第二期
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ダブルオーとオーライザーの機体テストの最中、頭に走った違和感。
その違和感は暫く続いたが、トランザムが終了したと同時に違和感も消えた。
「何、今の…」
今だ頭を押さえながら考えていると、トレミーのクルーはブリッジに集まるよう通信が入った。
ブリッジに集まった面々は、足元に映し出されたモニターを見て驚愕した。
「これは、衛星兵器…」
「恐らく、太陽光発電を応用した物だと思われます。入ってくる情報が少ないですけど…」
モニターに表示された映像は、国が一つ消滅したような巨大な穴が映し出された光景だった。
「何処が狙われた?」
「中東、スイールです」
「スイールが?」
中東出身である刹那はその事実に信じられないと言った声を上げ、隣に立っていたヒカルは無意識に左手を握り締めた。
「スメラギさん」
「ええ。補修が終わり次第トレミー出港。連邦の衛星兵器破壊ミッションに入ります。各員、持ち場に」
「待ってくれ!」
スメラギの言葉を遮るように、ティエリアが声を上げた。
「その前に、皆に話しておきたい事がある。連邦を裏から操り、世界を支配しようとする者達がいるんだ」
「何!?」
「支配だと?」
「どうして、そんな事を知っている?」
「僕は彼等と会った。彼等の名は、イノベイター」
ティエリアは自分が悩んでいた事を、皆に話した。
「ヴェーダによって産み出された生体端末…イノベイター」
「そいつらがアロウズを動かし、ヴェーダまでも掌握してるってのか」
「という事は、僕達が武力介入を開始した5年前から…」
「活動してた。て事になるな」
「トリニティ。三機のガンダムスローネを武力介入に参加させ、擬似GNドライブを搭載した三十機のジンクスを、国連に提供したのも彼等の仕業…」
「つまり奴等が、イオリアの計画を変えたって事か」
「そのせいで、ロックオンやクリスを…」
「何故、そんな大事な事を今まで言わなかった?」
「彼等は、イオリア・シュヘンベルグの計画を続けていると言った。それが事実なら、我々の方が、異端である可能性も」
「そんな事、」
「そうだよ。アロウズを作り、反政府組織を虐殺。そんなやり方、本当の平和が得られる訳がない」
「破壊する!」
突然声を上げた刹那に、皆は彼の方を向いた。
「アロウズを倒し、イノベイターを駆逐する。俺が、俺の意志で」
「乗ったぜ刹那!」
「俺もだ」
「ハイです!」
「そうだな」
刹那の意見に皆が同意するが、ティエリアだけはまだ戸惑っていた。
「皆、僕も彼等と」
「大体の事情は解ったわ」
ティエリアの言葉を遮るように、スメラギは彼の肩に手を乗せた。
「でも、今しなければならないのは、敵の衛星兵器を破壊する事よ」
「スメラギ・李・ノリエガ…」
「貴方はあたし達の仲間よ」
意気込む一同を、何処か寂しそうに見るヒカル。
その後彼女は何も言わずにブリッジを出て行き、刹那は疑問に思った後、ヒカルを追った。
.
自分の愛機、レイアスが見える待機室に向かい、ガラスに手を付くヒカル。
彼女の後を追って来た刹那は、後ろに立ち、声を掛けようと近寄った。
「ヒカル、どうし…」
「―――終わるのかな?」
言葉を遮るヒカルに、刹那は足を止めた。
「この戦いに、終わりがあるのかな…?」
「ヒカル、何を…」
「私の中の何かが叫んでるの…。私は戦いに巻き込まれるばかりで、戦う事でしか生きる術はない…」
「ッ、」
「此処にいるのも、きっと私の意志じゃなく、さっき言ってたヴェーダが私を…」
「違う!!」
刹那はヒカルの肩を掴み、こちら側に体を向かせた。
「確かに俺達はヴェーダによってマイスターに選ばれた。だが、此処に来たのはヴェーダの意志ではない。自分の意志だ!」
「自分の…」
「俺もお前も、歪んだ世界で生きていた…。だからマイスターとなって、世界を変えようと誓ったんだ!」
「誓った…」
踏み入れた基地
初めて会う女性と三人の男性
レイアスとは少し違う赤の機体
いつも隣にいた、少年
「…ッ!」
「ヒカル!?」
頭に痛みが走り、よろけたヒカルを支えながら慌てる刹那。
「ヒカル!大丈夫か!?」
「…だれ…ッ」
「え?」
「誰なの…貴方は…ッ」
思い出せない。
いつも側にいた、少年の顔も名前も声も。
その悔しさに目から涙が零れた瞬間。
グイッ。
「ぇ…」
刹那はヒカルを引き寄せ、強く抱き締めた。
