第一期
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A.D.2307
AEU軌道エレベーター
宇宙へと伸びている軌道エレベーターを軸に、補助機能なしで降下する1機のMSがいた。
「240082エクシア、目標地点を視認、GN粒子の散布を目標到達同時に終了させる」
エクシアのパイロット。刹那・F・セイエイは目標地点にあるAEUの機体を画面に映した。
「目標対象確認、予定通りファーストフェイズを開始する」
突然現れた謎のMSに観客は驚き、AEUの新型MSイナクトのパイロットであるパトリックは事情を知らないままコックピットに入った。
『おいおいどこの機体だ?ユニオンか?人革連か?まあどっちにしても人様の領土に土足で踏み込んで、ただて済むわけねぇよな!』
そう言ってイナクトはエクシアに向かって戦闘モードに入った。
『貴様ァ、俺が誰だかわかってるのか!?AEUのパトリック・コーラサワーだ!模擬戦でも負け知らずのスペシャル様なんだよ!』
そう言い、パトリックは武器を構えてエクシアに襲い掛かった。
「エクシア、目標を駆逐する」
エクシアはGNソードを取り出し、イナクトを一瞬でバラバラにしてしまった。
「エクシア、ファーストフェイズ終了。セカンドフェイズに移行する」
エクシアはGNドライブからGN粒子を出し、その場から飛び立ってしまった。
だがその撤退をAEUが黙っている筈もなく、緊急発進したMSがエクシアを追い、次々と繰り出してくる増援にエクシアは包囲されてしまった。
「やはり、AEUはピィラーの中にまで軍事力を…」
刹那は呟きながら敵を倒すが、エクシアは少しずつ押されていった。
『増援接近、増援接近』
「ははっ、さすがの刹那でも手を焼くか」
どことも知れぬ地上の岩山機体の中にオレンジのハロを設置し、ロックオン・ストラトスが笑いを零した。
「なら、狙うとするか。デュナメスとロックオン・ストラトスの出番だ」
ピピッ
『ロックオン』
スコープを構えようとしたその時、通信が入り上画面を見ると、色違いのパイロットスーツを着た少女の姿が映し出された。
「どうした、ヒカル?」
『刹那を援護するんでしょう?私は上から行くからロックオンは下からお願い』
ヒカルと呼ばれた少女の提案にロックオンは一瞬目を見開き、ヒカルにばれないよう小さく笑った。
「了解、気を付けろよ」
『うん、ありがとう』
笑って無線を切るヒカルの姿を見届け、ロックオンはスコープを構えた。
「デュナメス、目標を狙い撃つ」
一方、刹那は敵機に囲まれながらも必死に攻撃を防いでいた。
『相手は1機、包囲して殲滅する!』
敵機が一斉にエクシアに攻撃を仕掛けた瞬間、地上から強力なビーム砲が放たれ敵機を何機か撃墜した。
『地上からだと!?馬鹿なっ!』
次々と落とされていく敵機を見ながら、刹那は小さく呟いた。
「ロックオンか」
『おのれ!せめてこいつだけでも!!』
残っていた敵機がエクシアに向かい、刹那は防ごうとした瞬間、今度は上空からビーム砲が放たれ、襲い掛かる敵機を撃った。
『こ、今度は空だとっ!』
刹那はビーム砲が放たれた先を見ると、羽の生えた赤いMSが高速でこちらに降下してきた。
「レクサス、ヒカルか」
レクサスは降下したスピードを利用して敵に接近し、一気に2機を攻撃した。
『レクサス、ヒカル・エトワール、敵機を破壊する』
新たに現れたMSに動揺している敵機を刹那と共に撃墜した。
「セカンドフェイズ、終了」
.
ミッション終了後、ガンダムのコンテナが設置されている離島に降り立った。
ヒカルは機体近くで携帯テレビを見ているロックオンに近付くと、丁度声明が終わった所だった。
「始まっちまったぞ、あぁ始まっちまった。もう止められない」
『トマラナイ、トマラナイ』
テレビを消しながら呟くロックオンに続くように、ハロが弾みながら喋る。
「俺達は世界に対して喧嘩を売ったんだ。分かってるよな?刹那、ヒカル」
「ああ、分かっている」
ロックオンの言葉を聞きながら刹那はメットを取り、3機のガンダムを見つめた。
「俺達はソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ」
刹那の言葉を聞き、ヒカルは空を見上げた。
「世界を変える…、私達が変える」
そう呟いて目を閉じ、胸の前で拳を握り締めた。
.
