戦国BASARA
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川中島
互いにぶつかり合う武田軍と上杉軍の戦い。その中、傷が癒えた大将の信玄と謙信が刃を交えていた。
その戦場に現れた伊達軍。政宗は馬から降り、目の前に立つ幸村を見た。
「久しぶりだな、真田幸村。you doing Ok?」
「この時を待ちわびていた!独眼竜、伊達政宗!いざ尋常に、勝負!!」
「上等だ。最高の気合を入れてオレを楽しませてくれよ」
そういい二人はゆっくりと歩み寄り、途中から走って迫り寄っていく。
「Come!HA YA!!」
「燃えよ!我が魂!!」
お互いの刃が交わる。そして一度双方とも後方へと飛び、またもや突っ込んだ。
蒼紅の光が放たれる。その様子を後ろで伊達軍は伺っていた。
「筆頭、初めから六爪を…!」
「真田の兄さんも一段と腕を上げてやがる!」
良直、佐馬助が戦いの様子を見ながら口にし、他の家臣達もただ見ていた。
紫苑もその光景をじっと見詰め、小十郎は川中島での戦いを横目で見、後ろへと向き伊達の軍勢に叫んだ。
「いいかテメェら!政宗様の勝ちが出撃の合図だ!!」
『YEAH!!』
伊達軍は歓声を上げ、同時に政宗と幸村の刃が交差する音が響く。
「この川中島は、親方様と謙信公がいよいよ持って思念を決する場!貴殿に邪魔はさせぬ!」
「悪いが突破させてもらうぜ!天下を取るのは奥州の独眼竜だ!Have a party!!」
二人のやり合いは続き、そんな折幸村が川中島を見下ろして告げた。
「ここはやはり退かれよ独眼竜!」
「あ゛ぁ?」
「貴殿との決着は某の望み!しかしながら、願わくば上杉を破った後、伊達とは改めて正々堂々正面より…」
「ふっ。相変わらずだな、あんた。顔を合わせた時がやりあう時だ、もっと派手に行こうぜ」
「…っ」
「あんたをぶっ倒す頃には武田のおっさんと軍神の決着も付いてる。野暮に割り込むまでもねェ、勝った方がこの竜の餌食になるだけだ。you see?」
政宗の言葉に悔しさを隠しきれず歯を食い縛る幸村。
「貴殿こそ相も変らぬその物言い!致し方ござらん!」
「っ!!」
「おわ!?」
槍を振り払われその反動で幸村の体も政宗の後方へと吹き飛ぶ。
体勢を整え振り向き構えたが、反撃してきた政宗がその眼に映った。
「Fantom Dive!!」
政宗の放った電撃技に、幸村は吹き飛ばされた。
その時、信玄と謙信の元に火急の報せが届いていた。
吹き飛ばされてもよろめきながら立ち上がる幸村。
「っ、握る…拳は、火山の如し…真田…幸、村…立ち止まる事…無し!」
「もったいねェ男だが、決まりだな」
立ち上がる事もやっとな幸村の状態に小十郎合図を出し、伊達軍は両軍へと進行した。
政宗と幸村を挟んで進む伊達軍、だが紫苑だけは共に向かわず政宗達を見ていたが、急に辺りに気を配った。
鳴り響く物凄い数の足跡と気配。それに小十郎も気付いて辺りを見回すと、何処からか現れた軍勢が包囲するように現れた。
政宗もそれに気付き、空高く上げた刀を下ろし、限界が来た幸村はその場に倒れた。
そして目の前の崖に現れた人物を見て、政宗は大きく目を見開いた。
普通の人間の倍はあるその体つきとその厳つい面持ち。そしてどこからか滲み出ている迫力。それに思わず息を呑む。そしてその横にもう一人現れ、左手を前に突き出した。
「川中島に集う全武将、全兵士に告げる。この戦場は僕たち豊臣軍が完全に包囲した。豊臣の軍門に下りたまえ。降伏の暁には、全てのものに確たる処遇と郎党の安堵を約束しよう」
手を垂直に上げれば全兵士が武器を構え、それに武田は顔を顰め、上杉と顔を合わせる。そして双方同時に豊臣へと弓を向けた。
「放て!」
「フンッ!」
謙信と信玄の合図に双方同時に攻撃を仕掛ける。
