戦国BASARA
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森の中を砂埃が立ち舞う。その原因である二人の武将が、本能寺目指して駆け抜けていた。
「特別招待のpartyだ!気合入れていくぜ、真田幸村!!」
「我が心、熱く燃える!いざ本能寺へ、全力で赴かん!!」
そう叫びながら駆け抜ける。すると崖と真ん中が崩れ去った橋が立ちはだかった。
だがそんなの気にも留めずに二人はまんまと飛び越えた。
(武田のおっさん…死ぬんじゃねェぜ。あんたらと取り合う天下をまずは守ってみせる。お楽しみはそれからだ)
(親方様!親方様の目指される平和な天下を築く為、某は政宗殿と運命を共にいたす所存!親方様の後ろ盾あらずとも必ずや魔王を討ち果たしてごらんにいれまする!)
二人は共に倒れた信玄を思いやり、本能寺へと馬を進めた。
.
政宗と幸村が出陣した後、伊達軍は気力を無くした様に一室に入り、紫苑は信玄の元から離れて武装の支度を始めた。
キュッ
「…」
「紫苑、いるか?」
「小十郎様?」
廊下から聞こえた声に振り向くと、小十郎の影が襖越しに見えた。
「そのままでいいから聞け、あいつらはどうだ?」
「皆落ち込んでいますよ、政宗様があんな事を言われるから」
「ったく、少し考えれば解る事だろうに」
呆れる息を吐く小十郎に、紫苑もクスクスと笑った。
「仕方ありませんよ、私達が止めたとしても、政宗様は言うのを止めるとは思いませんし」
「だろうな」
支度が出来た紫苑は襖を開け、小十郎が振り返った。
「俺はあいつらに支度を早らせるよう言ってくる。お前は先に行って待ってろ」
「きっと皆驚きますよ」
「そうだな」
小十郎は軽く笑って伊達軍兵達の元に向かい、紫苑は門前に向かった。
「筆頭…ぐずッ!」
リーゼントを切られたショックなのか、政宗に刀を向けられたのがショックで泣く良直。
その時、佐馬助や孫兵衛、文七郎の三人がこちらを見ていた。
そして意を決した様に問い掛けた。
「行くか」
その言葉に三人もうんと頷く。そして他の伊達兵に叫んだ。
「おい、オメーら!」
立ち上がって続きを言い掛けた時、廊下が騒がしい事に気付いて言葉を止めた。
バンッ
静かになったと同時に小十郎が大きく襖を開けて叫んだ。
「オメーら!出陣の用意だ!!」
小十郎のその言葉に誰もが驚き目を見開いて固まっていた。
「片倉様…」
「何をぼ―っとしてやがる。早く仕度しろ」
「だ、だって…」
「筆頭は、伊達軍はもう解散だって…」
「いいから来い」
そう言う家臣達に小十郎は笑い、続ける。
「どの道、そのつもりだったんだろうがな」
そこで小十郎は来いと良直達を外へ連れ出す。門を出た所で四人は大きく目を見開いた。
そこには越後の上杉、三河の徳川を始めとする諸国の軍勢が大集結し、先に来ていた紫苑は笑っていた。
「す、すげェ!」
「こ、こいつァ…片倉様、姐さん」
「思った通りの頃合に集まるべき者達が集まった。これまで鳴りを潜めていた連中までもな、政宗様はオメーらにまた徒党を組むなとは一言も言っちゃいねェ。違うか?」
「これだけの軍勢、政宗様はきっと必要としますよ」
笑みを浮かべながら小十郎と紫苑が家臣へと向けば全員目を見開き、先程まで曇っていた表情が笑顔になる。
「片倉様!紫苑姐さん!」
「望む所ですッ!」
『おぉおおお!!』
小十郎は自分の馬に飛び乗って前に出、紫苑も横に並んだ。
「目指すは山城の国、本能寺!政宗様と真田幸村のご攻めに向かう!織田の兵隊共を、残さず蹴散らすぜ!!」
『YEAH!!』
『おぉお!!』
伊達軍の法螺貝が響き渡り、それを合図に全軍が本能寺目指し走り出した。
.
本能寺向けて走り出している途中、紫苑は横を走っていた佐助が何かに気付いたように飛び上がった。
それに釣られて見上げると、佐助は誰かを抱えて木に降りた。
「あれって…かすが?」
見知った金色の髪に思い当たる人物を思わせながら走っていると、再び佐助が戻って来た。
「片倉の旦那!魔王は本能寺にはいない、安土城だ!」
「何?」
「上杉の忍が実際に目撃した、間違いない!」
「では、本能寺に向かったのは影武者」
「…どうやらそうらしいな」
見えてきた本能寺に目を向けると、そこは火で覆われていた。
「本能寺が!」
「どういう事だ!?」
炎上する本能寺にそれぞれが声を出す中、小十郎は馬を降りた。
「小十郎様?」
「紫苑、後は頼むぞ。お前達は政宗様と真田が戻られたら、安土へと向かえ」
「片倉の旦那!まさか一人で残るつもりか!?」
「政宗様が刀を振るう相手は明智じゃねえ、織田信長だ」
歩き出す小十郎に紫苑は軽く息を吐き、馬を降りて刀を抜いた。
「小十郎様、少し退いて下さい」
僅かに退いた小十郎に目を向けず、炎上する本能寺向けて刀を振るった。
ズアアッ!
水の斬撃が火を消し、本堂まで通れる道を作った。
「これで通りやすいでしょう」
「紫苑」
「待っていますから、安土で」
「…ああ」
小十郎は本能寺の奥に進み、紫苑は身近にいる家臣に振り返った。
「政宗様と真田様の馬が何処かにいる筈よ、探してきて」
「はい!」
二、三人が馬を探しに向かい、紫苑は政宗と幸村が戻るのを待った。
「紫苑ちゃんの属性は水なんだね」
ふと言われた言葉に振り向くと、腕組みした佐助が紫苑を見ていた。
「松永久秀と戦った時に現れた水の竜、あれも紫苑ちゃんだろ?」
「ええ」
「お、何だ?やけに素直だね。反論を言われるかと思ってたんだけど」
「今更隠した所で得なんかありませんよ、それに…」
「それに?」
続きを言い掛けた時、本能寺から出て来る政宗と幸村の姿を見付けた。
「政宗様、真田様」
『筆頭ーっ!!』
政宗の姿に伊達軍は号泣し、二人の馬を持ってこさせた。
「かたじけのうござる」
幸村は馬を引いて来てくれた兵に礼を言い、政宗を馬を受け取って紫苑を見た。
「Thank You、紫苑」
「いいえ」
軽く礼を言って政宗は馬に乗り、全軍を見渡した。
「目指すは安土の城!出遅れるんじゃねぇぞ!!」
『YEHAー!!』
『おおおぉっ!!』
政宗と幸村を筆頭に走り出す軍勢に紫苑も馬に乗り込んだ。
「なあ紫苑ちゃん。さっきの続き、何て言おうとしたんだ?」
乗った後佐助に振り返り、紫苑は軽く笑った。
「それに、あれはまだ序の口ですから」
「……え゛」
そう残して走り出す紫苑に、佐助は唖然とした。
「実力は秘密、か」
佐助はやれやれと溜め息を付き、皆の先に行く為飛び出した。
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