短編
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俺はハレルヤ。アレルヤのもう一人の人格。
アレルヤと俺の性格は正反対で、俺は争いを好み、人を平気で殺せる。
アレルヤは優しい奴だが、そんな奴でも俺の分身だ。
だが、もしアレルヤが俺の存在を忘れてしまったら、俺はどうなるんだ?
あいつのように、ただ見守る事が俺には出来るのか…?
「あ、アレルヤ~!」
「あ、ヒカル」
展望台に立ち、一人宇宙を眺めていたアレルヤを見付け、ヒカルは彼の側に向かった。
「一人でどうしたの?」
「いや、ちょっと外を見たくて…」
「ふ~ん」
ヒカルはそう言うなりアレルヤの隣に立ち、同じように宇宙を眺めた。
「宇宙って凄いよね~、私初めて宇宙に上がった時は無重力に焦っちゃったよ」
「初めてって、刹那と来た時に?」
「うん。それまではずっと地上にいたから。アレルヤは?」
「僕も最初は戸惑ったけど直ぐに慣れたね」
たわいもない話を続ける二人。
だが、その会話を邪魔しようとする者がいた。
「え?ハレルヤ…?」
「ん?」
突然独り言を言うアレルヤに、ヒカルは首を傾げた。
「何を…駄目だよ!そんな事したら…ッ」
「アレルヤ?どうしたの?」
「ヒカル!僕から離れて…早く…っ」
「え?」
ドスッ
理由を聞こうとした瞬間、アレルヤはヒカルの首に手刀をして気絶させ、倒れる彼女を抱えた。
「余計な事すんじゃねぇよアレルヤ。俺はただ、話がしたかっただけなんだよ」
気絶したヒカルの顔を見てニヤリと笑ったのはアレルヤではなく、もう一人の人格、ハレルヤだった。
彼はそのままヒカルを抱えて自室に戻り、彼女をベッドに寝かせた。
「アレルヤを通して何度も見ていたが、ガキの割には良い体してんじゃねぇか…」
ヒカルの上着を脱がせて上半身をインナー姿にするとハレルヤはヒカルの上に乗り掛かった。
「俺がお前に手を出した事を知ったら、刹那のガキは激怒するだろうな…」
頬に手を沿え、顔を近付けた瞬間。
ガシッ
「ッ!?」
急にヒカルがハレルヤの手を掴み、それに一瞬目線を手に向けた後ヒカルの顔を見ると、彼女はただ黙ってハレルヤを直視していた。
「何だ、起きちまったのか?つまんねぇな」
「……」
「何だよ?アレルヤと違う話方だから驚いたのか?俺はアレルヤじゃねぇ。俺は…」
「ハレルヤ」
ハレルヤの言葉を遮るように、ヒカルは彼の名前を口に出した。
「お前…何で、俺の事…」
自分を知っている事に少し驚いていると、ヒカルはハレルヤから離れた。
「この子に何の用?」
「…は?」
「用があるから、アナタは出て来たんじゃないの?」
ヒカルはハレルヤを向きながら、立ち上がった。
「てめぇ…誰だ?」
明らかにヒカルではない事に気付き、ハレルヤは彼女も別人格を持っていたと解釈した。
「何だよ、同じ別人格同士、名前くらい教えてもらってもいいだろ?」
「アタシは…フレイヤ」
「フレイヤ?それがお前の名前か?」
フレイヤと名乗った少女はコクリと頷き、ハレルヤは皮肉そうに笑った。
「で、そのフレイヤさんが俺に何の用だ?」
「何も」
「あ?」
「アタシはこの子が危なかったから出て来ただけ。アナタに用はないわ」
「…ッ、何だと!?」
ハレルヤは怒り、フレイヤの胸倉を掴もうとしたが、彼女は風のように避けた。
「この野郎…っ」
「アナタは」
「あ?」
「アナタはヒカルに何をしたかったの?」
「ハッ、んなヤボな事、話しちまっていいのか?」
からかうようにフレイヤを挑発するが、彼女は眉一つ動かさなかった。
「…あーたく、ただ驚かそうと思ったんだよ。俺を見た時の反応を見たかったんだよ」
「…アレルヤ・ハプティズムは」
「今度は何だよ!?」
またしても言葉を遮ったフレイヤに、内心ハレルヤは苛立った。
「アナタの事を知っているのね…」
「は?知ってるも何も、アレルヤは俺の分身だ」
ハレルヤはそう言ってアレルヤの悪口を小声で呟いていると、フレイヤは悲しそうに笑った。
「なら、アナタのもう一人のアナタを大切にしてあげてね」
「あ?誰があんな奴…」
「存在を知っていて見守るのと、存在を知らないで見守るの。どちらが辛いと思う…?」
そう言い残してフレイヤはハレルヤに倒れ込み、気を失ってしまった。
「何だ?こいつ…」
取り敢えずヒカルをベッドに運び、溜め息を付いた時頭の中で叫ぶ奴が現れた。
(ハレルヤ、ハレルヤ!)
「あ?何だよアレルヤ」
(何だよじゃないよ!ヒカルに酷い事してないよね!?)
「するも何も、邪魔されたのはこっちの…」
存在を知っていて見守るのと、存在を知らないで見守るの。どちらが辛いと思う…?
「……」
不意にフレイヤの言葉を思い出し、ハレルヤは言葉を止めた。
(ハレルヤ?)
「…いや、何でもねぇ。こいつが起きる前にお前に返すぜ」
(え?ちょっと、ハレルヤ!?)
アレルヤの止める言葉も聞かずにハレルヤは体をアレルヤに返し、目の前のベッドで眠るヒカルに安堵した
「ハレルヤ、ヒカルに何したの?」
(……)
「ハレルヤ!」
(うるせぇな!俺は暫く寝る。起こすんじゃねぇぞ)
「ハレルヤ!人の話を…」
「んぅ~…、あれ?アレルヤ…?」
ヒカルに何かしたか聞きたかったが、ハレルヤは眠ってしまい、ヒカルは目覚めてアレルヤを見た。
「アレルヤ?…あれ?私、何でアレルヤの部屋に…?」
「あ、えっと、あの、その…」
寝ぼけながら尋ねるヒカルに、言い訳を考えるアレルヤ。
その後何とか事情をごまかし、ヒカルは自室に戻った。
「ハァ…ハレルヤ、余り勝手な事しないでよね…」
一人呟くアレルヤだが、ハレルヤからの返事はなかった。
後にハレルヤは、フレイヤがヒカルにとってどういった存在なのか、アレルヤを通して知った。
同時にあの時彼女が言った言葉の意味を理解し、
アレルヤの為、そして自分が死なない為に、アレルヤに力を貸す事を決めた。
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