「刹那…?」
「済まない…」
「え…?どういう…」
「済まない、ヒカル…ッ」
訳を話さず謝る刹那。
そんな彼に、ヒカルも何も言わず、刹那に寄り掛かった。
パイロットスーツを着て、レイアスの前で漂うヒカル。
左手の薬指に嵌めている銀色の指輪をなぞりながら、先程の刹那の行動を思い出していた。
理由もなく謝りながら、自分を強く抱き締める刹那。
落ち着いた自分を離した後も、ただ一言、済まないとだけ言って行ってしまった彼。
「どうしてこんなに、刹那の事を…」
左手を握って気持ちを落ち着かせていた時、艦内に衝撃が走った。
「な、何!?」
続けざまの衝撃にヒカルはレイアスに乗り込み、状況を確認しようとした時、ガンダム全機に出撃命令が入った。
「敵に見付かった?どうして…」
出撃し、破壊された基地を見ながら、前方に現れた敵機を睨んだ。
「よくも…っ」
アリオスは基地のクルーが乗る輸送艦の護衛に付き、他のガンダムは迎撃に入った。
先行するダブルオーだが、敵機が放った兵器がダブルオーの動きを止めた。
ダブルオーを突破した敵機向け、セラヴィーがバズーカを放つ。
だがそれは新型に防がれ、ティエリアは新型の相手をした。
トレミーに接近する敵部隊向けてラッセとケルディムが迎撃。
その迎撃の雨の中を抜けながら、レイアスは敵機の間近に迫った。
「これだけ近ければ!!」
ビームソードを抜いて一機を破壊し、接近して来た敵機に投げ付けて撃破。
だが背後に回っていた敵機のサーベルを左手に装備されていた盾で防御し、火花を散らせた。
そのまま力押ししようとする敵機に、舌打ちした。
「言っとくけどねぇ…武器は一つだけじゃないのよッ!!」
腰に装置されたレールガンを放って敵機を被弾させ、盾から出したブーメランで敵機を突き刺した。
次の敵機を相手にしようとした時、スメラギから通信が入った。
『ヒカル!今からクロスロード君がオーライザーに乗って出撃するわ!』
「え?あの人が…?」
『刹那の元まで、彼の援護をお願い!』
「…解りました!」
急いでトレミーに戻り、発進したオーライザーの側に付き、ダブルオーの元に向かった。
敵三機の攻撃を受けるダブルオー。
だが別の場所から砲が放たれ、放たれた先を見ると、レイアスとオーライザーの姿があった。
「オーライザー、イアンか?」
ピピ。
『刹那!』
「沙慈・クロスロード…!?」
『イアンさんに言われて、この機体を刹那に!』
『私が援護する!その間にドッキングを!』
「ヒカル…ドッキングする!」
『え?』
『リョウカイ。オーライザー、ドッキングモード。オーライザー、ドッキングモード』
赤ハロの声が聞こえると同時にオーライザーは変形し、ダブルオーはオーライザーの元に向かい、その間にヒカルが敵機を引き付けた。
「邪魔はさせない!」
ダブルオーを攻撃しようとした敵機に、GNライフルを二丁出して射撃し、間合いを詰めて来た敵機のライフルを掴み、拳砲で破壊した。
そしてダブルオーはドッキングを完了させ、以前より素早い動きをして敵機の背後に回り込み、一機を破壊した。
一機を撃墜させたダブルオーは新型に遭遇し、刹那はトランザムを発動させた。
「しつこいわねっ!」
味方をやられて怒った一機がレイアスに斬り掛かり、ヒカルはもう一本のビームソードを出して防いだ。
その時、ダブルオーのトランザムが発動した事により、別の者の声が聞こえた。
「っ、何、これは…」
〈あの機体は〉
「声?」
〈どうなっている!?〉
「声が…聞こえる…」
「此処にいる者達の声が…」
〈ガンダム!〉
「っ、女の人…?このパイロットは…私と同じ…」
目の前の敵機から聞こえた声に、ヒカルは思わず耳を疑った。
〈その声…まさか、ヒカル?〉
「え?どうして…私の名前を…」
女性の声、それを聞いて驚いたのはヒカルだけではなかった。
「その声、まさか…ルイス?ルイス!!」
〈何、どうして沙慈の声まで…〉
ずっと行方の知らなかった恋人の声に、沙慈は声を上げた。
「ルイス、まさかMSに…」
〈何処にいるの、沙慈!?何処に…まさか、ガンダムに…〉
「ルイス、まさかアロウズに…」
〈沙慈、どうして…〉
「どうして君が…」
「〈どうして、此処にいるの/んだ!?〉」
二人の宇宙で会おうという約束は、皮肉な形となって実現した。
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