短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2314年
人類に訪れる未知なる危機。
存亡をかけた対話の始まり。
CBの、ラストミッションが始まる。
.
宇宙のとある位置に存在する、CB偽装ドック。
そこに一隻の輸送艦が到着し、ドックにいたイアンが輸送艦へと走った。
「待ちかねたぞリンダ!」
「あん!」
入ってきたイアンは中にいた妻、リンダに抱き付いた。
「あれは完成したか?」
「だからここに来たのよ」
リンダは手元の端末を弄り、輸送艦の映像を映し出した。
その輸送艦から、2基のGNドライブが運び出されていた。
「おお」
「ツインドライブ専用にカスタマイズされた新型GN粒子放出機関」
「2年かけて2基しか出来ませんでしたけどね」
「時間も人も足りないから」
「よくやってくれた!」
申し訳なさそうに言う乗組員に、リンダは苦笑いし、イアンは再び映像を見た。
「高濃度粒子領域で脳量子波による意識の共有を行い、戦闘空域で人々の想いを繋げる」
「戦いを止めさせる為の機体…」
「それが、刹那の望んだガンダム」
ダブルオークアンタ
機動戦士ガンダムOO
A wakening of the Trdilblazer
.
西暦2314年
私設武装組織CB。
彼等の行った武力介入は世界に変化をもたらし、緩やかだが“戦争の無い世界”へと向かっている
だがそれは、多くの紛争に対して武力介入を行ったCBと、様々な弾圧行為を行った独立治安維持部隊アロウズが、人々に武力による恐怖を植え付けたせい
今ある平和は、忘れられない恐怖による仮初めの平和
.
暗い部屋でパイロットスーツを身に付ける青年。
グローブを嵌め、ヘルメットを取ろうと振り返った時、ある人物にそれを渡された。
「ヒカル…」
「はい」
2年前とは違うパンツタイプの制服を着た女性。
元は自分と同じマイスターであり、今は妻であるヒカルは、刹那にヘルメットを渡した。
「ソラはどうしたんだ?」
「今はお昼寝中。それより、気を付けてね」
「解っている」
今からミッションに出る刹那を心配するヒカルの頬に手を伸ばし、優しく触れた。
「いってくる」
「いってらっしゃい」
二人は笑い合い、静かに口付けを交わした。
コンテナに向かう刹那を見送り、ヒカルは皆がいるブリッジに向かった。
.
アロウズ、イノベイド達との大戦から2年。
連邦政府は一新され、新政権は話し合いで問題を解決する融和政策を推し進め、各国の内紛は沈静化しつつあった。
しかしそれでもまだ問題は残り、CBは密かに活動を続け、小さな問題を刈り取っていた。
「ただ今戻りました」
ブリッジに入ったヒカルはそう言いながらスメラギの座る椅子の背もたれに捕まった。
「ヒカル、ソラの所にいなくていいの?」
「ソラは今お昼寝中。それにトリィがいるから大丈夫ですよ」
「ソラは一度寝たら中々起きないからね」
フェルトの笑う声にヒカルも釣られて笑っていると、ミレイナの元に一つの伝達が入った。
「ノリエガさん、パパから連絡が来たです!」
「イアンから、何て?」
「ママが新しい太陽炉を完成させたみたいです!」
ミレイナの嬉しそうな声に、ヒカルも側に寄ってメッセージを読んだ。
「刹那が頼んでた機体ね。いーなー刹那だけ~」
「お前、まだ根に持ってんのかよ?」
ヒカルは無重力を漂いながら、こちらを向いたラッセを見た。
「だってロックオンやアレルヤとマリーさんのも作ってもらって、私だけないのって…なんか悔しい!」
「ヒカル、仕方ないでしょう。今の貴方にはソラもいるのよ」
「簡単なミッションくらいやれるのに刹那もティエリアまで駄目だ!の一点張りなんだから…」
ハア、と溜め息を付いた時、腕に付けていた時計のような端末が小さく鳴った。
「あ、ソラが起きた。ちょっと行ってきまーす」
ヒカルはブリッジを出て、息子ソラの元に駆け出した。
「全くあの子は、いつまで経っても諦めないんだから」
「でも、それがヒカルですから」
「そうです。エトワールさんはセイエイさんと一緒でガンダム好きですから」
「ミレイナ、ヒカルはもうエトワールじゃないぞ」
「あ…えへへ、つい癖で呼んじゃいましたです」
ブリッジの明るい会話を聞きながら、スメラギは前方に見える宇宙を眺めた。
.
「トリィ、ソラ見ててくれてありがとう」
『トリィ!』
「おはよう、ソラ」
「ま~」
自室に戻り、ヒカルはロボット鳥のトリィにお礼を言って寝ていた息子、ソラを抱き上げた。
大戦後、記憶を取り戻したヒカルは刹那と結ばれ、今は一児の母となった。
それと同時にマイスターとしてガンダムに乗る事は無くなったが、他の補佐に回っている。
「ぱぅ、あ~」
「パパ?パパは今お仕事に行ってるの、もう少ししたら帰ってくるからね~」
ソラをベッドに座らせてトリィに相手をするよう頼み、ヒカルは机に置いている端末を起動させた。
.
