戦国BASARA
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
天気の良い一日、紫苑は馬に乗って遠出をしていた。
そして着いた先は壮大な原。紫苑は馬を下りて籠を持ち、草を一つ一つ丁寧に籠に入れた。
「やっぱりここの草は育ちが良い。いい薬が作れるわ」
ニコニコと笑いながら草を積んでいると、ふとある物に気付いた。
「???」
何か赤い物が原に横たわっており、紫苑は疑問に思いながらも近付き、赤い物を除いた。
「…あ」
そこには赤い武将着を纏った男性が横たわっており、紫苑は恐る恐る声を掛けた。
「あの…どうかしましたか?」
声を掛けながら手を出すと、男性は紫苑の手をガシッと掴んで見上げ。
「は…」
「は?」
「腹が減ったでござる…」
そう言ってまた倒れた。
「かたじけのうございまする!!」
倒れていた男性に紫苑は持参していた握り飯を渡し、それを食べた後に男性は頭を下げて礼を言った。
「使いを受けたのはよいが、腹が減って動けなくなり、あまつさえ女子に助けられるとは…某、一生不覚でござる!」
「いいえ、元気になってよかったです」
必死に謝る男性に紫苑は内心少し焦りながらも笑って返した。
「挨拶が遅れ申した。某は真田源二郎幸村と申す」
「真田…貴方が武田の若き虎なんですね」
「なっ!?某を知っているのでござるか!?」
「はい。日の本一の兵とも呼ばれるお方、お会い出来て光栄です」
「そ、そのような事は…」
幸村は自分を褒められて顔を真っ赤にし、その表情に紫苑はずっと笑っていた。
「私は紫苑と申します。しがない侍女が貴方と話すのは恐れ多い事ですが、以後お見知りおきを」
「そのような事は!…ところで、紫苑殿はこのような場所で何を?」
「はい、此処は薬になる良い草が生えているので、取りに参ったのです」
「このような場所に、女子一人で来るのは少し不用心ではござらんか?」
「他の方にお任せするよりも、自分で見て取りたいので…」
アハハ…と苦笑いする紫苑とは対象に、幸村は何故か瞳をキラキラとさせていた。
「…真田様?」
「素晴らしきお考えにございまする!紫苑殿のそのお言葉、某大いに感動致した!!」
「あ、ありがとうございます…」
急に立ち上がって宣言する幸村を見て紫苑は、ある物を浮かべた。
(真田様って、犬みたい…)
赤い大型犬が尻尾を物凄い勢いで振る残像が、何故か紫苑には見えた。
「…そういえば、真田様はこの地には何用で?」
「おお、そうだ、忘れていた。某領地の者に使いを頼まれたのだ」
「使い…ですか?」
幸村はそう言って懐から一枚の紙を出して中を見たが、内容を見ながら冷や汗を掻き出した。
「…真田様?」
「…紫苑殿、重ね重ねすまぬが、この草はこの地にあるのか?」
紫苑は幸村の差し出した紙を見ると、紙には一本の草と簡単な見分け方が書いてあった。
「某には、此処の草全てが同じに見えて…どれを取ればよいのか解らぬ…」
しょんぼりと気落ちする幸村に、紫苑は軽く笑った後、自分の持っていた籠を差し出した。
「こ、これは…」
「これがお使いの草です。よければお持ち下さい」
「し、しかし、これは紫苑殿が集めた物では!」
「大丈夫です。此処の原にはこの草が沢山生えていますから、直ぐに集められますよ」
「では、せめて某もお手伝いを」
「待っている方に早く届けてあげて下さい。でないと良い薬は作れないですよ」
粘る幸村に紫苑は負けじと草を差し出し、止めの言葉を掛けた。
「では、今度お会いした時に、本日の礼をさせて頂くというのはどうでしょう?」
「わ、解り申した!この礼は、必ず返しまする!!」
幸村は御免!と言い、籠を抱えたまま走り出し、直ぐに見えなくなった。
「あれが真田幸村…政宗様の言う印象とは違ったな」
主君から聞いた幸村の想像とは違う事を考えながら再び草を集め、紫苑も奥州と帰って行った。
オマケ
(佐助!今帰ったぞ!)
(旦那!?以外に早かったな、ちゃんと見付けてこれたのかい?)
(うむ!原にいた女子に助けて頂いた!)
(は?女子?)
(腹を空かせて倒れていた某に握り飯を渡し、こんなにも沢山の草まで頂いた!)
(…旦那!知らない人からそんな簡単に物貰ったら駄目だろ!?)
(心配無用!礼は次にすると約束申した!)
(そういう問題じゃない!!)
