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戦国BASARA

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暗闇の中、伊達軍を筆頭としたその他の軍勢を含んだ大軍が駆けていた。

崖も軽々と飛び越え、その先頭に政宗と幸村、そして佐助がその横につくように走っていた。


「ちょいと無謀だが、これで本能寺から安土へ戻る織田の軍勢の前に出られる!」

「先回りしたところで、挟まれちまえば意味がねェ」

「そこはお任せあれってね!」


そうにこっと笑って佐助が言うと軽く飛び上がり風に乗るように右方向へと飛んでいき姿を消した。


「政宗殿」

「Ah?」

「もしや貴殿は、こうなる事を見越して、塞ぎこんでいた某を鼓舞するためにあの時伊達軍を…」

「どいつもこいつも命の掛け時って奴を分かってやがった」


ふと鼻で笑った政宗に幸村も小さく微笑み返した。


「大所帯はあまり好きじゃねェが、一度くらいこんなド派手なpartyも悪くねェ。Are you ready guys!?」

『YEAH!!』

「Shoot guns at!!」

『YEAH!!』

『オー!!』

「?」


ふと背後を見ると、他の軍勢も同じように叫び返していた。


「一気にケリをつけるぜ!安土の城が魔王の墓場だ!!」

「温情なき大将に、断じて明日は渡せぬ!魔王に渡すは引導のみ!!」

『YEAH!!』


全員が叫び返し、伊達軍の法螺貝の音が鳴り響いた。


「上出来だ!Shout it guys!!」

『YEAH!!』


意気込む大軍勢、紫苑は政宗と幸村の背中を見ながら笑っていた。


.

安土城に辿り着いた政宗達だったが、頑丈な門が道を阻み、砲弾やあらゆる衝撃を持ってしても開く気配を見せなかった。


「門兵の一人も置いてねェわけだぜ」

「まさに難攻苦楽。鉄壁の城塞なり!政宗殿…!?」


ふと政宗の方へと向いた瞬間、幸村はその光景に目を見開いた。長篠で受けた傷口から血が滲み出していた。


「長篠での傷が…!」

「っ、ちょいと馬に揺られ過ぎた…ッ」

「すぐに手当てを、紫苑殿!」

「はい!」


馬から降りた紫苑が手当てをしようとしたが、政宗は軽く手を上げて止めた。


「Lovin' it、ガキの頃から痛みは慣れてる。それよりどうやってこの城に入り込むかだ」

「そんなお体で何を!…?」


開く気配のない門を見て政宗は言い、無理にでも手当てをしようとした紫苑の耳に不思議な音が聞こえた。



ヒュウ~…


「?」


それに気付いた他の兵も振り向いた。すると何か明るい弾のようなものがこちらに目掛けて飛んで来た。

それが地に触れた瞬間、大きな衝撃と共に爆風を伴っていた。


「SHIT!魔王の新しい武器か!?」

「なんという破壊力!」

「筆頭、あれは湖の遥か向こうから飛んできてますぜ!」


またもや爆発が起こり、一部の兵が吹き飛ばされた。だがその砲弾の一部が城塞に当たり、道を作り出した。


「政宗殿!」

「は!どうやら西に味方が出来たらしいな。しかし相当ムチャしやがる野郎だ」

「な、もしや!」


その言葉に気付いた幸村はふと後ろへと振り向くが、政宗は視線を反らさなかった。


「突っ込むぜ、真田幸村!」

「っ、はあ!」


その掛け声と共に二人は城の中目指し走り出し、その後ろを軍勢が続くように追うが、二人のすぐ後ろに砲弾が落下、追いかけていた家臣達は吹き飛ばされた。


「体勢を整えた後、織田兵を迎撃!二人の援護を!」


吹き飛ばされた家臣達に叫び、紫苑は二人の後を追った。その背後からは多くの声援が聞こえた。


「後はお頼み申す!」

「Trust us!!」

『YEAH!!』


そんな軍勢たちへと幸村と政宗は叫び、安土の城の中へと突き進んでいった。

.

「小賢しくも攻め来るか…」


安土城の天守でいつもの席に座り笑みを浮かべていた織田信長も険しい表情をし、立ち上がった。
そしてマントをなびかせれば城から光線のような物が上がり、向かってくる砲弾を次々と打ち落としていく。


「滅せよ!!」


信長の言葉に織田の雑兵が次々と迎え撃つ為に突撃して来た。だがそんな雑兵政宗と幸村の敵ではなかった。


政宗は雑兵へと迫り高く飛び上がれば六爪を抜き一振りすればその攻撃で雑兵どもが宙を舞う。

その横で幸村は炎を渦巻かせ、炎の竜巻を作り上げた。それに巻き込まれた雑兵は一人残らず宙に舞い吹き飛ばされる。

紫苑は構える鉄砲隊向けて水の斬撃を放ち、火薬を濡らして使えないようにしていた。





ガウンッ!


