第二期
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イノベイターのリーダーである、リボンズと対話後、ヒカルは彼の側にいたサーシェスから銃弾を受けた。
刹那は彼女を庇いながらガンダムでサーシェスと戦っていた。
その途中、近くの飛行機に刃を取るサーシェスにトランザムの素早い動きで機体を斬り付け、止めを刺そうとした瞬間、謎の歌が聞こえた。
「何故…俺は、戦いを…」
小さく呟いた時、近くにいたレイアスが機能を停止したように降下した。
「っ、ヒカルッ!!」
直ぐさま駆け寄って機体を抱え、ヒカルの様子を見ると、彼女は既に気を失っていた。
「…ッ」
刹那は仕方なく一番近いカタロンの基地を探り当て、機体を飛ばした。
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突然のガンダム出現にカタロンのメンバーは格納庫に集まり、騒ぎを聞き付けたマリナも到着すると、見覚えのあるガンダムに駆け寄った。
刹那は回りの者を気にせずダブルオーの手でレイアスのコックピットに向かい、気絶したままのヒカルを抱えて機体から下りた。
「刹那!一体何が…!」
刹那の姿にマリナは駆け寄るが、重傷を負ったヒカルを見て言葉を失った。
「…マリナ・イスマイール」
「…どなたか、どなたか衛生兵を呼んで!」
マリナの声にカタロンの者達は騒ぎ、彼女は床に下ろしたヒカルに駆け寄った。
「ヒカルさん!ヒカルさんしっかり!」
マリナの呼び掛けにピクリとも反応しないヒカルを、刹那はただ抱える事しか出来なかった。
.
気付いた時、俺はあの家にいた。
そして、俺の前を通り過ぎる、まだ神を信じていた頃の俺。
幼い自分が犯そうとしている罪を止めて銃を奪い、家の外に出た時、懐かしい人物が現れた。
「ロ、ロックオン…」
「刹那。過去によって変えられるものは、今の自分の気持ちだけだ。他は何も変わらねぇ。他人の気持ちや…、ましてや命は」
バァンッ!
「ッ!?」
背後から銃声が聞こえ振り向いた時、奪った銃が消えており、銃声が聞こえた家から銃を握った幼い自分が出て来た。
「刹那。お前は変われ。変わらなかった、俺の代わりに…そして二度と、後悔だけはするな」
聞こえなくなったロックオンの声の後、優しい光りが頭上から溢れ、上を向いた後に前を見て驚いた。
一面に広がる花畑。
そこには一人の少女がいて、花を積みながら何か歌を歌っていた。
「お前は…」
「ん?」
少女は刹那の声に気付いて振り向くと、少女がヒカルだという事に気付いた。
「ヒカル、何故此処に…」
「…お兄ちゃん、誰?」
「…え?」
「あたしはヒカルなんて名前じゃないよ。ねぇ、お兄ちゃんは何してるの?」
「お、俺は…」
返答に困っていると、刹那の頭に何かが乗せられた。
刹那の頭に乗せられた物。それは花冠だった。
「あたしはね、此処が好きなの。争いのない、平和な世界が」
「…?」
「貴方も、争いを無くしたいから、あれで戦っているんでしょ?」
そう言って少女が指差した先には、刹那のダブルオーがあった。
「ガンダム…」
「だから、負けないでね。貴方の大切な人を、二度と失わない為に」
「ッ、お前…」
驚愕する刹那に少女はただ笑い、やがて聞こえて来た歌に刹那の気は一度切れた。
刹那はゆっくりと目を覚ました。
朦朧とする目を動かすと、室内には数人の子供達にマリナが見えた。
「此処は…」
「気が付いた?刹那」
「マリナ…俺は…ッ、ヒカル!」
ヒカルの事を思い出して勢いよく起き上がるが、隣を見て目を見開いた。
そこには、治療されたヒカルが、刹那と同じように寝かされていた。
「ヒカル…」
「弾は取り除いたわ。けど此処には、細胞活性化装置がなくて…」
「俺は、眠っていたのか…」
「ヒカルさんの無事を確認した後、瞬時にね」
眠っているヒカルの頬を触り、弱くも息をしている事に安堵した時、カタロンの一人が刹那を呼び、刹那は廊下に出た。
暫くした後、刹那はマリナを呼んでダブルオーの元に向かい、マリナはヒカルの事を子供達に頼んだ。
「もう、行ってしまうの?」
「仲間が待ってる。…マリナ、今度会った時、子供達の歌を聞かせてくれ」
「…ええ、勿論よ」
「ヒカルを頼む」
最後にそう言い残し、刹那はダブルオーに乗って基地を離れた。
――――、歌にはね、人を元気にする力もあるし、穏やかにさせる力もある
うん!ママの歌聞いたら、アタシいつも元気になるよ!
