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短編

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謎の少女

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【想定外の出来事】


ELSの大軍が出現してから16日後。

地球連邦の先遣した調査艦隊が火星圏宙域でELSと戦闘を開始した。


その情報にトレミーはトランザムを使って現場に移動し、マイスター達はガンダムに乗り込んだ。

だが既に艦隊は全滅、こちらに迫るELSを迎え撃っているが数は一向に減らない。


刹那はトランザムを使い、ELSとの対話を開始した。


だが



「っ、ダブルオーライザー、ELSに侵食されていきます!」

「至急刹那を回収、ポイントY32まで撤退!」


フェルトの声にスメラギが撤退の指示を出し、他のマイスター達は刹那を助けようとするが、ELSの多さに近付くのも困難だった。

自然に三機のガンダムが背中合わせに密集し、全方位に粒子ビームを放つ。


「ダブルオーの粒子残量が尽きます!」


ダブルオーから粒子が消え、微動だにしない光景に操舵席に座っていたヒカルは動揺した。


絶望的な場面にティエリアがその場から離れ、機体が二機に別れた。


「僕にも脳量子波は使える!」


散っていたELSがティエリアの乗るラファエルに群がり、その間に分離したセラヴィーが刹那の元に飛んだ。


『ティエリア!』

「刹那を頼む!対話の為に、刹那をやらせるわけにはいかない!」


その言葉にロックオンとアレルヤはその場を離れ、刹那の元に向かった。


セラヴィーはダブルオーのコックピット部分を取り除き、それを近くにいたロックオンのサバーニャに託した。


『刹那を回収した。これよりトランザムでトレミーに向かう』


サバーニャとハルートがトランザムで離脱していく様子にティエリアは苦しみながらも微笑んだ。


「…トランザム」


ラファエルを包むELSを巻き込み、ティエリアは自爆した。





.

「ティエリア!」


爆発したラファエルに咄嗟に叫ぶヒカルだが、その後の光景に目を見開いた。


「ELSがまだ…」

「嘘だろ…」


爆発から逃れたELSがサバーニャとハルートを追跡し、一時ハルートがそれを引き留めるが新手がサバーニャにも迫った。

シールドビットで防御しつつもそれを突破され、機体にELSが触れる。



ドウン!



