第二期
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トランザムが発動したと同時に聞こえた声。
目の前にいた敵機のパイロットが、自分を知っていた事に同様した。
〈ヒカル、どうして…どうしてガンダムに!?〉
「…誰?」
〈え…?〉
「貴方は誰…?どうして私の名前を…」
〈何を…何を言ってるの!?ヒカル!〉
必死に自分の名を叫ぶ女性パイロット。だが、別方向から攻撃が来た。
〈何をやっている!?ハレヴィ准尉!〉
「こっちからも声…?」
別の敵機の砲撃を避け、そのまま敵機の片足をビームソードで破壊した。
〈止めてヒカル!〉
「ッ!?」
被弾した味方を庇う女性パイロットに、ヒカルは手を止めた。
〈どうして、沙慈だけじゃなく…どうして貴方までそこに…〉
(クロスロードさんの事も知ってる…一体彼女は…)
考えに耽っていると、被弾していた敵機が攻撃を再開し、ヒカルはそれを防ぎ、トレミーの元に向かった。
〈待って!ヒカル!!〉
叫び続ける声が気になったが、トレミー向けて機体を飛ばした。
トレミー近辺ではセラヴィーとケルディムが敵部隊と抗戦し、ダブルオーは新型と対峙していた。
レイアスも参戦し、砲撃を続けながらトレミーを護っていたが、ダブルオーが新型二機を倒した事に敵部隊は撤退した。
ガンダム各機は警戒体制を取りつつも、トレミーの補修を開始した。
「ハア…」
レイアスから下りて自室に向かう途中、刹那と沙慈の会話が聞こえ、ヒカルは歩みを止めた。
「―――を、アロウズから取り戻すには、戦うしかない」
「僕が、戦う…」
「彼女の事が大切なら、出来る筈だ」
「っ、人殺しをしろって言うのか!?」
「違う。彼女を取り戻す戦いをするんだ」
「そんなの詭弁だ!戦えば人は傷付く!ルイスだって」
更に会話を続けようとした時、刹那の背後の扉が開き、ヒカルが入室して来た。
「ヒカル…」
「ごめんなさい。会話が聞こえて…」
刹那に軽く謝った後、少しだけ俯いた沙慈を見た。
「クロスロードさん…。ハレヴィって方、知ってますか?」
「…え?」
驚いた顔をした沙慈はヒカルの方を向き、刹那もヒカルの顔を見た。
「敵機のパイロットの中に女性がいて、その人が…私と貴方の名前を知ってて…」
「ルイス…」
「かなり、同様してました。私がガンダムに乗っている事に…」
それだけ聞いて再び俯く沙慈に、ヒカルは恐る恐る聞き出した。
「あの、クロスロードさん…彼女は、誰なんですか?」
「…ッ、」
パンッ!
ドサッ
「ヒカル!!」
呟いた途端、腹を立てた沙慈はヒカルの右頬を叩き、倒れた彼女を刹那は慌てて抱き起こした。
「沙慈・クロスロード!何を!」
「…なんでだよ…」
「…え?」
「…っ、なんで何も覚えていないんだ!?ルイスの事も、僕の事も、何で…何で全部忘れちゃったんだよ!!」
叫ぶ沙慈の声に、ヒカルは頬を押さえながら目を見開いた。
「ルイスは、君と逢ったのは一度きりだけど…凄く気に入って、君から返事が来たって喜んでたのに…なのに…っ」
「沙慈・クロスロード!」
刹那の声にハッ、と我に返った後、沙慈は何も言わずに出て行った。
「……」
「ヒカル、大丈夫か?」
体を少し離してヒカルを見るが、彼女は俯いていて、僅かに赤くなった頬だけが見えた。
「冷やした方が良い。医務室に…」
ヒカルを立たそうと肩を掴んだが、ヒカルは刹那の手を下ろし、無言のまま退室して行った。
そして開いたままの扉からは、ロックオンが姿を見せた。
「趣味が悪いな」
「聞こえちまったんだよ。しっかしあんたは不器用だな」
「何?」
「あの坊やにハッキリ言ってやったらいいじゃないか。戦闘は俺が引き受ける。お前は説得でも何でもして、彼女をアロウズから取り戻せってな」
「上手くいくとは限らない」
「だがやる気満々だ」
そう言ったロックオンに、刹那は顔を背けて黙った。
「…過去の罪滅ぼしかい?」
「過去じゃない。未来の為だ」
そう言い切った刹那に、ロックオンはまたもや笑いを零した。