でも、その他の力もあるのよ
他の…なあに?
それはね…戦いを止める力なの
戦い?
そう。誰かが喧嘩をしてたり争ったりした時、止めたくても止めれない時があるの。そんな時には、歌を歌えばいいのよ
そうすれば、みんなケンカしない?
そうね…。――――がそうなって欲しいと強く願いながら歌えば、きっと歌は届くわ
戦っている、誰かの元に
「…う…ッ」
僅かに動くと同時に全身に走った痛み。
その痛みに目を開くと、数人の子供達の顔が見えた。
「お姉ちゃんが起きた!」
「大丈夫?」
「僕マリナ様呼んでくる!」
「…?」
現状が把握出来ず混乱しながら、起き上がろうと力を入れた。
「うっ…く…」
「お姉ちゃん!起きちゃダメだよ!」
「私…一体…」
痛みに堪えながら意識を失う前の事を思い出していると、部屋にマリナが到着した。
「ヒカルさん!気が付いたのね!」
「マリナ…さん…?」
「まだ寝てなきゃ駄目よ。傷は塞がってないんだから」
マリナによってベッドに寝かされ、ヒカルは少しずつ思い出して来た。
「私…戦いで負傷して…そしたら、歌が…」
「あ、あたし達の歌、聞こえたの!?」
ヒカルの呟きを聞いた一人の女の子が、嬉しそうに尋ねて来た。
「あの歌は…」
「この子達の願いを歌にしたのよ。ヒカルさんにも聞こえたの?」
「…はい」
その一言に、子供達は嬉しそうにはしゃぎ出したが、ヒカルは刹那の事に気が付いた。
「刹那は、彼は何処に…」
「貴方達の船が別の支部から補給を受けたと聞いて、ガンダムで行ってしまったわ…」
「…ッ!それは、何処の支部ですか…!?」
「え?確か…ヨーロッパって…て、ヒカルさん!」
またも起き上がろうとしたヒカルを、マリナは慌てて止めた。
「行かなくちゃ…トレミーが力を借りたって事は、きっと危険な…っ」
「駄目よ!こんな体で行こうなんて、もし敵に見付かったら」
止めるマリナに、ヒカルはシーツを握って俯いた。
「…私には、記憶がない…!」
「え?」
突然の告白に、マリナは驚いた。
「自分が誰なのかも、今世界がどうなっているかも、何も解らなかった…でも、必死に戦うCBの皆や、アロウズの行為を見て、変えたいと思った…」
「ヒカルさん…」
シーツを握る力を強め、吐き捨てるように告げた。
「私には…、私には戦う事でしか、自分を取り戻せないの!」
ポタッ。
零れ落ちた涙が拳に落ち、震えるヒカルの手に、マリナはそっと手を乗せた。
「だったら、今貴方がすべき事は、早く傷を癒す事だわ」
「…マリナさん」
「刹那も、貴方の傷を心配したから、貴方を此処に残したのよ。だから今貴方が出て行ったら、刹那はきっと悲しむわ」
「……」
ゆっくりと落ち着きを見せたヒカルに少し安心した時、ある提案を出した。
「そうだ。皆、ヒカルさんが早く元気になれるように歌いましょう!」
「あ、さんせー!」
「あたしもあたしも!」
「お姉ちゃん、聞いてくれる!?」
子供達はマリナの言葉に色々な声を上げ、ヒカルの側に寄った少女は手を握って尋ねた。
「…ええ。是非聞かせて」
ヒカルの声に子供達は横に並び、ヒカルは横になって歌を聞いた。
【緑色芝生に 寝転んでいたい 動物も一緒に ゴロゴロしたい 今日はいいことが沢山あったから 明日もいいことが沢山あるように お日様出て 夕日綺麗ね 星に願い明日が来る どうしていっちゃうの 一緒に帰ろう】
子供達の歌を聞きながら、ヒカルの意識は眠りに入った。
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