数時間後、トレミーに一機のフラッグが到着し、中からミッションに出ていた刹那とロックオンが出て来た。
機体から出たコンテナの中には、フェルトが出迎えるように飲み物を持って待っていた。
「お疲れ様」
ねぎらいの言葉をかけ、フェルトは二人にドリンクのボトルを差し出した。
「気が利くねぇ。いい女になってきたんじゃないの?」
ロックオンの軽口を苦笑で受け流し、刹那にもドリンクを渡そうとしたが、目にも入っていないようにフェルトの横を通り過ぎて行った。
「刹那、ミッションは?」
「ヴェーダの情報のお陰で未然に防げた。スメラギに報告する」
「あ、これ…」
ドリンクを渡そうとしたが刹那は気付かず扉の向こうに消えてしまい、フェルトは小さな溜め息を付いた。
「折角ヒカルが来れないから代わりに来たのに…」
「来れない?あいつまた何かやらかしたのか?」
不可思議な言葉を聞き質問するが、フェルトは首を横に振った。
「解らないけど、最近何かを熱心に考えているみたいなの。ソラの事とは別の…」
「成程ね」
僅かに不安の色を見せるフェルトに、ロックオンは彼女の頭に手を置いた。
「心配すんな。今は言えなくても、いつかは話してくれるさ」
「そう、かな…」
「あいつとあんたは親友だろ?だったら、信じて待ってやれ」
ポンポンと頭を叩いて歩き出すロックオンに、フェルトは小さく笑った。
「…ありがとう」
.
パイロットスーツから制服に着替えてブリッジに入ると、中にはミレイナやラッセ、先程会ったフェルト。そしてスメラギに今回のミッションの報告をした。
「よくやってくれたわ、刹那。これで連邦がコロニー側の救済にも力を入れてくれれば…」
「新政権が立ち上がってまだ二年だ。小さな問題は、俺達の手で刈り取るしかない」
「ガンダム出せば世界の抑止力になるです」
「ミレイナ、政府が融和政策を推し進めている今、下手に事を荒立ててもしょうがないでしょ?」
「えへへ」
「その通り。俺達はただ黙って存在するだけでいい。いざという時まではな」
その時フェルトの使う端末が小さく鳴った。
「ヴェーダからの定期報告です。連邦軍が、地球圏へ飛来してくる探査船の撤去作業を行うと」
「探査船の撤去作業?」
「何処から来たか解る?」
「はい。―――木星です」
「…その船の詳細データ、解るか?」
刹那の質問にスメラギとフェルトは振り向き、フェルトは「やってみます」と作業を始めた。
「何か気になるのか?」
ラッセが問い掛けるが刹那は一瞬硬い表情をするだけで答えなかった。
「解り次第教えてくれ」
短く答えてブリッジを出た刹那に、ミレイナは小さく呟いた。
「セイエイさん、最近謎めいてます」
「イオリア・シュヘンベルグが提唱した新人類、イノベイターになった…。俺達には解らない何かを感じているのかもな」
部屋に戻った刹那だが、中が暗い事に疑問を感じながらも中を見回し、ベッドの人影に気付いた。
「…ヒカル?」
自分の妻の姿を見付けて近付くが動く気配はなく、顔を覗き来むと彼女は腕に息子のソラを抱いて眠っていた。
その光景に思わず笑い、起こさずにディスクに向かうと開いている端末に何かが映し出されていた。
よく見ようと覗き込んだ時、後ろの方で小さな声がした。
「あれ…刹那…?」
振り返るとヒカルが目を擦りながら起き上がっていた。
「おかえり~、任務終わったんだ」
「ああ。それよりヒカル、これは?」
「これ?」
起きたばかりでぼんやりしているが、刹那が指差した物を見て目を見開いた。
「は… はああああーー!! 」
飛び起きたヒカルは刹那の前に出て端末を消し、それを背に隠した。
振り返ると、刹那はヒカルを睨んでいた。
「何を隠した」
「あ、いや…」
「何を隠したんだ」
追い詰められ、蛇に睨まれた蛙状態になっているヒカルはどう逃れようかと視線を泳がすが、刹那に顔をズイっと寄せられ、冷汗を流した。
「言え」
「ああああ…」
言い逃れ出来ないと諦め、何を隠したか話そうとした時。
「あああんっ」
「「っ!」」
突然の泣き声にベッドに振り返ると、ソラが泣き出していた。
「あ、ソラ!ごめんね~」
直ぐにソラを抱き上げてあやし、刹那の方を向いた。
「刹那、もう少し待ってくれない?そしたら全部、隠さずに話すから」
嘘を言っていない、真っ直ぐな目。
その言葉に小さく息を付き、ヒカルの頭に手を置いた。
「必ずだからな、もし破ったら勝手に思考を読むからな」
「なっ、それ卑怯!」
「ぱう~」
何とかその場を逃れ、鳴き止んだソラを刹那に渡した。
「読むのならソラのを見てみたら?」
抱えられたソラは刹那の頬をぺちぺちと叩き、それに構わず目線を合わせ、思考を読もうと瞳を金色に光らせたが。
「本当にやろうとしないでよ!!」
ヒカルに止められ、結局しなかった。
.