第一期
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二年前
新しいガンダムマイスターを紹介するわ。コードネームは刹那・F・セイエイとヒカル・エトワール。二人には、GN-001とGN-006のパイロットとして
ちょっと待ってくださいスメラギさん。彼等はまだ子供ですよ。
パイロット適性は基準値をクリアしているわ。
ヴェーダが彼等を選んだのですか?
勿論よ。それに、GN-006を扱えるのは、ヒカル・エトワールだけだもの。
スメラギはヒカルの肩に手を置き、ヒカルは少し不安な色を見せながらスメラギを見た。
その時、一番奥にいた茶髪の男性が刹那とヒカルの方を向いた。
いいじゃねえか、俺らは相当な覚悟を決めて組織に入り、ガンダムマイスターになった。年齢や性別なんて関係ねえ。そうだろ?
あんたは?
コードネームはロックオン・ストラトス。成層圏の向こう側まで狙い撃つ男だ。お前等もガンダムで世界を変えたいんだろ?
刹那は短くああ、と答え、ヒカルも小さく頷いた。
俺もだよ。刹那、ヒカル
始まりは、あの日だった。
.
ロックオンの死
その嘘とも思えよう出来事に、ティエリアは刹那を責めた。
彼が地上に下りなければ、戦力が分断されなければ、ロックオンは死なずに済んだ、と。
何も言わない刹那に腹を立てたティエリアは、襟を掴み上げていた力を強めた。
その時
「やめてッ!」
壁に刹那を押さえ付けたティエリアに向けて、ヒカルは叫んだ。
「私がいけないの…っ、私が、ロックオンの状態に気付いていれば…連れて帰ってくる事も出来たのに…なのに…、…ごめんなさい…ロックオン…っ」
「ヒカル…」
ボロボロと涙を零し、何度もごめんなさいと謝り続けるヒカルにアレルヤは彼女の肩に手を置いて慰め、ティエリアは今しがた来たスメラギによって、刹那から離された。
泣いている暇はない。敵がいつ来るか分からないから。
少しでも体を休めろと言われ、ヒカルは虚ろな意識の中、自室に戻ろうとしたがいつの間にか展望室に来ていた。
「…ロックオン」
名を呟き、彼の顔を思い浮かべば再び溢れ出す涙。
自分の命と引き換えに家族の仇を取った。
きっと彼は満足しただろう長年の夢だった、やるべき事を果たす事が出来た。
でも
「…どおして…何で…っ、何でロックオンが死ななきゃいけないの…っ!」
認めたくなかった。
信じたくなかった。
あんな優しい人が、死ぬなんて。
いくら聞かされても信じる事が出来なかった。
「…ロックオン…っ」
後悔だけがヒカルを襲う。
何故あの場に留まらなかったのか
何故彼を置いて行ってしまったのか
何故あんな叶う筈のない事を約束したのか
「…ごめんなさい…、ごめんなさい…っ」
フワッ
「…ッ!」
突然背後から誰かに抱きしめられ、驚いて振り向こうとしたが、後ろから回された腕を見て止まった。
青いパイロットスーツ
それだけで、後ろにいるのが誰かなんて分かってしまった。
「…せ…つな…」
彼の名を小さく呟くと、刹那は答えるように抱き締める腕の力を強めた。
「…刹那…どうし…」
「…泣くなとはいわない」
ヒカルの言葉を遮り、刹那は腕の力を弱める事なく囁いた。
「だが…一人で泣くな…っ」
「…っ」
「泣きたい時は俺の所に来い…、一人で思い詰めるのはやめろ…」
刹那は腕の力を弱め、ヒカルをこちらに向けさせた。
目に溢れる涙を指でそっと拭い、ヒカルは刹那の顔を見てまた涙を零した。
「…刹那…、やだよ……ロックオン…っ、…ロックオンッ!ロックオンッ!!」
刹那に抱き着き、泣きながら何度もロックオンの名前を繰り返すヒカル。
刹那は何も言わず、ただヒカルを抱き締めていた。
その後、何とか落ち着いたヒカルは刹那に御礼を言ってコンテナに向かい、機体状況を話していたアレルヤとティエリアに近寄った。
「ヒカル、大丈夫かい…?」
「うん…ありがとう」
まだ少し赤く、腫れている目に手を添えて撫でるアレルヤに対し、ヒカルは不安を無くすように微笑んだ。
「ヒカル」
少し離れた所にいたティエリアも、ヒカルの側に寄った。
「あ、ティエリア…さっきはごめんね、取り乱して…」
「君は、先の戦闘で自分がした事を覚えているか?」
「え?」
突然のティエリアの言葉にヒカルは目を少し見開いた
「何の事?」
「とぼけるな。トランザムを使わずに僕らを救い、尚も敵機を撃破した。本当に覚えていないのか?」
身に覚えのない事に素直に頷き、ティエリアは「そうか」と短く呟いてコンテナを出て行き、アレルヤも後を追った。
「何かあったのかい?」
「戦闘中に見たレクサスのあの火力、今まで見た事がないものだった。それにヒカルも、本当にそれを使った記憶がない様子だった」
「トランザムではないのかい?」
「違う。一体…あれは」
考え込むティエリア。しかし、それは鳴り響いたアラームによって掻き消された
.
