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短編

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謎の少女

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【ラストミッション】


次々と落とされるMSや巡洋艦。そしてまた、一人の軍人がELSに侵食される前に自爆しようと試みた瞬間。



ドウン!!



『お、わあああっ!』


一筋の粒子ビームに機体が破壊され、パイロットは宇宙に投げ出された。

その粒子ビームにロックオンとハレルヤ、そしてフラッグ隊の隊長のグラハムが感付いた。


視線の先にはダブルオークアンタ。

そして後から駆け付けたレヴィアスもクアンタの隣に並んだ。


クアンタの横の画面に映し出されたヒカルは何も言わずに刹那に笑いかけ、刹那も笑い返して前を向いた。


【刹那、対話の為にはELSの中枢に向かう必要がある】

「解っている」

『俺に任せな!』


刹那が目指すのは巨大ELS、だがその道には大量のELSが阻んでいる。

それを聞いたロックオンはクアンタの前に出て、サバーニャのホルスタービットを全て射出した。


『行くぜハロ!』

『『リョウカイ、リョウカイ』』


オレンジと青のハロの耳がパタパタと動き、スクリーンに映されたELSに照準を合わせた。



『乱れ撃つぜぇぇ!』



トリガーを握り、ライフルビットが乱雑に放たれる。

それがホルスターにも反射された光の豪雨がELSの集団をなぎ倒した。


次にハルートも加勢に入った。


『いいか、反射と思考の融合だ!』

『解ってる』

『了解!』


アレルヤの口からハレルヤも言い、マリーも答えるとモニターに表示が出る。


【マルート・モード】



『行くぜぇぇっ!!』



ハレルヤが叫び、ハルートのあらゆる部分からミサイルやGNシザービット、ビームが放たれ、その顔には六つの目が光っていた。


サバーニャが切り開いた進行ルートを進んで次々とELSを撃ち、今まさに侵食されかける巡洋艦向けてGNキャノンを放ち、ELSを撃ち抜いた。


『これが、超兵の力だ!』

『違う!未来を切り開く力だ!』


サバーニャとハルートは同時に大型のGNキャノンを放ち、巨大ELSまでの道を作った。


『刹那!』


僅かに出来た道を刹那が駆け抜け、ヒカルは援護の為後方を走った。


キイィィン!

