第二期
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地上に下りた刹那は、アイルランドのある地点に一人の人物を呼び出し、彼と対面した。
「あんたか?俺を呼び出したのは」
「―――カタロン構成員、ライル・ディランディ」
「保安局か!?」
刹那の言葉にライルが身構えたが、続く言葉に警戒を解いた。
「お前を迎えに来た」
「ん?」
「俺の名は、刹那・F・セイエイ。CBのガンダムマイスターだ」
「CB…?」
「そしてお前も、ガンダムマイスターとなる」
「?」
「ライル・ディランディ…いや、ロックオン・ストラトス」
意味の解らない事を次々に言う刹那に、ライルは疑問をぶつけた。
「何なんだお前?人を呼び出しておいて、いきなりCBだと…「ニール・ディランディは、ガンダムマイスターだった」
「兄さんが、ガンダムマイスター?」
「そうだ。彼はガンダムに乗っていた」
「乗っていた…まさか、兄さんは死んだのか?」
それに、刹那は黙って頷いた。
「四年前の戦いで」
信じられない事実にライルは僅かに俯き、慰霊碑の周りにいた白い鳩が飛び立った。
「俺に、兄の意志を継げと言うのか?」
「そうは言わない。だが、お前もニール・ディランディと同じように、この世界を変えたいと思っているなら、その為に、戦う覚悟があるなら」
刹那は一つのメモリースティックをライルに差し出しライルはそれを受け取った。
「ここに、俺達の情報が入っている」
「いいのかい?これを俺が保安局に渡したら」
「保安局は、まもなくヨーロッパ中のカタロンのアジトに、鎮圧作戦を行う」
「何だと!?」
「奴らは本気だ」
それだけを言い残し、刹那はその場を後にし、刹那の後ろ姿を見送った後、ライルは手元のメモリースティックを眺めた。
次の目的地に向かいながら刹那はプトレマイオス2の中で聞いた、ティエリアの言葉を思い出していた。
「彼女は、ヒカルは…あの日から一度も目覚めてはいない」
「何、だと…?」
「僕が目を覚ました時、彼女も既に救助されていた。だが、優秀な医者達が何度も彼女の状態を調べたが、誰もその原因を見付ける事は出来なかった」
ティエリアに振り返った後刹那は再びヒカルを見つめた。
.
「君の声を聞けば、彼女は目覚めると思っていたが…それだけでは無駄だったようだな」
そう言い、ティエリアは静かに部屋を退出し、刹那はカプセルを開けた。
バシュ。
プシュー。
四年前より遥かに伸びた漆黒の髪。変わらぬ白い肌。
顔付きは少し大人びており、組まれた手の薬指には、一つの指輪が光っていた。
四年前、ヒカルに渡した指輪。肌身離さず付けると言ってくれた指輪。
刹那は首元を少し開け、中から一つのロケットを出した。
中には幼いヒカルが両親と共に写っている写真と、四年前のヒカルの写真が埋め込まれていた。
「…俺のせいなのか」
笑顔のヒカルの写真を見た後、ロケットを力強く握り締める。
「俺がヒカルを護れなかったから…お前との約束を破ったから…っ」
護ると言いながら、俺はいつもヒカルに護られたり、支えられたり。
ずっと側にいるという約束を、破ってしまった。
「―――…ッ」
組まれた手をそっと握り、ヒカルの唇に自分のを重ねた。
「ヒカル…」
暫くしてから離れたその行動にも、微動さえしないヒカル。
ゆっくりと手を離し、再びカプセルを閉じた。
「俺は信じている。再び、お前が目覚める事を…」
カプセルをそっと撫でた後刹那は部屋を退出した。
ヒカルの指が、僅かに動いた事を気付かずに。
.