無数の矢が豊臣へと飛んでいくが、豊臣軍の大将であろう人物は逃げもせず前に出、腕を一振りし、拳圧で矢を跳ね返した。
政宗と幸村に迫る矢。それは彼等に当たる前に紫苑が全て斬り落とした。
「政宗様、お怪我は?」
「NO」
短く答える政宗は視線を反らす事なく、崖の上の大男を見ていた。
そして大男は次に拳を高く突き上げる。するとその頭上の雲を払い、光が注がれた。
その光景に、誰もが言葉を失った。
「我が名は豊臣秀吉!我の前に屈し、我の元で一つとなれ!強き兵としてこの国を止めんが為に!」
「新参者にしちゃあ結構なパフォーマンスだ。だが、どうにもCOOLじゃねェ」
紫苑の横を通って前に出た政宗が豊臣秀吉を見上げる。するとその横にいる銀髪の青年も政宗を見た。
「伊達政宗君か、やはりね」
怪しげな笑みを浮かべ解ったような口振りをし、紫苑は幸村を起き上がらせた時、佐助が到着した。
「あ~あ、派手にやられちまってぇ」
「猿飛様」
「ありがとう紫苑ちゃん。後はこっちで大丈夫だよ」
そう言い佐助の部下の忍に幸村を渡し、佐助は辺りを見回した。
「さて、どう切り抜けますかね?」
「…退路なら有ります」
「え?どうやって…」
辺りを見回して言う紫苑に続きを聞き出そうとした時、馬に乗った小十郎が寄って来た。
「片倉の旦那」
「猿飛、伝令を頼む」
「我に従え。従わぬ者には容赦せぬ」
「Relieve!喧嘩なら買ってやるぜ。竜の鱗の一枚でも剥がせりゃ、あんたの言うコトを聞いてやるよ」
政宗は秀吉に切先を見せ、挑戦的な笑みを浮かべた。それに秀吉は眉間に皺を寄せる。
「武運を弁えぬ小僧よ。己が器を思い知るか」
「上等だ。久しぶりに虫唾が走るほど気に入らねェ」
「政宗様!」
政宗の横に小十郎が急ぎ足で駆け寄った。そして柄に手を添える。
「小十郎!手出しすんなよ」
そう政宗が言った瞬間小十郎はちらりと後ろを見て武田と上杉へと伝令を伝える佐助とかすがの姿。
紫苑も伊達軍に伝令を回し、小十郎は伝わった事を確認した後、また前を向く。
「稀代の名称、「甲斐の虎」「越後の軍神」そして「奥州の独眼竜」。少し勿体無いけど、潰すしかなさそうだ」
「構わぬ。我らが欲するは兵のみ」
秀吉の隣に立つ竹中半兵衛が仕方なさそうに言う。だがそれとは裏腹に秀吉は淡々と告げた。そこで政宗が刀を抜き構える。
「奥州筆頭伊達政宗。押して参る!HA!!」
そういい政宗の後を追い小十郎もともに秀吉目掛けて飛び上がる。
それを見て秀吉が拳を振るが二人はそれを避けた。だが避けたとこで背後の地面が大きく揺れ爆破される。
何とか回避できた二人は秀吉の背後に降り立ち、まさかの右目の登場に政宗は目を見開いた。
「小十郎!?」
「政宗様!相手も二人、ここはこの小十郎に加勢のお許しを!」
「…All right。仮面の男は任せたぜ!」
それだけ告げ再び振り返り強く地面を蹴って秀吉へと向かって行った。小十郎も立ち上がり刀を抜いて振り向き半兵衛を見る。そしてほぼ同時に二人は敵と刃を交えた。
だが途中で小十郎と刃を交えていた半兵衛が小十郎が何かを気にしていることに気付いた。
だが気付いた時には時既に遅く、見ると甲斐と越後と奥州の軍勢は動きを見せている。
政宗と秀吉の一撃の仲裁に入るように自ら攻撃すれば眩しく発光した。
「っ!」
「政宗様!この機に、我らも退きましょう!」
「あぁ!?」
一度反抗した政宗だったが次々と退いて行く甲斐の虎と越後の軍神を見た。それを見て「Shit」と舌打ちする。
政宗も馬に飛び乗って駆け出し、その後を伊達軍も追い掛ける。
「追わなくていい」
半兵衛が自らの兵に告げる。そして竜の右目の背中を見てふと笑みを浮かべ、自らも背を向けた。
豊臣が去り、秀吉が開けた雲は再び塞がれた。
時は群雄割拠の戦国時代
.