緑が多い小さな島。誰も知らないその場所でヒカル達は休息を取っていた。
「どこもかしくも俺達の話題で持ち切りだ。謎の武装集団、全世界に対して戦争根絶を宣言するってな」
ロックオンが石に座りながら地面を見ている刹那に声を掛けるが、刹那はロックオンに視線さえ向ける事なく黙っていた。
「最も、殆どの奴らは信じていないようだがな」
「まあ、すぐに信じる事はないよね」
ロックオンのハロを膝に置き、頭を撫でながら言うヒカルに、第三者の声が掛けられた。
「ならば、それを信じさせましょう」
そこにはボディガードの紅龍にお姫様抱っこされた、エージェントの王留美がいた。
「ソレスタルビーイングの理念は行動によってのみ示されるのだから」
「王留美…」
「お早いお着きで」
「セカンドミッションよ」
留美の言葉にヒカルのハロを撫でていた手が止まり、顔を俯かせた様子を刹那は黙って見ていた。
スメラギからの作戦内容を聞いた後、ヒカルは配置されていたレクサスを見上げた。
ヒカルの両親が造った形見とも言える機体。一歩間違えれば破壊の兵器。だが、正しく使えば平和への懸け橋。
「父さん、母さん。私…間違ってないよね」
握り締めた手の平を開くと両親の写真が入っているロケットを見、そしてもう一度ロケットを強く握り、前を見据えた。
.
〔ハッチオープン。エクシア、レクサス、デュナメス発進準備。GN粒子、散布開始〕
「エクシア。刹那・F・セイエイ、セカンドミッションを遂行する」
「デュナメス。ロックオン・ストラトス、出撃する」
「レクサス。ヒカル・エトワール、出ます」
それを合図に3機は飛び立ち、目標地点に向かって飛んだ。
海面近くを飛んでいると、別の2機の機体に気付き、ロックオンは二人に回線を繋げた。
『来たぞ。刹那、ヒカル。アレルヤとティエリアだ』
『確認した。予定ポイントで合流後、ファーストフェイズに入る』
「了解。確認完了後、ファーストフェイズへ移行」
予定ポイントで他の2機と合流し、目標地点であるセイロン島に向かう。
今回のミッションはセイロン島の民族紛争に武力介入する事。
『スメラギ・李・ノリエガの戦況予測通りに各自対応する。それなりの戦火を期待しているのでよろしく』
『それなりにね』
『俺は徹底的にやらせてもらう』
「了解」
アレルヤとは対照的にティエリアは淡々と返し、ヒカルは顔色を変えずに返事をする。
その中に一人、沈黙を守っている刹那にロックオンが声を掛けた。
『おい、聞いているのか刹那?返事しろ』
だが刹那は返事を返さず、不思議に思ったヒカルも声を掛けた。
「刹那?どうし…」
『…ガンダムだ』
「え?」
『俺がガンダムだ』
ヒカルの言葉を遮り、刹那が小さく呟いた瞬間、エクシアは速度を上げてセイロン島へ向かってしまった。
「ちょっ、刹那!?」
とっさにヒカルもエクシアを追おうとした時、ふと下を見ると、二人の少年少女がこちらを見ていた。
「あ…」
その二人を見て、ヒカルは刹那の行動を理解した。
勝てないと分かっていても対抗しようとする少年達。
次々とMSの銃に撃たれていく子供達。
逃げる事も、生きる事も出来ない。
MSに気付かれ、互いを庇う少年と少女。
この世に神なんていない!
ビーッ、ビーッ!
アラームが鳴り響き、我に返って画面を見ると、敵機がレクサスに攻撃を仕掛けようとした。
だがヒカルは慌てずに武器を構え、次々と敵機を破壊していった。
迫ってくる敵機を全て破壊した後、ロックオン達と合流するが、エクシアの姿はなかった。
「あれ、刹那は?」
『あいつなら先に帰った』
「え!?どうして?」
『さあな、初めての紛争介入だ。思うとこもあるのさ』
ロックオンの言葉にヒカルは不意に胸騒ぎを感じた。
『ヒカル?どうした?』
突然黙り始めたヒカルにロックオンは声を掛けるが返事はない。
「ロックオン、私も先に行くね」
『はっ!?おいヒカル!』
ロックオンの言葉を最後まで聞かずに、レクサスはその場を飛び去った。
エクシアに追い付こうと高スピードで飛んでいたレクサスは前方に2つの反応を捉えた。
その方向に向かうと、エクシアがユニオンのフラッグと交戦していた。
「っ、刹那!!」
その姿を確認し、レクサスは速度を早めた。
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