一条の粒子ビームがサバーニャの真後ろにいたELSを撃ち抜き、更に数十のビームがELSに放たれた。

その先にはユニオンフラッグのMS小隊がおり、ガンダムに目も暮れずELSに向かって行った。


その隙にサバーニャとハルートは撤退し、素早い動きと連携にELSが次々と破壊されていった。


「セイエイさんを医療BOXに収容したです」

「ラッセ、粒子撹乱ミサイル発射。ヒカルは各モビルスーツ収容と同時に現宙域を離脱」

「「了解!」」


粒子ミサイルで撹乱し、ガンダムがトレミーに収容と同時にその場を離脱し、フラッグ隊も粒子撹乱を利用して撤退した。



ヒカルは作業を終えると直ぐにブリッジを出、医務室を目指した。

強化ガラスの前には既にマイスター達がおり、ガラスの向こうの医療ベッドで横になる刹那を見た。


「刹那!」


苦しそうに魘される刹那に表情を歪め、マリーは労る様に肩に手を乗せた。





戦闘を終えるとガンダムは整備に、加勢したフラッグ隊には粒子供給を与え、スメラギは今ティエリアと話をしていた。


「全く、なんて無茶をするの…!」

【僕にとって肉体は、入れ物にしかすぎない。それに、あの時はああする以外方法はなかった】


モニターに移るティエリアの意識は今ヴェーダと共にある。解っている事だが怒らずにはいられなかった。


「…刹那の容体を教えて」

【ELSとの意識共有を図った時、相手の膨大な情報を受け止めきれず脳細胞にダメージを負った。脳細胞の再生処置は施したが…意識や記憶に障害が残る可能性がある】

「そんな…」

【だが、刹那の脳量子波が我々の想像を越えているなら…真のイノベイターとして覚醒しているなら、きっと】


医務室では眠る刹那の容体をチェックする水色ハロ、その光景をヒカルソラを抱えながらじっと見ていた。


「ぱー。まんま、ねーねー?」

「…」


何も言えず、ただソラを抱き締める事しか出来ないヒカルの元に、聞き慣れない声がした。


「人と人とがわかり会える道を模索し続け、ELSにすらそれを行おうとするとは…未来を切り開く、それが君の戦いなのだな。少年…」


現れたのは連邦軍のスーツを着用し、顔に大きな傷のある男性だった。


「あなたは…」

「かつてガンダムを越えようと愚行を繰り返した男だ。だが、やはりその考えは間違っていた。私が越えなければならないのは、この少年だ」


横たわる刹那を見ながら男性は続けた。


「しかし、友軍の危機に間に合わず、そして少年を助ける事も出来ないとは…」


「…助けてくれましたよ」


小さく呟いた声に、男性はヒカルを見た。


「貴方方が来てくれなかったら、皆ELSにやられていたかもしれない。私とは違う…」


ソラの頭をゆっくり撫でながら、ヒカルは続けた。


「戦う術を持っているのに、機体がない私は見ているしか出来なかった。でも今度は違う」


視線を刹那に移し、微笑んだ。



「次は、私も出る」



その場に沈黙が続いていると、男性の持つ端末が鳴り出した。


「私だ」

『隊長、木星から新たなELSが出現との知らせが!』

「っ。補給完了後、我が隊は母艦へ帰投する」


端末を切り、男性はヒカルを見た。


「…あの」


何も言わず見続けていると、男性はフッ、と笑った。


「君は今でも少年と共にいたのだな、【赤の天使】よ」

「え?」

「生き恥を受けたかいがあった。もう一度少年を見れただけではなく、赤の天使とその息子まで拝見出来たのだからな」


ヒカルと、腕に抱くソラの頭を軽く撫でた。


「君がいれば、少年は大丈夫だろう。―――失礼する」


男性は敬礼をしてその場を去り、手を振るソラと呆然とするヒカルが残された。


「…赤の天使って、何?」

「ばーばーい」



.

木星から新たに現れた大型のELSは月と同規模の物と判明。

政府は何度も議会を開いて理論を話し合うが、最終的に戦いという道を選んだ。


そして軍は直ぐに市民の避難と防衛戦の準備が開始された。


アザディスタンではシェルターに入りきれない市民を王宮に迎える皇女マリナ。

脳量子波遮断施設では恋人のルイスに付き添う沙慈が軌道エレベーター防衛に志願した。


それぞれが、自分が出来る事を全うする為に。


.

ELSが地球に到達まで7日が切った日、トレミーはランデブーポイントに到着し、イアン達が乗る輸送艦と合流した。

トレミーの格納庫には新たなガンダムが運ばれ、その姿をアレルヤとマリーは見ていた。


「あの機体は…」

「新しいガンダム?」

「GNT-0000、機体名、ダブルオークアンタ。イノベイター…いや、刹那の専用の機体だそうだ」


一人知っていたロックオンが、説明しながら近寄った。


「超高濃度粒子で意識共有率を格段に上げるんだと」


そう言ってクアンタを見ていたが、マリーがある事に気付いた。


「あれ?」

「マリー?」

「あそこ、あのガンダムは?」


マリーが指差す先にはもう一つ同じコンテナがあり、それに画面を移した。



中には別のガンダムがあり、その色は。

赤だった。



「まさか、あの機体…」


アレルヤが気付いた時、背後の扉が開いた。


「ガンダムレヴィアス。私の新しい機体よ」


そこにはソラを抱えたヒカルが立っていたが、纏うのは赤のパイロットスーツだった。


ヒカル!お前」

「イアンさんに頼んで作ってもらっていたの、情報はティエリアに極秘してくれる様に頼んだから知らなくて当たり前だよ」

「お前刹那と約束したんじゃなかったのかよ!そのチビッ子が産まれた時に、もうガンダムには乗らないって!」

「確かにしたわ。でも私は、皆のサポートをする為にここにいる訳じゃない」


ソラを強く抱き締め、強い眼差しを向けた。



「私は、マイスターよ」



その表情にロックオンは一度口を止めたが、また口を開こうとした時。


ポンッ

アレルヤがロックオンの肩に手を乗せて止めた。


「ロックオン、もう無理だよ」

「アレルヤ」

ヒカルはもう聞かないよ。こうなったヒカルを止める事が出来るのは刹那だけだから」

「でも…」


マリーも心配する様に声を掛けたが、ヒカルは笑って返した。


「大丈夫だよマリーさん、危険な事は分かってる」

「ま~」


ペチペチと頬を叩く小さな手に、視線をソラに向けた。


「でも負けられない、ソラの為にも」


額を合わせて微笑む親子に見いっていると、スメラギからの放送が流れた。


.