奥州に戻った伊達軍は直ぐに軍義を開き、今後の対策を考えていた。
上座に政宗、右側には小十郎が座り左側に紫苑が座って地図を囲み、他の伊達軍は後部に座っていた。
「宇都宮、それに小田原が落とされるとは…武田のおっさんは何してやがったんだ」
「甲斐の虎の目が直接届かぬ武田領を伏兵が同時多発的に攻めたものと。加えて、安芸の毛利元就が豊臣と手を結ばんとしているとのよし」
その情報にざわつく。安芸の毛利と豊臣が手を結べば、次に豊臣が狙うとこは目に見えている。
「しかしながら、我々にとって目下の検案は平定した周辺国に不穏な動きがあることです」
「その潜伏侵略って奴がこの奥州でも始まりやがるってことか」
「さよう」
小十郎は目の前の地図に視線を下ろした。
「すぐにでも大阪へ攻め上りたいお気持ちは察しまするが、留守に足下を巣くわれては敵いません。周辺国の動きを見定め、事によっては再度、平定の戦をせねばなりますまい」
「Trouble some。まどろっこしい連中だぜ」
「…紫苑、北の様子はどうだ?」
「今の所、不穏な動きはないと」
頬杖を付きながら面倒くさそうにする政宗は、小十郎と紫苑の会話を聞きながら地図を見た。
「あるいは…伏兵は既に」
そう言い小十郎は兵の方へと向いた。
「武田、上杉の同行のみならず、再び川中島へ割り込まんとした伊達の動きまで豊臣は掴んでおりました」
「この軍議の場におらぬ限り、得られるはずのない情報です」
それを聞き兵が騒ぎ出し、一部近くの者を睨む者もいた。
「豊臣は川中島で事を決するつもりでいやがった。スパイ野郎の役目が一先ずそこまでだったとすりゃあ」
「いえ、恐らくあの竹中半兵衛という男。ならぬ場合も見越しておるはず。引き続き、紛れ込ませておるものと」
「だったら、あぶり出すか?」
「身内に手荒な真似は気が引けまするが…早速、明日にでも」
小十郎は立ち上がり兵を見ながら言い、それを聞き政宗も溜め息を付く。
「仕方ねェな、紫苑!」
「はい。自白剤、沢山用意しておきますね」
政宗の決断、紫苑の満遍ない笑顔に全兵士が青ざめたのは言うまでもなかった。
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「では、そのように」
自室に呼んでいた忍に要件を伝えると忍は頭を下げて姿を消し、紫苑は縁側に出た。
月の光が注ぐ静かな夜、何もない事を祈っていると横から声を掛けられた。
「紫苑」
「小十郎様?」
未だ武装している彼に、紫苑は小十郎の日課を思い出した。
「今夜も行かれるのですか?」
「当たり前だ、これは俺の日課だからな」
「止めは致しませんが、気を付けて下さいね」
「ああ、解っている」
紫苑の横を通り過ぎる小十郎、だが不意に肩に手を置いた。
「何か合った時には、頼んだぞ」
「まあ、縁起でもない事を仰有いますね。私に政宗様の背中を託すのは重荷ですよ?」
「だが、俺はお前以外に頼める奴に心当たりはないからな」
肩を数回叩いて小十郎は歩き去り、紫苑は見えなくなるまでその背中を見続けた。
その後、小十郎の身に危険が及ぶ事を知らずに。
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