第一期
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同盟を結んだユニオン、人革連、AEU。
そのニュースを見ているとスメラギからの暗号通信が届いた。
〔マイスターは機体と共にプトレマイオスに帰還せよ〕
「宇宙に、戻る」
ヒカルは通信とニュースを閉じ、先日届いた画像とメッセージをモニターに出した。
〔アナタの全てはここにある〕
「…」
『トリィ?』
悩むヒカルにトリィは彼女の肩に乗って頬擦りすると、ヒカルはトリィに小さく呟いた。
「トリィ、ごめんね。怒られるって分かってる、勝手な行動だって分かってる。でも…」
トリィを机に置き、ヒカルはプリントした画像を持って部屋を出た。
どうしても行きたいの
ヒカルは皆に何も言わず、島を出て画像ポイントに向かった。
.
「ヒカル~、ミス・スメラギから連絡来たか?今すぐ作業に…」
一人自室にいたヒカルの所に行き、作業の指示をしようとしたが、部屋にいない彼女の姿を探していると、机の上にいたトリィがモニターを見ながら騒ぎ出した。
「トリィ?どうした」
騒ぎ出した事に映し出されたモニターを見ると、瞬時に目を見開いた。
「何だよ、これ…」
.
ユニオン領土内の小さな町そこを訪れたヒカルは手当たり次第に聞き込みを開始し、画像のポイントと一致する場所を捜し当てていた。
そしてようやくポイントに辿り着き、視線の先を見ると、そこには古ぼけた屋敷があった。
町の人からの話によると、ここに住んでいた人達は十年程前にいなくなり、今はただの空き家らしい。
ヒカルは辺りに誰もいない事を確認すると柵を越え、屋敷の中に入って行った。
屋敷の中は埃だらけでガラスが所々割れており、床は軋んでいた。
一つ一つ部屋を調べて回り何か変わった物はないか確かめていたが、特に変わった所はない。
二階を探し終え、一階に下りた時、ふと階段の後ろを見た。
そこには一つの扉。
中々開かず、無理矢理こじ開けて中を見ると地下らしき場所に続く階段。
ゆっくりと下に下りて行き辿り着くと、その先にはまた扉があった。
だが扉は厳重に封鎖されており、力ずくでは開ける事が出来なかった。
ふと横を向くと指紋認証のモニターがあり、それに手を触れた。
ピー、ピピ。
ガチャンッ
扉が開き、中を見ると、そこには数多くある機械や端末が置かれていた。
「ここ…」
―――ずっと待っていた。アナタにまた会える日を
一つの機械が起動し出し、ヒカルの前に映像を映し出した。
「貴方は…」
―――久しぶりね、ヒカル
映し出された映像の人物は黒いキャミワンピースを纏った、ヒカルそっくりの少女だった。
その頃、屋敷の前には怪しい黒の車が一台止まり、中から出て来た数人の男性は屋敷に侵入し出した。
―――ずっと会いたかった。アナタにずっと会いたかった
映し出された少女はそのままヒカルに抱き着き、再会を喜んでいたが、ヒカルは混乱状態になっていた。
「まさか貴方が、私にこの場所を…?」
―――そう、アナタを呼んだのはアタシ。アナタに会いたかった、アナタに伝えたい事があったから
「伝えたい事…?」
少女は一度ヒカルから離れ、彼女の頬を両手で覆った。
―――ヒカル、アナタはこの場所を覚えている?
「え?」
―――ここはかつてアナタの家だった。アナタはここで六年間育った
「そんな…私、こんな所知らないわ!住んでいた記憶さえ」
―――やはり、忘れてしまったのね
「…どういう事?」
―――アナタは忘れてしまった、いえ、忘れる事を決めた
「忘れる、事…?」
―――アナタはアタシの為に、アタシを護る為に忘れる事を選んだ
「教えて…貴方は、貴方は私の何なの?貴方は一体誰なの!?」
―――アタシは
ガシャンッ!
「何!?」
突然聞こえた音に驚いて部屋を出て、上の階に向かった。
―――ヒカル!ダメ!
少女の声も聞かずに上に向かうと、部屋の一部は荒らされ、辺りを見回した瞬間。
ガバッ
何者かに背後から口を塞がれ、ヒカルの意識は少しずつ遠のいていった。
…せ…つな…
カシャン
.
