので倒れた原因も知っている。
その言葉にヒカルは何も言えず、ただ口を閉ざしていた。
『トリィ?』
ヒカルの肩に移動したトリィが首を傾げ、スメラギはそれを見て少し笑った。
「さ、辛気臭い話はこれで終わり!皆の所に行きましょ!」
「え?あ、はい…」
スメラギはヒカルを立たせ、彼女の肩を抱きながら部屋を出た。
「フェルトにその子見せたらきっと喜ぶわよ」
『トリィ!トリィ!』
自分の事を言われてトリィは飛び回り、それを見てヒカルは少し笑顔になった。
「あ、そうそうヒカル、あんた水着持ってないわよね?」
「…え?」
突然のスメラギの言葉、それにヒカルは少し動揺した。
スメラギから渡された物を着て皆の元に向かうと、アレルヤがとことなく呆れていた。
それを見たヒカルは近くに寝そべっているロックオンに声を掛けた。
「アレルヤどうしたの?」
「ん?ミス・スメラギ達の格好に呆れて…て、ヒカル、それどうしたんだ?」
掛けられた声にヒカルの方を見ると、彼女は白のビキニに同色のパーカーを着ていた。
ロックオンの声にティエリア、アレルヤもヒカルの方を向いて軽く息を吐いた。
「スメラギさんに着れって言われて断れなかったの」
「あ~らヒカル!やっぱり似合うじゃない!ほらそんな隅っこいないでこっち来る!」
スメラギに手を引かれ、日が指す場所に連れられ、刹那は船の二階からそんなヒカルを見ていた。
「わー!ヒカル可愛いじゃない!似合ってる似合ってる!」
「あ、ありがと…」
苦笑いしながらクリスティナに礼を言うと、肩に乗っていたトリィがフェルトに抱えられたハロの上に移った。
「あ…」
『トリィ!』
『フェルト、オトモダチ!』
ハロがトリィをフェルトに紹介すると、彼女は少し笑いそれを見たヒカルも少し嬉しくなった。
「とにかく、ガンダム各機は所定のポイントで待機してもらいます」
スメラギの言葉に四人はガンダムで所定の位置に向かい、残ったヒカルは自分のポイントを聞いた。
「ヒカル、貴方はここで待機よ」
「え?」
スメラギの言葉に耳を疑った。
「貴方はテロの所在地が見つかるまでここで待機と言ったの」
「そんな、何で私だけ!?」
「いま貴方がテロの前に出て、何か出来るの?」
その言葉にヒカルは一瞬体を震わせた。
「いいわね?」
「…はい」
ヒカルは短く返事し、レクサスの元に向かった。
レクサス内で膝を抱えて顔を俯かせ、ただひたすら出撃合図を待っていた。だがスメラギは、ヒカルに出撃させる気はなかった。
その事に気付かず、ヒカルは決してその場を動こうとしなかった。
その時。
「ヒカル、ヒカル~?」
外から名前を呼ばれ、レクサスから出ると、クリスティナとフェルトがいた。
「どうしたの?」
レクサスから下りて二人に近寄ると、いきなりクリスティナがヒカルの手を掴んだ。
「…え?」
「こんな所にいないでビーチに行こうよ!」
「え、でも…」
「いいから行く行く!」
強引に手を引かれながら、ヒカルはクリスティナにビーチに連行された。
「何で私までーー!!」
ビーチではしゃぐクリスティナとそれに嫌々付き合うフェルト。そんな二人を浜辺で見ながらヒカルはぼーっとしていた。
そんなヒカルを見ていたスメラギは、軽くため息を付いた。
「あの子は本当にガンダムや機械関係以外には興味がないのね」
「エトワール達の血だろうな、特に親父の方の」
同じように見ていたイアンが今は亡きヒカルの両親を思い出し、苦笑いした。
数時間後、テロの所在地を撃破したマイスター達は離島のコンテナに戻ってきた。
すると、刹那だけがスメラギに呼び止められた。
「ちょっとレクサス見て来てくれない?」
「…レクサス?」
「そう!あ、コックピットは絶対見てよね!」
スメラギに念を押され、刹那は不思議に思いながらもレクサスに向かった。
言われた通りレクサスに向かい、取り敢えずコックピットを見る。すると、刹那は少し驚いた。
コックピット内には眠っているヒカルがいた。
刹那は何故ヒカルがここで眠っているのかと考えていると、彼女の肩にいたトリィが突然鳴いた。
『トリィ!トリィ!』
トリィはコックピット内を飛び回り、暫くして刹那の肩に止まると、目が点滅した。
『刹那、聞こえる?』
トリィから聞こえてきたのはスメラギの声だった。
「…」
『刹那?聞いてる~?』
「…ああ」
暫く呆然とし、聞こえてくる声になんとか返事を返した。
『なんだ、聞こえてるなら返事しなさいよ!あ、それともびっくりしたの?』
「…」
『ヒカルから聞いたんだけど、この子電話にもなるんだって。で、試しに掛けてみたの』
スメラギの言葉に、刹那はようやく納得した。
『と、それじゃ本題ね。そこでヒカル寝てるでしょ?』
「ああ」
『部屋まで連れてってあげて。そんな格好だと風邪引いちゃうだろうし』
刹那は改めてヒカルの格好を見ると、朝に見た水着にパーカー姿だった。
『ヒカルったらいつでも出撃出来るようにずっとそこにいたのよ』
その言葉に刹那は無言でヒカルを見、彼女を軽々と持ち上げてレクサスから下りた。
「何故俺に?」
『あら、教えない方がよかった?ヒカルは凄く心配してたわよ~』
すると、刹那はピタッと足を止めて抱えているヒカルを見た。
『マイスター全員だけど』
「トリィ、切れ」
『わー!待った待った!刹那の事もちゃんと心配してたわよ!』
切れそうになる通話を慌てて止め、スメラギは弁解した。
『まあとにかく。ヒカルが起きたらちゃんと話すのよ』
「…何をだ」
『貴方が敵に姿をさらした事。ヒカル結構気にしてたわよ』
昨日の命令違反。その事を思い出し、刹那は再び足を止めた。
『大事な子なら、ちゃんと護ってあげなさい。不安も持たせちゃ駄目よ』
そう言い、スメラギは通話を切り、トリィの目が元に戻った。
「不安…」
ヒカルの部屋に着き、彼女をベットに寝かせ、刹那はベットに腰掛けたままヒカルの頬を触った。
「…ごめん」
小さく呟き、頬に手を添えたまま、ヒカルの額に口付けをした。
そのまま彼女の手を繋ぎ、刹那は眠りに付いた。
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