戦国BASARA
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政宗の元に届いた文。差出人が松永と聞き、かつて彼に面識のある兵達が騒いでいた。
手紙には小十郎の事、そして紫苑を預かっていると書かれていた。
「紫苑も?…おい、紫苑は何処に「筆頭!」
政宗の声を遮る様に数人の兵が駆け寄り、その内の一人が紫苑の刀を持っていた。
「紫苑は何処だ?」
「それが、何処を探してもいないんです」
「刀の近くに姐さんが巻いてた包帯やクナイが落ちていて…」
「ひょっとして姐さん、忍に…」
全てを聞き終えると、政宗は文を握り潰した。
「…松永久秀っ」
.
松永の忍は紫苑を拉致し、松永の元ではなく大阪城に向かった。
ドサッ
強い刺激に目を覚まし、起き上がろうとした時。
「ようこそ、紫苑君」
「っ、」
目の前には豊臣の軍師、竹中半兵衛が座っていた。
「竹中、半兵衛…」
「手荒な真似をしてすまない。だが君はこうでもしないと僕の前に現れてはくれないだろうからね、松永君に頼んで連れて来て貰った訳だ」
身動きが取りづらい事に気付き、腕が後ろで縛られている事に気付いた。
「…成る程、私は敵陣の真っ只中にいるという事ね」
「理解が早くて助かるよ。では、何故君が連れて来られたか、解るかい?」
「小十郎様を引き抜けないから、代わりに私という訳?」
「まさか、片倉君には必ず首を縦に振らせるよ。君を連れて来たのは別の理由さ」
「別…」
「君の、医師としての知識を豊臣の為に使ってもらおうと思ってね」
その言葉に紫苑はゆっくりと起き上がり、その場に座った。
そして周りを見渡した。
「そう警戒しなくても近くに忍や兵はいないよ。丸腰の君相手なら僕一人で充分だ」
「…そう、今この場には私と貴方しかいないのね?」
「ああ」
その言葉に、紫苑は笑った。
「何がおかしい?」
「別に。ただどうして豊臣が早く天下を取りたいか、その意味が解ったから」
「何?」
紫苑は表情を真剣なモノに変えた。
「貴方、病でしょう」
その発言に、半兵衛は手を僅かに強く握った。
「誤魔化しても無駄よ。貴方からは血の匂いがする、戦で染み付いた血ではなく、貴方自身から発する匂いが」
「…成る程、周りを警戒していたのはその為か」
「豊臣の医師では貴方は治せなかった。だから私を連れて来たって訳、か…」
「ならば話は早い。紫苑君、豊臣に下りたまえ」
半兵衛の問い掛けに口を開きかけたがすぐに閉じ、少し戸惑いながら開けた。
「…一つ、訪ねる」
「何だい?」
「貴方は、…檜垣の事を、どこまで知っているの?」
その問いに半兵衛は溜め息を付きながら答えた。
「残念ながら僕は又聞きで檜垣の事を知った。君の事も僕個人で調べただけで、深く知っている訳ではないよ」
発言に「そう…」と言いながら張り詰めていた空気がなくなり、半兵衛は再び訪ねた。
「さあ、今度は僕が訪ねる番だ。豊臣に来てくれないか?」
その問いに紫苑は俯いていた顔を上げ笑った。
.
天下取りの最終段階に入る為、竹中半兵衛は豊臣秀吉とは別行動を取っていた。
毛利の要塞を奪おうと動いていたが、間者の合図がない事に作戦は失敗したと勘付いた。
半兵衛は馬を下りて背後にいた兵に目を向けた、そしてその視線に兵は一人の女性を乱暴に前に押し出した。
それは縛られたままの紫苑であり、もがきながら顔を上げて半兵衛を睨んだ。
「紫苑君、これが最後だ。豊臣に来る気はないかい?」
「…残念だけど、私の返答は変わらない。断る!」
「今の伊達に、君がいる価値があるとは思えないがね」
「貴方が豊臣を裏切らない様に、私にも譲れないものがある」
「…そうか」
半兵衛は紫苑の背後に立つ兵に目を向けると、兵は刀を振り上げた。
「豊臣に来ないのなら、君に用は無い」
紫苑は表情を変える事なく半兵衛を睨み続け、遂に刀が振り下ろされた。
ドスッ
倒れたのは紫苑。
ではなく、背後にいた兵。彼の背中には一本の刀が突き刺さっていた。
それは、紫苑の刀だった。
「私の、刀…?」
「ぐあ!」
「きさっ!」
別の兵の唸る声にそちらを向くと、小十郎が次々と兵達を倒していた。
「こ、小十郎様…?」
囚われていた彼が何故ここに居るのか疑問を感じている内に、小十郎は兵を全て倒していた。
「小十郎様、何故ここに?政宗様達は!?」
「事情は把握している。紫苑、お前は小田原へ向かえ」
「え?」
紫苑の縄を切り、小十郎は前を向いた。
「政宗様は小田原で豊臣を討つつもりだ、早く行け」
「では小十郎様が向かうべきです!ここは私が「悪いが」
紫苑の言葉を遮り、小十郎は半兵衛を睨み付けた。
「俺はあいつに用があるんだ」
その発言に小十郎が怒っていると勘付き、紫苑は戸惑ったのち一歩下がって頭を下げた。
そして刀を取り、豊臣の兵が使っていた馬に乗って走り出した。
.
小田原に到着した頃には、全てが終わっていた。
政宗は豊臣を倒し、疲労により今にも倒れそうだった。
グラッ
『筆頭!』
フワッ
倒れかけた政宗を紫苑は受け止め、彼女の登場に伊達軍からは歓喜の声が上がった。
「…遅えよ」
「ご迷惑をおかけしました」
ゆっくりと横に倒し、政宗の頭を膝に乗せた。
「小十郎は、間に合ったみたいだな」
「正直、間一髪の所でした」
政宗の体に付く土を軽く落とし、紫苑は倒れている豊臣に目を向けた。
「…あいつは、豊臣秀吉は」
視線を政宗に戻すと、彼は真っ直ぐに空を見上げていた。
「怖かったのかもな」
「え?」
「自分の大事なモノが、自分を傷付ける原因になるのが。だから、そうなる前に壊した。そして力を付けた」
「政宗様…」
「ーーーへっ、今となっちゃ、誰にも解らねぇがな…」
「…もし、そうであるなら」
優しく、頭を撫でながら紫苑は続けた。
「豊臣秀吉は、政宗様には絶対に勝てませんね」
「紫苑…」
「貴方は豊臣にはないモノを持っている。だから、貴方を殺せなかったのでしょう」
撫でる手を止め、政宗に笑い掛けた。
「私の主が、貴方で良かった」
「…フッ、当たり前だ」
小さく笑って起き上がり、ふらつく体を支えた。
「…さあ、partyは終わりだ。戻るぜ、奥州へ」
豊臣秀吉が倒れた事に、各地を攻めていた武将達も戦線離脱し、天下を狙う戦は、一時幕を閉じた。
その数ヶ月後、再び天下取りに名を上げる者達が出始め、奥州でも以前より強度な武装。新たな兵を迎えて天下に乗り出そうとしていた。
「Are you ready guys!?」
『Yeahー!!』
「OK、partyはまだ終わりじゃねぇ。coolに、ド派手に行こうぜ!」
『Yeahー!!』
「Here we go!!」
天下取りの戦は、終わらない
【完】