戦国BASARA
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奥州、伊達政宗が納める城は、今日も穏やかな日を送って。
「政宗様ーッ!!」
いなかった。
大声で叫びながら主を探しているのは、竜の右目とも呼ばれている片倉小十郎。
「全くあの方は、執務を放って一体何処に…」
「あら、小十郎様」
辺りを見回して止まっていた小十郎を、一人の女性が呼び止めた。
「どうかなさいましたか?」
「紫苑、丁度よかった。政宗様を見なかったか?」
「政宗様?いいえ、見かけていませんが…」
小十郎を呼び止めたのは、伊達軍の女性医師、紫苑だった。
「まさかまた執務を放って…」
「ああ、もし政宗様を見かけたら知らせてくれ」
「私も探すのをお手伝いしましょうか?」
「いや、俺一人でいい。だが政宗様を見掛けたら逃がすんじゃねぇぞ。じゃあな」
小十郎はそう言って再び駆け出し、紫苑は小さく息を吐いて自室に戻った。
「政宗様も、小十郎様に怒られると解って何故逃げるのか…」
政宗の行動を考えながら自室に付き、襖に手を掛けた。
カラ。
「……」
自室に入った途端、紫苑は我が目を疑った。
先程まで小十郎が必死に探していた人物が、自分の部屋で寝ていたのだ。
紫苑は深く溜め息を付き、政宗の隣に座って彼を揺すった。
「政宗様、政宗様」
「……Ah~…?」
「起きて下さい。小十郎様が探していましたよ」
呆然としたまま起き上がった政宗を見て軽く息を吐いた後、部屋の窓を開けた。
「いつから此処で寝ていたんですか?執務を放っておいて」
「Ah~…息抜きだ息抜き」
「その息抜きも程々にしませんと、小十郎様の説教が待っていますよ?」
「Ha!小十郎の小言に怯えてられっかよ」
「可哀相な小十郎様…」
政宗に背を向けて呟きながら机に書物を出して読み始めた途端、政宗が紫苑を背後から抱き締めた。
「政宗様?」
「俺はまだ眠いんだ、だからお前も大人しくしてろ。You see?」
「…私は抱き枕ではないのですけど」
「黙ってろ」
そう言った途端、政宗からは寝息が聞こえ、紫苑は諦めたかのようにそのまま書物を読み始めた。
「ま、ま、 政宗様ーーッ!! 」
数分後、部屋を訪れた小十郎によって、政宗はこっぴどく叱られた。
オマケ
「政宗様!あれ程執務を放って置かないよう申しましたのに!」
「あんな大量の紙切れに一日中向き合ってたら気分がDownすんだよ」
「紫苑!政宗様を見掛けたら俺に知らせろと言っただろう!」
「いや~、しようにもこれでは動けないので…」
「小十郎、そんなに怒ると血管切れるぜ?」
紫苑を背後から抱き締めたまま意地悪そうに笑う政宗に、小十郎の何かがキレた。
政宗様ーーッ!!
伊達軍は本日も平和(?)でした。
.
伊達軍の兵士達は政宗に似たのかかなりの暴れ者達。
それゆえ、鍛練の後の紫苑は大忙しだった。
「はい、これで大丈夫ですよ」
「すいません姐さん」
「姐さん!今度は俺の方も見て下せぇ!」
「あ!狡いぞテメェ!次は俺だぞ!」
「いいや!次は俺なんだよっ!!」
俺だ俺だと言い合いを始めた兵達に、紫苑は慣れたように包帯を準備していたその時。
「スキ在りッ!!」
バコンッ!
背後から木刀が振り上げられたが、紫苑は丁度向きを変えて攻撃を避けた。
「………危ないですよ、政宗様」
「チ、いいTimingで避けやがって」
「偶然ですよ偶然」
紫苑の背後にいた人物、政宗は振り下ろした木刀で肩を叩きながら、紫苑を見下ろした。
「おいテメェ等!いつまで油売ってるつもりだ!?とっとと散れ!」
「「「「「し、失礼しましたーッ!!」」」」」
政宗の怒鳴り声に兵達は慌てて道場から出て行き、政宗は紫苑の隣に腰を下ろした。
「まだ手当ての最中だったんですけど」
「Ha!あんなの怪我の内に入らねぇよ」
「だったら…これも入らないんですか?」
紫苑が政宗の腕を取って少し袖をめくると、小さな切り傷が出来ていた。
「こんなん舐めときゃ治るさ。つか、よく気付いたな」
「何年貴方の医師をしてると思っているんですか?傷は浅いですけど少し痺れが残っていますね?」
「…ああ」
「小十郎様とですか?」
「Ah~…あいつには言うなよ、聞いたら何をするか解らねぇからな」
「言う訳ありませんよ」
すると紫苑は政宗の腕を持ったまま片手で塗り薬を塗って手早く包帯を巻いた。
「言ってくだされば直ぐにでも向かいましたのに」
「うるせぇな、俺の勝手だろうが」
俺様発言の政宗に紫苑は少し考え、意地悪そうにニヤリと笑い。
「小十郎様ー!」
大声で小十郎を呼んだ。
「っ゛!?てめ紫苑!」
「呼んだか?紫苑」
「Naッ!?小十郎!来るのが早過ぎだぞ!」
「丁度近くを通っていたので…それより紫苑、何か用か?」
「はい、実は政宗様が」
「紫苑!テメェさっき言わねぇって言っただろ!?」
「…何をですか?」
「いいえ、こちらの話です。小十郎様、実は…」
紫苑は小十郎に素早く耳打ちし、それを聞いた小十郎は政宗を見た。
「…政宗様」
「Ah、いや、まてよ小十郎…速まった真似はす 「解りました!この小十郎、腕によりをかけてお造り致して参ります!夕餉までしばしお待ちを!」
小十郎はそそくさと道場を飛び出し、紫苑は手を振り、政宗は唖然とした。
「……夕餉?」
「はい、私は小十郎様に『政宗様がお野菜のお浸しを食べたいそうです』と申したのですよ」
ニコニコと笑う紫苑に対し、政宗は木刀を持って立ち上がり、鋭い左目で紫苑を見た。
「紫苑…テメェ、 上等だぁーーッ!! 」
ドガアアァンッ!!
「政宗様、如何ですか?」
「Ah~、悪くねぇな」
「やっぱり小十郎様が作るお野菜もお浸しも美味しいですわね」
夕餉の時刻、政宗は無表情でお浸しを飲み、紫苑と小十郎は笑い合っていた。
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