第一期
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アレルヤの事件から一週間以上たった現時点でも独房入りは解除にならなかった。
「もう一週間以上になる、アレルヤ大丈夫かな?」
『トリィ』
指に乗って首を傾げるトリィに話し掛けながらアレルヤを心配するヒカル。
溜息を付いていると、ノックが聞こえ、刹那が入って来た。
入って来た刹那の肩にトリィが飛び乗り、ヒカルはそれに少し驚く刹那を見た。
「まだトリィに慣れてないの刹那~?」
「すぐには慣れない」
「もう、それで何?」
「…ミッションだ」
そう言うと、刹那は部屋を出、ヒカルはトリィを持って追い掛けた。
すると刹那が扉の前で立ち止まっていた。
何かなと扉の外を見ると、隣の沙慈が手にタッパーを持って立っていた。
「あ、丁度よかった。筑前炊き、姉さんが作り過ぎちゃって。よかったらいかがかな、なんて…」
「今から出掛ける」
「ごめんね沙慈君。お姉さんによろしく言っといてね」
扉に鍵を掛けて沙慈に謝るヒカルに、沙慈は「あ、別にいいんだ」と言い、先を歩いていた刹那が立ち止まった。
「災難だったな」
「え?ああステーションでの。本当にね、まさかソレスタルビーイングに助けられるなんて、思ってもみなかったよ」
「…俺もだ」
刹那はそれだけいってエレベーターに向かい、ヒカルは沙慈にまたね、と言って去った。
合流地点の離島に向かうと、既にロックオンの他に一人の男性がおり、刹那とヒカルは彼等の方に降りた。
「よう、久しぶりだな。刹那、ヒカル」
「イアン・ヴァスティ」
「お久しぶりです」
その男性は、ガンダムの武装を造っている技術者だった。
「一刻も早く、お前達に見せたい物があってな」
「見てのお楽しみってやつ」
『プレゼント、プレゼント』
ロックオンやイアンの言葉にハロは跳ね、イアンはデュナメスを指差した。
「デュナメスの追加武装は一足先に実用化させてもらった」
デュナメスを見ると、全体がシールドで覆われていた
「で、刹那にはこいつだ」
ボタンを押すと、後ろの輸送車が動き、巨大な二つの剣を出した。
「エクシア専用GNブレイド。GNソードと同じ高圧縮した粒子を放出し、厚さ3メートルのEカーボンを難無く切断できる」
剣を見ながら刹那は小さく呟く。
「そして、ヒカルにはこれだ」
もう一つの輸送車から出したのは二つのレール砲。
「レクサスの新武装、GNレール砲。腰に装着したままでも撃てるしこの二つを合わせてデュナメスのようなライフルにする事も出来る。どうだ感動したろ?」
レール砲を見つめたままヒカルは口をあんぐりと開けロックオンは刹那を見て言った。
「ガンダムセブンソード。ようやくエクシアの開発コードらしくなったんじゃないか?」
だが刹那は何も言わずにエクシアの方向に向かい、それを見たイアンは不機嫌になった。
「な、何だあいつは。人が折角こんな島まで運んで来たんだぞ。少しは感謝ってもんをだなぁ…」
「充分感謝してるよおやっさん。刹那は、エクシアにどっぷりだからな。」
そして、未だにレール砲を見ているヒカルを見た。
「ヒカルと同じくらいに」
「ふぅん。で、ヒカル!お前は感動しただろうな!?」
イアンの言葉に、ヒカルは顔を向けずに答えた。
「イアンさん…」
「ん?」
「最高です!!」
目を輝かせて言うヒカルにロックオンは思わずこけそうになった。
「そうかそうか!やっぱりお前はそう言ってくれると思ってたぜ!」
「実は前からデュナメスみたいなライフルが欲しいって思ってたんです!感激です!!」
意気揚々と話す二人を見ながらロックオンは顔を引き攣らせた。
「ヒカル、お前どこまで武装増やしたいんだよ」
ヒカルには聞こえないくらいの小さな声で呟き、未だに喜んでいる彼女を見ていた。
暫くして、アレルヤとティエリアが合流し、ヒカルは直ぐさまアレルヤに駆け寄った。
「アレルヤ!どこも痛い所ない!?怪我してない!?嫌な事されなかった!?」
凄い勢いで言う彼女に、アレルヤは少し呆然とし、それからゆっくりとヒカルに答えた。
「大丈夫だよヒカル、何もされてないし怪我もないよ」
「…本当に?」