「なんだって!?刹那が脳に損傷を!?」


外ではスメラギから報せを聞いたイアンとリンダが驚き、ミレイナもクアンタの調整をしながらそれを聞いていた。


「そんな、クアンタを持ってきたのに…」

「いいえ、この機体は必要よ。私は刹那が回復すると信じている、クアンタの最終調整をお願い」


ピピッ

【僕からも頼みたい事がある】


新たな声にリンダが持つノートパソコンを見ると、ティエリアの姿が映っていた。


「ティエリア!」

「アーデさん!」


リンダは端末を皆に見せる様向け、ミレイナは嬉しそうに画面を覗いた。


【イアン。ヴェーダの小型ターミナルユニットを、クアンタに搭載して欲しい】

「え!?どういうつもりだ?」

【ELSから送られてくる情報を、ヴェーダを使って制御する。そう…GNドライブ、ヴェーダ、イノベイター。イオリア・シュヘンベルグが求めたこの3つで、来るべき対話を実現させる】

「あなた…」

「解ってる!ワシ等は最善を尽くすしかない、刹那の回復も…!」


スメラギは頷き、艦内に放送を流した。





《スメラギより全員に通達。トランザムで最大加速、ELSとの接触を行います。皆、これがソレスタルビーイングの…いいえ》



《私達に残された、ラストミッションよ》



その放送を聞き終えると、ヒカルの表情が変わった。


ソラ、皆にバイバイして」

「ばばーい」

「どういう事?」

ソラを、ラボに預けるの」


その事実に深くは聞かず、皆は納得した。


「…そうだよな」


ソラの頭を撫でながら、ロックオンは続けた。


「じゃあなチビッ子、また会おうぜ」


少し乱暴に撫でるロックオンに、アレルヤはヒカルに「抱っこしていい?」と聞き、ソラを抱き上げた。


「今度会った時には、もっとお喋りしようね」

「元気でね、ソラ君」


アレルヤが抱えるソラにマリーも手を伸ばし、ソラはその手を掴んだ。


皆に見送られてその場を後にし、ヒカルは輸送艦の方に向かった。

途中に脳量子波遮断カプセルとトリィを持ってゆっくりと進んでいた。


「トリィ、ソラをお願いね」

『トリィ!』


ふと立ち止まり、カプセルを傍らに浮かせてソラを抱き締めた。


「…ソラ、必ず迎えに行くから。待っててね」

「まんま~」


この子と離れた事はある。だがこの先、何が起こるか予想も付かない故に不安が拭えない。

もしかしたら自分は死んでしまうかもしれない。



それでも



「貴方は、絶対に護るからね」


頬に軽くキスをしてカプセルにソラとトリィを入れ、先に進んだ。



輸送艦の乗組員にソラを託し、遠ざかる艦を見えなくなるまで眺めていた。


.

久しぶりに座るガンダムのコックピット。

新たな機体の調整を行いながら考えるのは刹那の事。


ELSが地球圏に到達するまで48時間を切ったが、未だに目覚める兆しはない。


「…~、あーもう!」


集中出来ず、一息付こうとガンダムから出ると、見知った人影が見えた。


「フェルト?」


キャットウォークにいたのはフェルトで、彼女も泣いたらに気付いて持ってたドリンクのボトルを渡した。



「ありがと」

「…ヒカル

「ん?」

「いつから隠してたの?ガンダムの事」


暗い顔をするフェルトに、ヒカルはガンダムを見ながら苦笑いした。


「ロックオンやアレルヤの新しい機体を作るって聞いた時だから、ヒカルが産まれる前かな」

「そんな前から?」

「刹那にはELSが現れる前に感付かれて、三ヶ月前に話しちゃった」


軽くドリンクを飲み、フェルトに向いた。


「ごめんね、心配かけて」

「え…。っ!もしかしてあたしの思考読んだの!?」

「してないよ、そんな気がしただけ」


慌てるフェルトに笑うヒカル。その様子にフェルトはホッとした。


「…よかった」

「え?」

「刹那とヒカルがイノベイターになってから、何だか二人共変わった気がして、少し不安だったの」

「フェルト…」

「でもヒカルは変わってない。よかったって思って」


安堵するフェルトにドリンクを浮かせ、彼女を抱き締めた。


ヒカル!?」



抱き付いたまま黙るヒカルに動揺しながらも、背中に手を回した。


「私は変わらない」

「え?」

「私はマイスターで、刹那の妻で、ソラの母親で」


体を少し離し、フェルトの頬を触った。


「フェルトの親友だよ」


ニコッと笑い、柵に寄り掛かりながらガンダムを見上げた。


「初めて会った時の事覚えてる?」


突然の事に呆然としながらも、昔を思い出した。


「覚えてる。でもあの時のあたしは今みたいに自分から行動する事もなくて、あまり話もしなかったよね」

「私も、自分の事やガンダムの事で手一杯だったからね~」


当時の事を思い出し、暫し思い出話に浸っていた。





「…あれから、色々あったよね」

「ええ」

「辛い事も、沢山あったよね」

「ええ…」


共に戦いあった、大切な仲間。彼等の死。


「だから、もう最後にしよ。この戦いを、最後にしよう」


立ち上がり、手を握り合った。


「終わらせて、一緒にソラを迎えに行こうね」

「…うん!」

.
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