第二期
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ブレイクピラーから四ヶ月が経ち、連邦はアロウズの指揮下に入ると発表され、地上では多数の人々が歓声を上げる式典会場。
そんな中、秘かに宇宙に上がっていたCBはメメントモリ二号機を破壊すべく、アロウズと戦闘を行っていた。
ケルディムとセラヴィーは後方から敵機を撃墜し、レイアスも別方向から迎撃。
アリオスとガンアーチャーが接近戦に入る間、オーライザーでは沙慈が同調の調整を行い、トランザムを使ってダブルオーライザーが衛星兵器を破壊した。
ミッションを終え、トレミーに帰還したマイスター達だったが、相変わらず浮かない顔をする沙慈。
父とも言える人物を失ったマリーは、ソーマへと人格が戻っていた。
アレルヤも、愛しい彼女をどうにか戦わせないよう考えるが、いい案は浮かばず、ロックオンからのアドバイスを貰ってもなお、悩み続けていた。
戦闘が終わった後、ヒカルはスメラギに呼ばれ、医務室の医療カプセルに入って傷の容体を見てもらっていた。
彼女の脇腹には、以前傷跡が残っており、その傷跡を見てスメラギは顔を歪ませた。
「アニュー、ヒカルの容体はどう?」
「傷口を中心に、細胞の代謝障害が広がっています」
「擬似GN粒子の影響…」
「ですが、その進行は極めて緩やかなんです。ラッセさんの症状とはまるで違う…何かの抑制が働いているとしか…」
アニューの言葉に、ティエリアはヴェーダにアクセス出来ない事に悩み、刹那は眠ったまま検査を受けるヒカルをじっと見ていた。
(アリー・アル・サーシェス…いや、ダブルオーを手に入れようとするイノベイターの策略…つまり、ツインドライブの情報は向こうにはないという事…切り札は、俺のガンダム…)
我知らず拳を握り締めたと同時に、ある人物が言った言葉が頭に浮かんだ。
彼女はガンダムマイスターになるべく生きている存在。わざわざ殺すつもりなどないよ
リボンズという名前のイノベイターの謎の言葉。
まるでヒカルがマイスターになる様な口ぶり。
(奴はヒカルと何処で会ったんだ。それに、あの言葉はどういう…)
.
カプセルで眠るヒカル。
その意識の中で、何かの光景を見た。
公園らしき場所で、ブランコに乗る幼い自分。
小さくブランコを揺らしながら何かを待つように俯いていると、誰かが近付いて来た。
顔を上げて近付いて来た青年を見たが、逆光で顔は見えなかった。
「こんにちは」
「…?お兄ちゃん、だれ?」
「僕はね、君の両親の知り合いだよ」
「お父さん達の?」
「そう。二人は何処にいるんだい?」
「お父さんとお母さんは今お買い物。わたしはここで待ってなさいって言われたの」
「そうか、じゃあ僕も一緒に待たせてもらっていいかい?」
「うん!」
青年はそう言い、ヒカルの隣に空いているブランコに座った。
「お兄ちゃんはお父さん達に用があるの?」
「いや、正確には…君に会いに来たんだよ」
「わたし?」
青年はそう言って、ヒカルの頬に触れた。
「そう。なんせ君は、大事な―――…」
.
「……っ」
目が覚めて、眩しい天井に一度目を閉じた後起き上がり、暫くぼーっとしていると、スメラギが声を掛けて来た。
「ヒカル、気分はどう?」
「スメラギ…さん」
側に立ったスメラギの顔を見て、何か悩み出した。
「…………………………………こんばんは」
「今はまだ昼の時間よ」
たっぷり間を空けた後の台詞に苦笑いしつつ、ヒカルの着替えを始めた事に、刹那達に振り向いた。
「刹那とティエリアは先にブリッジに行ってて、アニューは休んでいいわよ」
「解りました」
アニューは一礼してから退出し、刹那はヒカルを見ていたが、何も言わずにティエリアと共にブリッジに向かった。
「さて、あとヒカルだけど…」
「?」
「連絡が入るまで、貴方も休んでいなさい。そして、トレミー内では随時トリィといる事」
『トリィ』
スメラギの肩に乗ったトリィは一鳴きしてからヒカルの肩に乗り、頬擦りした。
「何だかんだで一緒にいてあげなかったんだから。連絡はトリィに入れるから、離れちゃ駄目よ」
「はい」
スメラギもヒカルに軽く手を振ってブリッジに向かい、ヒカルはトリィを手に乗せた。
「トリィ、私ね、変な夢見たんだよ…」
『トリィ?』
「夢で見た人が誰かは解らない。でも、その人は私にこう言ってた…」
なんせ君は、大事なガンダムマイスターなのだから
「何で知ってたんだろう、私がマイスターになるって事…」
トリィを抱き締めるヒカル。彼女の問いに答える者はいなかった。
.
数時間後、アロウズが接近してくるという報せに、フェルトとミレイナの声が艦内に流れた。
『光学カメラがMS部隊を捕捉しました。戦闘宙域まで、0054』
『総員、大変です。敵が来るです!そんなこんなでいつもの感じでよろしくです!』
『ミレイナ、はしょり過ぎ!』
二人のやり取りに軽く笑いながら、肩にいるトリィを見た。
「帰って来るまで部屋にいてね。いい子にしてるんだよ」
『トリィ!』
トリィは元気よく鳴いて部屋に向かって飛び、ヒカルは前方に向き直った。
「頑張ろ…」
その頃、刹那は別ルートからコンテナに進んでいる途中、通路に佇む沙慈を見付けた。
「沙慈・クロスロード」
「アロウズの部隊の中に、ルイスの乗った機体があったよ。この四ヶ月は、戦力を整える為に敵から逃げ続けて来た。でも、もう戦うんだろ?」
「ああ」
「ルイスを撃つつもり?」
「それは、お前次第だ。戦いは、破壊する事だけじゃない。作り出す事だって出来る。俺は信じてる。俺達のガンダムならそれが出来ると。後は、お前次第だ」
「僕は…引き金を引けない」
「解っている」
「ルイスに叫び続ける事しか出来ない」
「解っている」
「それでも、僕、僕は…」
「逢いに行こう、ルイス・ハレヴィに」
手を差し延べる刹那。そんな彼には、強い眼差しが現れていた。
「俺も決めた、逃げ続ける訳にはいかないと。記憶を失ったヒカルと、向き合おうと」
「刹那…」
「俺達の、俺とお前の愛した者の所に、逢いに行こう!」
「ああ…ああ!」
沙慈も強い眼差しを現し、刹那の差し延べた手を強く握った。
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ティエリア、アレルヤとソーマ。ライルが発進し、次はヒカルの番。
だが発進の直後、刹那から通信が入った。
『ヒカル』
「刹那、どうしたの?」
『あ…』
「?」
一瞬何かに躊躇った表情を見せたが、直ぐに顔付きを戻した。
『…戻ったら、話がある』
「え?今じゃなくて…?」
『ああ…』
「…解った。待ってるね」
ヒカルは笑って通信を切り、レイアスは宇宙に放たれた。
最後にダブルオーとオーライザーが発進し、ドッキングしたダブルオーライザーを先頭に、部隊の方に飛び立った。
「ルイス」
「大佐」
「マリー」
「アニュー」
「ヴェーダ」
「刹那」
「ヒカル」
「大佐」
「マリー」
「アニュー」
「ヴェーダ」
「刹那」
「ヒカル」
それぞれの大切な者の名を呟き、彼等は戦場に赴いた。
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