「うん、少しティエリアにきつい言葉は言われたけどね」
その言葉にヒカルはギン、とティエリアを睨み、トリィに攻撃を命じた。
「トリィ!ティエリアに攻撃!!」
『トリィ!トリィ!』
そう鳴き、トリィはティエリアの頭に乗り頭を突くがはっきり言って痛くない。
「…ヒカル」
「凄いでしょティエリア!ちゃんと完成したんだよ!飛ぶし鳴くし可愛いの~!」
ティエリアの頭からトリィを持ち、すりすりと頬擦りしながら言った。
そしていつまでも埒がないとロックオンはヒカルを止め、ミッション内容を確認しだした。
翌日、モラリアに機体を飛ばし、敵機に見付かるとロックオンが全員に指示を出した。
『敵さんが気付いたみたいだ。各機、ミッションプランに従って行動しろ。暗号回線は随時開けておけよ。ミス・スメラギからの変更プランが来る』
「了解」
ティエリア、アレルヤ、ヒカル、刹那の順に了解と言い、ガンダムはそれぞれの場所に移動した。
レクサスは機体を飛ばし、上空から地上の敵機を撃ち次にビームソードを持って敵機を次々と切り裂いた。
「全く、数ばかりゴチャゴチャと!」
上空からの敵機をブーメランで落とし、残った数体をレール砲で破壊した。
『レクサス、ファーストフェイズ終了。セカンドフェイズに入って下さい。』
「了解」
ヒカルはレクサスを飛ばし、敵機を倒しながら次の位置に飛んだ。
ピピッ
急に回線が入り、ヒカルは画面を見た。
『ヒカル!ミッション変更です。直ぐにエクシアの援護に向かって下さい!』
「刹那の?何かあったの?」
『敵の新型が現れたんだけど、エクシアの動きが少しおかしいの。』
「新型…、了解。レクサスはエクシアの援護に回ります!」
ヒカルはその場にいる敵機を全て破壊し、刹那の元に向かった。
.
モラリア共和国に武力介入を行った5機のガンダム。ヒカルは予定通りミッションを熟していたが敵機の新型と対峙する刹那の元に向かった。
そして、ヒカルは以外な光景を目にした。
刹那がコックピットを開けてエクシアから出て来た。
「刹那っ、何を!?」
暫く刹那の行動を見ていたが、放たれたライフルに我に返った。
『ヒカル!ぼーっとするな!刹那からあいつを遠ざけろ!!』
「っ、分かった!」
ヒカルはすぐにレクサスを飛ばし、ビームソードで敵機をエクシアから離し、その後もデュナメスで敵を撃つが逃げられてしまった。
『刹那!おま…』
『事情は後で聞かせてもらうわ。ミッション、続けられるわね』
『…了解』
『フェイズファイブまですっ飛ばしてシックスから続行。デュナメス、レクサスはエクシアのサポートをお願い』
「はい…」
スメラギからの指示に、ヒカルは少し動揺しながらもミッションを優先する事を考えた。
進路を変更し、渓谷を進みながら5機のガンダムは目的地に向かっていた。
『全く、こんなルートを通らせるなんて』
『ぼやくなよ、敵さんは電波障害が起こっているポイントを重点的に狙ってる。隠密行動で一気に頭を叩くのさ。頼んだぜ、水先案内人』
アレルヤと話していたその時、キュリオスに削られた岩がデュナメスに当たりそうになった。
『危ねぇなおい!』
『ヘタッピ、ヘタッピ』
『ドンマイ』
『そりゃこっちの台詞だ』
ロックオンとアレルヤの会話を聞きながら、ヒカルは最後尾を飛んでいた。
そして、先程の刹那の事を考えていた。
(刹那。どうしてあんな行動を…あのパイロットと何か関係があるの?)
ヒカルの頭の中は動揺で一杯だった。
ラストフェイズを開始する為司令部の目の前まで到達し、向かってくるMSを破壊し始めた。
「レクサス。目標を破壊する」
腰のレール砲を一つにし、敵を数体破壊した後、ビームソードで次々と敵機を切り裂いていった。
他のガンダムも敵機を攻撃し、全てのMSを破壊した後動きを止めた。
『敵部隊に反応なし』
『まだやるか、それとも…』
「どこまで部下を殺させるの…っ」
『…いや』
アレルヤ、ロックオン、ヒカル、ティエリアの順に呟きながら、敵部隊の動きを待っていると、司令部から一つの信号が上がった。
『ハロ!ミス・スメラギに報告!敵部隊の白旗確認!ミッション終了』
『了解、了解』
ミッションが終わった。その言葉にヒカルは少し安堵し、息を吐いた。
.