ヒカルがいない事、謎の画像とメッセージの事をティエリアと刹那に教え、刹那とロックオンはヒカルを捜しに向かった。
エクシアとデュナメスで画像に近い町に移動し、画像と同じ位置を色々な人に教えてもらっていると、一人の定員が何か思い出したように告げた。
「そういえば、数時間前にもあんた達と同じ事聞いてきた子がいたな」
「っ!本当か!?」
「ああ、結構可愛い子だったな」
「それは…こいつか?」
刹那はヒカルの写真を定員に渡すと、定員は笑いながら答えた。
「そうそうこの子!へえ~やっぱ笑顔も可愛いな」
定員は写真を掴もうとしたが、刹那は素早くしまい、定員は少しガッカリした。
「で、そいつは何処に向かったんだ?」
「今は誰も住んでない屋敷さ、あんな所に行っても何もないのにな」
「その屋敷はどっちだ?」
「ああ、この道を…」
定員から道を聞き、刹那とロックオンはその屋敷に向かった。
「しっかし刹那、お前準備いいな。いつの間にヒカルの写真持ってたんだ?」
「っ!」
ロックオンの言葉に刹那はピタリと足を止めて固まる不思議に思ったロックオンはそんな彼の顔を覗き込むと、刹那の顔は真っ赤だった。
「…まさかお前、いつも持ち」
「早く行くぞ」
「な、おい刹那!?」
歩いてるのかと聞こうとしたが、刹那は言葉を遮って早歩きし、背後から見ても耳が真っ赤な刹那にロックオンは小さく笑った。
「可愛いな、全く…」
暫く歩くと大きな屋敷が見え、ロックオンは現在地と画像を見比べた。
「ここだ、間違いない」
「ヒカル…」
二人は直ぐさま屋敷内に入り、中を捜索し、ヒカルの手掛かりを探した。
だが中は殆どが古ぼけてており、役に立つ物はなにもない。
手分けして部屋を捜索していると、足元に何か当たり下を見ると、刹那は見覚えのある物を発見した。
「これは…っ」
手に持ち、再度確認するとそれはヒカルが身に付けていたロケットがあった。
更にその先を調べると、階段の後ろの方に地下に続く階段を見つけ、刹那はゆっくりと地下に下りると、その先には数多くある機械や端末が置かれた部屋があった。
その中の端末を一つずつ確認していると、一つの端末に目が入った。
監視カメラのような端末には上の階を調べていたロックオンの姿が映し出されており、刹那はその端末を操作し出した。
映像を巻き戻し、刹那達が着く前の所を見ようとした時、映像に何か映った。
「ヒカル…」
紛れも無いヒカルの姿。彼女は辺りを見回しながら歩き回り、映像から消えた事からこの部屋を発見したのだと確信。
その後を見ようと少し早送りしていると、数人の男性が屋敷に侵入し、物音を立て、慌てて出て来たヒカルを背後から押さえ込んで気絶させ、そのまま彼女を拉致。
その後の映像には、刹那とロックオンが映っていた。
「ヒカル…っ」
刹那は直ぐさまロックオンに報告に向かい、ヒカルが拉致された事を告げるとトレミーに連絡を入れる為に島に帰還した。
.
『ヒカルが何者かに拉致された!?』
報せを聞いたスメラギはモニターに寄って刹那を凝視すると、刹那はヒカルのロケットを強く握り締めながら俯いた。
『何か手掛かりは?』
「何もない、ヒカルの部屋や、あいつが向かった屋敷も探したが、それらしい情報は何一つもなかった…」
トレミーに残っていたアレルヤの言葉にロックオンも答えながら俯く。
何一つ手掛かりのないヒカルに、皆が焦っている時、クリスティナが突然声を上げた。
『スメラギさん!たった今情報が入りました!』
『何の情報?』
『それが、何かの画像とメッセージなんですけど…』
その言葉に、ロックオン達は目を見開いた。
「クリスティナ!それ何が書いてある!?」
『ロックオン?』
「ヒカルの所に来た情報も、その二つなんだよ」
その言葉にスメラギはクリスに画像とメッセージをモニターに出すよう言い、暫くしてその二つが映し出された。
「この場所、先程の場所とは違うな」
「ああ、それに…ヒカルはこの場所って…」
画像のポイントに、刹那は目を見開いた。
その場所は、クルジス近辺の砂漠地帯だった。
謎の画像とメッセージに、クリスティナはその場所にハッキングを掛けると、その場所にはある小さな組織が存在した。
その組織は世界を揺るがす情報を入手しようとし、今まさに、あるモノを使って情報を入手しようと開始するという事が解った。
「あるモノって」
『恐らくヒカルね、多分ヒカルを拉致したのも、その連中の仕業だわ』
クリスティナはもう少し情報を引き出そうと更にハッキングを続ける。
だが、相手に気付かれたのか情報は遮断された。
『これ以上は無理みたいです』
『分かったわ、ありがとう…』
「で、ミス・スメラギ、どうするんだ?」
『…決まっているわ』
スメラギは伏せていた目を開いて地上にいる刹那、ロックオン、ティエリアを見て指示を出した。
『ヒカルの救出に向かいます。マイスターはガンダムに乗って出撃準備を』
「「「了解!」」」
三人はスメラギの指示にガンダムに乗り込み、スメラギはクリスティナとフェルトにサポートを開始させた
.