レクサスの元に向かい、愛機を眺めながら、ヒカルはティエリアに言われた言葉を考えていた。
「私は、何をしたの」
レクサスに触れて目を閉じる。すると、ヒカルの手に誰かの手が添えられた。
―――大丈夫、アナタはアナタよ
「え?」
―――アイツの思い通りにはさせない
「アイツって?」
―――今はまだコントロール出来てない。でも、いつかは
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
突然アラームが鳴り、管制から敵部隊を補足したと流れ、ヒカルは直ぐさまレクサスに乗り込んだ。
エクシアは強襲用コンテナと共に出撃。キュリオスとナドレはトレミーの防御。レクサスは敵MSに攻撃を開始した。
トレミーより出撃し、前方より現れた敵MSを睨み付けた。
「お前達を倒せば、計画も何もかも…全て変えられるッ!」
背中の翼を大きく広げ、敵機に突っ込んだ。
一機一機を確実に仕留め、キュリオスやナドレ、トレミーに気を配りながら次の敵機を捕らえようとした瞬間、遠方から強力な砲が放たれた。
それは敵機をも容赦なく巻き込み、トレミーに甚大な被害を与えた。
「ッ!トレミーが!」
一瞬トレミーに目を向けた瞬間、第二破が放たれ、レクサスは辛うじて免れたが両足が砲に当たり、被弾してしまった。
「アアアッ!!」
第三破、四破を放った砲はキュリオスの左の手足を、ナドレは右足を爆破し、対にはセンサーから離れてしまった。
砲に続けて敵機がレクサス向けて攻撃を続け、何とか衝撃を押さえ込み目の前の敵機を撃破。
その時、もう一機がトレミーに向けて砲を放ち出した。
「やめろーーッ!!」
ヒカルは直ぐさま後を追いその敵機を破壊しようとするが、先程の攻撃で調整が狂ったのか、確実に仕留める事が出来なかった。
必死に砲を放つが、次々に焦りが生まれ、更には新たに迫ってきた一機がレクサスを足止めした。
「退けーッ!!」
レクサスはトランザムを発動させ、素早く敵機に寄り右拳の砲で掴んだ手を破壊し、ビームソードで切り裂き、トレミーに向き直った瞬間。
ドオンッ!!
トレミーの管制に砲が放たれ、煙を上げた光景に、ヒカルは目を見開いた。
「あ…あ…、 ウアアアーーッ!! 」
砲を放った敵機に突っ込み、ソードで機体の中心を一突きし、爆破させた。
すると、トランザムに限界が来たのか、レクサスは一時起動を停止した。
「スメラギさん!クリスティナ!フェルト!リヒティ!」
管制にいる四名の名を呼び無事かどうか確認した時、強襲用コンテナから通信が入った。
『ヒカル!』
映し出された画面にはスメラギやイアン、フェルトが乗っていた。
「っ、スメラギさん!フェルトにイアンさんも…無事だったんですね」
『まだ、クリスとリヒティがトレミーに!』
「ッ!?」
スメラギの言葉にヒカルは彼等を助けようとトレミーに向かおうとしたが、トランザムの影響で機体が動かなかった。
その時、通信からクリスティナの小さな声が聞こえ、ヒカルは動きを止めた。
『…スメラギ、さん…?』
『クリス!?無事だったのね!リヒティは!?』
クリスティナの声にリヒティの無事も確認を取ったが何も言わない事に状況を把握した。
『…フェルト…いる?』
『います!』
共に強襲用コンテナに乗っていたフェルトに確認を告げると、クリスティナは少しずつ話し出した。
『…もうちょっと…オシャレに、…気を使ってね…』
『そんな事…』
『ロックオンの分まで…生きてね…』
その時、クリスティナが血を吐くような音が聞こえた。
それを耳にしたヒカルは、維持でもレクサスを起動させようとグリップを動かした。
「クリスティナ!今すぐそっちに行く!待って」
『ヒカル…も…』
「…え?」
クリスティナの救出に向かおうと機体を動かした瞬間自分の名を呼ばれて止まった。
『…フェルト…みたいに…オシャレに、気を使ってよ…?』
「クリスティナ…」
『…もっと…沢山…話…したかったな…』
「…嫌だ…っ、そんな…そんな事…っ!」
『…お願い…世界を…変えて…お願い…』
ドオオンッ!!
管制が爆発し、クリスティナからの通信も途絶えた。
『…、…っ、クリスティナ・シエラーー!!!』
フェルトの叫ぶ声に、ヒカルは煙が上がる管制を見続けながら、グリップを強く握った。
「ウワアアァーーッ!!」
クリスティナ・シエラ
リヒテンダール・ツエーリ
ありがとう
そして
護れなくて、ごめんなさい
.