短編
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リボンズ・アルマークを倒し、各ガンダムを回収してマイスター達を治療。
怪我も治っていったが、ただ一人、目覚めない者がいた。
「……」
医務室の中で立ち往生し、一つのカプセルを見る刹那。
中には、ヒカルが眠っていた。
シュン。
「刹那、ヒカルは…」
「まだ目覚めてない」
医務室に入って来たフェルトは軽く刹那に問い掛けた後、ヒカルが眠るカプセルに触れた。
「ヒカル、早く起きて。そして私に、元気な姿を見せてよ…」
フェルトの目には涙が溜まり、それを慰めるように肩にいたトリィが小さく鳴いた。
「約束したじゃない、帰ってくるって…っ」
泣きじゃくるフェルトの肩に手を乗せ、刹那が外に誘導しようとした時。
『トリィ!』
トリィが一声鳴いてカプセルを突くと、カプセルがゆっくりと開いた。
「「!」」
刹那とフェルトは驚いてヒカルの側に寄ると、彼女の目が微かに開いていた。
「…ヒカル、ヒカル!」
「………」
「私よ!フェルト!解る!?」
フェルトは必死になって語り掛け、ヒカルはフェルトの方を向き、手を上げ頬に添えた。
「…ただいま…フェルト…」
その言葉にフェルトは添えられた手を握り返し、号泣した。
「わ、私、皆に知らせてくる!」
そう言ってフェルトは飛び出し、起き上がったヒカルはトリィを手に乗せた。
「おはよう、トリィ」
『トリィ!』
トリィは手に乗ったまま擦り寄り、ヒカルは立ち往生している刹那を見た。
「…刹那…」
俯いたまま話さない刹那に、ヒカルは立ち上がって側に寄った。
「…ごめんなさい」
「!」
「記憶を無くしていたとはいえ…刹那に『だれ?』なんて言って…」
両手を握り締めながら、ヒカルは小さく語り出した。
「それに、セラフィムを破壊して…刹那にも攻撃して…」
刹那を見上げるが、彼は今だ俯いており、表情は解らず、ヒカルも表情を落とした。
「…もう、こんな私とはいたくないよね…」
そっと指輪を抜こうと触れた時、刹那の手がヒカルの手を掴んだ。
グイッ。
そのまま手を引き、ヒカルを強く抱き締めた。
「せ…つな…?」
「…やっと」
「え?」
「やっと…ヒカルに会えた…!」
刹那の言葉にヒカルの目から涙が零れ、きつく抱き返した。
「刹那…っ」
その後、知らせを聞いたスメラギ達も駆け付け、記憶が戻ったヒカルに皆喜び合った。
ヒカルの記憶が戻った事にトレミーメンバーはブリーフィングルームに集まり、それぞれ喜びの言葉を掛けた。
「ヒカル…よかった、本当によかった…っ」
「フェルト、そんなに泣かないでよ~」
「でも無事に戻ってよかったね」
「うん。私もアレルヤの両目を見る日が来るとは思わなかったよ」
「戻ったのはいいがな~…レイアスを壊したのは痛いな」
「パパ!いじわるです!」
「ごめんなさい…イアンさんにミレイナ」
「今日はお祝い…飲むわよー!!」
「相変わらずお酒好きですよね、スメラギさん」
皆と和気あいあいと話すヒカル。そんな彼女を、ロックオンはじーっと見ていた。
「ん?何ロックオン?」
「…お前、気にならないのか?」
「何が?」
「何がって…明らかに変だろ!刹那が抱き着いてんのに何でお前はそんなに冷静なんだよ!?」
ロックオンの言う通り、ヒカルには背後から抱き締めた形の刹那がずっと引っ付いていた。
「変って言われても…もう慣れちゃった」
テヘ、と効果音を付けながら笑うヒカルに、ロックオンは何も言えなくなった。
数分後一時解散し、ヒカルも部屋に戻ろうとしたが。
ぎゅ~。
刹那が抱き着いている為動けなかった。
「…ねぇ、刹那」
「何だ」
「私…動きたいんだけど?」
「俺は動きたくない」
「う~…」
断固として引かない刹那にヒカルはもじもじと動いて抜け出そうとするが、刹那は腕の力を強めて逃がさなかった。
「刹那~、そろそろ離してくれない~?」
「………四年」
「え?」
ポツリと呟いた言葉に、ヒカルは自分の肩に顔を押し付けている刹那を見た。
「四年間、俺はお前に触れれなかった」
「そりゃ…仕方ないんじゃない?刹那は世界を回ってたし、私は眠ってたし」
「起きたお前は俺に『だれ?』と言った」
「う…、それはその…ごめんなさい…」
「触れたくても触れられない…辛かった」
「だからごめんなさいー!!」
大声を上げた途端、肩を掴まれてヒカルは刹那の方に向かされた。
「せ、刹那?」
「俺はヒカルが好きだ」
面と向かって言われた言葉に、ヒカルは赤面した。
「だから、俺はお前と二度と離れたくない。離したくないんだ」
「刹那…」
「勝手な事だと承知している。だが俺は、もうあんな想いをしたくない」
護ると誓った彼女を護り切れず、記憶を失ったヒカル
伝えたい想いを、伝えられないもどかしさ。
「ヒカル…」
ヒカルの左手を持ち、指輪を付けている薬指に口付けをした。
「俺の…俺の、妻になってくれ…」
その言葉にヒカルは目を見開き、刹那は顔を真っ赤にしたまま顔を反らした。
「私…イノベイターなんだよ?」
「…お前がイノベイターなら俺はガンダムだ」
「私…ドジで馬鹿で鈍感だよ?」
「今頃気付いたのか?」
「ヒドッ」
冗談半分の言葉を否定されなかった事に軽く傷付く。そこでようやく顔を見合わせた刹那は、笑っていた。
「返事は?」
優しく問い掛ける刹那にヒカルの目からは涙が零れ、ゆっくりと伝えた。
「う…嬉しい…っ」
ヒカルは泣きながら伝え、刹那は頭を優しく撫でていたその時。
「「「おめでとーッ!!」」」
スメラギ、ミレイナ、フェルトが大声を上げながら部屋に入り、ヒカルと刹那は驚いた。
「ス、スメラギさん。フェルトにミレイナも…」
「い、いつから聞いて…」
「刹那の『離したくない』っていう台詞からよ」
「セイエイさんかっこよかったですー!」
「ヒカル、おめでとう!」
女性陣三人はヒカルを囲み、取り残された刹那にアレルヤとロックオンが話し掛けて来た。
「やるじゃねぇか刹那!」
「おめでとう、よかったね」
刹那の首に腕を回すロックオンと、拍手をするアレルヤ。
そんな二人に小さく笑っていると、ヒカルがスメラギに体を押されて刹那の胸に飛び込んだ。
「刹那、ちゃんとヒカルを幸せにしてあげなさいよ」
「そうですよ!もし駄目だったら、ミレイナ達がエトワールさんを取っちゃいますから!」
「お、そりゃ面白そうだな。俺も協力するぜ」
「ロックオン!冗談でも賛成しないで下さい!」
「心配ない」
刹那はヒカルの肩を抱く力を強め、ヒカルは彼を見上げた。
「俺は二度と、ヒカルを手放す気はないから」
そう言ってヒカルを見下ろし、ヒカルも刹那に答えるよう抱き着いた。
こうして、戦争に洗脳された青年と、イノベイターに利用されていた女性は、最高の幸せを手に入れた。
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