「リーダー、情報が少しハックされたようですが」
「放っておけ、どうせ今度はこちらがハックする側に回るんだからな」
リーダーと呼ばれた男はそう呟きながら端末を操作する者達に指示を出しながら、後ろに座らせてある少女を見た。
「お前の力、見せてもらおうじゃねえか…」
あらゆる機械を体に取り付けられ、意識を失っている少女の姿は。
ヒカルだった。
.
目が開かない
何も聞こえない
何も思い出せない
一体なにがあったの?
私は今どこにいるの?
―――ヒカル
声が聞こえた。懐かしい声
聞き覚えのないのに、とても懐かしい声
初めて聞こえた時もそうだった
自分はこの声を知っている
この声の主を知っていた
―――そう、アナタはアタシを知っている
目を開けると、そこには黒い服を着た自分そっくりな少女がいた。
―――ごめんね、ヒカル。アタシのせいで、アナタはまた苦しむ事になってしまった
「また…?」
―――アナタを、アナタの大切な人達から遠ざけてしまった。アナタを、一人にしてしまった
「一人…」
その言葉にヒカルはトレミーの皆や、マイスターの仲間、それに刹那を思って手を握り締めた。
「刹那、皆…」
―――そう、一人は寂しい。アタシも寂しかった。アナタがいないととても寂しかった。でも…
少女は辛い顔をしながら、ヒカルを抱きしめた。
―――アナタがアタシを忘れた事がなによりも…辛かった…
少女の異様な気配に、ヒカルはそっと少女を抱き返した。
―――辛い事は分かってる。苦しい事は分かってる
―――それでも…『ソフィア』、アナタとずっと一緒にいたかった…
「接続、完了しました」
「こちらもOKです」
「よし…始めろ」
リーダーの声に端末に座っていた人物達はそれぞれ作業を開始し、それと同時にヒカルの手が震え出した。
「ユニオンのセキュリティクリア。情報を引き出します!」
「人革連も完了!」
「AEUも無事引き出せました!」
「流石だ、これが、あいつが造った最高傑作…ここまでの性能力とはな」
ヒカルを見ながら笑うリーダーに、一人の男が口を挟んだ。
「リーダー、何者なんですか?その子は」
「知りてぇか?なら、見せてやるよ…」
そう言うと、リーダーはヒカルに向けて銃を向けた。
「お前が…生きていないって事をなっ!!」
バァンッ!
「フレイヤ…?」
―――そう、それがアタシの名前。あの人達が付けてくれたアタシの名前
「あの人達って誰…それに私が忘れた事って…」
―――教えてあげる、アタシとアナタの関係。あの人達の事。そして、アナタが忘れた事全てを
フレイヤと名乗った少女はそう言うと、少しずつヒカルに語り出した。
リーダーが放った銃弾はヒカルの足を貫通し、そこからは血が流れる。
だが、その血を見てリーダーは青ざめた。
「そ、そんな…何で、何で血が出るんだよっ!」
そう叫んでリーダーはもう片方の足にも銃弾を撃ち、新たに流れた血にリーダーは震え出した。
「何で…何で…何でだよっ!!」
バンバンッ!!
続けて放った弾はヒカルの両腕を撃ち、ヒカルの体は血まみれになったが、リーダーは銃を下ろさなかった。
「嘘だ…こいつは、こいつは生きていない者なんだ!何で血なんか出やがるんだよ!!」
「リーダー!もうやめて下さい!これ以上やったら、その子死んじゃいますよ!!」
興奮するリーダーを一人二人と止めに入るが、リーダーは彼等を振り払ってヒカルに近寄った。
「こいつは人間じゃないんだ、だから…死んだりしねぇんだよっ!!」
ガンッ!!