天守閣に着いたと同時に聞こえた音。

そこには銃を構えた信長とゆっくりと倒れる市の姿だった。


ドサッ


倒れこんだ市。

長い黒髪が畳の上に広がり、紫苑は容体を見る為駆け寄った。


「魔王の、妹…」

「独眼、竜…」


政宗の顔を見た市は涙を流した。


「あの時、ありがとう…長政様を、悼んで…くれて…」

「喋らないで、傷が…」

「貴方と、戦えて…長政様、きっと…」


市の目が完全に閉じられ、残念そうに首を横に振る紫苑。その結末に政宗と幸村は言葉を無くした。


「魔王のおっさん…ッ!あんた、それでいいのか…!?」

「うつけが二人。余の首、取れると思うて参ったか。笑止!!


信長が叫んだのと同時に凄まじい程の威圧感が襲い、紫苑は反射的に市を庇うよう抱き締め、政宗と幸村は臆さず構えた。


「あんたをたたッ斬る前に、聞いておきたいことがある」

「…」

「あんたは、誰だ…?」


その以外な質問に幸村が政宗へと視線を向けた。


「俺には、俺のこの目には…昔と今、そしてこれからの世に跋扈する全ての邪気と魔性が人の形に固まった化け物としか映らねェ!!」

「余は織田信長、 第六天より来たれし魔王なり!


マントを一振りしただけで爆風と衝撃が襲う。それをそれぞれ必死に防いでいた。


「魔王、それがただの通り名でなかった事をよく解り申した…ッ!」

「愚かなる攻撃と圧、揃って盃にしてくれよう」

「No kidding!盃なら自前で頼むぜ!」

「その淀み驕った心で、非道の限りをつくす稜々で!今、ここに我らが封じてくれる!!」


政宗と幸村は信長に反撃するが、それは全て到達する前に凪ぎ払われ、政宗と幸村は天守から外に投げ出されてしまった。


ビュッ!


市を床に寝かせた紫苑は刀を抜き、懐に飛び込んだ彼女を信長は銃で止めた。


「小娘如きが、我に刃向かうか!」

「…何故」

「む?」

「何故、彼女に手を掛けた?実の妹ではなかったの?」


信長の銃と紫苑の刀が押し合う中、紫苑は信長の顔を見ながら返答を待っていた。

すると信長はニヤリと笑った。


「愚かな事を」

「ッ!」

「所詮血の繋がりなど何の関係も無し!所詮は他人、必要なき者は排除するのみ!!」


信長は片腕に持っていた刀を振るって間合いを作り、紫苑に銃口を向けた。



ガウンッ!



吹き飛ばされた政宗と幸村は痛みに耐えていると、天守から響いた銃声に顔を上げた。


その時、天守から二つの影が飛び出した。

一つは政宗達の前に立ちはだかった信長、そしてもう一つの影は政宗達の背後に落ちた。



煙が晴れ、落ちた人物を見ると、それは紫苑だった。



「…っ、紫苑!!

紫苑殿!!」


政宗は駆け寄って名を呼びながら揺さぶるが、紫苑は全く反応を見せず、その姿に政宗の瞳に怒りが籠り、信長に向かって行った。


「…っ、ああああっ!!