「っ!」

【刹那!】


今までとは違うELSの叫びに衝撃を受け、体が前屈みになる。

そこにMS姿のELSがクアンタを攻撃し、とっさにGNシールドを張った。


「俺は戦う為に来たわけでは…」


撃ち続けるELSは止まらず叫んでいると、レヴィアスが前に出た。


『刹那は行って!』

ヒカル…!」


ビームを放ち、十枚ある翼からGNビットを出して応戦した。


『何の為に皆が行かせてくれたのよ、ELSを止めるんでしょ!?』

「だが…」


すると新たな粒子ビームがELSを攻撃し、次々と爆発した。


『何を躊躇している!生きる為に戦えと言ったのは、君のはずだ!』


現れたのは先日助けてくれたフラッグ。彼は攻撃の手を休める事なくレヴィアスの横に並び、共にクアンタの盾になった。


『たとえ矛盾をはらんでも存在し続ける!それが、生きる事だと!』


彼は他のフラッグと共にトランザムを発動させ、巨大ELSの側にいるELS達を破壊した。


『行け、少年!生きて未来を切り開け!』


その声に押され、ヒカルを方を向くと彼女から通信が入った。

画面の中の彼女は攻撃を続けながら黙って頷き、刹那は巨大ELS向けて突き進んだ。







「ダブルオークアンタ、先行して行きます!」

「頼むわね。刹那、ティエリア…。ミレイナ、汚染状況は?」

「15%を超えたです」


トレミーはGNフィールドを貼っていたが、何処からか当たったELSが少しずつ艦を汚染していっていた。


「連邦艦隊の損失、55%」

『クジョウ!』


突然の通信に驚くが、繋げたのはかつての戦友であり、この作戦の司令官のマネキン准将だ。


『カティ!もう少しだけ持ちこたえて』

「勝機があるというのか?」

『いいえ、無いわ…』

「なんだと!?」



「でも希望はある!」



何の確信もない言葉。だがこの状況では、信じたい言葉だった。


ガンダムにも少しずつ負傷の乱れが出始め、サバーニャは左腕を撃たれながらもトランザムを発動させた。


そして先程刹那の道を作った様にコンソールに映るELSに照準を合わせた。

トランザムで先程より多くのELSを撃ち抜き、更に攻撃を続けた。


ハルートは侵食される連邦のMSを助ける為右腕のシザービットを犠牲にした。


ハレルヤにその行為は偽善だと言われたが、アレルヤはそれでも善だと答えた。

これ以上命を見捨てたくない、ハルートもトランザムを使って素早く戦場を駆けた。


刹那から放れて艦隊に向かったヒカルも砲撃を続け、向かってくる巡洋艦ELSをGNソードで突き付けた。

真っ二つにした艦をGNキャノンで吹き飛ばし、尚も迫るELSに脳量子波を発動させた。


「来なさい。あんた達が求めてる、イノベイターよ!!」


勢いを増したELSにトランザムを発動させ、GNビットやキャノン、胸部分や掌、足に隠された砲も開き、一斉射撃した。


.

巨大ELS付近ではMSのELSがクアンタを妨害し、刹那は中々中枢にたどり着けなかった。

迫るELSに遂に砲撃し、意を決した様にティエリアを見た。


「トランザムで、ELSの中枢に突入する!」

【駄目だ!トランザムは対話の為の切り札、ここで使う訳には…】


巡洋艦型のELSに押されて少しずつ放されていくクアンタ。

このままでは埒が明かないと思い、遂に発動させた。



「トランザム!」



ティエリアの止める声も聞かずトランザムを使い、GNソードから放たれた巨大な砲がELSを破壊した。


「このまま表面を切り裂く!」


その威力を巨大ELSに押し付けるが、ELSは屈折させる事で攻撃を受け流した。





『少年!』



傷一つ付いていないELSを苦々しく見ていると、ELSに侵食されたフラッグがトランザム状態で巨大ELSに突っ込んでいた。


『未来への水先案内人は、このグラハム・エーカーが引き受けた!これは、死ではない!』


『人類が生きる為の!』


閉じようとする巨大ELSの表皮の隙間に滑り込むフラッグ。

直後に凄まじい爆発が起こった。


「あの男…」

【刹那!】


爆発した部分に穴が空き、刹那は迷わず進んだ。


「突入する!」


MSのELSのビームを避け、クアンタは内部に入った。


.

「ダブルオークアンタ、ELSの中枢へと突入した模様です!」

「艦の汚染状況は?」

「44%を超えました」


トレミーの半分近くがELSに汚染され、その速度は高まるばかり。更には警報も鳴り出した。


「GNフィールド、再展開不能です!」


絶対的な状況に、スメラギはある指示を出した。


「―――総員、退艦の準備をして」


「嫌です!」


その言葉に、フェルトは直ぐに反論した。


「クリスの時のように、また除け者にする気ですか?そんなの嫌です。今度こそ、全員で生き残るんです!」

「ミレイナも残るです!」


一歩も引かない二人に何も言えず、ふとラッセを見ると彼も同意する様に笑っていた。


『諦めるのはまだ早い!』

『最後の最後まで信じましょう』


ブリッジに、サブブリッジにいたイアンとリンダの声が流れた。


『その通り!俺達は、CB!』

『切り開くんだ!』

『未来を!』

『明日を!』


ロックオンやアレルヤ、マリーの声も聞こえ、トレミー前に現れた巨大なELSにヒカルのレヴィアスが立ち塞がった。


『そうよ、ソラを…。あの子を迎えに行くのよ!』


迫るELSを凪ぎ払い、諦めない皆にスメラギも賭けた。


「そうね…信じるわ」





刹那を



.

ELSの内部、鍾乳洞のような場所を進みながら中枢を目指す刹那。

そして目的の中枢に到着し、【クアンタム・バースト】を発動させ、ELSとの対話を開始した。




艦隊は70%も損失し、遂に指令部本部をELSが襲った。


トランザムが切れたガンダムの火力は格段に落ち、レヴィアスの一部がELSに侵食された。


「うっ、ぐ…」


初めて感じた身近なELSの感覚に痛みが走った。


「ああああっ!!」


ELSは侵食の速度を早め、それは腕や足にまで到達した時だった。


キイィィン!


無意識に発動する脳量子波。

何も出来ない状態の時、ある映像が見えた。









ソフィア、困った事があったら、アタシに教えてね)

(どうして?)

ソフィアには解らなくても、アタシには解るかもしれないでしょ?)

(困ってたら、助けてくれる?)

(もちろん。アタシはソフィアのお姉ちゃんだから、何があっても、アナタの味方よ)




そう言って自分を抱き締める姉だと語る少女。

何故こんな光景を見るのか解らないが、とても安心した。




.

