第二期
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「パパ。この大っきい建物は何?」
「ああ。これは軌道エレベーターという、宇宙に行ける建物だよ」
「宇宙に?」
「ああ。これの開発には、パパやママも手伝ったんだよ」
「凄ーい!ねね、大変だった!?」
「勿論。でも出来上がった時、皆で喜び合ったよ」
「でも…これ、倒れたりしないの?」
「しないよ。だが、もしこれが倒れてしまった時」
「世界は大きく変わってしまう」
「…っ」
重たい眉をゆっくりと開けると、目の前にガラスと白い天井が見えた。
「わ…たし…」
「あ、気が付きましたか?」
横から声が聞こえて首を動かすと、アニューが立っていた。
「アニュー…さん…」
「傷の具合はどうですか?」
カプセルを開けながら言われた言葉に、ヒカルはゆっくりと起き上がり、僅かに体を動かした。
「大分いいです…」
「よかった、皆さんが心配してましたよ。そんな体でMSに乗るなんてって」
「すみません…あの、今の状況は…」
「あ、それが…」
複雑そうな顔をするアニューに、ヒカルも疑問を感じた。
「光学カメラが、オービタルリング状に、大型の物体を捕らえました!」
ブリッジにいたフェルトの声に続き、画面に映し出されたのは、以前破壊した衛星兵器、メメントモリだった。
「やはり…」
「二つも造ってやがったのか!」
ラッセの怒鳴り声が響いたと同時に、誰かが入室して来た。
「スメラギさん…」
「っ、ヒカル!?貴方何をやって!」
ブリッジに入って来たのはヒカルと、彼女を支えるアニューだった。
「もう、大丈夫です。それより…あの兵器は以前…」
「ええ、私達が破壊したわ。でもアロウズは、この兵器をもう一つ所有していたのよ」
「まさか、軌道エレベーターを…」
「そのまさか…。奴等は、クーデター派と共に軌道エレベーターを破壊するつもりなのよ」
「そんな…っ」
ヒカルの声にスメラギはイアンに連絡を入れ、宇宙に上がるよう指示を出した。
だが今のトレミーの状態では不可能。言い悩む二人の間に刹那が入り、ダブルオーライザーで衛星兵器を止めると言った。
刹那、そしてオーライザーに乗った沙慈は宇宙向けて飛び立ち、ヒカルは拳を握った。
「刹那…」
ダブルオーは敵MAの攻撃を受けながらも衛星兵器を攻撃したが、砲撃まで攻撃が届かず、砲がピラーの外装部に当たり、次々と地上に落下した。
「軌道エレベーターが…」
「…フェルト、現空域にいる全員に映像を送るようにして!」
「り、了解」
フェルトはスメラギの指示に直ぐに映像を流し、スメラギは空域にいるMS達に告げ出した。
「現空域に居る全機体に、有視界通信でデータを転送します。データにある空域に侵入してくるピラーの破片を破壊して下さい。その下は、人工密集区域です。このままでは、何千万という人々の命が消えてしまう。だからお願い、皆を助けて」
スメラギの言葉に、マイスター達は動き出し、落下してくるピラーを破壊し出した。
それをブリッジの画面から見ていたヒカルは、隣に立つアニューを見た。
「アニューさん。私の傷はもう塞がっていますよね」
「え?ええ…」
「…スメラギさん、私も出ます。許可を下さい」
「ヒカル!?何を言って!」
「お前はいまさっき治ったばかりなんだぞ!無茶をしたら、また傷が開くぞ!」
ヒカルの発言にフェルトやラッセは驚愕するが、スメラギは黙ってヒカルを見ていた。
「お願いです。私も、皆を助けたいんです」
迷いのない瞳。その瞳に小さな息を吐いた後、再び前を向いた。
「イアンには連絡を入れておきます。…気を付けてね」
「…はい!」
ヒカルはスメラギに頭を下げた後、ブリッジを出て行き、スメラギは前を見据えた。
「私達も防衛ミッションに入ります。アニュー、ラッセ。お願いね」
「あ、はい!」
「全く…」
「フェルトはレイアスの発進準備を。無理をし過ぎないように伝えてね」
「…解りました」
アニューは急いで席に座り、ラッセとフェルトはスメラギに軽く笑い掛けた後、作業に入った。
『ヒカル、無茶し過ぎて別の怪我作ってくんなよ!』
「肝に命じておきます」
横のモニターに映るイアンに笑い掛けてバイザーを下ろし、モニターがフェルトへと変わった。
『射出タイミングを、レイアスに譲渡。ヒカル、気を付けてね…』
「ありがとうフェルト。レイアス、ヒカル・エトワール。出ます!」
フェルトに笑い返し、レイアスはカタパルトから発進し、ピラーの落下地点まで飛び、破片の破壊に取り掛かった。
だがガンダム四機でも全ての破片を防ぐ事は出来なかった。
その途中、アレルヤが撃ちそこねた破片をガンアーチャーに乗ったマリーが破壊し、更にはカタロン、正規軍、アロウズまでもが手助けに入った。
休む間もなく降り注ぐ破片の中に巨大な破片が降下したが、セラヴィーがトランザムをして放った砲が破片を分断し、宇宙から下りて来たダブルオーが残りを破壊。
更に砕けた破片を、ケルディム、アリオス、レイアスがトランザムを掛け、防いだ。
数時間後、都市部への直撃は免れたが、悲惨な光景が目に映った。
「こんな、事が…」
破片や撃墜されたMSを見ていると、アロウズとティエレンが戦っているのに気付いた。
それにマリーが駆け寄ろうとしたが、別のアロウズ機が邪魔をしたが、それを刹那が防いだ。
ドオオンッ!!
『…、 大佐ーーッ!! 』
爆発したティエレンと、直後に聞こえたマリーの叫び。
それが引き金となりマリーの心は閉じられた。
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