「政宗殿!」


だが傷が疼いて全力を出せず、政宗は信長の前に膝を付き、首を捕まれ持ち上げられた。


「戯れは終わりぞ!武を弁えぬ愚答狼藉、死して報いよ!」


締め付けたまま信長は手甲で覆われた鋭い指先を政宗の左目に付き出した。


「残りの眼も、えぐり出してくれるわ!」

「やってみやがれ…俺の目は牙を向いて噛み付くぜ…!」

「政宗殿!」


加勢しようとした幸村だが信長の銃弾に近付けず、遂に政宗は刀を一本残し全てを落としてしまった。

政宗を助ける方法を考えていた時、背後に徳川の本多忠勝が降り立ち、信長向けて突撃した。


信長は政宗を放り投げて忠勝に発泡し、銃弾の雨に幸村も一段下の屋根に降り立った。


「卑怯なり、織田信長!砕けた鎧の裂け目ばかり狙うとは!」


長篠で砕けた鎧部分を集中的に狙う信長に加勢しようとした幸村。だが、腕を引かれて足を止めた。


「無駄に、すんじゃねぇ…」


振り返ると、政宗は血が滲む傷口を押さえながら幸村を止めていた。


「あいつの姿を、その目に焼き付けろ…!」


痛みに耐えながらも助言する政宗に幸村は一度俯いた後、再び忠勝を見た。


忠勝は銃弾から避けるように上昇し、武器を構えて信長を貫こうと一気に降下した。

だがそれは信長のマントのみを貫き、信長は割れた鎧内に銃口を向けた。


「戦国最強とは片腹痛し、塵灰ときせぇよ!」


銃弾が放たれ、忠勝の体は後ろへと飛ばされ大爆発を起こし、政宗と幸村は爆風に耐えて巻き起こる煙を見上げた。

幸村は心中で忠勝を思い、政宗も表情を歪め、他の兵達も爆発に言葉を無くした。


そして煙が晴れ、再び信長が姿を現すが、全く傷を負っていなかった。

それを見た幸村は歯を食い縛り、横でゆっくりと立ち上がる政宗に手を貸した。


自分の鉢巻きを取って刀を持つ政宗の手を結んだ。


「俺は、あと一発が限界だ…」


鉢巻きで固定された手は震えており、それでも構える政宗に幸村も構えた。


「お前が決めろ」

「この命に代えても!」

「この期に及んで足掻くとは、我が覇道に逆らう賢しき虫共よ」


後に西から長曽我部軍と毛利軍が加勢に入り、あちこちで織田の兵が蹴散らされていく中、全ての光が天に上がり一つの輪となる。

その輪が二人の力を高め、政宗は青く、幸村は赤く闘志を燃やした。


「奥州筆頭伊達政宗、押して参る!」

「武田軍、真田源次郎幸村!我が胸の炎、消える事無し!」


同時に飛び出し、信長に斬り込むが、又も攻撃を弾き返された幸村と政宗はその輪目掛けて吹き飛んだ。


「「うあぁっ!!」」


吹き飛ばされた二人を最後の力を受け渡したかのように包み込み、政宗の右手を刀に結び付けていた幸村の鉢巻きが契れ散った。


「我は堕ちぬ。我行くわ波の道。天下に武を敷くなり」


信長は二人を見上げ、そういう。その言葉が二人に届いたかは分からぬが、また蒼紅の光は消えておらず、政宗が幸村に言う。


「Last shootだ!真田幸村!」

「心得申した!政宗殿!!」


刀を握りなおし、二人はまだ信長に向かって降下していく。



「「はぁあああぁ!!」」



信長の闇を振り払い、突き破った。





「燃えよ、燃え滾れ!!」

「Let's get peace!!」






ドンッ



蒼紅の光は邪悪な闇とぶつかり合った。



「「「はぁあぁあぁあ!!!」」」



政宗の刀と幸村の槍が信長の刀を砕き、その場は光に包まれ、爆発した。



「散ずるは黒が待つ、下天の内に魅し魅して、自己を打棄つを貶めん。是非も無し…」



そう呟き、信長は未練もなさそうな顔で微笑み少しずつ淀んでいた闇ではなく明るい光に包まれ、その姿を世界から消した。



.

政宗を支えながら幸村も立ち上がり、下にいる兵達を見下ろした。

二人の勝利に盛大な歓声を上げ、政宗と幸村は笑い合った。


「…真田幸村」

「っ、如何した?政宗殿」

「あいつ、…紫苑は」


政宗が言いたい事を解った幸村はゆっくりと紫苑のいる方に足を進めた。



以前倒れている紫苑の元に辿り着き、政宗は膝を付いた。


紫苑…」


そっと頬に触れ、政宗は紫苑を抱き起こした。


「何寝てんだよ、battleはもう終わったぜ…お前にはやる事があんだろ」


幸村は何も言わず、政宗の背中を見ていた。


「俺の傷は誰が見るんだよ、俺のdoctorはお前しかいねぇだろ…っ」


紫苑を抱く腕が僅かに震え、強く噛みすぎたのか政宗の口からは血が流れていた。


「wake up…wake、up…!」


必死に呼び掛ける政宗。幸村も強く拳を握り締めた。





「…さ……ま…」


酷く、耳を澄まさないときこえないくらい小さな声に政宗はハッとして紫苑を見下ろす。

長く閉じられていた紫苑の瞼が動き、ゆっくりと開かれた。


紫苑…」

「まさ、むね…さま…」


今度の声は幸村にも聞こえて顔を覗き、目を覚ました紫苑に驚いた。


「生きておる…っ、紫苑殿は生きておりますぞ、政宗殿!」

「生きておるって…簡単に殺さないで下さい…」

「だが、お前、何で…」


てっきり死んだと思っていた紫苑の目覚めに、紫苑は政宗の口の血を拭いながら説明した。


至近距離から撃たれた銃弾。紫苑自身も駄目だと思ったが、運良く刀の鍔に当たった銃弾は腕を掠め、紫苑は銃弾の反動、屋根に叩き付けられた衝撃で気を失っていただけだった。


「すみません…政宗様の声は聞こえていたのに、目が開かなくて…」

「…Shit」


小さく呟き、力が抜けた政宗を、今度は紫苑が支えた。


「ま、政宗殿!?」

「大丈夫です、眠っただけですから」


針積めていたものが抜けた様に安らかに眠る政宗に、紫苑は柔らかく微笑んだ。


「おめでとうございます、政宗様」





こうして織田信長との戦は終わった。

織田の残党は逃げ出すが追わず、集結した武将達はそれぞれの領土に戻った。

束の間の休息の後、再び乱世が始まる

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