(…ねぇ、どうしてELSは私達を襲うの?)

襲っているんじゃない、理解したいのよ

(どうして?)

わかり合いたいからよ

(わかり、合う…?)

そう。ELSは自分達と話をしてくれる人を、わかり合う人を探していたの

(…そっか。ELSは、寂しかったんだね)


誰かが自分を抱き締める感覚を感じた。


皆同じよ。一人では出来ない事も、皆となら出来る


ヒカル。アナタが刹那や皆とやり遂げた事で、今があるのよ


だから今度は、その想いをELSにも伝えてあげて




(…ありがとう、お姉ちゃん)






.

かつてELSにも母星があった。

だが近付く太陽が膨張して爆発を起こし、星は死を迎えようとしていた。


一部のELSは滅亡を阻止しようと星を離れ、宇宙へと飛び立った。



【そうか…彼等の母星は死を迎えようとしていて、生き延びる道を探していたのか…】


ELSに何があったのか、刹那とティエリアはまるでプラネタリウムを見る様に見ていた。


「繋がる事で、一つになる事で、相互理解をしようとしていた…」


ELSは自分達の住環境を整える為に侵食していたが、全てがその荷重を支えきれず、金属に覆われた。


「行こう、彼等の母星へ。俺達はわかり合う必要がある」

【いいのか?】


ティエリアの言葉に込められている意味。

それに気付いて一瞬言葉が詰まるが、直ぐに返した。


「…ああ。俺には、生きている意味があった」


中枢から出たクアンタは外に出る為飛び立った。





外では艦隊のほとんどがELSに汚染され、トレミーからも煙が上がっていた。


『ごめんね』

「ダメです!」


トレミーではELSに汚染されサブブリッジに閉じ込められたイアンとリンダが寄り添い、ミレイナにモニターを繋げていた。


「そんなのダメです!パパとママも一緒に行くです!行くったら行くです!」


覚悟を決め、別れを告げる母の手に自分の手を添えて泣きじゃくるミレイナ。


「…っ、ヒカル!」


フェルトのモニターには機体や自信もELSに侵食され、動かないヒカルの姿が映っていた。


「返事してヒカル!約束したじゃない、一緒にソラを迎えに行こうって!」


何度も呼び掛けるが、ヒカルの返事はない。



「あたしに、おかえりって言わせてよっ!!」



涙を浮かべ叫ぶフェルト。

やがて侵食が進んでモニターが消えて更に焦る。


その状態に何も言えなかったが、スメラギは諦めていなかった。

.

「皆同じだ、生きている…」

【生きようとしている】


クアンタは粒子ビームを放って脱出口を開こうとしたが、まるで道を示す様に外壁部が開いた。


「だが、なぜこうもすれ違う…」


ELSに侵食されたハルートから脱出するマリー。

アレルヤも脱出した直後、機体が破壊され吹き飛ばされた。


【なまじ知性があるから、些細な事を誤解する】

「それが嘘となり、相手を区別し…」

【わかり合えなくなる】


GNソードビットを前方に集め、円形のフィールドを作った。


「アニューとだってわかり合えた!お前らとだって!」


サバーニャの左腕と更に右足も失われていた。

それでも尚戦うロックオン。その脳裏には、かつて恋人のアニューがいた。


【ただ、気付いていないだけなんだ…】


起動エレベーターの外壁では戦火の中、必死に作業を続ける沙慈。

脳裏子波遮断施設では恋人の無事を祈るルイス。


「だから、示さなければならない」






「世界はこんなにも、簡単だということを」



ダブルオークアンタがフィールドの中を通過し、飛び去った機体の後に残された青白いGN粒子の光がその空間に舞い広がった。


.



―――ヒカル


「…っ、」


刹那の声に目覚めると、機体には侵食するELSが残っていたが、自信には何一つ残っていなかった。


「…ELS、貴方は…」


自分の中に感じる先程までとは違う感覚。

腕を上げて手のひらを見ていたが、明るい光りに視線を外に向けた。







地球に進行するELSが急に進路を変えてある場所に集まり、トレミーや各艦を汚染していたELSもピタリと動かなくなった。


全員が言葉を失った。

大型ELSは姿を変え、その姿は人々が一度は目にする身近な物。


サバーニャから出たロックオンもそれを見上げ、アレルヤとマリーも寄り添いながら見上げた。


レヴィアスから何とか外に出たヒカルもそれを見上げ、言葉を無くした。





巨大な黄色い花。


ただそこにあるだけで、人々を超越させるもの。


その光景に、無意識にヒカルの瞳からは、涙が零れた。

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