第二期
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アロウズの攻撃によって壊滅状態になったカタロンの基地。
負傷した者や、死亡した者達。
カタロンのメンバー達はCBが情報を流したと疑うがそれをロックオンが止め、ティエリアはある人物を見付けた。
殺されたカタロンのメンバーを見て怯える沙慈、彼はその場から立ち去ろうと踵を返すが、それをティエリアが止めた。
「何をした?」
取り敢えず人のいない場所に移動し、ティエリアは率直に質問した。
「ぼ、僕は…」
「したんだな。誰だ君は?アロウズのスパイか?」
「ち、違う!僕は!」
「訳を話してもらうぞ、沙慈・クロスロード」
トレミーでは、ブリッジからカタロンの基地の様子を見るイアン、ラッセ。
フェルトはミレイナに現状を見せない為共にブリッジを退出。
映し出された光景に、ヒカルは無意識に左手を握り、スメラギも辛そうな瞳をしていた。
「こいつは…」
「これが奴等のやり方か」
「酷い…」
亡くなった仲間の亡き柄を見て、泣き崩れるカタロンの者達。
《過の為に生まれ、過の為に死す…》
「ッ、」
カタロンの一人が呟く言葉に、スメラギは目を見開いた。
『それを運命と言うなら…抗う事叶わず…』
それを引き金に、スメラギはある過去を思い出した。
「…、ぁっ」
「え…?スメラギさん!?」
急に倒れ掛けたスメラギに気付き、ヒカルは慌てて支えた。
「お、おい!」
「どうしたスメラギさん!」
「スメラギさん!しっかりして下さい!!スメラギさん!!」
意識を失ったスメラギに何度も呼び掛けたが、彼女は目覚めなかった。
.
バシッ!
「何と言う、何と言う愚かな事を」
沙慈に事情を聞き終えたティエリアは、直ぐに彼の頬を叩いた。
「こんな事になるなんて、思ってなかった…。僕は、戦いから離れたかっただけで…こんな事に…!…僕」
「彼等の命を奪ったのは君だ!」
「…ッ!」
「君の愚かな振る舞いだ。自分は違う。自分には関係ない。違う世界の出来事だ、そういう現実から目を背ける行為が、無自覚な悪意となり、このような結果を招く!」
「…ッ、ぼ、僕は…そんなつもりじゃ…っう、ああああ、うわああああ!」
膝を付いて泣き叫ぶ沙慈。その時、戻って来た刹那が寄って来た。
「ティエリア、どういう事だ、あれは…」
「アロウズの仕業だ。そしてその原因は彼にある」
「沙慈・クロスロード…」
泣き叫ぶ沙慈を見て名を呟く刹那。
そして別の場所では、刹那と共にアザディスタンに向かったマリナが立ち尽くし側に寄ったシーリンに縋って泣き出していた。
.
スメラギが倒れたとトレミーから連絡が入り、マイスターと、沙慈を連れてトレミーに戻った。
「精神的ショックによる、一時的な意識の混濁のようです。時間が経てば、目が覚めると思いますが…」
「一体、スメラギさんに何が…」
「解らん。だが、今回の虐殺事件が原因であるのは間違いないな」
「…」
医療カプセルに入れられたスメラギ。
それをフェルト達と共に見ながら、ヒカルはスメラギの意識が失う直前に聞いた名を思い出した。
―――エミリオ
「…スメラギさん」
.