撤退したガンダムはいつもの離島に戻った。
ガンッ
機体から降りた途端。ロックオンは刹那を殴り、その行動にヒカルは驚愕した。
「ロックオンっ!」
ヒカルは刹那に駆け寄ろうとしたが、ティエリアに腕を掴まれて拒まれた。
「殴られた理由は解るだろ、ガンダムマイスターの正体は太陽炉と同じSレベルでの秘匿義務がある。何故敵に姿をさらした?」
だが刹那は一言も話さずにいた。
「強情だな。お仕置きが足りないか?」
ガチャッ
機械の音がし、横を見るとティエリアが刹那に銃口を向けていた。
「ティエリア!」
「言いたくないなら言わなくていい。君は危険な存在だ」
「やめろティエリア」
ロックオンはティエリアの銃口を刹那からずらし、その隙にヒカルは刹那の元に向かう。
「彼の愚かな振る舞いを許せば、我々にも危険が及ぶ可能性がある。まだ計画は始まったばかりだ、こんな事で躓いて」
「俺は降りない」
ティエリアの言葉を遮り、今度は刹那が彼に銃口を向けた。
「やめて刹那!」
必死に止めるヒカルを刹那は少し弱めに突き飛ばして自分から離し、ロックオンの手を振り払って、再びティエリアが銃口を構えた。
「エクシアからは降りない俺は、ガンダムマイスターだ」
「銃を下ろせ刹那!」
そこに今まで黙っていたアレルヤが口を挟んだ。
「命令違反をした僕が言うのもなんだけど、僕達はヴェーダによって選ばれた存在だ。刹那がガンダムマイスターに選ばれた理由はある!」
「ならば、見せてもらいたいな」
ティエリアはそう言いながら銃を下ろした。
「君がマイスターである理由を」
刹那も銃を下ろし、その場に立ち上がった。
「俺の存在そのものが理由だ」
「何?」
「俺は生きている、生きているんだ」
刹那の言葉にその場は静まり返り、暫くそのままでいると、ハロがやってきた。
『ミンナ、仲良く、仲良く。アー!』
『トリィ!』
弾んでいるとハロが少し波にさらわれ、トリィがハロを押さえて進行を阻止した
「お、おーい!お前達!大変な事になっちまったぞ!」
慌てた様子で駆け付けたイアンに皆の視線が彼に向いた。
「何があったおやっさん?」
「世界の主要都市7ヶ所で同時にテロが起こった」
「な、何だって!?」
「多発テロ…!」
テロ。その言葉にヒカルは体が震え出した。
「被害状況は?」
「駅や商業施設で、時限式爆弾を使ったらしい。爆弾の規模はそれほどでもないらしいが、人が多く集まる所を狙われた。百人以上の人間が命を落としたそうだ」
「何でことだ…」
ショックを隠しきれないヒカルは混乱し、他のマイスターも少なからず動揺していると、ロックオンに王留美から通信が入った。
『ガンダムマイスターの皆さん。同時テロ実行犯からたった今ネットワークを通じて、犯行声明文が公開されました』
王留美の言葉に皆が耳を傾けた。
『ソレスタルビーイングが武力介入を中止し、武装解除を行わない限り、今後も世界中に無差別報復を行っていくと言っています』
「やはり目的は我々か」
「この声明を出した組織は?」
留美の言葉に解りきっていたように言うティエリア。そしてアレルヤが組織名を聞いた。
『不明です。エージェントからの調査報告があるまでマイスターは現地で待機して下さい』
そうして通信は切れ、ロックオンは通信機をしまいながら口を噛み締めた。
「どこのどいつか分からねえが、やってくれるじゃねえか」
「無差別殺人による脅迫…」
「そんな…っ」
絶望的な言葉に、ヒカルは何の言葉も浮かばなかった。
言い争うロックオンとティエリアの会話をただ黙って聞きながらヒカルは呆然とし、次のティエリアの言葉に目を見開いた。
「世界から見れば、我々も立派なテロリストだ」
「ッ!」
ヒカルの声なき悲鳴に刹那が彼女を見ると、自分の手を見ながら何かを呟いていた。
「っ…がう…」
「…ヒカル?」
刹那の声に、他のマイスターもヒカルを見ると、やっと彼女の変化に気付いた。
「私…テロ…違う、…わた…がっ」
「おいどうしたヒカル?おい!」
ロックオンがヒカルの肩を掴んで揺するが、状況は変わらなかった。
放れた両親。壊れる街。
一般人の犠牲者。
銃を乱射する人物。
その人物は。
私
「イヤアアアーー!!」
叫んで暴れ出すヒカル。そんな彼女を見ていられなくなった刹那は、ヒカルの首に手刀を落とした。
それによって崩れるヒカルを支え、刹那は鋭い目でマイスターを見た。
「その組織は、テロという紛争を起こした。ならば、その紛争に武力で介入するのが、ソレスタルビーイング」
気絶したヒカルの涙をそっと拭う。
「行動するのは、俺達。ガンダムマイスターだ」
.