「だったら、先ずはさっきのお嬢さんの頬をどうにかしたらどうだ?」
「…」
「頬、かなり赤くなってたようだが」
ヒカルが叩かれた方の右頬を突く仕草に、刹那は拳を握った後、ヒカルが出て行った扉から退室した。
「…若いねぇ」
刹那から放れた後、ヒカルは展望室に向かい、ガラスに手を付く。
思い出すのは、沙慈の叫んだ言葉。
『なんで何も覚えていないんだ!?ルイスの事も、僕の事も、何で…何で全部忘れちゃったんだよ!!』
「…本当だよ…」
ガラスに付いていた手をギュッ、と握った。
「何で私、忘れちゃったのかな…」
我知らず涙が零れ、気持ちを押し殺そうとした時、ガラスに付いていた手が握られた。
「ッ、」
それに目を開けると、目の前に自分そっくりな女性がいた。
「…わた、し…?」
その女性は何も言わず、軽く笑った後、ヒカルを抱き締めた。
―――アナタのせいじゃない
「…え?」
記憶を無くしたのは、アナタのせいじゃない。だから自分を責めないで
「…そんなの嘘よ。結果が何であれ、私は記憶を無くした。それは変わらない…」
すると、女性は少し体を放し、ヒカルの左頬に触れた。
ーーーそれはアタシが望んだ事だから。だからアナタは忘れた
「…どういう、事?」
アナタがこうなったのは、全部あの人のせい…。あの人が、アタシ達との
「ヒカル」
後ろから聞こえた声。直ぐに振り返ると、刹那が立っていた。
「刹那…」
ロックオンが言った通り、未だ赤いヒカルの右頬。
それを見た途端、刹那はヒカルの手を引いて自室に連れ込み、ベッドに座らせて一度離れた。
彼の行動にヒカルは頭上に?を沢山浮かべるが、暫くして刹那は湿布と医療用のテープを持って、ヒカルの隣に腰掛けた。
「横を向け」
「え、あ、うん…」
言われて横を向いた途端、右頬に湿布を貼られ、落ちないようテープで止められた。
処置が終わった刹那は道具を終い、ヒカルは治療された右頬に触れた。
「…ありがとう」
「それでもまだ痛むようなら、アニュー・リターナーに診てもらえ」
背を向けたまま刹那は言うが、ヒカルはふるふると首を振り、両手で右頬を触った。
「これでいい。ありがとう…」
湿布の気持ち良さに目を閉じるヒカルに、刹那はルイスの事を聞いてみた。
「…ヒカル」
「ん?」
「お前はまだ、ルイス・ハレヴィを…彼女を思い出して…」
続けようとした言葉は、艦内に流れたスメラギの声に遮られた。
『スメラギより、総員に通達!トレミーの外装部の補修作業が終了次第、トランザムで最大加速、オービタルリング状にある、敵衛星兵器に攻撃を開始します。ガンダムの補修は、加速航行時も続行。皆、頼むわね』
「私、もう行くね」
「ああ…」
ベッドから立ち上がって扉に向かうヒカル。だが出ようとした時、刹那を振り返った。
「あの、刹那…」
「何だ?」
「ルイス・ハレヴィって、誰?」
偽りのない視線。
その視線にいや、と呟き、顔を背けた。
「何でもない。気にするな」
それだけ言うと、ヒカルは機体の方に向かい、残された刹那は拳を握った。
ダブルオー以外のガンダムのトランザムでトレミーは最大加速。
衛星兵器が見える地域まで到達すると、マイスターはブリッジに集まった。
次の作戦内容を話していた時、不意にヒカルはモニターに映っていた衛星兵器を見た途端。
「嘘…」
「ヒカル?」
小さく呟いた彼女は驚愕したように画面を見つめ、他の皆も前方画面を見ると、衛星兵器が角度を変え、宇宙に放たれた。
「第三射が、放たれた…」
「…ッ、フェルト!分析を!」
「りょ、了解」
アニューの言葉に我に返ったスメラギは直ぐにフェルトに指示を出し、アレルヤやティエリアも驚愕した。
「あの兵器、宇宙にも撃てるのか?」
「何を狙った…?」
「…カタロンの、宇宙艦隊だ」
「な、何だって!?」
「くそったれが…!」
ロックオンはカタロンの宇宙艦隊が攻撃された事に腹を立て、刹那はサイドモニターを見た。
「これが連邦の、いや、イノベイターのやり方」
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