「スメラギさんの容体は?」
「まだ目覚めていない」
「もう暫く、安静が必要かも」
アレルヤの問いにスメラギの様子を見に行ったラッセとフェルトが答え、それが過ぎると、ロックオンはミレイナに振り返った。
「カタロン側の状況は?」
「モニターに出します」
モニターにはエージェントから提供された資材や食料が到着し、移動の準備を開始するカタロンのメンバー達。
「…アロウズは来るぜ。間違いなくな」
「解っている」
「ガンダムを出す」
「しかし戦術は?スメラギが倒れたこの状況では」
「それでもやるしかないだろう。トレミーを海岸線に向ける。敵さんに、見付けてもらわなきゃな」
そう言って椅子に座るラッセに、フェルトも自分の位置に座った。
「了解です」
「プトレマイオス、発進」
トレミーはゆっくりと移動を開始し、子供達を移動させる車に乗せるマリナは辛そうな眼差しで見送った。
「光学迷彩、解除します」
「監視衛星による、捕捉予定時間は、約0037です」
「総員、第一種戦闘体勢!」
「了解」
各ガンダムへと移動するマイスター達。
その中で、刹那はパイロットスーツを纏ったヒカルを見付けた。
「ヒカル…?」
自分の機体であるレイアスを見上げ、肩に乗っていたトリィは首を傾げたり羽を突いた後、一鳴きした。
『トリィ!』
その声にヒカルはトリィの方を向き、手を伸ばして指に移動させ、目の前に寄せた。
「トリィ、貴方は知ってる?私が戦っていた理由を…」
『トリィ?』
「何だったかは思い出せないけど、きっと私は、願いがあったんだろうね…」
『トリィ!トリィ!』
指から離れたトリィはレイアスの肩に飛び、機体をコツコツと突く。
「あの人達の願い…」
パイロットスーツに覆われている左手を眺め、ヒカルはそのまま左手を握り締めた。
「誰にも譲れない願いが…」
独り言のように呟く、切ない彼女の声。
声を掛ける事も、側に寄って抱き締める事も出来ない辛さ。
それを振り払うように、刹那はダブルオーに乗り込んだ。
.
そして間もなく、レイアス以外のガンダムは発進し、アロウズのMSと交戦を開始した。
だがアレルヤは超兵との戦いに苦戦し、刹那は敵の新型と刃を交える。
ケルディムとセラヴィーも敵機を撃墜させようと必死だが、手慣れの多いアロウズの人材に苦戦していた。
それを見ていたヒカルは拳を強く握り締めた後、ブリッジに通信を繋いだ。
「ミレイナ」
『は、はいです!』
急な通信に驚いたミレイナだったが、ヒカルは構わず用件を伝えた。
一方、トレミーに連れて来られた沙慈はカタロンの者達を護りたいとイアンに申し出る。
イアンは沙慈を連れてサブブリッジに向かい、砲撃の仕方を教えた。
「操作方法は解ったな?」
「っ、…はい」
砲撃用のグリップを強く握ると、ブリッジのフェルトから連絡が入った。
『敵機が二機、本艦に接近中です!』
「突破されたか!撃て!砲撃だ!」
「…、ぁ…っ」
「何してる!?撃て!」
迫って来るMSにイアンは沙慈に砲撃するよう怒鳴るが、沙慈は怯え、グリップを握る手も震えていた。
「どうした!?早く!」
射程内に入ったにも関わらず、今まで自分が刹那に言った言葉が頭に響いた。
「来るな、来ないでくれ、僕は…っ」
敵機が間近に迫り。
「僕はーーッ!!」
沙慈が砲撃のボタンを押し掛けた瞬間。
ドオンッ!!
「何…ッ!?」
別方向からの砲撃に、MSに乗っていたルイスは砲撃が放たれた先を見た途端、機体に衝撃が掛かった。
「ああっ!!」
『ハレヴィ准尉!』
後方にいたアンドレイがルイスのMSを抑え、前を見据えて驚いた。
「あ…あ…」
「まさか…あいつ…」
サブブリッジにいた沙慈やイアンも、モニターに出ていた光景に驚いた。
トレミーの前には、艦を護るように立ち塞がる一機のMS。
十枚ある翼を大きく広げ、そこからGN粒子を放出する赤の機体。
それは、ヒカルの機体であるレイアスだった。
「レイアス、ヒカル・エトワール…」
「対象を撃破する!!」
翼の一枚からソードを抜き敵機に斬り掛かった。
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