.
「Are You Ready Guys!?」
「「「「Yeahhhhhーーッ!!」」」」
「Partyの始まりだ!飛ばすぜ野郎共ッ!!」
政宗の声を聞いた伊達兵達は声を張り上げ、馬に乗って走り出した。
小十郎も後に続く前に、一度だけ後ろを見た。
「留守は任せたぜ、紫苑」
「はい。お気を付けて、小十郎様」
門前に立っていた紫苑は小十郎に頭を下げ、小十郎は小さく頷いてから馬を走らせた。
政宗達が見えなくなると、紫苑は「さて…と」と言いながら襟を紐で纏めた。
「政宗様達がいない間に掃除をしてしまいましょう、皆さーん、持ち場に着いて始めて下さーい」
紫苑の声にあちこちにいる女中から「はーい」という声が聞こえ、紫苑も鍛練場の掃除を始めた。
「紫苑様~、お茶が入りました。そろそろ休憩に致しませんか?」
「はい、頂きます」
掃除を一旦止めた紫苑に共に掃除をしていた女中達もお茶の用意を手伝いに、紫苑は一度自室に戻った。
自室に戻って襟を纏めていた紐を解いて女中達の元に戻ろうとしたが、何かに気付いて足を止め、室内を見回した。
そして部屋の隅に置いてあった棒を持ち、部屋の中央に立って棒を。
ガンッ!
突き上げた。
すると外れた天井から何か黒い物が落ち、紫苑は唖然とした。
落ちてきたのは、金の髪に大胆な黒い服を来た忍だった。
「貴方…」
「チッ!(気付かれた!かくなる上は…っ)」
忍は後ろ手にクナイを構え、紫苑に放とうとしたが。
「そんな格好でいたら風邪を引きますよ!」
「……………は?」
思わぬ言葉に、忍は動きを止めた。
「奥州は他の地より寒い地です!油断していると風邪を引きます!」
「な…!私は忍だ!そんなにひ弱ではない!」
「忍とて人の子です!とにかくこれを着て下さい!」
紫苑は置いてあった羽織りを忍に掛け、再び不思議そうな顔をした。
「そういえば…貴方、忍ですよね?」
「ッ!(やはり感づいたか!)」
紫苑の言葉に忍は彼女が仲間を呼ぶ前に片付けようと再びクナイを構えようとした時。
「何かご用があったんですか?」
「………………は?」
忍は、本日二度目の言葉を口に出した。
「政宗様は戦に出て行かれましたから、小十郎様もお供で留守ですので、今この城には特に目立つ方はおりませんが…」
考えこむ紫苑に、忍は思わず小さく笑った。
「お前、変わった奴だな」
「そうですか?普通だと思いますが…それより忍さん」
「…かすが」
「え?」
「忍ではない、かすがだ」
名乗った忍、かすがの言葉に紫苑は目を見開き。
「名前を教えてくれてありがとうかすが、私は紫苑」
そう言って優しく笑った紫苑に、かすがは少し頬を赤くした。
「そうだ、折角いらしたんですし、お茶でも飲みませんか?」
「あ、いや、私は…」
「皆さんには秘密にしますから」
紫苑は粘りながら戸棚から茶菓子を出してかすがに渡し、茶を取ってくると言って部屋を出た。
パタパタ カラ
「かすが、お待たせ…」
茶を持って部屋に戻ったが、そこにかすがの姿は何処にもなく、机には畳まれた羽織りと、『また会おう』と書かれた紙が残されていた。
.
「なるほど、そのおなご、そなたのいうとおりかわったおなごですね、かすが…」
越後に戻ったかすがは己が主、上杉謙信に紫苑の事を報告していた。
「しのびであるそなたをしんぱいし、なをおしえただけでれいをもうすとは」
「も、申し訳ありません、謙信様。謙信様の物見を果たせず…」
「かまいません、おかげで、おうしゅうのかしとかぜにきくくすりをてにいれたのですから」
かすがが紫苑から渡された茶菓子の中には、風邪薬がいくつか入っていた。
「かすが、そなたはそのおなごにあってどうおもいましたか?」
「不思議な、変わった女と…そして」
「そして?」
かすがは一瞬、笑った紫苑の顔を思い浮かべた。
「暖かかった…」
かすがの小さく笑った顔を見た謙信は、ゆっくりと茶を啜った。
「かすが、またいずれ、おうしゅうにいってくださいますか?」
「謙信様?」
「おうしゅうのちゃはどのようなあじかきになりましてね」
「…はい!謙信様!」
謙信の言葉、再び紫苑に会える。
かすがは喜びで一杯だった。
.