第二期
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西暦2312年
CBから勝利を収めた国連は、地球連邦軍が設立された事で、一つの世界から戦争は根絶された。
はずだった。
地球連邦は次第に先鋭化し、世界統一を旗印に反政府勢力や未加盟国に対し、強硬手段を採用。
それは軍とは別に編成された独立治安維持部隊、アロウズだった。
夢を叶え、宇宙技師となった沙慈・クロスロードは、建設途中のプラウドで働いていた。
しかし、彼の同僚がカタロンの構成員と解り捕らえられ、沙慈はそれに巻き込まれ共に捕われてしまった。
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ピピッ。
白い部屋に佇む、紫のパイロットスーツを来た青年。
急に入った通信に、モニターに振り返った。
『連邦の新造航空巡洋艦が、ラグランジュ4に向けて、航行を開始です』
『王留美の報告通りだ!もしかしたら…』
「セラヴィーを出す」
『了解だ』
モニターに写った少女、そして傍らに入って来たイアンに短く答えた後、再び背後を振り返った。
「彼は来る。生きているならば、必ず…」
「君も、そう思うだろう?」
一人呟く青年。
それは4年前と全く変わらない、ティエリアだった。
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保安局員に連行され、高重力区で強制労働されている沙慈。
その外では、捕われた仲間を救出に来たカタロンの艦を発見したアロウズがMS部隊を放ち、プラウドに向かわせた。
コロニー内の通路を秘かに進む青年。それは四年前の戦闘後、行方不明になっていた刹那。
四年に渡りアロウズの動向を探り、今度はこのコロニーが巻き込まれる事を読んだ。
カタロンの艦を破壊したMSは高重力区に対人兵器を放ち、そこにいた人々を次々に銃殺していった。
窮地に追い込まれ、もう駄目だと思いかけたその時、一人の青年が兵器を破壊し沙慈に手を延ばした。
沙慈はその手を取り、青年の顔を見て驚いた。
「もしかして…刹那・F・セイエイ?」
「…沙慈・クロスロード」
二人はお互いに何故此処にいるのか考えていると、先程の兵器が現れ、刹那は沙慈の手を引いて逃げ出した。
追ってくる対人兵器を破壊しながら逃げ続ける刹那と沙慈。
沙慈の手を引きながら、刹那は変わらない世界に苛立ちを感じていた。
(変わってない…あの頃から、何一つ。こんなモノ…求めていない。ロックオンも、俺も、こんな世界など…!)
アロウズの進行に、破壊された基地。宇宙に投げ出された者や、惨殺された者達。
(あいつも…ッ!)
黒い髪を靡かせ、いつも笑顔だった少女を思い浮かべた。
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広い場所に辿り着き、沙慈にヘルメットを被るよう言うと、目の前の扉が開いた
その奥にあるモノに、沙慈は目を見開いた。
所々損傷しているエクシアに乗り、アロウズのMS達と抗戦する刹那。
しかし五年も前のガンダムでは今の新型には勝てない。
両腕を斬り裂かれ、背後からの攻撃に目を見開いた時別の粒子ビームがMSの剣を破壊した。
その先にはヴァーチェに似たガンダムがこちらに接近敵の一体が破壊を試みたが逆に撃墜されてしまった。
エクシアと戦っていた敵機は全く動かない仲間を連れて撤退し、刹那は現れたガンダムを見続けていた。
『やはりアロウズの動きを探っていたか。久しぶりだな、刹那・F・セイエイ』
「ティエリア、アーデ…」
二人がいる位置から少し離れた場所に位置していた、新トレミー。エクシア発見に、女の子が声を上げた。
「アーデさんが、エクシアを発見です!」
「刹那…やっぱりプラウドに「王さんの情報凄いですー!」
四年前より表情が柔らかくなったフェルトは、言葉を遮った女の子、ミレイナのはしゃぎに軽く笑った。
「彼、きっと驚きますよ。ラッセさんに会ったら」
「そうだろうな」
操縦席に座る男性、それは四年前に死んだと思われていたラッセ。
「生きていたか刹那。これでエクシアの太陽炉が試せる」
どこかエクシアに似ているガンダムを見ながら、イアンも喜んだ。
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一先ずプラウドのコロニーに下り、刹那とティエリアは再会した。
「四年ぶりか。随分雰囲気が変わった」
「そういうお前は何も変わっていない。あの頃のままだ」
「よく言われる」
その言葉に軽く笑い、刹那はティエリアが乗っていたガンダムを見上げた。
「このガンダムは、CBなのか?」
「勿論だ」
そうしてガンダムを見上げていると、沙慈が怒り顔で刹那に寄った。
「刹那・F・セイエイ!君はガンダムに乗っていたのか!?」
「沙慈・クロスロード」
「答えてくれ!」
「…ああ」
「それじゃ、五年前から武力介入を」
「ああ。していた」
「…ッ、解っているのか!?君達がやった事で、多くの人が死んだんだ!君達がそうしたんだ!」
自分の心中をぶちまける沙慈を、刹那とティエリアは黙って聞いていた。
「君達のせいで…僕の、好きだった人は…傷付いて、家族や親戚を殺されて…」
親族の結婚式という華やかな行事に、親族を失い、左手を失ったルイス。
「僕の、唯一の肉親だった姉さんも、CBに関わったばかりに、殺されてしまった…!」
仕事が忙しく、それでもたまに自分に食事や旅行の時には見送りに来てくれた優しかった姉。
「…ッ…ルイスも…姉さんも…ッ! いなくなったんだッ!! 」
明るいルイスの笑顔、今はもういない姉。その表情を思い出し、沙慈は涙を流した。
「何とか言えよ!!」
いくら叫んでも何も言わない刹那に、彼の銃を奪い、銃口を向けた。
「言えよ!」
しかし、銃口を向けられても、刹那は黙ったままだった。
「返せよ…返してくれ…二人を! 返して、くれよーーッ!! 」
トレミーに連れて来られた沙慈は営倉に入れられ、刹那は別室でCBの新しい制服に着替えていた。
「何故刹那を撃たなかった?」
膝を抱えて俯く沙慈に、制服に着替えたティエリアが問い掛けた。
「人を殺せば、君達と同じになる。そんなのは御免だ…」
「刹那に感謝するといい。彼が君を此処に連れて来なければ、君は、反連邦勢力カタロンとして、処刑されていた」
「そんな事!」
「君は現実を知らな過ぎる。自分のいる世界ぐらい、自分の目で見たらどうだ」
「…ッ」
ティエリアを睨み付ける沙慈。だがその視線に動じずティエリアは話を変えるように横を向いた。
「何かを失ったのは君だけじゃない。我々も失った…大切な仲間を、同士を…」
呟きながら、ティエリアはロックオン、アレルヤ、そして一人の少女の表情を思い浮かべた。
「そして、刹那も失った。掛け替えのない、一番護りたかったものを…」
制服に着替え、新たなガンダム、ダブルオーを見た後刹那はある部屋に足を進めた。
その部屋は白で全体を統一され、中央には一つの医療カプセルが置かれていた。
止めていた足をゆっくりと進め、中に寝かされている人物を見た。
「…ッ」
見た途端にギリッ、と口を噛み締め、拳を握った後、カプセルに手を添えた。
「―――ヒカル…ッ」
中で横になっている人物はヒカルだった。
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