銃でヒカルの頭を殴り、こめかみからは血が流れる。
そんなヒカルの姿を見ながらリーダーは部下達にガンダムの情報を手に入れろと指示を出した。
「ソレスタルビーイングの情報もだ!その情報があれば、俺達に敵はねえ!!」
一人がガンダムの情報を手に入れたのか、情報を保存しようとデータを転送していた。
が、
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
突然警報が鳴り響き、端末が次々と遮断されていった。
「こ、これは!」
「通信遮断、アクセス、出来ません!」
「急いで緊急回線に繋げ!このままだと、今までのデータが全て消えてしまう!」
「…駄目です!緊急回線も遮断されています!」
突然騒ぎ出した警報に部下達は必死に修復をしようとするが、端末は動かず、リーダーがハッ、としてヒカルを見る。
ヒカルの目が、異様な光を放っていた。
「やはりお前は…お前は人間じゃない!お前はただの機械だ!人形だ!!ロボットだっ!!」
リーダーが再び銃を向け、ヒカルに放とうとした時、建物が大きく揺れた。
「な、何だ!?地震か!」
その揺れと同時にヒカルの瞳は光を無くして閉じた。
すると遮断されていた端末が動き出し、一人の部下が監視カメラの映像を見た。
「っ!た、大変ですリーダー!!」
「どうした!?」
「ガ、ガンダムが…ガンダムが現れました!!」
「何だと!?」
監視カメラに映し出された映像には、三機のガンダムが映し出されていた。
.
画像ポイントには一つの施設があり、一先ずデュナメスの砲で辺りを攻撃して建物に振動を起こさせ、中にいる人物達を外に出させる事にした。
『さっさと出てこいよな、わざわざ外してやってんだからよ』
口を言いながらも撃ち続けていると、建物の中にいた人物が少しずつ外に出て、置かれていた車に乗り込んで逃げ出し始めた。
『よし、後は作戦通りだ。ティエリア、施設の破壊頼むぜ。刹那と俺はヒカルが乗っている車以外を全て狙い撃つ』
「了解」
『了解、ヴァーチェ。施設を破壊する』
デュナメスとエクシアは逃げた車をそれぞれ撃ち、ヴァーチェは施設を跡形もなく破壊。
ヒカルが乗せられている以外の車を全て破壊し、彼女が乗せられた車を先回りして包囲した。
直ぐさまヒカルを救出しようとしたが、一緒に乗っていた男はヒカルのこめかみに銃を突き付けた。
ヒカルの姿を改めて見て、刹那は目を見開いた。
銃で撃たれたのか、両腕、両足からは血が出ており、その為着ていた服は血まみれ。
更に銃を突き付けられたこめかみからも血が流れていた。
刹那はいたたまれなくなりコックピットから出て男に向けて銃を構えるが、男は怯みながらもヒカルに強く銃を押し付けた。
「来るな!近付くなよ!一歩でも動いてみろ…この女の頭を吹っ飛ばすぞ!!」
「…」
「嘘じゃねえぞ!手に入れた情報は全て保存した。貴様らガンダムの情報も入手した!これで俺に怖い物はなにもない…金にも一生困らねえ!」
男は片方の手で保存したフロッピーを持ち上げ、狂ったように笑い出す。
その笑いに、刹那は苛立った。
「動くなよ…今お前をあの世に送ってやるからよ…その後、この人形も始末してやるがっ!!」
男の銃が一瞬ヒカルから離れた瞬間、デュナメスのコックピットからロックオンが銃を放ち、男は倒れた。
バタッ
「ヒカルっ!!」
男が倒れた反動で車から落ちたヒカルに刹那はヘルメットを脱ぎ捨てて駆け寄り、慌てて彼女を抱き上げた。
重傷を負っているが、生きている事に安堵した時、ヒカルの目がゆっくりと開かれた。
「ヒカル!」
「…せ……つ…な」
こめかみから出る血で右目は少ししか開かず、代わりに左目を見開いて刹那を見た。
「…ごめんな…さい…」
「え?」
「…何も、言わなくて…伝え…なくて…刹那の、気持ち……な…にも…かんが…なくて…ごめんなさい…」
「…ヒカル」
小さく、途切れ途切れに話しながら片手を震えながらゆっくり上げ、刹那は直ぐに手を握った。
「…それでも…来て…くれて…嬉しか…た…」
…ありがとう
小さく呟いて意識を失ったヒカルの体を刹那は強く、離さないといわんばかりに抱き締めた。
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