スメラギが滞在していたマンション。ビリー・カタギリの自宅を訪問した刹那はビリーにスメラギの素性を明かし、彼女を無理矢理連れ出した。
軌道エレベーターで宇宙に上がる刹那とスメラギ。
だが彼女の表情は、とても暗かった。
「あたしを連れ戻してどうしようっていうの?連邦政府が出来ても、世界は何も変わらない。あれだけの犠牲を払った所で、何一つ…イオリアの計画に、意味なんてないのよ」
「それが酒浸りの理由か?」
「悪い?あたしはもう嫌なの。やってられないのよ…」
「…俺は、俺達は戦う。世界に変革を促した事が、俺達の罪ならば、その罪は、再び世界を変える事でしか償えない」
「あたしには、無理よ…」
「逃げるのか?」
「いいじゃない。逃避ぐらいしたって…。あたしは貴方程、強くない」
四年前の活気が失われた彼女に刹那は何も言えないまま、宇宙に着いた。
「ねぇ刹那。もうあたしの事は」
「新たなマイスターが来る」
「新たな、マイスター…」
刹那に腕を掴まれたまま進んで行くと、前方にいた人物に息を飲んだ。
「よう、遅かったな」
「ロックオン?そんな、生きて…」
「そんなに似てるかな?俺と兄さん」
「お、お兄さん…?」
「紹介しよう。彼はライル・ディランディ」
「違うな。俺の名はロックオン・ストラトス。CBのガンダムマイスターだ」
.
小型艇に乗ってトレミーまで向かう刹那とロックオンそしてスメラギ。
その途中、トレミーから連絡が入り、アロウズにトレミーの位置が発見されたと情報が入り、ティエリアは時間を稼ぐ為、セラヴィーで出た。
「敵の編隊…」
「アロウズのMSか」
「刹那、こっちの戦力は?」
「ティエリアの機体だけだが、ロールアウト間近の新型がある」
「二機だけ…」
「随分と寂しい組織なんだな」
「…もう一機、機体はあるが…パイロットがいない」
「っ、それって、まさか…」
思い当たる節があるように呟いた後、スメラギは艇に付いている端末を操作し、トレミーに戦術プランを送った。
そして数秒後、トレミーからGNミサイルが放たれ、敵MSが迂回している内に、刹那達はトレミーに急いだ
イアンにダブルオーの発進準備を頼み、刹那はロックオンに操縦を頼んだ。
小型艇からダブルオーに向かう刹那。素早く中に乗り込み、起動し出した。
『刹那!ダブルオーはまだ!』
「トランザムを使う」
『無茶だ!刹那止せ!!』
「トランザム、始動!」
イアンの止める言葉も聞かずにトランザムを始動した。
だが粒子融合率は停滞し、動かないダブルオー。
敵MSが急接近し、ダブルオー向けて銃口を向けた。
(目覚めてくれ、ダブルオー。此処には、Oガンダムと、エクシアと)
脳裏に写る、ヒカルの笑顔。
「俺がいるッ!!」
敵MSの放ったビーム砲がダブルオーに当たる寸前、二つの太陽炉が起動し、高圧縮粒子を噴射した。
ツインドライブは安定領域に達し、その凄まじい粒子に皆が言葉を失った。
「ダブルオーガンダム、刹那・F・セイエイ。出る!」
ダブルオーガンダムは射出され、敵MSの一体を破壊し、もう一体をGNソードで斬り裂いた。
「刹那…」
「あれが、ガンダムの力か…」
「刹那…」
ダブルオーが敵MSを倒した事に他のMSは撤退。
トレミーに軟禁されていた沙慈はミレイナから渡された赤ハロでその様子を何とも言えない表情で目撃していた。
無事に帰還した刹那の後ろにはスメラギ、そしてロックオンの弟のライルに皆が驚いていた。
「ロックオン!?」
『ロックオン、イキテタ!ロックオン、イキテタ!』
彼の登場に、相棒であったオレンジのハロは耳を動かしながら喜んだ。
「熱烈な歓迎だな」
「どういう事だ?」
「弟さんなんですって」
「ロックオン・ストラトス…」
ライルの存在に、心を揺さぶられるフェルト。
あのロックオンは以前の彼ではないと、自分に言い聞かせるティエリア。
ダブルオーの起動に、喜ぶ者、歪ます者。
そして、一人の束縛された人物が、一人の名を呟いた。
「マリー…」
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